基礎施工士とは、建設工事において重要な専門分野である基礎工事のうち、場所打ちコンクリート杭という施工に関して十分な知識および経験を有する専門技術者を育成するために作られた資格です。
この資格があれば建設業界に有利になりますよ。
どんな資格なのかみていきましょう。
Contents
適用する仕事
冒頭でもご説明しましたが、基礎施工士を取得すると、建設工事において最初に行う重要度の高い「場所打ちコンクリート杭工事」という仕事に携われます。
場所打ち杭とは現場で造成する鉄筋コンクリート造の杭です。
地盤を掘削して配筋やコンクリート打設を行うため、工期が長いです。
ですが、太いサイズの杭として重宝します。
場所打ち杭では1000mm以上のサイズにすることもよくあります。
つまり、支持層が深い地盤や荷重が大きな建物には場所打ち杭が使いやすいので、そうした技術がある資格保有者が必要になるわけです。
基礎施工士は良質な基礎工事が行えるよう、その知識と技術を下に管理・施工を行うのが役目です。
具体的には、ビルやマンションなどの建設現場において、現場造成杭工事や障害物の撤去工事などの資材運搬指示、作業手順の確認、職人の手配、作業内容について指示するのが仕事内容です。
それだけでなく、使用機材の選定や採用する工法の確認、作業人数などを記載する安全書類の作成や工事の進捗管理などの報告書作成も仕事の役割として入ります。
現場で作業するだけでなく、全体の管理も行いたいという方にはおすすめの仕事・資格です。
おおよその年収とキャリアパス
では、基礎施工士の資格を取得すると年収や仕事のキャリアにどう作用するのでしょうか。
年収は?
基礎施工士の資格を取得すると建設業界で重宝されます。
一般的に400万~500万円といわれています。
資格を持っていると安定した年収が得られると考えられているので、建設業界で働きたい人は取得しておくと良いでしょう。
会社の中にはこの資格を支援しているところあり、資格手当を支給している場合もあります。(例:月1万5千円)
もちろん転職の際にもこの資格は有利になりますよ。
資格を取得したら
基礎施工士は実務に直結している資格です。
そして、資格と幅広い技術があれば10年、15年と経験を積んだ後に、自分で起業したとしてもさまざまな依頼を引き受けることができます。
資格を取りたての頃は、土木工事会社や基礎工事会社などで経験を積みましょう。
しかし、この基礎施工士という資格は有効期限が5年です。
資格の更新には有効期限終了年度に開催される更新講習会を受講する必要があります。
更新講習会を受講しないと「基礎施工士」の資格は失効します。
本資格を再度取得するためには新たに受験しなおす必要があるため、資格を維持するためには更新の受講が大切なのです。
※ただし、平成26年までに取得した基礎施工士に関しては、資格発足より15年間(令和12年度まで)有効です。
しかし、平成28年度より15年間で新資格を取得しなければ、現行の「基礎施工士」資格は失効となります。
認可団体
基礎施工士の資格を運営・管理しているのは「一般社団法人 日本基礎建設協会(Japan Foundations Engineering Association)」というところです。
東京都中央区日本橋蛎殻町2-8-12 岸浪ビル6F
TEL:03-6661-0128
FAX:03-6661-0129
【業務概要】
- 基礎工法に関する施工技術の調査および研究開発
- 基礎工法に関する安全施工および環境保全のための技術指導や普及
- 基礎工法に関する研究会、講習会および報告会などの開催
- 基礎工法に関する行政施策の実施に対する協力
- 基礎施工士の検定試験、登録、証明など
- 登録基礎工基幹技能者講習の開催
など
昭和52年に社団法人「日本基礎建設協会」として発足しました。
そして、平成24年には一般社団法人として認可されました。
平成27年4月から新「基礎施工士」制度が発足されました。
これは既存の基礎施工士と既成杭施工管理技士を統合した新資格制度のことです。
受験条件
新「基礎施工士」は「登録基礎ぐい工事試験」という名称に変わっています。
受験条件は卒業後の実務経験年数が重要になっています。
学歴 | 指定学科を卒業した者 | 指定学科以外を卒業の者 |
大学卒 | 1年6ヶ月以上 | 2年6ヶ月以上 |
短大・高専卒 | 2年6ヶ月以上 | 3年6ヶ月以上 |
高校卒 | 3年6ヶ月以上 | 5年6ヶ月以上 |
