マンションリフォームマネージャーについて

マンションリフォームマネージャーについて

マンションリフォームマネージャーとは、マンション居住者のリフォームについて提案や設計、工事の調整、施工管理などをする専門資格のことです。

平成4年に現在の国土交通省の指導のもと、現・公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが認定する資格としてスタートしました。

マンションをリフォームする際にはさまざまな問題が立ちはだかることが多く、頭を悩ませる人が後を絶ちません。

今回は、そうしたトラブルを解決する一助となるこちらの資格について見ていきましょう。

適用する仕事

ビジネスガール

マンションリフォームマネージャーの資格を活かして活躍できる場は多岐にわたります。具体的には以下のような職場が挙げられます。

活躍の場
  • リフォーム専門会社
  • マンションやビル管理会社
  • 設計事務所
  • 工務店
  • インテリアや家具販売店
  • 住宅機器や建材販売業者
  • 不動産会社
  • マンション分譲会社
  • 建材メーカー

マンションリフォームマネージャーの業務の幅は広く、企画からアフターケアまでをカバーします。

業務の流れ
  1. 入居者の意見や要望を聞いたうえでマンションリフォームの企画立案をする
  2. 建物の調査、機器の選定、デザインなどを中心にさまざまな相談を受け、リフォームに関するアドバイスや支援をする
  3. 実際にリフォームに取り掛かる際の各種調整・工事管理
  4. マンションリフォーム後のアフターケア

マンションのリフォームには、一戸建てにはない特性や懸念点もあります。

リフォームにあたっては構造体の確認、排水関係の調査などのハード面についてはもちろんのこと、管理組合への報告や上下階への連絡といった対人関係の調整も欠かせません。

また、リフォームにはさまざまな工事業者がかかわります。業者間の行き違いを防いだり連携のためにサポートしたりすることもマンションリフォームマネージャーの重要な仕事です。

マンションのリフォームにあたって、マンションリフォームマネージャーの果たす役割は大きいと言えるでしょう。

おおよその年収とキャリアパス

マンションリフォームマネージャーの資格を取得した場合の平均年収は300万~400万円程度で、月収としては20万前後~でしょう。

求人の中にはリノベーションマネージャーとして、年収840万円を提示しているものもあります。

この資格を取得することによって資格手当がつくなど、収入アップが期待できそうです。

最終的に独立・開業するというよりは、就職した企業での昇進を目指すことになるでしょう。

例えば、ある総合木材企業では「営業設計→係長→チームマネージャー→支店長」といった流れで昇格していくようです。

認可団体

マンションリフォームマネージャーの資格を主催している団体は、冒頭でも記載した「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター」です。

〒102-0073
東京都千代田区九段北4-2-7 九段センタービル3階
TEL:03-3261-4567

おおよその沿革(一部を抜粋)

1984年 財団法人日本住宅リフォームセンターを設立
1992年 マンションリフォームマネージャー資格試験を開始
2012年 公益財団法人に移行

財団の業務概要

  • 住宅紛争処理の支援
  • 住宅相談(新築・リフォーム)
  • 消費者支援
  • リフォーム市場の環境整備
  • 調査や研究など

受験条件

誰でも受験可能な資格です。ただし2022年現在、受験地は札幌、東京、名古屋、大阪、福岡などの主要都市に限られます。

合格率

令和3(2021)年度の試験では合格者が123名、合格率は35.3%でした。

1年当たりの試験実施回数

年1回、例年は10月に実施されます。

試験科目

試験、テスト

試験は大きく2つに分けられます。学科試験と設計製図試験です。

学科試験の出題分野
  • 計画・基礎知識
  • 法規・規約・制度
  • マネジメント
  • 住戸内各部のリフォーム
  • 設備のリフォーム

主にマンションリフォームに関する専門知識が問われます。

設計製図試験
  • リフォームの動機(例:家族それぞれのライフスタイルに合わせて部分リフォームをしたい)
  • マンションの現況(例:大都市郊外にある竣工後 25 年を経過した単棟型のマンションである)
  • 要求図面等の概要(例:平面図(縮尺 1/50)、今回のリフォーム部分、この計画での留意事項説明)

マンションリフォームのプランニング力などが問われます。

採点方式と合格基準

学科試験は4肢択一式50問、試験時間は120分です。

合格基準は以下のとおりです。

学科試験

下記の総得点および各分野が合格基準点に達している場合に合格

学科試験合格基準
  • 総得点:
    250点満点中150点以上
  • 計画・基礎知識:
    50点満点中25点以上
  • 法規・規約・制度:
    50点満点中25点以上
  • マネジメント:
    50点満点中25点以上
  • 住戸内各部のリフォーム:
    50点満点中25点以上
  • 設備のリフォーム:
    50点満点中25点以上

設計製図試験

ランクAと採点された者が合格となります。ランクAとは、マンショのリフォームに係る企画提案など携わるための総合的な能力を有していることを認めるものです。

合格者の区分
試験合格者は「合格者」の他に「一部合格者」と呼ばれる区分があります。
これは学科試験または設計製図試験のいずれか一方のみ合格した方を指します。
この場合、次年度と次々年度の再受験の際は申請により当該一部合格した試験に対して免除になります。

取得に必要な勉強などの費用

費用

勉強に必要な方法と費用を紹介します。

書籍のご案内

認可団体が参考図書として薦めているものがあります。

出版社名:テツアドー出版
商品名:改訂3版 マンションリフォームマネジメント実務必携
価格:¥4,730(税込)

1冊でマンションリフォームマネジメントの業務を網羅しています。

マンションリフォームに関連した各種統計データなどを最新版にアップデートし、住宅設備に関しても新しい技術情報が盛り込まれています。

テツアドー出版公式サイトから購入できます。

受験のための試験対策講座

マンションリフォームマネージャー試験の対策講座が実施されています。

対策講座一例
  • ハウジングエージェンシー(HIPS)
    学科対策講座 22,000円(税込)
    設計製図対策講座 66,000(税込)
  • 町田ひろ子アカデミー
    製図対策講座 55,000円

受験料

すべて消費税込みです。

学科試験+製図試験:14,300円

学科試験のみ   :11,000円

製図試験のみ   :11,000円

受験申込方法

住宅リフォーム・紛争処理支援センター公式サイトの「マンションリフォームマネージャー試験」の項目から受験申込書や募集要項をダウンロードできます。

受験の申し込みは郵送で受け付けています。

まとめ

以上、マンションリフォームマネージャーという資格についてでした。

この資格を取得すると、マンションリフォームに関して必要な知識・能力を有すると準公的に認められたことになります。

リフォームを検討している方やトラブルに悩む管理組合などの良き相談相手として活躍できることでしょう。

また、マンション専有部分のリフォーム工事だけでなく、大規模修繕やマンション管理、さらにはマンション売買、インテリアデザインなどにかかわるチャンスもあります。

現在すでに約1万人弱の有資格者が活躍しています。

不動産や建築関係に携わっている方、マンションリフォーム関連業に関心のある方はこの「マンションリフォームマネージャー」にぜひチャレンジしてみてください。

 

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