技術士・技術士(補)についてです。
技術士とは国家資格であり、科学技術に携わる技術者のことです。
科学技術に関する技術の専門知識と、豊富な実務経験を持っていることが認定された資格です。
Contents
適用する仕事
技術士の有資格者の仕事は、技術コンサルタントとして建築に関する計画、研究、設計、分析、試験、評価に関する指導の業務となるのが一般的です。
仕事場は、建設会社の技術開発や研究をする部署、民間コンサルタント企業、官公庁などです。
独立企業を立ち上げることもできます。
仕事の内容は、以下のものが一般的です。
建築士の計画や設計業務に対する指導や、調査などが仕事内容となります。
おおよその年収とキャリアパス
技術士の平均年収は、男性が632万3400円、女性が542万8600円です。
経験年数、企業の規模や地域によって差があります。
国家資格として高い評価を得ている資格なので、有資格者は昇級が見込まれています。
また、この技術士の有資格者を対象とした建設コンサルタント会社の求人は多く、求める収入のところへの転職や就職は比較的しやすいです。
認可団体
国家資格です。文部科学省の認定になります。
受験条件
技術士になるための技術士試験の方式です。
まずは第一次試験合格、または指定された教育課程修了すると、ここで修習技術者となります。
ここから二次試験を受ける道は3つあります。
- 技術士補に登録し、指導技術士の下で4年以上の実務経験
- 職務上の監督者の下で4年以上の実務経験
ここでは、修習技術者となってから4年以上の実務経験が必要 - 実務経験が7年以上。修習技術者となる前の経験も算入できる
そして、第二次試験→技術士登録となります。
二次試験合格後に登録をすると、技術士になれます。
合格率
例年の合格率を以下に示します。
令和3年度の第一次試験の合格率の詳細は以下の通りです。
船舶・海洋部門:11人:68.8%
航空・宇宙部門:22人:47.8%
電気電子部門:1548人:33.1%
化学部門:192人:48.4%
繊維部門:32人:53.1%
金属部門:99人:41.4%
資源工学部門:12人:25.0%
建設部門:8581人:28.9%
上下水道部門:1092人:31.7%
衛生工学部門:302人:35.4%
農業部門:646人:37.0%
森林部門:288人:44.7%
水産部門:73人:23.3%
経営工学部門:228人:44.7%
情報工学部門:581人:55.1%
応用理学部門:302人:26.5%
生物工学部門:131人:38.2%
環境部門:955人:11.3%
原子力・放射線部門:101人:59.4%
合計:16977人:31.3%
令和3年度の第二次試験の合格率は以下の通りです。
船舶・海洋部門:12人:25.0%
航空・宇宙部門:35人:14.3%
電気電子部門:1077人:10.0%
化学部門:134人:17.9%
繊維部門:39人:25.6%
金属部門:72人:26.4%
資源工学部門:24人:12.5%
建設部門:13311人:10.4%
上下水道部門:1399人:13.2%
衛生工学部門:499人:10.2%
農業部門:702人:11.4%
森林部門:259人:22.8%
水産部門:107人:10.3%
経営工学部門:210人:7.6%
情報工学部門:373人:7.8%
応用理学部門:544人:16.9%
生物工学部門:27人:18.5%
環境部門:411人:11.7%
原子力・放射線部門:55人:14.5%
合計:22903人:11.6%
二次試験は例年、合格率が約13%です。
筆記試験の合格者のみが受けられる口述試験の合格率は約90%です。
合わせると、二次試験の合格率は約11%です
1年当たりの試験実施回数
第一次試験も第二次試験も年に1回実施です。
一次試験の出願は6月上旬から7月上旬で、試験日は10月中旬です。
二次試験の出願は4月上旬から5月上旬で、試験日は8月第1週です。
第一次試験の出願から第二次試験の合格まで、最短でも2年近くかかってしまいます。
試験科目
技術士一次試験の科目には、基礎科目と適性科目、専門科目があります。
基礎科目
2.情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
3.解析に関するもの(力学、電磁気学等)
4.材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
5.環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
適性科目
技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性
専門科目
以下の20技術部門の中から、1技術部門を選択。
02.船舶・海洋部門:船舶・海洋:材料・構造力学/浮体の力学/計測・制御/機械及びシステム
