衛生工学衛生管理者試験について

衛生工学衛生管理者試験について

有毒ガスが発生するなどの事業場でも、一定規模以上の事業場では衛生管理者が少なくとも1人は選任すべきとされています。

衛生管理者免許には様々ありますが、ここではその1つである衛生工学衛生管理者について取り上げさせて頂きます。

衛生工学衛生管理者は、衛生管理者の中でも幅広い業務を行うことができます。
1966年に旧・労働安全衛生規則の改正が行われて、衛生工学衛生管理者が創設されました。

適用する仕事

衛生工学衛生管理士試験 ボイラーまずは、衛生管理者について説明します。

衛生管理者って何

衛生管理者とは、職場で労働者の健康障害を防ぐために選任される、その事業場専属の人です。

労働安全衛生法によると、衛生管理者は次のいずれかの資格を有する人の中から選任しなければなりません。

選任される人
  • 医師または歯科医師
  • 第一種衛生管理者免許
  • 第二種衛生管理者免許
  • 衛生工学衛生管理者免許
  • 労働衛生コンサルタント(試験の区分は、コンサルタントとしての活動分野を制限するものではない)
  • その他厚生労働大臣の定める者
    教育職員免許法第4条の規定に基づく保健体育の免許所持者、保健体育・保健の教科の教諭免許をもって、学校教育法第1条に定める学校に常勤している教師
    学校教育法による大学・高等専門学校において保健体育を担当する常勤の教授・准教授・講師

衛生工学衛生管理者とは

衛生工学衛生管理士試験 出荷衛生管理者としての資格の中でも、衛生工学衛生管理者について説明させていただきます。
衛生工学衛生管理者は、作業環境を改善して快適な職場環境をつくる役目を担った人です。

有害ガス、蒸気、粉じんなどが出る作業場では、作業環境を整えて良い職場環境を形成することが求められ、そういった有害因子の発散を抑制するためには生産設備の改善や、局所排気装置設置といった工学的対策が必要で、有害な業務のある一定の事業場では衛生工学衛生管理者の選任が義務付けられています。

ここで一定の作業場というのは、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、その時取り掛かっている業務に30人以上の労働者を従事させている場合は選任しなければなりません。

事業場とは、同じ場所で関連する作業を行う場所を指す単位です。
企業ごとというわけではなく、支店や店舗、工場ごとに事業場1つとなります。

衛生管理者は、週に1回以上の頻度で事業場の巡視を行わなくてはなりません。
その際に、労働者の健康を害する可能性のある設備や作業方法を見つけたときには、速やかに対策を講じなければなりません。

また、健康障害のある労働者を見つけたときには、その対応をしたり、労働災害の原因調査や再発防止を講じる必要があります。
以上の業務には一定の知識が必要なので、衛生管理者は衛生管理者免許を持つ人の中から選ばれます。

健康に異常がある者の発見及び処置などがそうですが、衛生管理者が必要な有害業務とは、労働基準法によって定められている業務のことを指しています。

具体的には、ラジウム放射線やエックス線などの有害放射線を浴びる可能性がある業務であったり、鉛や水銀といった有害物の粉塵が出る恐れのある業務など、いくつかの条件が挙げられています。

衛生工学衛生管理者が必要な業務には、次のようなものがあります。

  • 坑内労働
  • 多量の高熱物体を取扱う業務及び暑熱な場所における業務
  • ラヂウム放射線、エックス線その他有害放射線にさらされる業務
  • 土石、獣毛などの塵や埃、または非常に粉末を飛散する場所における業務
  • 異常気圧下における業務
  • 鉛や水銀、クローム、ベンゼンなどの有害物の粉じん、蒸気、またはガスを発散する場所における業務
  • 林業

衛生管理者の資格は国家資格ですが、衛生工学衛生管理者の他には、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の計3種類があります。
その中で、一番幅広く業務を行えるのが衛生工学衛生管理者といわれています。

おおよその年収とキャリアパス

有毒ガスや粉塵などが出る作業場や熱処理工場での給金から類推します。
熱処理施設がある鉄鋼業界では、平均年収は600万円から700万円前後です。

粉塵がある場所での作業を行う可能性の高い建設業界では、平均年収は500万円から700万円くらいのところが多いといわれています。

認可団体

衛生工学衛生管理士試験 ロゴ
国家資格です。問い合わせ先は「中央労働災害防止協会」になります。

受験条件

受験資格を有しているのは、以下の基準を満たす人です。

  1. 大学又は高等専門学校において工学又は理学に関する課程を修めて卒業した者
  2. 第一種衛生管理者免許試験に合格した者
  3. 大学において保健衛生に関する学科を専攻して卒業したものであって、労働衛生に関する科目を修めた者
  4. 労働衛生コンサルタント(保健衛生・労働衛生工学)試験に合格した者
  5. 作業環境測定士となる資格を有する者

