「TOPEC看護英語試験」は看護師や看護学生、その他医療従事者が行う基本的な看護業務を英語で説明できる能力を測定する試験です。
Contents
適用する仕事
この試験は、日本の現場において看護師が行う基本的な看護業務を英語で説明できる能力を測る試験です。
名前の通り、看護師向けの英語試験ですが、他の医療従事者の方にもオススメできるかもしれません。
現在、外国人旅行者だけでなく、在日外国人も含めて様々な言語が日本で使われています。
その中でも日本語以外で多く使われているのが英語と中国語、特に英語は第二言語(第2外国語)として修得している方もいるでしょう。
しかし、日本人全体の英語力はそこまで高くはないため、多言語表示の少なさや分かりづらさ、コミュニケーションの取りづらさを昔から指摘されていました。
なので、外国人患者を受け入れている医療機関の方はもちろん、英語での対応が必要な場合に役立つスキルとなります。
また、看護英語に特化していますが、英語力の証明としてスキルアップ以外にも就職、転職などの際に履歴書に記載することも可能です。
おおよその年収とキャリアパス
TOPEC看護英語の資格は、外国人に対応できるスキルの証明として役立つ他、就職先の幅を広げてくれる可能性があります。
例えば、看護師で英語を使用する求人には以下のような仕事があります。
- インターナショナルスクール(保育園)勤務 : 月給 22~25万程度、年収 300万程度
- クリニック勤務 外来担当 : 月給 35万程度、年収 500万程度
- 大学勤務アルバイト 保健室での健康管理(正社員登用あり) : 時給1,900円 、雇用後:年収 330万~450万
仕事の内容としては、基本的に外国人患者の方やご家族への対応を求められるタイプと、英語教育を行っている保育園からの募集が多くありました。
中には数千円の英語資格手当を支給する記載もあるため、TOPECが該当するかを必ず確認しておきましょう。
しかし、これらの募集先は日常会話ができるレベルの英会話能力を条件としている所もあり、看護英語だけでは不足と見なされることもあります。
TOPECはあくまでも”専門的な職業分野において求められる英語のコミュニケーション能力”や、”現場で必要となる専門用語の理解”などの能力を測定する英語検定です。
なので、TOEICのように一般的な会話などを英語で行える能力が重視される場合は、自身のスキルアップ要素に加えて資格手当の対象として取得を目指すのが良いかもしれません。
または、海外で医療に関わりたい方にもオススメできるでしょう。
なぜなら、医療職として海外で働きたい、もしくは勉強したい方には英語の運用能力の証明が求められるからです。
ただし、入学や就職の条件として、国際的な総合英語力テストである「TOEFL」、同じく国際的に通用するテストの「IELTS」、英語が母国語ではない国向けの医療専門家のための英語テスト「OET」の3つが判断基準として取り入れられていることが多く、国内向けの民間資格であるTOPEC看護英語では通用しません。
しかし、TOPEC看護英語は日本人向けの看護英語テストなので、国際的な医療英語テストであるOETの下準備として専門用語の英訳などを分かりやすく勉強できると思います。
特に、主催しているIPECではオンラインコースや対策講座を実施しているので、英語を扱う練習も兼ねて利用してみてはいかがでしょうか。
認可団体
TOPEC看護英語試験を実施している団体は、「特定非営利活動法人 プロフェッショナルイングリッシュコミュニケーション協会(IPEC)」です。
2001年4月に内閣府より認証を受けて発足後、職業分野別の目的に沿った英語コミュニケーション能力の習得を目指し、専門英語教材・教育プログラム・英語運用力測定試験(TOPEC)の開発をしています。
※以前はエンジニアリングやITを中心とした9種類の職業別英語試験を実施していましたが、現在は看護英語と法務英語の2種類の試験に変更されています。
受験条件
受験対象者は看護師、看護学生、その他医療従事者とされていますが、職種に関係なく受験可能です。
合格率
残念ながら、合格率は非公開になっています。
しかし、この試験は基本的に「IPEC看護英語テキスト『Nursing English in Action』」の学習習熟度を測るものとされているので、いかにテキストの内容を理解できているかで合格率が変わってくるでしょう。
なお、試験結果については、スコアレポート(有効期限なし)と合格者には合格証明書が送付されますので、自分の得意な部分や苦手な部分を知るのに活かせます。
1年当たりの試験実施回数
実施回数は1年に2回(2月、9月)です。
実施会場は主に「ILC国際語学センター東京校・大阪校」となります。
しかし、第2会場などが指定されていることもありますので、送付される受験票にある試験会場の記載を確認しておきましょう。
試験科目
◇ TOPEC看護英語試験 問題数:全76問 所要時間:60分
- Nursing Vocabulary & Grammar 全20問 試験時間:12分
