エンベデッドシステムスペシャリスト試験について

エンベデッドシステムスペシャリスト試験について

今日は「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」について解説します。

エンベデッドシステムは、組み込みシステムとも呼ばれます。スマートフォンや各種家電に組み込まれているコンピュータシステムを指す言葉です。

昨今のIoT家電などの需要の高まりとともに、エンベデッドシステムを構築できる技術者も求められています。

適用する仕事

組み込みシステムとは、いったいどのようなものなのでしょうか。例として炊飯器の場合を見てみましょう。

組み込みシステムとは

炊飯器は指定の温度で加熱を始め、指定時間加熱を続けます。加熱し終えたら保温状態に切り替えます。お米を炊くことに特化しているというわけです。

このように限定的な機能を実現するためのシステムを「組み込みシステム」といいます。

そしてこれらを開発する技術者は組み込みエンジニアと呼ばれます。

近年、家電は小型化、高速化、省電力化が進んでいます。

それぞれ形状の異なる専用の機器に組み込む必要性があるため、組み込みエンジニアにはほかのエンジニアとはまた違った考え方が要求されます。

組み込みエンジニアの需要

前述のとおり、組み込みシステムを必要とする家電類はさらに複雑化し、これに伴って組み込みエンジニアは需要増の傾向にあります。

組み込みエンジニアは製品ごとにプログラムを構成しなければなりません。

使えるシステムの種類、機器の形状などといった制約もあり、汎用性の高いプログラムを扱うSEに比べて難しい作業の多い仕事といえます。

エンベデッドシステムスペシャリストは、こうした高度な技術を持っていることを証明できる資格であるといえるでしょう。

また、この資格を取得する過程で身につく知識・技術も多いはずです。

おおよその年収とキャリアパス

2021年9月現在各求人で提示された年収
  • 年収400万のクラウドサービスアーキテクト
  • 月給20万の組み込みソフトウェア開発事業
  • 年収400万のクラウドシステム運用
  • 月給20.5万の東証一部上場企業でのSAP社製システム導入・開発
  • 月25万のエンベデッドシステムスペシャリスト試験の講師

エンジニアのキャリアパスというとマネージメント職に進むのが一般的ですが、「特定分野に特化したスペシャリスト」として究める道もあります。

【キャリアパスとその職種の例】

職種 業務内容
プロダクトマネージャー 経営戦略をもとに製品の企画・開発・製造・保守など製品ライフサイクルを統括する
プロジェクトマネージャー 製品開発プロフェクトの進行を管理し、現場で監督する
ドメインスペシャリスト 特定の製品分野や技術に関する高度な専門性や経験を持ち、開発に貢献する
システムアーキテクト 製品のシステムアーキテクチャ設計や開発プロセス設計を行う
ブリッジSE 複数拠点で開発する際にプロジェクトメンバー同士の連携や調査を行う
開発プロセス改善スペシャリスト 開発プロセスの実施状況を査定し、改善策を提案する
QAスペシャリスト システム設計書やテスト設計書のレビューを行い、プロダクトの品質を守る

認可団体

「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」の認可団体は「IPA 独立行政法人 情報処理推進機構」です。

受験条件

ありません。

合格率

直近の2020年の受験者数は1,962人、合格者数は321人でした。合格率はおよそ16.4%です。

1年当たりの試験実施回数

1年当たりの試験実施回数は1回です。例年10月中旬に実施されています。

試験科目

合格

試験は午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの4つに分かれています。

午前Ⅰ

9時半から10時20分の50分間で、四者択一の全30問です。

午前Ⅰで出題されるのは以下の試験と共通の問題です。

午前Ⅱ

10時50分から11時30分までの40分間で、四者択一の全25問です。

午後Ⅰ

12時30分から14時までの90分間で、選択制・記述式です。3問中2問を選択して回答します。

午後Ⅱ

14時30分から16時30分までの120分間で、選択制・記述式です。2問中1問を選択して回答します。

午前Ⅱ以降の試験では、エンベデッドシステムスペシャリスト試験固有の問題が出題されます。

採点方式と合格基準

全ての科目で100点満点中60点以上の得点が求められます。

取得に必要な勉強などの費用

情報処理教科書 エンベデッドシステムスペシャリスト 2021~2022年版

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出版社:翔泳社
商品名:情報処理教科書 エンベデッドシステムスペシャリスト 2021~2022年版
価格:¥4,268(税込)

最新2021~2022年版です。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験に必要な知識を広範囲に渡ってわかりやすく解説しています。

2022年度版 ALL IN ONE パーフェクトマスター 共通午前Ⅰ

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出版社:TAC出版
商品名:2022年度版 ALL IN ONE パーフェクトマスター 共通午前Ⅰ
価格:¥1,980(税込)

この書籍は、ほかの資格との共通問題である午前Ⅰを集中的に学ぶことができる対策書です。

エンベデッドシステムスペシャリスト「専門知識+午後問題」の重点対策第5版

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出版社:アイテック
商品名:エンベデッドシステムスペシャリスト「専門知識+午後問題」の重点対策第5版
価格:¥4,070(税込)

専門知識を効率よく重点的に学べるため、エンベデッドシステムスペシャリスト試験を受験希望している方にはもちろん、すでに組み込みエンジニア、IoTエンジニアとして活躍している方、役職に就いている方などにもおすすめの1冊です。

受験料

7,500円(税込)です。

受験申込方法

願書

願書郵送、インターネット申し込みの2つがあります。

インターネットの場合は「情報処理技術者試験」受験申し込みページから行います。

インターネット申し込みの流れ
  1. 個人申し込みをクリック
  2. 記載内容を確認して「同意する」をクリック
  3. 試験区分を選択して「次へ」をクリック
  4. 試験地、氏名(カナ)、氏名(漢字)、性別、生年月日、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、応募確認用キー、試験一部免除情報、アンケートを入力し「次へ」をクリック
  5. 入力内容を再確認し「クレジット決済」をクリック
  6. クレジットカードの番号、有効期限、セキュリティコードを入力し「申し込み」をクリック

その後表示される受付番号を印刷して終了です。

申し込み期間は、例年7月下旬から8月上旬です。

問い合わせ先
独立行政法人 情報処理推進機構
東京都文京区本駒込2-28-8
文教グリーンコートセンターオフィス15F
03-5978-7600(代表)

まとめ

今後さらに複雑になっていくことが予想される家電、それに必要不可欠な組み込みシステム。これに対応できる技術者の需要はよりいっそう高まっていくことでしょう。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、2割を切る合格率の低さからもわかるように簡単なものではありません。

しかし、この先エンジニアを志す方、既に活躍している方にとってもチャレンジする価値のある資格といえるのではないでしょうか。ぜひ挑戦してみてください。

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