金融機関の窓口業務などに就く人向けの資格です。
合格者は、金融機関の窓口業務についての知識と技能があると認められます。
国認定の技能検定です。
この試験に合格すると、金融窓口サービス技能士と名乗れるようになります。
Contents
適用する仕事
金融窓口サービス検定とは、金融機関における窓口業務等に必要な知能や知識があることを示す検定です。
金融業界へ就職するには、まずは金融窓口サービス技能士の3級を取得しておくと有利になります。
金融業界とは、銀行、証券会社、保険会社などです。
資格を取得して金融業界へ就職すると、金融サービス業務に従事することになります。
金融機関の窓口業務には、口座の開設や、預貯金、送金、税金、公共料金の収納などの事務手続きがあります。
おおよその年収とキャリアパス
2020年に行われた調査によると、金融事務の平均年収は444.5万円です。
試験に合格すると技能士を名乗ることができて、名刺にも記載できます。
この資格は、金融業界に就職希望の人というよりは、既に金融業界で働かれている人で、社内でのキャリアアップを目指す人に向いている資格です。
認可団体
技能士は、厚生労働省が認定の国家資格です。
技能検定は、特定の職業で働くうえで必要とされる技能が身についているかどうかを、証明する制度です。
合格した人だけが技能士を名乗ることができ、2020年時点で130職種を対象に実施されています。
受験条件
級ごとの受験資格は以下の通りです。
- 3級
金融機関の関連業務に従事している者、または従事しようとする者。実質的に3級は誰でも受験できます。 - 2級
2年以上の実務経験を有する者。3級の金融窓口サービス技能士試験の合格者か、厚生労働省認定テラー技能審査3級合格者。 - 1級
4年以上の実務経験を有する者。2級の金融窓口サービス技能士試験の合格者か、厚生労働省認定テラー技能審査2級合格者。
合格率
3級(学科)
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021年 | 3,424 | 2,249 | 65.7% |
2020年 | 2,190 | 703 | 32.1% |
2019年 | 4,430 | 1,961 | 44.3% |
3級(実技)
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021年 | 3,038 | 1,975 | 65.0% |
2020年 | 1,644 | 822 | 50.0% |
2019年 | 3,602 | 2,629 | 73.0% |
2級(学科)
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021年 | 2,292 | 884 | 38.6% |
2020年 | 1,607 | 384 | 23.9% |
2019年 | 3,369 | 755 | 22.4% |
2級(実技)
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021年 | 2,163 | 728 | 33.7% |
2020年 | 1,111 | 231 | 20.8% |
2019年 | 2,289 | 702 | 30.7% |
1級(学科)
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021年 | 283 | 77 | 27.2% |
2020年 | 292 | 71 | 24.3% |
2019年 | 349 | 33 | 9.5% |
1級(実技)
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021年 | 203 | 52 | 25.6% |
2020年 | 157 | 58 | 37.0% |
2019年 | 254 | 109 | 42.9% |
試験の回によって、合格率は大きく変わってきます。
例えば1級の試験でも、次の回では合格率が1/10以下になることもあるので、合格率はあまりあてにはできません。
1年当たりの試験実施回数
開催の日程によって、どの級の試験であるかは異なります。
試験が行われているのが、5月、9月、1月です。
受けたい級の試験実施回数で考えると、年に1回から2回と考えた方がいいです。
試験科目
試験は各級とも学科と実技があります。
3級学科試験
学科試験はマークシート方式の筆記試験です。
語群選択式(三肢)20問。三答択一式20問。計40問。
A分野:顧客対応・コンプライアンス等
I. CSと顧客対応
II. 取引推進・クロスセル
III. 事務取扱上の注意点
