基礎杭溶接技能者という資格は“溶接管理技術者”ともいわれます。
つまり、溶接管理技能の中に基礎杭という種類が入っているということです。
溶接技能者資格には、アーク溶接やガス溶接、ステンレス鋼、チタン、プラスチックなどいろいろ分類されています。
その中から今回は基礎杭の溶接に絞って資格を見ていきます。
Contents
適用する仕事
基礎杭溶接技能者資格というのは溶接業者としての技能があるかどうか評価する資格試験のうちの1つと言って良いでしょう。
基礎杭溶接技能者とは建築物の土台になる基礎杭溶接の専門家です。
基礎杭とは
基礎杭とは基礎杭打ち工事という言葉で使われますね。
基礎杭打ち工事とは建物を建てる際の基礎工事の1つで、杭を支持岩盤まで打ち込む工事のことです。
そうすることで安定して建築できるようにします。
柔らかい地盤(軟弱地盤)の上でも構造物を建築できる工法です。
杭打ちをしておくと地震に強く倒壊しにくくなるんです。
基礎杭打ち工法の種類には、場所打ち杭工法と既成杭工法があります。
また、木杭、鋼杭、コンクリート杭といった使う杭の種類によっても工法が違ってきます。
適用する仕事
適用する仕事は溶接工です。
溶接工は活躍する場が広いですが、今回基礎杭溶接技能者の資格を活かせる場としては建築現場があてはまります。
建設や工事現場に勤務する場合は、配管、建築材料、ガードレール、鉄道レール、船舶などを溶接します。
一般的に溶接の仕事は切断、接合、磨き、塗装といったものがあります。
作業内容 | 説明 |
切断 | 金属の材料を切断する作業。専用のカッターや電動ノコギリを使って材料を適切な形状・サイズに加工する |
接合 | 加工した材料同士を接合すること。製作する製品や目的に適した溶接方法で作業する |
磨き | 製品の表面に付いた溶接焼けなどを研磨して除去する。単純に見た目がきれいになるだけでなく、腐食を防止するように努める |
塗装 | 主に錆止めとペイントがある。錆止めは製品が錆びないように錆止めを塗ることで、ペイントは必要に応じて製品に色を塗ること |
おおよその年収とキャリアパス
基礎杭溶接に関する求人を探してみると、勤務年数が長くなるにつれて年収も上がってきます。
個別年収の例になりますが
・1年目/478万円、522万円、419万円、560万円
・2年目/631万円、586万円、663万円、697万円
・3~4年目/788万円、670万円、708万円、758万円
溶接工は建築関係や製造業企業に雇われて現場を経験したのち、独立して技術を磨いてさらに高い年収を目指すのがキャリアパスとして一般的です。
もし基礎杭溶接技能者の資格を取得すれば、溶接技能者の1つとして手当てが付き、確実に収入がアップするでしょう。
また、仕事面でも工場認定または官公庁から工事を発注された際、溶接の現場に必ず一人は溶接管理技術者を常駐しなければなりません。
溶接技能者の資格を取得するということは、施工作業や工程の管理を行える証明になりますのでキャリアアップにつながるでしょう。
溶接工として独立という道もあり得ますが、当然のことながら個人としての技術レベルが非常に高くなくてはやっていけません。
技術的に信頼されて認められれば仕事の依頼も来るでしょう。
それには在職中から社外に業務を外注してくれる企業とのつながりを持っておくことが、独立への成功のカギといえます。
業界内で高い評価を得られれば、1,000万円以上の年収も見込めるでしょう。
認可団体
基礎杭溶接技能者資格を主催している団体は「一般社団法人日本溶接協会(JWES)」というところです。
東京都千代田区神田佐久間町4丁目20番地
電話:03-5823-6325(事業部・資格認証や認定関係)
1949年:日本溶接協会設立。通産大臣から社団法人認可。
2013年:一般社団法人へと移行
受験条件
一般社団法人日本溶接協会が行う下記の認証を受けている者
1.被覆アーク溶接
2.マグ溶接
3.セルフシールドアーク溶接
合格率
試験は各都道府県指定機関で行いますので、試験地により異なります。
合格率は各地区溶接技術検定委員会や各都道府県指定機関に問い合わせとのことです。
1年当たりの試験実施回数
試験は各都道府県指定機関で行いますので試験地により異なりますが、1ヶ月に1~2回の頻度で実施されているようです。
詳細は各都道府県指定機関へお問い合わせください。
試験科目
被覆アーク溶接、マグ溶接、セルフシールドアーク溶接の中から選択して溶接の実技試験を行います。
外観試験および曲げ試験により評価します。
試験材料の種類、厚さ区分 炭素鋼管/中肉管
溶接継手の区分 管の突合せ溶接
開先・形状 レ形
裏当リング あり
採点方式と合格基準
不明
取得に必要な勉強などの費用
基礎杭溶接管理技術者の講習会というものがあります。
そちらで学んで資格へ向けて挑むのはいかがでしょうか。
ちなみに、その講習会は「基礎杭溶接管理技術委員会」が主催していて、受講料は組合員で27,500円(税込・テキスト代含む)です。
2日間の講習で最後は修了試験が行われます。
ぜひ情報を探して受講してみて下さい。
受験料
被覆アーク溶接(FP-A-2P) 19,920円
マグ溶接(FP-SA-2P) 19,920円
セルフシールドアーク溶接(FP-SS-2P)19,920円
受験申込方法
受験申込の仕方は紙媒体の受験申請書による申請方法とWeb申請による方法の2つです。
紙媒体での注意点
紙媒体では、受験申請書を入手しなければなりません。
受験申請書は各地区溶接技術検定委員会や各都道府県指定機関で、入手および問い合わせを行なってください。
Webでの注意点
Webによる申請では「e-Weld」というのを使います。
e-Weldのホームページを見ながら受験申込みをしましょう。
マイページがないとWebでの受験申込みやサーベイランス申込みができませんので、必ず作成するようにしてください。
本人管理マイページと勤務先管理マイページの2種類がありますが、どちらを利用するかは利用者次第だそうです。
ただし、定義としてはこうなっています。
- 「本人管理マイページ」は、受験者(サーベイランス者)ご本人自身でお申込みや資格を管理するためのマイページ。
- 「勤務先管理マイページ」は、受験者(サーベイランス者)の勤務先が本人に代わり申込や資格を管理するためのマイページ。
複数人まとめてのお申込みも可能。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は基礎杭の溶接技能者資格についてまとめてみました。
溶接技能資格には細かく種類があります。
基礎杭の溶接の他にも手溶接(アーク溶接、ガス溶接)、半自動溶接、ステンレス鋼溶接、チタン溶接、プラスチック溶接、銀ろう付、すみ肉溶接、石油工業溶接といった種類の溶接があります。
いろいろあるんですね。
公式サイトを見て自分がどの資格を受験したいかを確認しながら試験に臨みましょう。
試験の勉強をしたいのなら、講習会を見つけるのが一番良いでしょう。
講習会で勉強して知識や技術を身に付けて、自分の目指すべき溶接の資格を取得してみて下さいね!
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