マンション建替士について

マンション建替士について

マンション建替士とは、老朽化したマンションを建て替える際、住民による自主的な建て替えの推進を支援する専門家を養成するために創設された資格のことです。

マンションに関わる資格は複数ありますが、こちらは2018年から新しく始まった民間資格です。

興味のある方はぜひ読んでみてください。

適用する仕事

作業着姿の人

冒頭にも書きましたが、マンション建替士とは老朽化したマンションの建て替えを推進するための専門家のことです。

日本のマンションのうち、古いものは高度経済成長期にあたる昭和30~40年代にかけて建築されたものです。

都心部に集中する労働者の持ち家政策を推進するために建てられました。

2020年現在、国土交通省の調査によると、建築から40年以上を経たマンションは約103万戸もあるそうです。

これら老朽化したマンションは、暮らしにさまざまな問題を及ぼします。

老朽化による問題
  • 建物の劣化:
    構造体のひび割れ、雨漏りや外壁のはがれ、鉄部分の錆びなど
  • 設備の劣化:
    配管や配線の劣化、水圧不足、電気容量不足、換気設備が24時間体制でない
  • 安全性の不足:
    新耐震基準に不適格、防火設備の不足
  • 住民の高齢化:
    大規模修繕や改修費用の負担が困難、相続や借入などの個別事情
  • 非バリアフリー:
    エレベーター・手すりなし、住戸内の段差
  • 住環境の陳腐化:
    住戸面積が狭い、断熱や遮音の不足
  • 資産価値の低下:
    ハード面の劣化や居住者の減少による
  • 情報化社会への未対応:
    ケーブルテレビやインターネットが使えない

こうした問題には建て替えまたは大規模修繕・改修といった方法で対応するのが一般的です。

どちらにするかは建物の状態やさまざまな視点から判断する必要があります。ここで活躍する専門家がマンション建替士なのです。

マンション建替士の具体的な仕事は、マンション建替事業における住民、とくに高齢者のサポートです。

マンションの老朽化とともに、長く居住している方々も老いてゆくのは当然のことです。

建て替えや改修をするにあたっての仮住まいについて、資金の不安、こういった住民の本音を管理組合や不動産会社に伝える役割があります。

また、相続・贈与、介護など建て替えのネックになっている問題についても一緒に考えます。

もちろんハード面の問題も考える必要があります。「既存不適格」という言葉をご存じの方もいるでしょう。

建築当時は問題なかった建物が、時を経て改正された現在の法律に適合されなくなったことを指す言葉です。

こうした建物の建て替えではデベロッパー(土地・街の開発事業者)の参画が期待できないケースもあります。

ここでもマンション円滑化法などに精通した「マンション建替士」の出番です。住宅金融支援機構などの制度を活用しながら事業をサポートしていきます。

おおよその年収とキャリアパス

マンション建替士は新しく認定された資格なのであまり資料がありませんが、年収は平均で500万円以上だと思われます。

マンション建替士が活躍できる主な就職先は不動産業、ゼネコン、デベロッパーです。

デベロッパーとは開発者という意味で、「どうすれば街を発展させることができるか」を考える職業です。

ゼネコンとは、元請負者として各種の土木・建築工事を一式で発注者から直接請負い、工事全体のとりまとめを行う建設業者のことです。

不動産業

不動産業界でのキャリアパスは、例えば人材育成に興味のある人は店長のようなマネジメント職を目指す人が多いです。

また、不動産販売をしている人は仲介などの営業職へ転職する道もあるでしょう。

ゼネコン

ゼネコンでは社内でのキャリアアップが一般的です。

入社1年目~8年目程度は建築・建設・設備にかかわるさまざまな専門知識を学んで、徐々にキャリアを積み上げていきます。

そして実務職→中間管理職→上級管理職へと昇格していきます。

また、転職先としてはデベロッパー、ハウスメーカー、住宅マンション販売などが多いです。

認可団体

一般社団法人 マンション建替推進協会」です。

設立日:平成29年7月12日

<協会本部>
神奈川県横浜市西区浅間町1丁目2番地6
HY’s YOKOHAMA Felice302

TEL:045-594-6100(代表)
FAX:045-594-6508

活動内容
  1. マンション建替えに関する情報提供
  2. マンション建替えに関するイベント・セミナー・講演会の企画、制作および運営
  3. マンション建替えに関する書籍の出版
  4. マンション建替えなど不動産に関するコンサルタント
  5. マンション建替え事業に関する専門的な資格「マンション建替士®」の認定および資格制度の運用
  6. マンション建替士の資格取得者に対する教育研修事業
  7. マンション建替え事業に関する専門的な知識の普及および啓発、それに情報の収集や提供
  8. マンション建替え事業に関する国および地方公共団体の施作などのへの協力ならびに諸課題への対応

受験条件

以下の国家試験の合格者のみが受験できます。

受験条件を満たす資格
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 行政書士
  • 不動産鑑定士
  • 一級建築士
  • 土地家屋調査士
  • 測量士
  • マンション管理士
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 一級建築施工管理技士

合格率

合否

2018年に実施した第1回試験のデータですが、合格率は63%です。

100名が受験し、63名が合格しました。

新しい検定試験なのでこれからデータができてくるでしょう。

1年当たりの試験実施回数

年1回(例年11月の第3日曜日)実施されます。

試験科目

マンション建て替えにおける実用的知識を問う
  1. マンションの建替えに関する法令および実務に関すること(20問)
  2. マンションの建替えに関するその他の法律(6問)
  3. マンションの管理組合の運営に関する法令および実務に関すること(10問)
  4. マンションの建物および附属施設の構造ならびに設備に関すること(10問)
  5. 上記に掲げるもののほか(4問)

採点方式と合格基準

択一形式50問、試験時間は2時間です。

50点満点中30点以上の得点で合格となります。

取得に必要な勉強などの費用

マンション建替士試験 公式テキスト

マンション建替士試験 公式テキスト
created by Rinker

出版社名:ビジネス教育出版社
商品名:マンション建替士試験 公式テキスト
価格:¥3,300(税込)

試験前に万全の対策ができるテキストです。

区分所有法、マンション建替え円滑化法を中心に短期間で効率よく学習できます。

また、試験日が近づくと協会から「マンション建替士合格コース」という通信教育が受けられるお知らせが出される可能性があります。

オンライン直前対策講座

オンラインでマンション建替士試験の対策講座が受けられます。

受講料は11,000円(税込)です。ただし、公式テキスト代は含まれていません。

これも試験日の直前に設けられるかと思います。

受験料

20,000円(ただし前回受験生は10,000円)

受験申込方法

マンション建替士の公式サイトにアクセスしましょう。マンション建替士試験の欄に申込受付期間が載っています。

受験案内(願書)の準備ができ次第、そこから郵送請求やダウンロードができるようになります。

受験を申し込むには申込書のほかに以下が必要です。

必要書類
  • 写真2枚
  • 受験資格の証明書類
  • 受験料の振込記録

まとめ

以上「マンション建替士」に関しての記事でした。

マンション建替士は2018年にできた新しい資格です。こちらを受験するには、条件に挙げられた国家資格を持っていなければなりません。

言い換えれば該当資格を取得している人にはチャンスだと思います。

自身のキャリアを広げるためにマンションや不動産関係の分野への勉強をしてみてはいかがでしょうか。

 

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