IV. コンプライアンス
V. 苦情対応・処理等
VI. 顧客対応・コンプライアンス等の最新動向
B分野:関連法令・規制
I. 金融商品勧誘・販売等の基本
II. 各種法令と規制
III. セーフティネット
IV. 関連法令・規制の最新動向
C分野:金融経済知識・投資理論
I. マーケット環境の理解
II. 資産運用と投資理論
III. 金融商品に係るリスク
IV. 金融経済知識・投資理論の最新動向
D分野:金融商品知識
I. 預金関係商品
II. 証券関係商品
III. 保険関係商品
IV. その他の金融商品
V. 各種ローン
VI. 金融商品知識の最新動向
E分野:相談業務等に係る知識
I. 相続・贈与
II. 年金・社会保障
III. 税金
IV. 相談業務等に係る知識の最新動向
3級実技試験
実技試験となっていますが、マークシートによる筆記試験です。
事例問題5題程度です。1題につき、小問は4問程度出題されます。
顧客対応
基本的な顧客対応ができること。
窓口等における顧客からの依頼や基本的な質問等に対応できること。
窓口等における顧客からの苦情申出に係る初期対応ができること。
事務手続・実務知識
事務手続の案内、説明、処理等ができること。
金融経済・マーケットの基本を理解できていること。
相続・贈与、年金・税金等に関する基礎知識があること。
コンプライアンス
各種法令等が定めるルール・規制等を理解し、コンプライアンスに従った手続・事務対応ができること。
商品知識
金融商品・関連商品、投資理論に関する正確な知識を持ち、顧客に対して説明ができること。
情報収集、提案・セールス
業務遂行・取引推進等のために必要な情報を収集できること。
取得した情報を渉外・融資担当者等につなぐこと(トスアップ)を意識した対応ができること。
商品の提案・セールスができること。
2級学科試験
学科試験はマークシート方式の筆記試験です。
語群選択式(四肢)20問。三答択一式20問。計40問。
A分野:顧客対応・コンプライアンス等
I. CSと顧客対応
II. 取引推進・クロスセル
III. 事務取扱上の注意点
IV. コンプライアンス
V. 苦情対応・処理等
VI. 顧客対応・コンプライアンス等の最新動向
B分野:関連法令・規制
I. 金融商品勧誘・販売等の基本
II. 各種法令と規制
III. セーフティネット
IV. 関連法令・規制の最新動向
C分野:金融経済知識・投資理論
I. マーケット環境の理解
II. 資産運用と投資理論
III. 金融商品に係るリスク
IV. 金融経済知識・投資理論の最新動向
D分野:金融商品知識
I. 預金関係商品
II. 証券関係商品
III. 保険関係商品
IV. その他の金融商品
V. 各種ローン
VI. 金融商品知識の最新動向
E分野:相談業務等に係る知識
I. 相続・贈与
II. 年金・社会保障
III. 税金
IV. 相談業務等に係る知識の最新動向
2級実技試験
実技試験となっていますが、2級もマークシートによる筆記試験です。
事例問題5題程度です。1題につき、小問は5問程度出題されます。
顧客対応・情報収集
顧客から信頼される対応、CSに留意した対応ができること。
顧客とのコミュニケーションを通じて、顕在的・潜在的ニーズの把握、情報収集ができること。
顧客からの依頼に応じた手続の案内・説明ができること。
取得した情報を専門担当者や関連部署等につなぐこと(トスアップ)を意識した対応ができること。
商品知識・説明技能
金融商品・関連商品、投資理論に関する正確な知識を持ち、顧客に対して的確な商品説明ができること。
コンプライアンス
各種法令等が定めるルール・規制等を理解し、コンプライアンスに従った手続・事務対応ができること。
各種法令等における顧客保護の制度・枠組みについて理解し、説明義務等を履行した勧誘・販売ができること。
相談業務・提案技能
相談業務に必要な事務知識を持ち、顧客に対して正確な説明ができること。
マーケット環境を理解したうえで、顧客に対して金融商品の勧誘・販売ができること。
収集した情報等をもとに、顧客の属性とニーズを踏まえた商品の選定・組合せを行い、適合性の原則や各種規制・ルールで定められたコンプライアンスを遵守し顧客保護を意識した勧誘・販売ができること。
顧客フォロー
契約申込み・契約締結後等に顧客が必要とする情報提供を行うための知識を有し、適切なアフターフォローができること。
顧客からの苦情防止に努めていること。
1級学科試験
学科試験はマークシート方式の筆記試験です。
語群選択式(四肢)25問。四答択一式25問。計50問。
A分野:顧客対応・コンプライアンス等
I. CSと顧客対応
II. 取引推進・クロスセル
III. コンプライアンス
