画像処理エンジニア検定とは、画像処理分野の開発や設計に必要な知識を評価する検定です。
前身は「画像情報生成処理技術者試験」という名前でした。
画像処理技術というのは、画像をデータとして処理し、より高品質で鮮明な品質にしたり、そのデータを利用してアプリケーション開発や運用などを行なったりするスキルのことで単純な画像の加工や編集とは異なります。
将来的にも需要が見込める画像処理に対しての資格を今回見ていきます。
Contents
適用する仕事
主催している公式サイトによると、「画像処理エンジニア検定」は画像処理分野の開発や設計に必要な知識の習得を評価する検定だそうです。
活用分野は映像通信、コンピュータ周辺機器、ロボットビジョン、製品検査、医療応用、印刷などです。
想定される職業は資格名にもなっている画像処理エンジニアが、まず挙げられるでしょう。
それ以外にはエンジニアやプログラマー、開発・研究者などが当てはまります。
画像処理エンジニアとは
画像処理エンジニアとはデジタル画像技術の領域に関わる開発や運用を行うエンジニアのことです。
名称から画像加工や編集のみを行なっていそうな職業名ですが、通信やロボット開発、印刷、医療などの面でも活躍します。
例えば、QRコードの読み取り機能は画像対象エンジニアが開発しました。
他には、近年注目される自動運転などのAIテクノロジーでは、画像処理にAIを利用することで認識精度を高めます。
AIに画像データを認識させる分野でも画像処理エンジニアが活躍しています。
画像処理エンジニアの具体的な仕事内容
仕事の流れは一般的なエンジニアと同じです。
まず、クライアント(もしくは自社の企画担当者)へのヒアリングをし、要件を定義してから必要な技術を選定します。
利用できる技術やシステムが存在しない場合、アルゴリズム(計算の手順、やり方)を1から開発することもあります。
開発していき、システムがある程度まで固まったらテスト運用を実施します。
こうして試行錯誤を繰り返しながら、生じる課題に合わせてプログラムを最適化していきます。
デバッグ(動作を仕様どおりのものにする作業)が完了したら、技術を具体的な製品になるように移します。
対象となる技術が画像処理である点なのが特徴ですが、その他の仕事の進め方は一般的なシステムエンジニアやプログラマーと同じといえるでしょう。
おおよその年収とキャリアパス
画像処理エンジニアの年収相場は500万円台です。
求人の中には720万円~となっているものもあります。
どちらにしても日本の平均年収よりも高い収入を得ることができます。
しかし、収入の振れ幅はあります。
画像処理エンジニアの仕事は多岐にわたります。
AIを駆使して製品の中核となるシステムを組むエンジニアであれば年収は高いですが、ひたすら手作業の画像処理ばかりを担当していると年収が伸び悩む可能性があります。
画像処理エンジニア検定を取得していれば、企業のニーズは多いですから未経験であっても充分採用のチャンスが得られます。
それだけ画像処理を行う会社は数多くあり、仕事案件もあるでしょう。
- 映像や通信関連・・・エンジニアやプログラマーとして
- コンピュータ周辺機器開発メーカー・・・開発プログラマーとして
- ロボット開発関連会社・・・研究・開発のため
- 印刷会社・・・印刷に関連する画像処理エンジニアとして
印刷会社のように印刷物に関わる画像処理なら仕事の難易度は比較的低めですが、CG制作やメーカーの開発プログラマーといったシステム開発に携わる業務は難易度高めです。
AI技術の進化は早いため新しい技術への対応が求められます。
そのため資格を取得しても継続的な情報収集や勉強は欠かせないでしょう。
このように画像処理エンジニアや検定は需要があるものなのです。
認可団体
画像処理エンジニア検定を主催している団体は「CG-ARTS(公益財団法人 画像情報教育振興協会)」です。
〒104-0045
東京都中央区築地1-12-22コンワビル7F
TEL:03-3535-3501
FAX:03-3562-4840
沿革 | |
1985年 | 「CGカリキュラム研究会」をCGプロダクションJCGL内に発足 |
1988年 | 「画像情報生成処理技術者の育成に関する研究会」発足 |
1990年 | 「画像情報振興基金設立準備委員会」発足 |
1991年 | 「画像情報教育振興協会」に名称を改め活動を始める |
2005年 | 「画像処理エンジニア検定」を開始する |
2021年 | 「公益財団法人 画像情報教育振興協会」に名称を改める |