(看護場面の一般的な語彙及び基本的な文法に関する多岐選択問題) - Nursing Knowledge & Skills 全20問 試験時間:13分
(看護業務の基本的な専門用語に関する多岐選択問題) - Reading 全8問 試験時間:15分
(看護場面の会話文・説明文を読んで、理解しているかを問う多岐選択問題) - Writing 全20問 試験時間:10分
(看護場面の語彙・表現を記述する穴埋め問題) - Listening 全8問 試験時間:10分
(看護場面の会話文・説明文を聞いて、理解しているかを問う多岐選択問題)
なお、試験当日は、受験票、本人確認書類(パスポート、運転免許証、個人番号カード、社員証、職員証、学生証)1通、筆記用具を持参する必要があるので、忘れ物が無いように必ず確認しておきましょう。
採点方式と合格基準
まず、2021年3月現在、IPEC看護英語ホームぺージ内「第6回TOPEC看護英語試験について(総評)」より、5つのセクションは各20点満点で採点しているとありました。
そこに確定ではありませんが、”100点満点中60点以上”で合格という話も出ているので、各セクションを半分以上正解する、または3セクション以上で満点を取ることが目標となるでしょう。
しかし、公式のFAQより「試験後の合否判定委員会において、各試験問題の難易度などを統計的に審査した上で、最終的に合否を決定いたします。」との記載があるため、油断しないように全問正解を目指すべきですね。
取得に必要な勉強などの費用
資格取得のための勉強費として、指定テキストの購入代があります。
- 商品名:IPEC看護英語テキスト「Nursing English in Action」 第2版
- 価格:¥3,000+税
- B5サイズ / カラー / 90ページ / リスニングCD・別冊付
こちらは欧米諸国で看護師として経験を持つ日本人看護師たちが中心になって、「看護師の目線」で作成されたテキストです。
内容の構成としては、患者の受け入れから退院指導までの看護業務をChapter1~10に分けて学んでいきます。
各Chapterでは多くの練習問題やロールプレイを通して「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を習得することで、実践的な英語コミュニケーション力の向上を目指していきます。
このテキストは、IPEC看護英語ホームページから購入可能です。
ちなみに、他の通販サイトでも探してみましたが、取り扱っていませんでした。
確実に入手したい方は、IPECのホームページから注文するようにしましょう。
受験料
受験料:4,950円(税込)
※団体受験の場合は一人 4,950円(テキスト代+受講費込)となります。
受験申込方法
次は受験の申し込み方法です。
1.申し込み
IPEC看護英語ホームページ内の「受験申込フォーム」に必要事項を記入の上、申し込みを行います。
2021年現在、コロナウイルス対策として「定員制」が導入されています。
申し込みの受付が先着順となるため、定員に達した時点で受付が終了してしまうことに注意して、早めに申し込みをしておきましょう。
※TOPEC看護英語試験の概要内に、コロナウィルスに関する重要なお知らせがあります。
受験希望者は必ず一度読んでから申し込みをお願いします。
2.振り込む
「受験申込フォーム」の送信後、振込受付期間内に受験料をIPEC指定の銀行口座に振り込みます。
受験料は一度入金すると返金されません。
振込手数料は受験者側の負担となります。
3.確認メールが送信される
IPECで受験料の振り込みを確認、3営業日(土日祝日は除く)以内に登録されたEメールアドレスに、申し込み及び受験料の受領確認メールが送信されます。
受験料の振込確認をもって、受験申し込みが完了するので御注意ください。
入金確認後、試験日の1週間前までに受験票が届くように送付されます。
もし、試験日5日前までに未着だった場合はIPECまでお問い合わせください。
まとめ
TOPEC看護英語試験は、”看護師を中心とした医療従事者が行う基本的な看護業務を英語で説明できる能力を測定する”専門的な試験です。
外国人への応対に役立つスキルであり、履歴書にも記載可能な英語力を証明する資格でもあります。
一応、医療関係者向けの資格ではありますが、”職種に関わらず受験できる”ので、自分の体調や服用している薬などを英語で伝えたい場合には役に立つかもしれません。
しかし、「TOEIC」または「TOEFL」のように総合的な英語の運用能力を測定するものではありませんので、英語のスキルアップとして考えると、一分野に特化したTOPECでは対応できない部分も出てくるでしょう。
なので、英語を始めたいと考えている看護師の方は、この試験をきっかけとして他の英語資格にチャレンジする等、徐々に英語に慣れていくのも良いかもしれませんね。
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