機関当直3級海技士(機関)は、20t以上の大型船舶の船舶職員に必要な国家資格です。
船の運航には、ボイラー、発電装置、エンジンなどが必要ですが、それらが正確に作動しているかの点検、確認をするのが機関当直3級海技士(機関)です。
この資格を持つ人は、船の機関部での業務を担当します。
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適用する仕事
機関当直3級海技士(機関)の有資格者の職業の例を挙げさせて頂きます。
自衛隊、海運会社、船舶乗務員、物流会社、船舶操縦士、通関業などです。
海技士資格は、航海、機関、通信、電子通信の4分野に分かれています。
機関当直3級海技士(機関)は機関の分野です。
仕事の例を以下に示させて頂きます。
- 船の推進機関(エンジン、発電機、ボイラーetc)や、操舵装置の遠隔操作機能が正確に作動しているかの点検、確認
- 警報が発生した際の船内の連絡と応急措置
機関に関する知識として必要なものと、その簡単な説明は次の通りです。
出力装置
試験の問題には、ディーゼル機関、蒸気タービン、ガスタービン、ボイラとその付属品についての構造や材質、作動原理、運転、保守整備、故障の発見と対処法といった問題が出てきます。
プロペラ装置
プロペラとは、原動機から出力される回転力を、推進力に変換するための装置です。
舶用補機
船の推進の機能を発揮させるために使われる機械の総称です。
主機関とボイラー、推進装置、発電装置、機関部補機(各種ポンプなど)などの主機関の運転に必要な補助機械と付属する諸装置で構成されます。
電気工学
電気推進している船もあります。
エンジンで生み出した回転運動を発電機に使用して電気を発電して、その電力でモーターを動かしてプロペラ軸を回す仕組みです。
メリットとしては、船の設計の自由度が上がります。
デメリットは、エネルギーのロスが大きくなります。
電子工学及び電子設備
ディーゼルエンジンで電子制御システムを採用することで、燃費を向上させながら窒素酸化物の排出量を抑制しています。
甲板機械
船の推進以外の目的に使われている補助機械で、機関室に置かれていないものの総称です。
操舵装置、荷役装置、揚錨装置、係船装置などがあります。
造船工学
造船の基礎、船体の構造、船体運動、船体の抵抗と推進などを問われます。
おおよその年収とキャリアパス
船舶機関士として仕事をすると、年収の平均は600万円くらいのようです。
もちろん収入は、所属する組織や、乗船する船舶の種類によって変わります。
機関長になると、さらに年収が上がるので、経験を積んでスキルを身に付ければ給与アップは可能です。
年功序列の船が多いようです。
職場環境を前もって調べておくことも大切です。
この資格は、海運会社、船舶乗務員、物流会社などの仕事に就くのに必要な資格です。
これらのお仕事の簡単な説明をさせて頂きます。
- 海運会社
海運事業を主な業務とする会社です。
海運会社では、海を利用して船によって石油や石炭、機械、食料品、日用品など様々なモノを輸送します。 - 船舶乗務員
海技士として船に乗り込むと、乗務員となります。 - 物流会社
商品の保管や、梱包、加工、荷役、運送などに対応する会社です。
認可団体
海技従事者国家資格。
国土交通省管轄の国家資格です。
国家試験を実施しているのは、各地方運輸局です。
受験条件
以下を満たしていないと、受験資格がありません。
- 300kW以上の出力の推進機関がある沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20t以上の近海区域または遠洋区域を航行区域とする船舶、または総トン数20t以上の乙区域もしくは甲区域内において従業する漁船で、3年以上の乗船履歴と機関の運転歴がある人
- 出力1500kW以上の推進機関がある沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20t以上の近海区域もしくは遠洋区域を航行区域とする船舶、または総トン数20t以上の乙区域もしくは甲区域内において従業する漁船で1年6ヶ月以上の乗船履歴があり、4級海技士(機関)の資格を持っている人
- 出力750kW以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20t以上の近海区域もしくは遠洋区域を航行区域とする船舶、出力750kW以上の推進機関を有する丙区域において従業する漁船、または総トン数20t以上の乙区域もしくは甲区域内において従業する漁船で1年以上の乗船履歴があって、4級海技士(機関)の資格を持っている人
受験に年齢制限はありませんが、資格の取得は18歳以上です。
合格率
この資格の合格率は公表されていません。
1年当たりの試験実施回数
定期試験です。
2月、4月、7月、10月の年に4回実施されています。
試験日程や試験会場などは、住まわれているエリアの地方運輸局のホームページから確認できます。
試験科目
機関当直3級海技士(機関)の試験科目は以下の通りです。
学科(筆記)
- 機関知識
- 電気工学
- 甲板機械
- 製図
- 熱力学
- 英語
- 緊急時の知識
学科(口述)
- 機関知識
- 電気工学
- 甲板機械
- 製図
- 熱力学
- 英語
- 緊急時の知識
身体検査
視力、聴力、疾患の有無
- 視力
海技士(機関)の資格を取るためには、視力(矯正視力を含む)が両眼で0.4以上必要です。 - 色覚
船舶職員としての職務に支障をきたすおそれのある色覚の異常があると、身体検査を通過できません。 - 聴力
5メートル以上の距離で話声語を聞き取れること。 - 疾病及び身体障害の有無
心臓疾患、資格機能の障害、精神の機能の障害、言語機能の障害、運動機能の障害その他の疾病又は身体機能の障害により船舶職員としての職務に支障をきたさないと認められること。
採点方式と合格基準
海技士(機関)の学科試験には、筆記と口述があります。
筆記に合格できていないと、口述試験は受験できません。
採点方式と合格基準ははっきりとしていません。
取得に必要な勉強などの費用
参考書の価格を挙げさせて頂きます。
出版社名:成山堂書店
商品名:三級海技士(機関)800題 問題と解答【2022年版】
価格:¥3,520(税込)
収録されているのは、2018年7月から2021年4月までの分です。
過去の定期試験を免状別の分冊で編集しています。
簡潔で丁寧な解答が載っていて、応用力要請も考慮されています。
科目別、出題年月順の問題配列によって、系統的な学習が可能です。
受験料
学科・筆記:5,400円
学科・口述:5,500円
身体検査:870円
登録免許税:9,000円
ここで登録免許税とは、登録免許税法に基づくもので国税です。
特定の業務に関する免許、許可、認可などにかかります。
受験申込方法
受験の申込期間は、試験開始日の35日前から15日前です。
海技従事者国家試験申請書を、受験する各地方運輸局へ提出します。
その際に、写真、戸籍抄本もしくは住民票(但し本籍記載のもの)、船員手帳、海技士身体検査証明書、受験料(相当する収入印紙)を添えます。
まとめ
船の運航に必要な国家資格である、機関当直3級海技士(機関)についてでした。
この資格を持っている人の仕事の例は、自衛隊、海運会社、船舶乗務員、物流会社、船舶操縦士、通関業などです。
船の運航には、機能に問題がないかの確認が必要です。
正常に稼働している状態を維持するためにも、船に乗る仕事をしている人にはこの資格が必要です。
試験には、筆記と口述、身体検査があります。
過去の定期試験の問題も販売されていますので、勉強することができます。
受験料や登録免許税はかかってしまいますが、船の運航の仕事に興味のある方は目指してみてはいかがでしょうか。
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