ボイラー技士試験(2級・1級・特級)について

ボイラー技士試験(2級・1級・特級)について

皆さん、ボイラー技士という職業をご存知でしょうか。

ボイラー技士とは、ビルや工場の給湯設備などが不具合なく稼働できているか保守・点検する職業のことです。

製造設備や冷暖房、あるいは給湯用のボイラーは私たちの暮らしに密接にかかわっています。

このボイラーを取り扱うための資格がボイラー技士です。級ごとの特徴などもあわせて見ていきましょう。

適用する仕事

作業着姿の人

ボイラー技士は、伝熱面積(熱を伝えられる範囲)が3㎡以上あるボイラーの管理・修繕・点検などを行います。

級によって違いはあるものの、基本的にはボイラーが正常に稼働し、建物内の空気や温水の調整を管理できる状態に整える仕事を担います。

ボイラーは火気や高温ガスを使用してエネルギーを生み出すため、施設の事故防止には専門的な知識・技術を持つボイラー技士が欠かせません。

ビル管理会社

多くの大型商業施設やオフィスビルなどでは、空調管理や温水の供給時にボイラーが使われています。
こうした理由からビル管理会社では、ボイラー技士のニーズが非常に高いです。

建設会社

ボイラーを設置するには、施設の建設時の段階でボイラー技士の立ち会いが必要になります。

ボイラーを設置しない建物はほとんどありませんから、ここでもボイラー技士の需要は高いと言えます。

病院・ホテル

入院病棟などがある大型の病院は、空調の管理や温水の供給などで幅広くボイラーを利用しています。

地下などに大型のボイラールームを設けているところもあります。
また、似た構造のホテルなどでもボイラー技士は重宝されます。

おおよその年収とキャリアパス

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、ボイラー技士の平均年収は382万円です。これは年齢によっても差が出ます。

10代で就職した場合の年収は251万円くらいですが、20代後半からでは400万円まで収入がアップします。

勤める会社によってはもっと稼げるところもあるでしょう。
きちんとキャリアを積んでいけば、ボイラー技士は稼げる仕事であるといえます。

さらに稼ぎたい方は2級よりも1級や特級を目指しましょう!

2級ボイラー技士試験からのチャレンジになることがほとんどですが、設備管理の仕事をするなら2級だけで満足してはいけません。

それは級によって任される現場の規模が大きく異なるためです。

伝熱面積の合計
特級 25㎡未満
1級 500㎡未満
2級 全て可

このように、上級の試験にパスすれば、より広い伝熱面積を持つボイラーを扱うことができるようになります。

当然仕事の幅も広がりますし、昇進・転職を目指すにあたっても有利です。

また、ビル管理関係に勤めようと考えるのであれば、以下の資格もあわせて取得することをおすすめします。

  • 第二種電気工事士
  • 第三種冷凍機械責任者
  • 危険物取扱者乙種4類

認可団体

ボイラー技士の資格を主催しているのは「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」です。

〒101-0065 東京都千代田区西神田3-8-1 千代田ファーストビル東館9階
TEL:03-5275-1088

設立
昭和51年4月1日

実施試験一覧
  • 労働安全衛生法に基づくボイラー技士、クレーン・デリック運転士、衛生管理者、潜水士等の免許試験
  • 労働安全衛生法法に基づく労働安全・衛生コンサルタント試験
  • 作業環境測定法に基づく作業環境測定士試験

こちらの協会では7ヶ所の試験実施機関を設けています。

受験条件

2級・1級・特級それぞれで受験条件が異なります。

2級

誰でも受験することができます。ただし本人確認証明書が必要になります。

本人確認証明書
  1. 住民票又は住民票記載事項証明書(ただし個人番号[マイナンバー]が記載されていないもの)
  2. 健康保険被保険者証の写し(表裏)
  3. 労働安全衛生法関係各種免許証の写し(表裏)
  4. 自動車運転免許証の写し(表裏)
  5. その他氏名、生年月日および住所が記載されている身分証明書等の写し

1級

1級を受験するにあたっては、複数の受験条件・提出書類があります。

➀2級ボイラー技士免許保持者

2級ボイラー技士免許証の写し

➁以下のaからeに該当し、かつボイラーに関する学科を収め、その後1年以上の実地修習を経た方

a.学校教育法による大学(短期大学含)、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校を卒業した者
b.大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者又は専門職大学前期課程を修了した者
c.省庁大学校を卒業(修了)した者
d.専修学校の専門課程(2年以上・1700時間以上)の修了者(大学入学の有資格者に限る)などで、その後大学等において大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与されるのに必要な所定の単位を修得した者
e.指定を受けた専修学校の専門課程(4年以上)を一定日以後に修了した者など(学校教育法施行規則第155条第1項該当者)
各添付書類
  • a…卒業証明書
    原本で、蒸気ボイラー又は蒸気原動機について2単位以上修得したことを特記したもの
  • b…学士の学位授与証明書もしくは学位記の写し又は修了証明書
    いずれも原本
  • c・d・e…卒業証明書、卒業証書の写し又は修了証明書
    いずれも原本。課程が限定される場合は当該課程を修めたことを特記したもの
  • b・c・d・e…単位修得証明書等
    原本で、蒸気ボイラー又は蒸気原動機について2単位以上修得(さらにdは学位取得に必要な所定単位を修得)したことを特記したもの
共通の添付書類
  • 本人確認証明書
  • 実地修習結果報告書の写し

