「乾燥設備作業主任者」というのは乾燥設備を使用する際に有害な溶液や設備の点検、現場の監督・指揮などを行い、作業の安全性を確保する専門職のことです。
乾燥設備というのは、火薬類取締法に規定する火薬類以外のものを熱源を用いて加熱乾燥する乾燥室・乾燥器のことです。
とても専門的なものを扱う資格のようですね。
どんな場面で活用でき、どのような方法で取得するのでしょうか。
今回は聞きなじみが薄い「乾燥設備作業主任者」という資格について見ていきます。
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適用する仕事
この資格が使われる場面は食品加工会社、医薬品会社、製紙会社、印刷会社など乾燥設備のある工場です。
インスタントラーメンなどの食品や薬品の生産工場、自動車の塗装工場などには特定の物を加熱乾燥させるために、熱源を用いる乾燥室や乾燥機が設置されています。
それらを乾燥設備と称していますが、なかでも危険物を取り扱う設備ではトラブルが生じやすいのでちゃんとした専門職の方が必要になります。
それがこの乾燥設備作業主任者という資格です。
この資格を取ることにより、乾燥設備の扱い方の監督・指導ができ、火災や爆発といった大事故や労働災害を未然に防ぐことができます。
法律により指定されている危険物を扱うときには、事業者に必ず乾燥設備作業主任者の有資格者を選任することが労働安全衛生法にて規定されています。
具体的な仕事内容としては、作業員に対して作業方法を周知させて指導することです。
設備に異常を感じたらただちに設備を止めて点検し、復旧させます。
また、乾燥設備内の温度や換気、乾燥物の状態なども常に点検して作業者の安全を守るのも重要な役目です。
おおよその年収とキャリアパス
乾燥設備作業主任者は現場では絶対必要な人材であるため、資格を取得していれば優遇してくれる可能性が高く、転職の際も有利になるでしょう。
年収は企業によっても異なってきますが、500万円程度が目安です。
大企業なら800万円以上の高収入も可能でしょう。
中小企業でも安定した収入が見込めるようです。
資格を取得すると現場の責任者からの信頼度も高く、より多くの仕事を任させるようになります。
収入増加につながるだけでなく、企業内での昇進や昇格も期待できます。
工場で働く場合が多いですからチームリーダーなどのマネジメント側に就いたり、主任、係長、課長などの管理職に移っていくケースが挙げられます。
認可団体
乾燥設備作業主任者の資格は厚生労働省が認可団体です。
全国各地の労働基準協会連合会が技能講習を実施しています。
技能講習はそれぞれの都道府県によって日程や内容が異なります。
東京都
公益社団法人 東京労働基準協会連合会
〒102-0084
東京都千代田区二番町9-8
TEL:03-6380-8305
FAX:03-6380-8405
埼玉県
一般社団法人 埼玉労働基準協会連合会
〒338-0011
さいたま市中央区新中里1-3-3 埼大通りメディカルビル2F
TEL:048-822-3466
千葉県
公益社団法人 千葉県労働基準協会連合会
TEL:043-241-2626
FAX:043-241-2670
神奈川県
公益社団法人 神奈川労務安全衛生協会
〒231-8443
横浜市中区相生町3-63 ヤオマサビル3階
TEL:045-662-5965
FAX:045-201-7122
群馬県
一般社団法人 群馬労働基準協会連合会
TEL:027-212-9275
FAX:027-289-5178
栃木県
一般社団法人 栃木県労働基準協会連合会
〒321-0933
宇都宮市簗瀬町1958-1 栃木県建設産業会館4F
茨城県
一般社団法人 茨城労働基準協会連合会
茨城県水戸市桜川2-2-35 茨城県産業会館14階
TEL:029-225-8881
FAX:029-227-4507
受験条件
- 乾燥設備の取り扱い作業に5年以上従事した者
- 大学または高専において理科系の学科を卒業し、1年以上乾燥設備の設計などまたは取扱作業に従事した経験を有する者(要卒業証明書)
- 高校において理科系の学科を卒業し、2年以上乾燥設備の設計などまたは取扱作業に従事した経験を有する者(要卒業証明書)
