園芸装飾技能士について

園芸装飾技能士について

造園業に関連する資格の数は多く、例えば生花店に関連する資格に限っても、フラワーコーディネーター検定やフラワーアレジメント検定などさまざまです。

そんな多数の資格のうち、今回は園芸装飾技能士の資格について解説します。

適用する仕事

園芸装飾技能士として働くには国家試験に合格することが必要です。造園業にはメジャーな資格が多くあり、そのうち園芸装飾技能士は技能検定制度の1つです。

園芸装飾技能士の資格を取得することで、観葉植物の室内での配置・装飾・維持管理などで必要になる知識・技能を持っていることを証明できます。

園芸装飾技能士の仕事はインドアグリーンサービスと呼ばれます。

インドアという言葉が示すとおり、一般の家庭・ホテル・商業施設などの室内にある観葉植物の装飾・維持管理が主な仕事で、癒し・うるおいのある空間を作り出す専門家ともいえます。

園芸装飾技士は、色の合わせ方や全体のバランスを考えるセンスも持ち合わせていなければなりません。また、植物の維持・管理にあたっては衛生面に関する知識や技術も求められます。

さらに植物に関することだけでなく、仕様書や見積書などを作成するスキルも必要です。

おおよその年収とキャリアパス

園芸装飾技能士の年収はだいたい200万円から400万円です。就職する企業によって賃金は大きく分かれるので、年収を重視する方は企業の待遇をしっかり確認してください。

園芸装飾技能士の年収の相場はあまり高いとはいえません。しかし、実務経験が豊富な方であれば優遇されることもありますし、園芸装飾技能士以外の有力な資格を持っているとより高い収入が期待できます。

植物は私たちの暮らしにやすらぎをもたらしてくれます。さらに近頃はロハス、ボタニカルライフなどの言葉が聞かれることからもわかるように、自然的で健康な生活を好む人が増加してきました。

したがって、園芸装飾技能士の需要は今後も高まっていくと思われます。

園芸装飾技士の主な活躍の場は以下のとおりです。

代表的な就職先
  • 園芸会社
  • 造園会社
  • 生花店
  • 植木屋
  • ガーデンセンター
  • ホームセンターの園芸部門

数は多くはないものの、園芸装飾技士を必須条件とする求人もあります。また、入社後に園芸装飾技能士の資格取得支援をしてくれる企業もあります。

園芸装飾技能士の資格を取得する場合は実務経験が必要なので、こうした企業で実務経験を積むのもひとつの方法です。

認可団体

主催厚生労働省

認可団体は厚生労働省で技能検定という形で開催しています。

受験条件

3級園芸装飾技能士

受験に際して特別な条件はありません。

2級園芸装飾技能士

以下のいずれかが条件となります。

2級受験条件
  • 2年以上の実務経験がある方
  • 園芸科の学校で800時間以上を修了し卒業した方
  • 園芸装飾技能士3級取得した後に半年以上経っている方

1級園芸装飾技能士

以下のいずれかが条件となります。

1級受験条件
  • 以下のいずれにも該当しない場合、7年以上の実務経験がある方
  • 高等学校の園芸科を卒業し6年以上の実務経験がある方
  • 短期大学の園芸科または高等専門学校の園芸科を卒業し5年以上の実務経験がある方
  • 大学の園芸科を卒業し4年以上の実務経験がある方
  • 園芸科専修等の厚生労働大臣指定校を卒業し800時間以上の養成訓練を修了後、6年以上の実務経験がある方
  • 3200時間以上の養成訓練を修了後4年以上の実務経験の実務経験がある方
  • 2級取得後5年以上経っている方