03.航空・宇宙部門:航空・宇宙:機体システム/航空援助施設/宇宙環境利用
04.電気電子部門:電気電子:発送配変電/電気応用/情報通信/電気設備
05.化学部門:化学:セラミックス及び無機化学製品/有機化学製品/燃料及び潤滑油/高分子製品/化学装置及び設備
06.繊維部門:繊維:繊維製品の構造及び評価
07.金属部門:金属:鉄鋼生産システム/非鉄生産システム/金属材料/表面技術/金属加工
08.資源工学部門:資源工学:資源の開発及び生産/資源循環及び環境
09.建設部門:建設:土質及び基礎/鋼構造及びコンクリート/都市及び地方計画/河川、砂防及び海岸・海洋/港湾及び空港/電力土木/道 路/鉄 道/トンネル/施工計画、施工設備及び積算/建設環境
10.上下水道部門:上下水道:上水道及び工業用水道/下水道/水道環境
11.衛生工学部門:衛生工学:大気管理/水質管理/環境衛生工学(廃棄物管理を含む)/建築衛生工学(空気調和施設及び建築環境施設を含む)
12.農業部門:農業:畜産/農芸化学/農業土木/農業及び蚕糸/農村地域計画/農村環境/植物保護
13.森林部門:森林:林業/森林土木/林産/森林環境
14.水産部門:水産:漁業及び増養殖/水産加工/水産土木/水産水域環境
15.経営工学部門:経営工学:経営管理/数理・情報
16.情報工学部門:情報工学:コンピュータ科学/コンピュータ工学/ソフトウェア工学/情報システム・データ工学/情報ネットワーク
17.応用理学部門:応用理学:物理及び化学/地球物理及び地球化学/地質
18.生物工学部門:生物工学:細胞遺伝子工学/生物化学工学/生物環境工学
19.環境部門:環境:大気、水、土壌等の環境の保全/地球環境の保全/廃棄物等の物質循環の管理/環境の状況の測定分析及び監視/自然生態系及び風景の保全/自然環境の再生・修復及び自然とのふれあい推進
20.原子力・放射線部門:原子力・放射線:原子力/放射線/エネルギー
採点方式と合格基準
第一次試験も第二次試験も科目合格制です。
総合点での合否判定ではありません。
なので、得意な科目で苦手な科目をカバーするということはできません。
どの分野も点数を取らなくては合格できません。
試験問題は5択の選択問題になっています。
採点は正誤判定と思われます。
取得に必要な勉強などの費用
二次試験の課題を考えるには、専門技術に関する知識の量が必要になります。
課題への解答には、過去問や新聞、テレビなどで報道される専門技術に関する用語を選ぶのが良いです。
過去問は揃えておいて、新聞やテレビ環境はあった方が良いです。
過去問は、現状では3年分は公式のホームページで見ることができます。
二次試験は、技術士にふさわしいかどうかを見られる試験といわれています。
受験者は、技術士の立場からの解答を求められます。
それには、身に付けた知識を活用することが必要です。
技術士からの解答をイメージできない人は、参考書に記載されている解答例をしっかり読んでおくのがいいでしょう。
二次試験の対策問題集は各専門分野毎に発刊されていて、2000円/冊~4000円/冊程度です。
二次試験では、自分なりの解答が出来るかどうかが重要です。
ここで注意が必要なのが、数年前なら合格点が貰えた解答も、現在では不合格になる可能性がある点です。
課題に対する解決法は、時代とともに変化していきます。
二次試験の合格率が一割前後であることを考えると細かな失点が致命傷になると思われますので、独学での対策は厳しいかもしれません。
万全を期した対策を練るには通信教育という手もあります。
オンライン特化スクールのアガルートでは29,800円~という料金で講師による添削や模擬口頭試験などを通じて合格するために必要な論述の書き方や口頭試験での受け答えなどのノウハウを学べます。
受験料
第一次試験:11,000円
第二次試験:14,000円(1技術部門につき)
受験申込方法
受験申し込み書が、公益社団法人日本技術士会のホームページに掲載されます。
冊子版を希望される方も、ホームページ掲載の受験申込書請求方法をご覧ください。
まとめ
技術士・技術士(補)についてでした。
科学技術に携わる技術者であることを示す国家資格です。
技術士になるためには、技術士一次試験に合格する、又は指定された教育課程を修了して修習技術者になる必要があります。
そこから、技術士(補)として登録して指導技術士の下で4年以上の実務経験を積んで二次試験を受けるか、修習技術者として職務上の監督者の下で4年以上の実務経験(修習技術者になってから4年以上の経験)を積んでから二次試験を受けるか、あるいは、7年以上の実務経験を積んでから二次試験を受けて、合格して登録しなければなりません。
一次試験も二次試験も年に1回なので、受ける際はしっかりと準備しましょう。
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