中学卒 | 8年以上 | 8年以上 |
- 実務経験年数とは、基礎工事に関する経験のすべてをいう。上記経験年数の計算は試験当日での年数
- 指定学科とは、土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、海洋土木を含む)、建築学、機械工学、衛生工学、建設学、建設基礎工学、電気工学、地学、地質学、資源工学、衛生工学、交通工学、安全工学、環境保全工学、計測工学などの理工系学科
合格率
30~40%
1年当たりの試験実施回数
年1回です。
毎年11月に実施されます。
試験科目
設計、地盤、労働安全衛生法、環境法令(騒音、振動など)、主材料、施工など
採点方式と合格基準
問題は択一式と、場所打ちコンクリート杭工事・既製コンクリート杭工事の経験を主とした記述式問題とで構成されています。
択一式問題
択一式は四肢で、マークシート方式です。
合格基準 | ||
基本問題 | 24問中12問以上 | 合計:68問中40問以上 |
施工問題(場所打ちコンクリート杭) | 22問中11問以上 | |
施工問題(既成コンクリート杭) | 22問中11問以上 |
記述式問題
記述式問題は2問出されます。
問題1が6点、問題2が18点の配点になっています。
合格基準は6割以上です。
取得に必要な勉強などの費用
認可団体から専門的なテキストが販売されています。
場所打ちコンクリート杭の施工
発行元:日本基礎建設協会
商品名:場所打ちコンクリート杭の施工
価格:¥6,600(税込)
場所打ちコンクリート杭 施工指針・同解説
発行元:日本基礎建設協会
商品名:場所打ちコンクリート杭 施工指針・同解説
価格:¥2,850(税込)
場所打ちコンクリート杭の鉄筋かご無溶接工法 設計・施工に関するガイドライン
発行元:日本基礎建設協会
商品名:場所打ちコンクリート杭の鉄筋かご無溶接工法 設計・施工に関するガイドライン
価格:¥3,300(税込)
場所打ちコンクリート杭 施工指針・同解説 オールケーシング工法(土木)第二版
発行元:日本基礎建設協会
商品名:場所打ちコンクリート杭 施工指針・同解説 オールケーシング工法(土木)第二版
価格:¥2,400(税込)
その他に「一般社団法人 日本基礎建設協会」や「一般社団法人 コンクリートパイル・ポール協会」のページから過去問が見られます。
そちらもぜひ活用してみて下さい。
受験料
19,500円
振込明細票のコピーを実務経験証明書の裏に貼り付けして下さい。
受験申込方法
受験を申し込むには提出する書類が必要になります。
提出書類
まず、大事になってくるのは「登録基礎ぐい工事試験」受験申込書と「基礎ぐい工事」に関する実務経験証明書です。
それぞれ協会ホームページより指定用紙を印刷して記入しましょう。
実務経験証明書については、現在の勤務先の本社、支店または営業所などの長の証明が必要です。
その他にも以下の書類を準備しましょう。
- 住民票(1通・3ヶ月以内のもの)
- 顔写真(1枚・縦4cm、横3cm、6ヶ月以内撮影のもの。裏に氏名を記入し、受験申込書に貼付け)
- 卒業証明書または卒業証書の写し1通(ただし、実務経験年数が8年以上ある方は不要)
受付場所
受験申込は郵送または持参方式です。
まとめ
今回は建設業界で役立つ「基礎施工士(試験名:登録基礎ぐい工事試験)」についてみてきました。
こちらは場所打ちコンクリート杭という施工に関しての知識を問われる試験です。
場所打ち杭という難しい技術を扱う試験ですので、合格すれば建設業界で重宝されること間違いなしです。
ただ合格率が30~40%だったり、資格の有効期限が5年間だったりとめんどくさかったり、険しい部分もあります。
戦後の昭和後期、建設業界は国土の復興というロマンに突き動かされた有志憧れの仕事でした。
その遺産の再構築をしたい、そんな新たな有志や活躍したいと考える方にお薦めの資格です。
受験条件には実務経験が問われますので、現場できっちり経験を積みながら勉強していってくださいね。
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基礎杭溶接技能者資格について
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東京都港区浜松町2-7-15
(日本工築 2号館 3F)
電話:03-5733-5881
FAX:03-3433-5414