はり師試験について

はり師試験について

今日ははり師についてお伝えします。
はり師は鍼灸師として業務を行なっている方も多いかと思われます。
鍼は“はり”、灸はお灸のことです。
どちらも痛そうだと思いがちですが、ケガや病気(主に東洋医学)を治療するのに大変役立つ治療法なのです。
今回はその鍼灸の1つとなっている「はり師」について見ていきます。

適用する仕事

「はり師試験」で適用される仕事は、冒頭で触れましたとおり鍼灸師という職業です。
はり師は髪の毛くらいの細い鍼で体表にあるツボといわれる経穴を刺激し、自然治癒力を引き出すお手伝いをします。
その刺激がコリや神経痛などの症状の改善、あるいは血行の促進などを行います。

鍼は中国古来から行われてきた伝統医療で、日本には6世紀ごろに伝わりました。
はり師の施術は医師の同意書や診断書があれば、神経痛やリウマチ、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症等の慢性疼痛の疾患において健康保険が適用になります。

はり師の仕事はこんな分野で重宝されています。

介護分野
介護分野は主に高齢者や障害者が対象となりますね。
例えば、高齢者で筋力が低下して筋萎縮を起こしたり、中枢系疾患で体に麻痺が後遺症として残ったとします。
これらに対して鍼を施すことによって少しでも症状が緩和させたり、悪化させないようにします。
スポーツ分野
トップアスリートの試合に帯同するはり師もいるでしょう。
スポーツ鍼灸の現場では、鍼治療を中心にテーピングやマッサージを加えて施術することでコンディショニングを高めます。
試合や本番で最高のパフォーマンスができるように支えています。
美容分野
美容分野では、例えば顔面に鍼灸施術をすることで局所的に血行を良くするやり方があります。
ツボといわれるものは美容面においても重要になってきます。
東洋医学の考えでは全身が気血の流れで繋がっている為、下肢や体幹の経穴に刺激を入れることで美容の効果をより発揮できるという可能性を秘めています。

おおよその年収とキャリアパス

タブレットを見ながら考え込んでいる鍼灸師きゅう師も含めた鍼灸師の年収を見てみると、300万~400万円台のようです。
全国平均の年収が436万円ですから、それと同じか若干低い年収となります。

近くに身近な鍼灸院があるかもしれませんが、資格を取りたての頃は治療院を運営する企業に入社するケースがもっとも一般的です。
その職場にもよりますが、入社後は社内でステップアップする機会が設けられています。
「院内の鍼灸の責任者になれる」「院長になれる」といった社内資格を得られます。

そして、人によってはある程度技術を学んだ後、別の会社の治療院に転職したり、独立したりします。

認可団体

公益財団法人 東洋療法研修試験財団のロゴマークはり師試験を主催している団体は「公益財団法人 東洋療法研修試験財団」というところです。
はり師は国家試験だから厚生労働省では?と思うかもしれませんが、試験の実施に関する事務はこちらで行われます。

厚生大臣から財団設立が許可されたのは平成2年3月でした。

事業内容
  • 国家試験、登録事業
  • 生涯研修事業
  • 研究助成事業

〒110-0005 東京都台東区上野7丁目6番5号 VORT上野Ⅱ6階

TEL:03-5811-1666
FAX:03-5811-1667

受験条件

学校教育法第90条第1項の規定により大学に入学することのできる者で、3年以上文部科学大臣の認定した学校または厚生労働大臣の認定した養成施設(いわゆる専門学校)で必要な知識及び技能を修得した者。

ただし、視覚障害が著しい者については、学校教育法第57条の規定により高等学校に入学することのできる者ではり師は5年以上、上記の学校または養成施設で必要な知識及び技能を修得した者。

