航空管制官について

航空管制官について

飛行機に関わる資格や職業はたくさんあります。
その中から今回は航空管制官の資格や試験について解説していきます。
航空管制官という名前は聞いたことがある方もいるでしょう。
航空管制官はレーダーや無線電話を使って、航空機が安全に飛行できるように誘導する仕事です。
航空管制官になるには、採用試験を受けなければなりません。
試験は難関のようで、合格したからといってすぐ航空管制官に就けるわけではありません。
ではどれくらい難しいのか、試験の中身を見ていきましょう。

適用する仕事

管制塔

航空管制官は航空機が安全に離着陸できるようにし、他の飛行機にぶつからずに空を飛べるように指示や情報をパイロットに伝える仕事です。
航空機が自由に空を飛んでいるのではなく、きちんと航空管制官の指令があって飛べるのです。
何か突発的なトラブルが発生したとしても、すぐに状況を把握したうえでパイロットに的確な指示を出します。
このように安全なフライトにするために、空の交通整理を行うのが航空管制官の仕事です。

飛行場管制業務

航空管制官の主な業務として、全国各地の空港にある管制塔で離陸・着陸の許可や地上走行の経路などをパイロットに指示する仕事が、この管制業務です。

管制塔には4つの席があり、それぞれ担当の管制官がつきます。

  • 飛行場管制席…滑走路を使う順番を決めて離陸や着陸の許可を出す
  • 地上管制席…誘導路の進み方を指示する
  • 管制承認伝達席…飛行コースや高度を出発前に承認する
  • 飛行情報席…レーダー管制室や航空交通管制部にいる管制官などとの連絡を調整する

ターミナルレーダー管制業務

これは管制塔の下部にあるレーダー管制室から、空港の近く約100km圏内を飛行する航空機や目視では確認できない航空機をレーダーによって見渡して、着陸の際進入角度や高度、コースなどを指示する業務です。

また、滑走路近くの空域が航空機で混雑している場合、どの順番で着陸させるかを判断し、離着陸時の誘導や進入角度の指示などを行うのもこちらの仕事です。

フローコントロール

これは空港やセクターに向かう航空機が一度に集中しないよう、航空機の出発時刻を調整する業務のことです。
航空管制機が膨大な数の航空機を対応するのは大変ですが、航空機の流れを調節して渋滞を防いでいるのです。
航空管制官が1日に対応する航空機の数はコロナ禍前では1200機ともいわれていました。
(現在の数は不明です)

おおよその年収とキャリアパス

キャリアの道

航空管制官の平均年収は497万円といわれています。
意外と低いかと思った方もいるでしょうが、航空管制官は専門行政職という分類なので一般の公務員よりかは高い水準です。
ちなみに、日本人の平均年収は436万円とされているので、それよりかも高い年収になります。
航空管制官は年功序列制であるため、勤務期間が長いほど年収は高くなるでしょう。

航空管制官になって、その先どんなキャリアパスがあるか下記のとおりです。

<一般的なキャリアパス>

航空管制官

主任航空管制官航空管制業務が円滑に行われるように、主幹航空管制官を補佐する(業務経験10年以上)

主幹航空管制官次席航空管制官を補佐して、航空管制業務の運用面全般について取り仕切るチームリーダー(業務経験16年以上)

次席航空管制官先任航空管制官を補佐して、運用チームを統括する(管理職)

先任航空管制官航空管制官の所掌に属する業務を統括する(管理職)

航空管制官は国家公務員であるため、将来的にも安全性抜群の職業でしょう。
高度なシステムを扱うことができるのは航空管制官のみで、たとえ今後、機械化が進んだとしても仕事が無くなるということは考えにくいです。

認可団体

国土交通省

航空管制官の認可団体は国土交通省です。

受験条件

次のいずれかにあてはまる者です。

  1. 試験実施年の4月1日現在で、21歳以上30歳未満の者
  2. 試験実施年の4月1日現在で、21歳未満の者で大学、短期大学または高等専門学校を卒業した者。または試験年度の3月までに大学を卒業する見込みの者

ただし、日本の国籍を有していない者や「国家公務員法第38条の規定」により国家公務員となることができない人は受験できません。

<国家公務員法第38条の規定に該当する人>

  • 成年被後見人、被保佐人(準禁治産者を含む)
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者またはその刑の執行猶予の期間中の者、その他の執行を受けることがなくなるまでの者
  • 一般職の国家公務員として懲戒免職の処分を受け、その処分の日から2年を経過しない者
  • 日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成したり、加入したりする者