IV. 苦情対応・処理等
V. 顧客対応・コンプライアンス等の最新動向
B分野:関連法令・規制
I. 金融商品勧誘・販売等の基本
II. 各種法令と規制
III. セーフティネット
IV. 関連法令・規制の最新動向
C分野:金融経済知識・投資理論
I. マーケット環境の理解
II. 資産運用と投資理論
III. 金融商品に係るリスク
IV. 金融経済知識・投資理論の最新動向
D分野:金融商品知識
I. 預金関係商品
II. 証券関係商品
III. 保険関係商品
IV. その他の金融商品
V. 各種ローン
VI. 金融商品知識の最新動向
E分野:相談業務等に係る知識
I. 相続・贈与
II. 年金・社会保障
III. 税金
IV. 相談業務等に係る知識の最新動向
1級実技試験
1級の実技試験は記述式による筆記試験です。
事例問題4第程度。1題につき、小問は3,4問程度です。
顧客対応・情報収集
顧客から信頼される対応、CSに留意した対応ができること。
顧客とのコミュニケーションを通じて、顕在的・潜在的ニーズの把握、情報収集ができること。
取得した情報を、専門担当者や関連部署と連携し、今後の取引拡大につなげていく対応ができること。
商品知識・説明技能
金融商品・関連商品、投資理論に関する正確かつ詳細な知識を持ち、顧客に対して的確な商品説明ができること。
コンプライアンス
各種法令等が定めるルール・規制等を十分に理解し、コンプライアンスを遵守した手続・事務対応ができること。
各種法令等における顧客保護の制度・枠組みについて十分に理解し、説明義務等を履行した勧誘・販売ができること。
相談業務・提案技能
相談業務に必要十分な実務知識を持ち、顧客に対して的確な説明ができること。
マーケット環境を理解したうえで、顧客に対して金融商品の勧誘・販売ができること。
収集した情報等をもとに、顧客の属性とニーズを踏まえた商品の選定・組合せを行い、適合性の原則等を遵守し、顧客保護・顧客利益を意識した勧誘・販売ができること。
顧客フォロー
契約申込み・契約締結後等に顧客が必要とする情報提供を行うための知識を有し、適切なアフターフォローができること。
顧客からの苦情防止に努めていること。
苦情を受けた場合、その原因を把握し適切に対処できるとともに、事後の勧誘・販売等のあり方を改善等できること。
採点方式と合格基準
学科試験の問題形式は、語群選択式(三肢)と三答択一式です。
学科の採点は正誤判定と思われます。
合格基準は、100点満点中70点以上です。
全ての級で、学科試験と実技試験、共にその合格基準となっています。
取得に必要な勉強などの費用
参考書の価格を、何点か紹介させて頂きます。
2022年版 3級金融窓口サービス技能士(学科)精選問題解説集:2,085円
2022年版 3級金融窓口サービス技能士(実技・テラー業務/金融商品コンサルティング業務)精選問題解説集:1,430円
2022年版 2級金融窓口サービス技能士(学科)精選問題解説集:2,305円
2022年版 2級金融窓口サービス技能士(実技)精選問題解説集:1,760円
2021年版 1級金融窓口サービス技能士(学科・実技)精選問題解説集:4,950円
受験料
受験料とともに事務手数料も併せてご説明します。
3級
学科試験:3,800円
事務手数料:51円
実技試験:4,000円
事務手数料:53円
学科試験と実技試験の合計:7,800円
事務手数料の合計:104円
2級
学科試験:6,500円
事務手数料:87円
実技試験:7,000円
事務手数料:94円
学科試験と実技試験の合計:13,500円
事務手数料の合計:181円
1級
学科試験:8,500円
事務手数料:114円
実技試験:15,000円
事務手数料:200円
学科試験と実技試験の合計:23,500円
事務手数料の合計:314円
受験申込方法
個人申込
個人で申し込む場合、申請の方法は2通りあります。
受験申請書と申請のご案内が印刷できます。
団体経由申込
受検申請受付期間に申し込みます。
団体経由で申し込む場合は、本部ご担当部署のご案内に従ってください。
まとめ
金融窓口サービス技能士は、国家資格である技能検定制度の一種です。
金融機関の窓口業務に就く人向けの資格です。
金融業界への就職時に、この資格があると有利になります。
受験条件として、3級以外は実務経験がないといけません。
試験は、それぞれ受けたい級に焦点を合わせると、年に1回から2回行われています。
学科試験は語群選択のマークシート方式です。
実技試験もマークシート方式なので、学科も実技も筆記試験となっています。
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