合格率

2022年2月27日に実施した試験のはり師の結果

受検者数 3,982名
合格者数 2,956名
合格率 74.2%

1年当たりの試験実施回数

はり師取得のため、受験する国家試験は年1回実施されます。

試験科目

白い背景に置かれた鍼セット医学概論(医学史を除く)
衛生学・公衆衛生学
関係法規
解剖学
生理学
病理学概論
臨床医学総論
臨床医学各論
リハビリテーション医学
東洋医学概論
経路経穴概論
はり理論及び東洋医学臨床論

※ただし、同時にきゅう師国家試験も受けようとする方に対しては、はり理論又はきゅう理論以外の共通科目について、受験者の申請によりその一方の試験を免除する

採点方式と合格基準

はり師試験の問題出題数は160問です。
はり師及びきゅう師国家試験は、配点を1問1点、それぞれ合計170点満点とし、102点以上の者が合格です。

はり師  総得点102点以上/170点

取得に必要な勉強などの費用

はり師試験を受けるには、まず鍼灸師の養成学校に通う必要があります。
これは鍼灸師になるにあたり必須項目です。
3年制又は4年制の養成学校を卒業していることが受験への条件です。
養成学校というのは大半は専門学校を指しており、その数は全国で80~90校ほどあります。

気になる授業料ですが、一般的に1年間の授業料は120万~150万円ほどで、初年度は入学金も含めて150万~200万円ほどとなっているところが多いようです。

つまり、卒業するまでに掛かる費用は3年制である専門学校で400万~500万円ほどになります。
(もし通学するのが4年制の大学なら500~600万円以上掛かってくるでしょう)

授業料の他にも、授業に必要な教科書代や白衣代、又は実習費などの費用で10~30万円ほど掛かるといわれています。

受験料

14,400円

受験料の金額は認可団体にも挙げた「公益財団法人 東洋療法研修試験財団」が指定する銀行または郵便局の口座に振り込んでください。

受験申込方法

分厚くなっている必要書類受検を申し込むには以下の書類の提出が必要です。

受験願書

受験願書に戸籍に記載されている文字で氏名を書きましょう。

なお、視覚障害者で拡大文字、超拡大文字又は点字による受験とともに、試験問題を録音したDAISY-CDの使用あるいは試験問題の読み上げの併用による受験を希望する方がいる場合、受験願書の右上に「拡大文字受験希望」、「超拡大文字受験希望」又は「点字受験希望」と記載してください。

また、試験問題を録音したDAISY-CDの使用あるいは試験問題の読み上げの併用による受験のみを希望する方は、「DAISY-CDの使用希望」又は「読み上げ希望」と記載してください。

写真

出願前の6ヶ月以内に脱帽・正面で撮影した縦6cm横4cmのものを用意しましょう。
そして、その裏面に撮影年月日及び氏名を記載し「公益財団法人 東洋療法研修試験財団」において交付する受験写真用台紙に貼り付け、同台紙に所定の事項を記入して提出してください。

修業証明書や修業見込証明書又は卒業証明書、卒業見込証明書

修業証明書もしくは修業見込証明書又は卒業証明書、もしくは卒業見込証明書をご用意して提出しましょう。
期日までに提出されないと受験が無効になってしまいます。

まとめ

必要機材が整っている治療院の鍼灸師2人以上「はり師試験」に関する資格情報でした。
はり師は鍼灸師としてまとめて言われますけれども、突き詰めていけばこれだけの過程を経て資格を取得します。

はり師は資格条件として、専門学校をはじめとした養成学校へ通う必要があります。
医学や薬学までは掛からないかもしれませんが、分野が医学系なのでそれなりに学費が掛かります。
しかし、治療の手として技術を磨けば生涯現役で働ける職にもなります。

これから高齢化社会において、身体に不具合が出てくる患者さんの支えになるでしょう。
もちろん介護・看護の部分だけでなく、美容やスポーツ業界でもはり師は重宝されています。
人気のはり師の条件は「患者のニーズに応えられる技術力と」と「コミュニケーション能力」だそうです。

理系や医学の道へ進もうとされる方は、このはり師という職業も考えてみてはいかがでしょうか。

 

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