合格率

実施年 応募者数 合格者数 合格率
2021年 839人 42人 5%
2020年 767人 41人 5.3%
2019年 912人 105人 11.5%

1年当たりの試験実施回数

1
航空管制官は一次試験、二次試験、三次試験があり、それぞれ1年に1回ずつあります。
一次試験が5月、二次試験が7月、三次試験が9月にあります。

試験科目

前項目でもお伝えしましたが、航空管制官の採用試験は一次試験~三次試験まで行われます。

一次試験

  • 基礎能力試験(一定水準の教養が問われる)
  • 適性試験第Ⅰ部(記憶力や空間把握力が試される)
  • 外国語試験(多肢選択式)
  • 外国語試験(聞き取り)

二次試験

  • 人物試験(個人面接)
  • 外国試験(面接)

三次試験

  • 身体検査
  • 身体測定(視力、色覚、聴力のチェックを行う)
  • 適性試験第Ⅱ部(シミュレータを使って航空機を誘導する)

採点方式と合格基準

GOOD
航空管制官採用試験は一次試験~三次試験まで行われますので、申し込みから合格発表まで約半年程度もかかります。
第一次と第二次でそれぞれ合格発表を迎えてから、第三次試験を受験・合格と迎えますので、他の国家公務員試験と比べて試験期間が長いです。

一次試験

一次試験は4種あります。

基礎能力試験

満点 40点
基準点 12点

適性試験Ⅰ部

満点 60点
基準点 記憶検査は15点満点中5点、空間関係検査は45点満点中14点

外国語試験(多肢選択式)

満点 30点
基準点 9点

外国語試験(聞き取り)

満点 100点
基準点 40点

二次試験

二次試験は人物と外国語になります。

人物試験

できるひと

総合判定段階はA~Eの5段階。
A~C判定が合格。
総合判定がDまたはEの場合は、他の試験種目の成績にかかわらず不合格。

総合判定段階の標準点
A:196点
B:150点
C:110点

外国語試験(面接)

満点 40点
基準点 16点

三次試験

三次試験で実施する身体検査、身体測定、適性試験第Ⅱ部は合否の判定のみで行われます。
ただし、次のいずれかに該当する者は不合格となります。

視力

矯正眼鏡などの使用の有無を問わず、視力が次のいずれかに該当する者

  • どちらか一眼でも0.7に満たない者
  • 両眼で1.0に満たない者
  • どちらか一眼でも80cmの視距離で、近距離視力表(30cm視力用)の0.2の視標を判読できない者
  • どちらか一眼でも30~50cmの視距離で、近距離視力表(30cm視力用)の0.5の視標を判読できない者

色覚

色覚に異常のある者

聴力

聴力検査
どちらか片耳でも次のいずれかの失聴がある者

  • 3,000ヘルツで50デシベル超
  • 2,000ヘルツで35デシベル超
  • 1,000ヘルツで35デシベル超
  • 500ヘルツで35デシベル超

取得に必要な勉強などの費用

航空管制官は公務員の一種です。
勉強するなら専用の過去問があります。

おすすめ参考書

航空管制官採用試験問題集 2021-2023年版

created by Rinker

出版社名:イカロス出版
商品名:航空管制官採用試験問題集 2021-2023年版
価格:¥3,300(税込)

過去2年分の出題と解答解説を全収録した過去問です。

2023年度版 国家一般職[大卒]教養試験 過去問500

created by Rinker

出版社名:実務教育出版
商品名:2023年度版 国家一般職[大卒]教養試験 過去問500
価格:¥2,970(税込)

平成21年~令和3年度の過去問500問を科目別に収録しています。
航空管制官試験では基礎能力試験が課されますので、この1冊でまんべんなく学習できると思います。

航空管制官向けの講座

先ほどイカロス出版の過去問を紹介しましたが、そちらでは航空管制官向けの講座が開催されています。

英語基礎コース 65,000円
総合コース 12月、1月、2月など期間によってコースが分かれているが、いずれも20万円くらいの受講料
公開筆記模擬試験 9,500円(在宅受験)
通信制では6,000円
航空管制官・通信添削講座
(英語・基礎能力・適性試験対策)
98,000円

受験料

航空管制官は公務員試験の1つなので無料です。

受験申込方法

航空管制官の採用試験の公式サイトを検索します。
サイト内に「国家公務員採用試験インターネット申し込み」をクリックして申し込みページに移動します。
事前登録をして申し込みが完了したら受験票を作成してください。

まとめ

管制塔と飛行機
以上、航空管制官の採用試験についての詳細をお伝えしてきました。
航空機が安全に離着陸できるのは、パイロットの腕だけでなく航空管制官が判断しているからでもあります。

航空管制官は国家公務員の1つに含まれます。
試験では基礎能力が問われるので、過去問や公務員向けの参考書で対策しましょう。

こちらの試験は一次・二次・三次と多くの試験を受けなければなりません。
合格までの道は長いですが、それぞれの試験の対策をして臨みましょう。

 

関連する英語系の記事はこちら
英会話検定について

TOEIC(トイック)について