取得を目指している方で園芸科に在学・卒業していない場合、受験時に求められる実務経験の年数はより長くなります。

目指す受験日まで計画的に勉強しながら生花店などで働いて経験を積みつつ、受験条件を満たしましょう。

合格率

3級・2級の合格率は約70パーセントです。
実務経験を積み、下準備や対策をきちんとしておけば突破できないことはないでしょう。

1級の合格率は約50パーセントです。
1級では設計図や仕様図の作成・精算など2・3級では問われなかったスキルが試されますが、やはりこちらも事前の対策によってクリアできる範囲です。

チャレンジするのがどの級であっても油断することなくしっかりとコツコツ勉強や経験から学んでいくことがとても大切です。

1年当たりの試験実施回数

試験実施回数は年1回です。4月に出願、6月から9月に試験が実施されます。

試験科目

携帯勉強

3級

学科試験
  • 室内園芸装飾法
    園芸の装飾に使われる機械と器具の種類と使用方法室内での園芸装飾方法
  • 材料
    観賞用の植物の種類や性質と使用方法、園芸装飾の室内で使用する材料の種類と使用方法
  • 植物一般
    植物の生態と生理・植物の形態・植物の分類
  • 観賞用植物の維持管理
    鉢上げと植え替えの方法・繁殖の種類と方法・環境要因とその調整・土壌の種類と成分と改良・肥料と農薬の種類と性質用途とその使用方法・植物の病気害虫の種類と対処法
  • 園芸施設
    園芸施設の種類と構造と使用方法
  • 安全衛生
    安全衛生に関係する詳細な知識

実技試験では、実際に室内の園芸装飾作業をします。3級では基礎的な室内園芸装飾・観賞用の植物の維持管理ができるかどうかをみられます。

2級

学科試験の科目は3級同様、室内園芸装飾・材料・植物一般・観賞用植物の維持と管理・園芸施設・安全衛生に関してですが、よりグレードアップした問題が出題されます。

実技試験では、インドアガーデン製作・その他の室内園芸装飾・観賞用の植物の維持と管理ができるかどうかをみられます。

1級

学科試験の科目は2・3級と同様です。室内園芸装飾・材料・植物一般・観賞用植物の維持と管理・園芸施設・安全衛生に関してよりグレードアップした問題が出題されます。

実技試験では室内園芸装飾作業の設計図と仕様書の作成・インドアガーデン製作・その他の室内での園芸装飾・観賞用植物の維持管理・精算までをみられます。

採点方式と合格基準

ボーダーライン

学科試験は正誤問題の形式で出題されます。

合格基準は実技試験が100点満点中60点、学科試験が100点満点中65点以上です。

取得に必要な勉強などの費用

技能検定試験問題公開サイトで過去問題を無料で見ることができます。アマゾンでも電子書籍版が提供されています。

また、一般社団法人 日本インドア・グリーン協会では「園芸装飾技能検定実技試験ガイドブック」「園芸装飾必携」などのテキストを販売しています。

受験料

受験料は実技試験と学科試験セットで21,000円、実技試験のみで18,200円、学科試験のみで3,100円です。

受験申込方法

申し込み期間は4月上旬から中旬です。

インターネットでの申請が可能な地域と対応していない地域があります。受験したい都道府県に確認しましょう。

受験申込期間は約10日間と短いので注意してください。

インターネットを使用せず申し込む場合は、受験したい都道府県の職業能力開発協会から申請書類を取り寄せて、郵送または持参で提出します。

まとめ

今回は園芸装飾技能士について解説しました。

グリーンに彩られた居心地のよいお店、癒しにあふれた空間、それらは園芸装飾技能士の緻密な計算によって生み出されたものかもしれません。

園芸装飾技能士は、そこに訪れる人たちのにやすらぎをもたらす仕事と言っても過言ではないでしょう。

決して簡単に取得できる資格ではありませんが、実務経験だけでチャレンジすることができる点は既に関連業務に従事している方にとって魅力的ですね。

植物に関心を持っている方や、心地よい空間を作り出すことで誰かの気持ちを和ませることにやりがいを感じる方にとっては、非常に魅力ある職業・資格と言えるのではないでしょうか。

 

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