建設業経理検定というのは、建設業の経理に関する知識と処理能力向上を図るための資格試験です。
おもに建設業の企業内で経理部門に従事する方や営業部門・経営管理部門の方々が建設業経理について学ぶための検定です。
建設業に特化した経理ってどんな特徴があるのでしょうか。
今回はこの検定試験の内容をみていきます。
Contents
適用する仕事
建設業経理検定に合格すると、建設業経理士になれます。
建設業経理士は建設業における専門会計知識・会計処理能力を持つ人材として評価されます。
一般的な企業で働く経理職は、完成したモノを売って、売るためのモノを作る部分についての仕分けを行い、企業活動のお金の流れを記録します。
これに対して、建設業の経理というのは最終完成形ができあがっても販売するのではありません。
仕事を受注してから工事が始まってお金が動くので、一般的な企業との経理とは違います。
専門用語も特殊なものが多いので、経理担当者もそれらを理解したうえでの会計処理となります。
例えば、工事が長期間に及んでいて決算時期にもまだ製品が完成していないケースもあります。
そのような場合は、建設業のルールに従ってお金の計算をします。
とはいえ、仕事内容は他の経理職と大きくは変わらず、売上・売掛金・仕入れ費・買掛金・現金・預金・小切手などを管理することとなります。
そこにプラスして建設業ならではの会計ルールが存在しているのが、この建設業経理士の業務内容なのです。
経理の資格として思い浮かぶのは簿記ですが、業種を問わずに財務や経理の業務に役立つ知識があると認められる簿記に対して、建設業経理検定は建設業に特化した内容を扱う資格です。
建設業への就職や転職を目指す人にとっては役に立つ資格でしょう。
活躍の場として、建設会社、工務店などの建設業に関連する会社の経理が中心です。
個人経営の小規模な企業から大企業まで、さまざまな規模の企業での活躍が期待できるでしょう。
おおよその年収とキャリアパス
建設業経理検定に合格すると建設業経理士になれ、建設業関連の会社で働くことができます。
年収は?
建設業経理士の資格取得で期待できる年収は所属する建設会社によって規定が異なるため一概にはいえませんが、約500万~600万円ほどといわれています。
企業によっては資格を持っていると資格手当が付く可能性があります。
キャリアパスは?
繰り返しますように、建設業経理検定の資格を持っていると工務店をはじめとする建設業に関連する会社へ就職するのに役立ちます。
たとえ実務経験がなくても、資格があれば少なからず評価されるでしょう。
建設業経理検定には4級~1級がありますが、2級以上を取得すれば公共事業の入札の際に必要な経営事項審査において評価対象になります。
建設業経理検定の資格取得での独立開業は現実的ではないため、この資格は公共工事を受注する企業に在籍していて最大の効果を発揮します。
一度取得すれば一生ものの資格として生涯役立つでしょう。
それにあえて加えるなら、建設する場合には不動産の知識は必須ですので、建設業経理検定だけでなく、宅地建物取引士(宅建)を併せ持っていればさらに重宝されるでしょう。
建設業経理検定にデメリットな面があるとすれば、建設業界以外で働く場合に活かすのが難しいところです。
それをカバーするためには日商簿記の資格も持っていた方が良いでしょう。
認可団体
建設業経理検定の資格を主催している団体は「一般財団法人 建設業振興基金」というところです。
昭和50年7月16日に設立されました。
建設業経理検定(1級~4級)が創設されたのは昭和56年のことです。
〒105-0001
東京都港区虎ノ門4丁目2番12号 虎ノ門4丁目MTビル2号館
受験条件
どなたでも希望の級を受験することができます。
ただし、1級と他の級との同日受験ができないので注意してください。
同日での1級の複数科目受験は可能です。
合格率
各級ごとにお伝えします。
4級
年 | 合格率 |
令和4年 | 77.8% |
令和3年 | 86.5% |
平成31年 | 78.5% |
3級
年 | 合格率 |
令和4年 | 58.3% |
令和3年 | 70.4% |
平成31年 | 64.3% |
2級
年月 | 合格率 |
令和4年3月 | 44.8% |