➂エネルギー管理士関係

エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)第9条第1項のエネルギー管理士(熱)免状を有する者で、2年以上の実地修習を経た方

添付書類
  • エネルギー管理士免状の写しおよび合否通知書(合格証)の写し
  • 実地修習結果報告書の写し

➃海技士(機関1・2級)免許を受けた者

海技士免状の写し

➄ボイラー・タービン主任技術者関係

ボイラー・タービン主任技術者(1種又は2種)免状を有する者で伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある方

添付書類
  • ボイラー・タービン主任技術者(1種又は2種)免状の写し
  • 事業者証明書

➅汽かん係員関係

保安技術職員国家試験規則による汽かん係員試験に合格した者で、伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある方

添付書類
  • 汽かん係員試験合格証の写し
  • 事業者証明書

特級

1級ボイラー技士免許保持者は1級ボイラー技士免許証の写しが必要です。

その他は1級の受験資格とほぼ同じです。ただし、汽かん係員試験の合格者は受験条件から外れます。

また、ボイラー・タービン主任技術者が受験する場合、伝熱面積の合計が500㎡以上のボイラーを取り扱った経験がある方に限ります。

合格率

合否

令和2年度の結果は以下のとおりです。

令和2年度の合格率
2級ボイラー技士 58.4%
1級ボイラー技士 50.9%
特級ボイラー技士 29.1%

1年当たりの試験実施回数

試験実施回数は2級が毎月実施の年12回、1級が年間5~6回です。

特級は年1回で、10月に実施されます。

試験科目

どの級でも以下の範囲の問題が出されます。

  • ボイラーの構造に関する知識
  • ボイラーの取り扱いに関する知識
  • 燃料および燃焼に関する知識
  • 関係法令

採点方式と合格基準

2級:5肢択一式のマークシート方式です。全ての科目で4問以上、かつ合計24問以上の正解で合格となります。

1級:5肢択一式の筆記試験で各科目40%以上正解し、合計で60%以上正解で合格です。

特級:マークシートに加えて記述式の問題もあります。合格基準は1級と共通です。

取得に必要な勉強などの費用

ボイラー技士試験の勉強には以下の3つの方法があります。

  • 参考書で独学をする
  • 動画教材で独学をする
  • 専門学校に通う

YouTubeには合格者や実務経験者などによる参考にできる動画がたくさんあります。

それ以外ではSATが便利です。SATとは、現場系資格を専門として動画教材を提供しているWebサイトです。

おすすめの参考書

詳解 2級ボイラー技士 過去6回問題集 22年版

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出版社名:成美堂出版
商品名:詳解 2級ボイラー技士 過去6回問題集 22年版
価格:¥1,650(税込)

令和3年前期から平成30年後期までの公表問題6回分(240問)を完全収録した問題集です。

最新の法改正にも対応し、わかりやすく解説しています。

らくらく突破 改訂新版2級ボイラー技士 合格教本

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出版社名:技術評論社
商品名:らくらく突破 改訂新版2級ボイラー技士 合格教本
価格:¥2,068(税込)

図や写真をたくさん掲載していて、初心者でも安心して学習できます。基礎の理解から問題演習までこれ1冊で試験対策が可能です。

講習に通う

一般社団法人日本ボイラー協会では筆記試験の事前講習やボイラー実技講習も実施しています。

詳細は各都道府県の支部に問い合わせましょう。以下は首都圏の5県の講習費用です。

埼玉県 26,156円
東京都 23,100円
神奈川県 23,100円
栃木県 19,800円(テキスト代別)
茨城県 11,000円(テキスト代別)

受験料

コスト、費用

各級とも8,800円です。

受験申込方法

受験申請書

まず受験申請書を用意します。受験申請書は認可団体の協会本部、下記の免許試験受験申請書取扱機関の団体に請求してください。

  • 北海道安全衛生技術センター
  • 東北安全衛生技術センター
  • 関東安全衛生技術センター
  • 中部安全衛生技術センター
  • 近畿安全衛生技術センター
  • 中国安全衛生技術センター
  • 九州安全衛生技術センター

書類の作成

受検申請書とともに次のものを用意します。

提出書類
・添付書類(受験資格を参照)
・受験料
・証明写真(30mm×24mm)

なお、受験票を発行した後は受験料の返還はできません。

受験申請書の提出

書類の提出先は受験を希望する各安全衛生技術センターです。認可団体の協会本部へは提出できません。

提出の方法は郵便(簡易書留)かセンター窓口持参があります。

まとめ

ボイラー技士は、ボイラーの設置から管理までを担う重要な職業です。ビル管理関連の業務に関心があるなら持っていて損はない資格と言えます。

また、現代日本においてボイラーは欠かせないものと言っても過言ではないでしょう。ボイラー技士の資格を取り、暮らしを支える縁の下の力持ちとして活躍してみませんか。