居心地のよい家や空間に統一感のあるお店、それらは専門家の緻密な計算によって生み出されたものかもしれません。
これを行うのはインテリア設計士という仕事です。
今回はこの「インテリア設計士試験」について触れていきましょう。
Contents
適用する仕事
インテリア設計士は、内装・家具・照明などの屋内のすべてのインテリアを設計する仕事です。
指定されたコンセプト、依頼主の好みに合わせて設計することが大半で、対象は個人の住宅・公共施設・オフィス・医療施設・商業施設などさまざまです。
デザイン・色・明るさ・質感・香りなどの空間を作るのに不可欠なインテリアの要素を、適切に組む力や企画力などを必要とします。
- 内装業者
- ハウジングメーカー
- 住宅系デザイン事務所
- リフォーム業者
- インテリアメーカー など
おおよその年収とキャリアパス
年収はだいたい300万円から450万円です。
インテリア設計士の大多数は企業の会社員として勤務しますから、会社の大きさやキャリアで左右されることはあるものの、一般的なサラリーマンと同じくらいの年収となります。
会社員としてインテリア設計士の経験を積み、その後自分の事務所を開いて独立する方もいます。
独立し、うまく顧客を獲得することができれば年収1,000万円を超えることも夢ではありません。
また、インテリア雑貨・家具を担当した場合は販売額に比例したロイヤリティが発生するので、商品がヒットすれば大きな利益を受け取ることができるでしょう。
認可団体
許可団体は一般社団法人日本インテリア設計士協会です。
協会の歩み
こちらの協会の歴史は古く、1957年に「全日本室内装備設計士協会連合会」として作られました。
次の年には初めての室内装備設計士資格認定をしました。これが今のインテリア設計士資格検定のはじまりと言えるでしょう。
1961年に資格認定から資格検定に移り、それ以降毎年1回実施して今に至ります。
協会は1967年に任意の団体から「社団法人 日本室内装備設計技術協会」へと変わって、1997年に社団法人として許可されました。
2000年以降の沿革
2000年 | 2級から1級への昇給制度を作る |
2001年 | 定款の一部の変更 |
2003年 | 資格の更新制度の導入と実施を行う |
2004年 | 登録料を30,000円から20,000円に下げる |
2005年 | インテリア設計士のテキストの実技編を刊行、新規合格や登録者の次年度の会費を無料とする |
2006年 | インテリア設計士のテキストの学科編を刊行 |
2007年 | インテリア設計士資格検定試験の2級の回答方式をマークシートに変更 |
2008年 | 家具設計テキスト、家具のデザインと設計を刊行 |
2009年 | 1級の学科試験を論文に変更 |
2013年 | 一般社団法人へ移行の際に協会の名前を「日本インテリア設計士協会」に変更 |
2018年 | インテリア設計士の商標登録を完了 |
協会の目的
こちらの協会の目的は、インテリアに関わる設計技術の向上を目指すことによって、より快適かつ安全、豊かで魅力のある生活空間を創ることに寄与して、設計技術者の社会的な地位の向上を図ることにあります。
現在では全国に26か所の支部協会があり、それぞれが地域に密着した活動をしています。
事業内容
- インテリアに関わる設計・生産、施工技術の調査および研究
- インテリアに関わる設計・生産、施工技術の指導と教育
- インテリアに関わる作品の公開と展示。インテリアに関わる設計と生産、施工技術についての図書や資料の刊行。関係する期間や団体との連絡と提携
- その他のこの法人が目的を達成するための事業
受験条件
インテリア設計士試験は2級と1級があります。
- 建築・インテリアに関する大学・短大・専門学校・高等専門学校・高校などの在籍者および卒業者
- 20歳以上の方
- 建築・インテリアに関する大学・短大・専門学校・高等専門学校・高校などを卒業してから一定期間の実務経験がある方
- 上記に該当しない場合、5年以上の実務経験がある方
合格率
2級の合格率は約80%、1級の合格率は約50%です。
インテリア設計士試験は学科試験・実技試験の両方を同時に受験するのとは別に、学科・実技のどちらか1科目のみを受験することも可能です。
インテリアの知識が全くない状態から勉強し始める場合などは、まずは1科目に絞って集中的な対策を立て、晴れて合格したら翌年以降にもう一方の科目を受験するといった方法をとることもできます。
易しい試験ではありませんが、公式のテキスト・問題集を活用して念入りに準備すれば、独学でも十分に合格を狙うことができるでしょう。
1年当たりの試験実施回数
インテリア設計士試験は年に1回のみ行われます。時期は例年7月の2日間です。
試験科目
学科試験と実技試験の2種類があります。
2級の場合
- インテリアデザインの基礎
- 建築物やインテリア・家具などの構造
- インテリア材料
- 電気や給排水などの各種設備
- 関連法規法令
- 生活住空間デザインの計画案やコンセプト作成
- 室内設計図の製図
1級の場合
- インテリアデザイン
- インテリアデザイン史・技術関係等
上記のインテリア全般から出る課題に合わせた800字から1,000字の論文
- 生活住空間デザインの計画案やコンセプト作成
- 室内設計図の製図
2級の学科試験が1級では論文に置き換わっています。インテリアに関するさらに幅広い知識が求められます。
実技試験においても2級と比べて高度な問題が出題されるので、平面図・透視図・天井伏図などの図面作成に事前に慣れておく必要があるでしょう。
採点方式と合格基準
学科試験はほぼ選択式です。そのほか、〇✕問題や記述試験も含まれています。実技試験については、受験申請時に設計製図課題が配布されます。
合格基準は明らかにされていません。
取得に必要な勉強などの費用
建築やインテリア関連の4年制大学に通う場合は400万円前後、専門学校であっても180万円から220万円前後の学費がかかります。
他の条件を満たしているのであれば、通学せず販売されているテキストを活用して独学での取得を目指すことも可能です。
日本インテリア設計士協会が発行している以下のテキストが参考になるでしょう。協会に資料請求する形で購入することができます。
- インテリア設計士テキスト(実技編) 1,500円(税込)
- インテリア設計士テキスト(学科編) 2,500円(税込)
- 家具設計テキスト 2,000円(税込)
- 室内設計テキスト 1,000円(税込)
- 試験問題集(2級のみ) 2,000円(税込)
受験料
2科目受験の場合は15,000円、1科目受験であれば10,000円です。
1科目合格済で2科目目にチャレンジする場合は10,000円を支払います。
受験申込方法
検定料は、指定された郵便振替口座に振り込みます。
その後、「払込金受領証」を申請書に貼り付けて、受験する支部の協会に郵送か持参で提出します。
まとめ
住居や店舗のインテリアに携わることは、そこに暮らす人や訪れる人たちの暮らしを豊かにすることであるといっても過言ではありません。
決して簡単な資格ではありませんが、通学ではなく独学での取得を目指すことができるので社会人も挑戦しやすいですね。
心地よい空間を作り出すことで誰かの気持ちを明るくしたり、コンセプトに合ったインテリアでお店の雰囲気を盛り上げたりすることにやりがいを感じる人にとっては、非常に魅力ある職業・資格ではないでしょうか。
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