皆さんは菓子製造技能士という資格を聞いたことがありますか。
菓子製造技能士とは、和洋菓子それぞれの製作技能を認定する国家資格です。
取得すると菓子職人としての技術や知識を国から認められたという証明になります。
パティシエの方には憧れの資格ですね。
デザート系の資格は他にもありますが、菓子製造技能士はどんな資格でどうやって取得するのか見ていきましょう。
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適用する仕事
デザート系の資格は菓子製造技能士の他に、デザートクリエイターや製菓衛生師の資格があります。
デザートクリエイターはデザートに関する知識や技術に対して認定されている資格です。
製菓衛生師とはパンや菓子などの製造の品質向上を目的としている国家資格です。
そして、今回の菓子製造技能士とはお菓子作りの一定レベル以上の技術と知識があることを証明する資格であり、国が認定する技能士制度の1つです。
洋菓子だけでなく、和菓子の部門も含まれますから和菓子職人にもやりがいのある資格でしょう。
もちろん洋菓子店や和菓子店に勤めている方以外にもホテルやレストラン、カフェなど飲食店で働く人にも大いに活かすことができるでしょう。
自分のお店を開いた場合、洋菓子でも和菓子でも「菓子製造技能士」の資格を持っているとお店の信頼性にもつながります。
他にもお菓子メーカーで商品開発をしたり、食品関連のスクールで教える仕事に就いたりする際もこの資格の知識と技術が役立つでしょう。
パティシエの場合
パティシエになるには経験や技術の習得が1番と言うかもしれませんが、資格は就職や転職などの面で有利に働くことが多いため「菓子製造技能士」の資格を取得しておいて損はありません。
パティシエの仕事内容ですが、洋菓子店に勤務する場合はお店のオープン時間に間に合わせるため朝から仕事を始めます。
まず、スイーツの仕込みをして生地や焼き菓子などを作ります。
そして、デコレーションが必要なスイーツにはそれを施し、店頭のショーケースに並べます。
例えば、朝の10~11時に開店ならばそれまでに全てのスイーツを店頭にそろえます。
その後、商品の売れ行き状況を見ながら追加でスイーツを作ったり、予約のあったスイーツを作ったりします。
そして、夕方には翌日の仕込みを始めて、閉店後に片づけをして終了です。
自分が考えて作ったお菓子をお客様に喜んで食べてもらえるのがこの仕事のやりがいだそうです。
反対に1人前になるまでの給料が低い、火傷や傷が絶えないといった苦労もあります。
和菓子職人の場合
和菓子職人の主な仕事はもちろん和菓子を作ることです。
和菓子職人の仕事は7時前後に始まるというケースが多いようです。
店頭に並べる生菓子などを作って店のオープンに備えます。
オープン後は生菓子を作りつつ店頭で販売対応をしたり、予約分の和菓子を配達したりします。
午後は日持ちする和菓子(焼き菓子や干菓子、ようかんなど)を作ることが多いようです。
これは就職先や繁忙期などによって変わります。
昔からある伝統的なお菓子だけでなく、季節に合わせた創作菓子など新しい和菓子を企画・考案するのもお仕事でしょう。
おおよその年収とキャリアパス
では、次は年収とキャリアパスについて見ていきます。
菓子製造技能士の資格を所有しているということは技術や能力が証明されやすく、勤務先によっては待遇面で良い方向になる可能性はあります。
パティシエの場合
パティシエの平均年収は正社員で352万円でした。
これはパティシエが洋菓子の「職人」であり、一人前とみなされるまでに何年もの見習い・下積み期間を経なくてはいけないためこのような低さになっています。
経験を積んで能力を高め、ようやく一人前になれば少しずつ収入はアップしていきます。
一流パティシエと認められたり、独立して自分の店を出して繁盛させたりすれば500万円、1,000万円以上の収入もあり得るでしょう。
パティシエとして成功するには、例えばシェフパティシエのような立場になりたいのであれば、時代ごとのニーズに合ったスイーツを創作するだけでなく多くのスタッフを束ねる力も必要になります。
また、独立開業する場合ではコスト管理や経営、マネジメント面などの能力も求められます。
和菓子職人の場合
和菓子職人の平均年収は334万円でした。
勤務先によって異なってきますが、“和菓子「職人」”ですから一人前になるまでは「何とか食べていく」くらいの給与でしょう。
しかし、和菓子の世界も自分の腕次第で給料アップが望めます。
一人前になってからはその店の職人として勤め上げたり、さらに好待遇の店に転職したり、自分の店を出す夢を叶える人もいるでしょう。
和菓子職人の中には「和カフェ」を開業したり、カフェで勤務する和菓子職人として転職する人もいます。
認可団体
菓子製造技能士の資格は国家資格で「技能検定」にあたるので、主催団体は厚生労働省です。
問題の作成などは中央職業能力開発協会が行い、試験の実施などは都道府県別の職業能力開発協会が行います。
受験条件
1級…7年以上の実務経験(2級合格者は2年)
2級…2年以上の実務経験
ただし、製菓専門学校の卒業生なら2級は卒業後すぐに、1級は7年より短い実務経験で受験できます。
合格率
2020年 52.3%
2019年 50%
2018年 58.3%
1年当たりの試験実施回数
年1回の実施
試験科目
試験は筆記と実技があり、洋菓子部門と和菓子部門に分かれます。
筆記試験では、洋菓子も和菓子も「食品一般」「菓子一般」「関係法規」「安全衛生」の4科目は共通問題として出題されます。
5科目目は「洋菓子製造法」か「和菓子製造法」のどちらかを選択します。
実技試験は与えられたテーマの「材料の選定」「生地の調整」「成型加工」「熱加工」「仕上げ」を行います。(ここまでが2級の範囲)
1級はそこからさらに「製品検査」「デザイン」「積算および見積り」の項目までを行います。
採点方式と合格基準
洋菓子も和菓子も筆記では真偽法、四肢択一法で採点します。
制限時間は1時間40分です。
実技試験は作業時間として制限時間が設けられています。
2級 2時間30分
2級 1時間30分
実技試験…60点以上/100点
取得に必要な勉強などの費用
菓子製造技能士を最短で取得するには製菓専門学校に通うことです。
それでしたら、受験に必要な実務経験が短縮されます。
和菓子本科 226万円
受験料
実技試験:18,200円
ただし、都道府県によって異なります。
東京都では令和4年4月1日時点で、34歳以下の場合は実技試験が9,200円で受けられます。
学生・訓練生(25歳以上)12,100円
学生・訓練生(25歳未満)3,100円
受験申込方法
- 受験申請書を受験する都道府県の職業能力開発協会から取り寄せる
- 受験申請書に必要事項を記入し、必要枚数の写真を貼る
- 受験料を所定の期日までに納付する
- 受付期間内に郵送または持ち込みにより、都道府県の職業能力開発協会へ提出する
まとめ
今回は洋菓子・和菓子作りの腕を証明する「菓子製造技能士」という資格について見てきました。
この資格を持っていると高い知識や技術力を持っている職人として一目置かれるメリットがあります。
国家資格なのでキャリアアップにもつながるでしょう。
この受験資格は実務経験だけだと受けるまでに時間が経ってしまいますが、製菓専門学校に通っているとその部分が短縮されます。
学費は高いと思うかもしれませんが、検定に必要な知識が勉強できます。
お菓子の道に進みたい方は、ぜひ将来のためにも製菓学校へ行きつつ「菓子製造技能士」を取ってみて下さいね。
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