受験条件
年齢、学歴などに制限はなくどなたでも受験できます。
合格率
【ベーシック】
2021年 67.6%
2020年 69.0%
2019年 65.2%
【エキスパート】
2021年 26.7%
2020年 42.9%
2019年 38.5%
1年当たりの試験実施回数
試験は年に2回実施されます。
試験科目
ベーシックとエキスパートそれぞれあります。
ベーシック
- デジタルカメラモデル
- 画像の濃淡変換とフィルタリング処理
- 画像の解析
- パターンや特徴の検出とパターン認識
- シーンの復元
- システムと規格
- 関連知識(知覚、知的財産権、情報セキュリティなど)
エキスパート
- デジタル画像の撮影と画像の性質・色空間
- 画素ごとの濃淡変換と領域に基づく濃淡変換
- 周辺数領域におけるフィルタリングと画像の復元・生成
- 幾何学的変換
- 2値画像処理と領域処理
- パターン・図形・特徴の検出とマッチング、パターン認識、深層学習による画像認識と生成
- 動画像処理、画像からの3次元復元、光学的解析
- 画像符号化
- 知的財産権
採点方式と合格基準
ベーシックは全10問で制限時間は60分
エキスパートは全10問で制限時間は80分
どちらもマークシート方式です。
合格基準はベーシック、エキスパートどちらも100点満点中70点以上の得点で合格です。
ただし、難易度によって合格基準が多少変動する可能性があります。
取得に必要な勉強などの費用
勉強方法として協会から参考書籍が紹介されています。
ディジタル画像処理 改訂第2版
発行元:画像情報教育振興協会
商品名:ディジタル画像処理 改訂第2版
価格:¥4,290(税込)
画像処理の基礎理論から手法、アルゴリズム、各分野での応用事例までを盛り込んだ専門書です。
サンプルイメージを数多く使った構成になっており、さまざまな画像処理をわかりやすく解説しています。
ビジュアル情報処理-CG・画像処理入門-[改訂新版]
発行元:画像情報教育振興協会
商品名:ビジュアル情報処理
価格:¥3,190(税込)
CGと画像処理の基礎をまとめた新しい視点の入門書です。
豊富な図版や使いやすい傍注などを使って初心者でもわかりやすく工夫されています。
画像処理エンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集[改訂第4版]
発行元:画像情報教育振興協会
商品名:画像処理エンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集[改訂第4版]
価格:¥3,960(税込)
過去に出題された問題などを練習問題として再編した問題集です。
エキスパート5回分、ベーシック3回分を掲載しています。
受験料
ベーシック 5,600円
エキスパート 6,700円
午前中はベーシック、午後はエキスパートという併願受験も可能です。
受験申込方法
受験を申し込むには個人受験と団体受験があります。
個人受験
個人受験には2通りの申込方法があります。
1.インターネット
CG-ARTS Webサイトから申し込む方法です。
受験者登録をして申し込みます。
2.郵便局で申し込む
郵便局の「払込取扱票」を使用して、受験料と共に郵便局から申し込む方法です。
どちらも受付完了メールが届きます。
団体受験
団体受験とは複数名の受験希望者を、団体責任者が取りまとめて申し込みする方法です。
団体受験をするには、団体を取りまとめて検定実施センターとの事務連絡を行うことのできる団体責任者がいることが条件です。
受験票や合否結果通知などの郵送物はすべてその団体責任者宛てに一括送付されます。
2.団体受験者全員が同一の受験地での会場(協会で指定する会場)
3.各受験者が別々の受験地での会場(協会で指定する会場)
まとめ
今回は「画像処理エンジニア検定」という資格をご紹介しました。
資格名にもなっている画像処理エンジニアという職業はあります。
しかし、ただ画像をいじっているのではなく、エンジニアやプログラマーと同じ仕事をする職業だと思ってください。
この検定は新しいものを作り出すのが好き、細かな作業が苦ではない、専門的に画像処理を学びたい、更なるキャリアアップを求めている…そういった方に向いています。
そういった方面で活躍したい方は、こちらの検定を受けてみてはいかがでしょうか。
画像処理エンジニアのニーズは高いですよ!
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