合格率
乾燥設備作業主任者の試験というのは、2日間の講習会を真剣に受講すれば合格できる難易度の低い試験です。
合格率は90%以上と言われています。
講義をしっかり聴くことが肝心です。
1年当たりの試験実施回数
乾燥設備作業主任者の技能講習は1つの会場で年に4、5回行われています。
都道府県ごとに日程や回数が違うので、受講する地域で確認しましょう。
試験科目
乾燥設備作業主任者は講習を受けて取得します。
- 乾燥設備および付属設備の構造・取り扱いに関する知識
- 乾燥設備、その付属設備などの点検設備・異常時の措置に関する知識
- 乾燥作業の管理に関する知識
- 関係法令
- 修了試験
1.乾燥設備および付属設備の構造・取り扱いに関する知識
- 乾燥設備の種類および構造
- 熱源の概要
- 加熱装置の種類
- 構造および取り扱い
- 換気装置
- 温度調整装置
- 温度測定装置
- 安全装置その他の附属設備の構造
- 機能および取り扱い
2.乾燥設備、その付属設備などの点検設備・異常時の措置に関する知識
- 乾燥設備の構造部分
- 加熱装置および換気装置
- 温度調節装置
- 温度測定装置
- 安全装置その他の附属設備の点検整備および異常時における応急の処置
- 停電時および乾燥物の異常時における応急の処置
- 乾燥設備の設置場所などの点検整備
3.乾燥作業の管理に関する知識
- 熱源の危険性
- 乾燥物の性状および危険性
- 乾燥の方法
- 乾燥後の処置
- 爆発、火災、中毒などの防止
- 作業標準
- 可燃性ガスなどの検知の方法
- 保護具
- 消火および救急法
4.関係法令
- 労働安全衛生法
- 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)および労働安全衛生規則中の関係条項
採点方式と合格基準
- 各科目の得点が満点中40%以上の得点率
- 全科目の合計得点が、満点中60%以上の得点率
取得に必要な勉強などの費用
勉強などの費用は受講料のみで乗り切れます。
ですが、講習で使うテキストは別途購入する必要があります。
テキスト代 | |
東京都 | 「乾燥作業の安全」1,540円(税込) |
埼玉県 | 1,540円(税込) |
千葉県 | 1,540円(税込) |
神奈川県 | 乾燥作業の安全:1,540円 火災爆発防止のポイント:770円 |
群馬県 | 1,540円(税込) |
栃木県 | 2,420円(税込) |
茨城県 | 1,540円(税込) |
受験料
こちらは講習を受ける仕組みなので受講料になります。
受講料は各講習会場によって異なります。
受講料 | |
東京都 | 12,580円(税込) |
埼玉県 | 13,200円(税込) |
千葉県 | 12,100円(税込) |
神奈川県 | 12,350円 |
群馬県 | 12,100円(税込) |
栃木県 | 12,100円(税込) |
茨城県 | 9,880円(税込) |
受験申込方法
各都道府県の乾燥設備作業主任者の講習案内を検索していただき、案内表示されている申込方法に従ってお申し込みください。
まとめ
今回は工場などで乾燥設備で必要とされる「乾燥設備作業主任者」という資格についてお伝えしてきました。
聞きなじみの薄い資格かと思われますが、食品や医薬品などの工場で特定の物を加熱乾燥させるために有資格者を選任しなくてはならないときに役立ちます。
この資格を取得するためには実務経験が必要です。
工場などでしっかり経験を積んでから資格を取りましょう。
そして、こちらは講習を受けて取得します。
講習会場は都道府県ごとに設置してあり、日程や内容が多少異なりますので受講したい講習会にアクセスして参加しましょう。
この資格は転職や収入アップにも役立つそうなので、この記事が参考になれれば嬉しいです。
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それ以外でも熱源として燃料または電力を使用するもので、その最大消費量または定格消費電力が
電力を使用するもので定格消費電力が10kW以上。