令和3年9月 | 39.5% |
令和3年3月 | 41.1% |
1級
財務諸表
年月 | 合格率 |
令和4年3月 | 20.4% |
令和3年9月 | 27.8% |
令和3年3月 | 21.9% |
財務分析
年月 | 合格率 |
令和4年3月 | 23.5% |
令和3年9月 | 23.5% |
令和3年3月 | 20.8% |
原価計算
年月 | 合格率 |
令和4年3月 | 12.0% |
令和3年9月 | 24.7% |
令和3年3月 | 11.2% |
1年当たりの試験実施回数
3・4級は年1回、1・2級は年2回あります。
試験科目
1級 建設業原価計算、財務諸表および財務分析
2級 建設業の簿記、原価計算および会社会計
3級 建設業の簿記、原価計算
4級 簿記のしくみ
採点方式と合格基準
採点方法はわかりませんが、合格基準は正答率の70%です。
取得に必要な勉強などの費用
市販のテキストがある程度まとまっているので、その費用がかかります。
また、認可団体では特別研修を実施しています。
おすすめテキスト
よくわかる簿記シリーズ 22年3月・9月検定対策 合格するための過去問題集 建設業経理士2級
出版社名:TAC出版
商品名:よくわかる簿記シリーズ 22年3月・9月検定対策 合格するための過去問題集 建設業経理士2級
価格:¥1,760(税込)
資格の学校TACの現役講師がきめ細やかにわかりやすく解説している過去問です。
過去12回の試験で出題された論点がひと目でわかるようになっています。
スッキリわかるシリーズ スッキリわかる建設業経理士2級 第3版
出版社名:TAC出版
商品名:スッキリわかるシリーズ スッキリわかる建設業経理士2級 第3版
価格:¥1,320(税込)
イラストつきのストーリー仕立てになっているため、簿記初学者の方でもスラスラ読めます。
簿記の初歩から日商簿記2級、建設業経理の基礎までこの1冊でマスターできます。
建設業経理士2級出題パターンと解き方過去問題集&テキスト22年3月、22年9月試験用
出版社名:ネットスクール
商品名:建設業経理士2級出題パターンと解き方過去問題集&テキスト22年3月、22年9月試験用
価格:¥2,200(税込)
テキストと過去問題集を1冊にした効率の良い一体型の書籍です。
過去問の出題パターンから効率よくマスターできます。
日商簿記学習を活かして勉強を始める人にもわかりやすい作りになっています。
特別研修
4級または3級の資格取得向けに講習と検定試験を組み合わせた特別研修を案内しています。
4級はどなたでも申し込みできますが、3級は4級の有資格者のみ可能です。
- 4級 23,100円
- 3級 34,650円
- 4級・3級 57,750円
また、認可団体には過去問も載っています。
ただし、解答は載っていないので注意してください。
受験料
1級(1科目) | 8,120円 |
1級(2科目同時) | 11,420円 |
1級(3科目同時) | 14,720円 |
2級 | 7,120円 |
3級 | 5,820円 |
4級 | 4,720円 |
2級・3級(同日受験) | 12,620円 |
3級・4級(同日受験) | 10,220円 |
支払方法はゆうちょ銀行または郵便局での払い込みになります。
受験申込方法
申込方法はインターネットと書面の2通りあります。
公式サイトの建設業経理検定に申し込みボタンが設定してあります。
インターネットの場合はアクセスした後、整理番号を取得してください。
インターネットでも書面でも申し込む際には、顔写真が必要です。
縦4cm×3cm、3ヶ月以内に撮影したものをご用意ください。
(顔写真のコピー、スナップ写真の切り抜き、不鮮明な写真は不可)
まとめ
経理というと簿記だけじゃなく、建設業に特化した経理である「建設業経理検定」があります。
建設業では通常の経理では扱わない専門用語や経理の仕方があります。
建設業で働きたい方にはおすすめの資格です。
2級以上を取得すれば業界から重宝されるでしょう。
問題集もたくさん市販されているのでコツコツ頑張ってみてくださいね。
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