合格率

受講から試験までが一連の流れになっているのですが、しっかり受講できていれば落ちる人はほぼいないといわれています。

1年当たりの試験実施回数

衛生工学衛生管理士試験 空き瓶5日コースと4日コースは、2ヶ月に1回くらい実施されることが多いようです。

試験科目

衛生工学衛生管理者試験の受講内容は以下の通りです。
※【受験条件】の項目は4受験条件の欄をご参照下さい。

5日コース

労働基準法
労働安全衛生法
労働衛生工学に関する知識(実習含む)
職業性疾病の管理に関する知識
労働生理に関する知識
修了試験
受講料:118,800円(テキスト代、消費税含)

4日コース

【受験条件】の1.か2.をクリアした場合

労働衛生工学に関する知識
職業性疾病の管理に関する知識
受講料:89,100円(テキスト代、消費税含)

【受験条件】の3.をクリアした場合

労働基準法に関する知識
労働衛生工学に関する知識
受講料:71,500円(テキスト代、消費税含)

【受験条件】の1.か、2.と3.をクリアした場合

労働衛生工学に関する知識
受講料:66,000円(テキスト代、消費税含)

2日コース

【受験条件】の1.か2.をクリアした場合

労働基準法
職業性疾病の管理に関する知識
労働生理に関する知識
受講料:48,400円(テキスト代、消費税含)

【受験条件】の3.と4.または2.の2つ以上の資格をクリアした場合

職業性疾病の管理に関する知識
受講料:29,700円(テキスト代、消費税含)

【受験条件】の4.と5.または2.の2つ以上の資格をクリアした場合

労働基準法
受講料:12,100円(テキスト代、消費税含)

また、講習が免除されて、受講しなくていい場合を示します。

全講習免除
  1. 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)合格者で作業環境測定士となる資格を有する者
  2. 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)合格者で労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)合格者
  3. 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)、作業環境測定士有資格者、労働衛生コンサルタント試験の有資格者で、第一種衛生管理者免許試験の免許所有者

採点方式と合格基準

衛生工学衛生管理者試験 工場外過去の問題が出回っていないので形式や採点方式はわかりませんが、市販の問題集は○×式です。
資格の取得は5日か6日の講習を受講したあと、簡単な修了試験が行われます。
しっかり受講していれば、落ちることはほとんどない試験といわれています。

取得に必要な勉強などの費用

下記の受講料がそのまま勉強費用になります。
テキスト代も含まれています。

受験料

受講料は以下の通りです。
※【受験条件】の項目は4受験条件の欄をご参照下さい。

5日コース

118,800円(テキスト代、消費税含)

4日コース

【受験条件】(受講資格)の1.か2.をクリア:89,100円(テキスト代、消費税含)
【受験条件】の3.をクリア:71,500円
【受験条件】の1.か、2.と3.をクリア:66,000円

2日コース

【受験条件】の1.か2.をクリア:48,400円
【受験条件】の3.と4.または2.の2つ以上の資格をクリア:29,700円
【受験条件】の4.と5.または2.の2つ以上の資格をクリア:12,100円

受験申込方法

受講手続きまでの流れです。
申し込むには、受講申込書をダウンロードして送付するか、直接センターに行って申込みをする、のいずれかが必要です。

申し込みの際の注意点ですが、企業から同じ日の同じ講座に申し込む場合は上限が4人となります。
FAXや郵送等での申し込みの締め切りは、それぞれの講座の開講の前の週の水曜日です。正午必着です。

受講要件審査の講座申込書は、書類不備などがないように確認しましょう。
もし、開講日が迫っている段階で申し込まれた場合、書類不備があったりすると受講できないことがありますので早めの申し込みをしましょう。衛生工学衛生管理士試験 工場外観

まとめ

有害ガス、蒸気、粉じんなどが出る作業場で作業環境を整えて危険を回避するために考える人員の資格試験、衛生工学衛生管理者試験でした。

衛生上問題がある環境であったり、高熱物体やラヂウム放射線、エックス線その他有害放射線にさらされていたり、塵や埃のある場所、異常気圧下、鉛や水銀、クローム、ベンゼンなどの有害物の粉じん、蒸気やガスを発散する場所における業務、他には林業などで必要です。

衛生工学衛生管理者は国家資格になります。
コースによって日数は違います。

長く学べるコース程当然ですが費用もかかりますが、これが取得に向けての勉強の費用になりますからこの受講を頑張ってみてくださいね。

 

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