赤ちゃんや小さい子どもが家に居ても、仕事や介護のほか、さまざまな事情で育児だけに専念することが難しい方もいらっしゃると思います。
また、突発的な用事で家を空けなければならなくなったり、時には息抜きをしたくなったりすることもあるでしょう。
そんな時、大切なわが子の世話をどういった人に任せればいいのか、どんな相手になら任せられるのかについて悩み、困っている方もいらっしゃると思います。
この資格を持っている相手になら任せても大丈夫だと思える具体的な基準があれば、任せる側は心強いことと思います。
今回はベビーシッター資格認定試験についてまとめました。
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適用する仕事
ベビーシッターは、保護者に代わって赤ちゃんから小学生くらいまでの子どもを保育する職業です。
今回の資格は、ベビーシッターに必要な職業倫理や専門知識、技術を備えた人に付与されるもので、在宅保育のプロであることの証明になります。
ベビーシッター業に関わる会社では、この資格を持っていることを採用の条件とするところもあります。
利用者の自宅に訪問して保育するのがベビーシッターの主な仕事です。
対象は0歳から12歳の子どもで、身の回りの世話をしたり遊び相手になったりします。時には学校の宿題などを見てあげることもあります。
身の回りの世話であれば着替えや寝かしつけなど、どのご家庭に行っても似た作業をすることになるでしょう。遊びはその子の年齢や環境によってさまざまで、幅広く対応する必要があります。
対応する人数はご家庭によって1人であったり、兄弟や姉妹での依頼を受ければ2,3人になることもあります。
サービスによっては、保護者の代わりに幼稚園や保育園、学校以外の習い事などのへの送り迎えを担当することもあるようです。
おおよその年収とキャリアパス
ベビーシッターの平均年収は266万円です。働く場所や時間、雇用形態、資格の有無によって年収が変わってきます。時給の例を挙げると、900円~1800円と二倍も差がつくことがあります。
保育士の平均年収が約342万円、幼稚園教諭の平均年収が約339万円なので、単純に比較するならベビーシッターの年収は低く感じられるかもしれません。
ただ、ベビーシッター自体の給与にも差があります。持っている資格や経験によっては月に30万円以上、つまり年収360万円以上を稼ぐベビーシッターもいます。
企業によっては指名制を採用しているところもあるようです。経験を積み、多くのご家庭から指名を得られるようになることで収入をアップさせる、あるいは独立し、個人事業主として依頼を受けるという手段もあります。
認可団体
ベビーシッター資格認定試験は、公益社団法人全国保育サービス協会によって実施されている資格です。
近年、多様化する暮らしに伴って保育にもさまざまなニーズが生まれています。
これに対応する在宅保育サービスの社会的認知、評価の獲得には、ベビーシッターの保育に関する豊富な知識・高度な技術、さらには独自の専門性が不可欠です。
公益社団法人全国保育サービス協会は、一定の要件を満たすベビーシッターにこの資格を付与することによって、ベビーシッターに対する社会からの信頼性を高め、ベビーシッター事業の向上とベビーシッターの社会的地位の確立を図っています。
公益社団法人 全国保育サービス協会
〒160-0007 東京都新宿区荒木町5-4 クサフカビル2階
試験地は東京、名古屋、大阪です。
受験条件
2022年1月現在の受験対象者は次の研修会の修了者です。
- 令和3年度 第2回現任研修会(8月)
- 令和3年度 第2回東京都居宅訪問型保育基礎研修(7月)
令和3年度以前に研修会を修了した方も申し込むことができます。なお、受験するためには以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 満18歳以上の者
- 研修Ⅰ(現行の新任研修)を受講し、修了証を有していること。
- 研修Ⅱ(現行の現任Ⅰ研修)を受講し、修了証を有していること。
- ベビーシッターの実務経験があること。
この試験で求められるベビーシッターの実務経験とは、以下のいずれかを指します。時間数は問われません。
- ベビーシッター(在宅保育)
- ファミリー・サポート・センター事業
- 地方公共団体が実施する家庭的保育制度(保育ママなど)
- 協会会員が運営する保育施設
合格率
近年の試験結果は以下の通りです。
- 2019年
受験者数132名 合格者数108名 合格率81.8% - 2018年
受験者数78名 合格者数47名 合格率60.3% - 2017年
受験者数113名 合格者数87名 合格率77% - 2016年
受験者数34名 合格者数24名 合格率70.6% - 2015年
受験者数208名 合格者数171名 合格率82.2%
2015年から2019年までの結果では、合格率は60.3%~82.2%です。
どの年度でも受験者の過半数、最高で8割超の方が合格していることから、きちんと準備すれば取得できる資格であるとわかりますね。
1年当たりの試験実施回数
試験は年に1回実施されています。2021年度の試験日は11月20日でした。
試験科目
選択式(5肢択一問題):40問
記述式(400字以内):1問
時間:90分
研修I(現行の新任研修)と研修II(現行の現任I研修)にある16科目の中から出題されます。
- ベビーシッターの基本的な知識と技術
- 家庭訪問保育の特性と専門性
- ベビーシッターとしての専門的知識及び技術
実技試験はありません。
採点方式と合格基準
審査委員会において、総合的に審査されています。採点方式は明らかにはされていません。
取得に必要な勉強などの費用
ベビーシッター認定資格試験の難易度はそう高いものではありません。そうは言ってもやはり子どもの命を預かり保育する専門的な分野なので、念入りな準備が必要です。
また、これはほかの資格にもいえることですが、ポイントをおさえた対策を立ててこつこつ勉強すれば手が届かないことはないでしょう。
修了が受験条件となっている以下の研修は無料です。ただし、資料・テキスト代は別途かかります。
- 令和3年度 第2回現任研修会(8月)
- 令和3年度 第2回東京都居宅訪問型保育基礎研修(7月)
2022年現在、研修で使われているテキストは以下です。
- 出版社名:中央法規出版
- 商 品 名:新刊ベビーシッター講座 第2版-家庭訪問保育の理論と実際
- 価 格:3,080円(税込)
受験料
認定試験受験料:11550円(税込)
合格者は、認定登録料として認定証および登録証作成時に4200円の納付を求められます。
まとめ
以上、ベビーシッター認定資格試験についてでした。これからこの資格を取得したい方や、子どもを預ける相手が持っている資格がどんなものかを知りたい方の参考になっていれば幸いです。
収入を得るという点だけで見るのであれば、ベビーシッターの年収に特別期待できる点はありません。
しかし、保育に関心がある方や、子育ての経験を活かして働きたいと考えている方には魅力的な資格のひとつと言えそうです。
また、この資格を取得するつもりがなくとも、子どもを持つ予定のある方、今まさに子育てをしている方などはベビーシッターについて知っておくとよいでしょう。
預ける相手がどんな知識・技術を持っていてどんな仕事を依頼できるのか認識しておくことは、いざというときの安心にも繋がると思います。
人々の暮らしは今後さらに多様化していくことが予想されます。ベビーシッターはこれからもさまざまなご家庭に求められる重要な職業であるといえるでしょう。
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