マンション維持修繕技術者について

マンション維持修繕技術者について

「マンション維持修繕技術者試験」とは、マンションの維持や修繕に関して一定水準の知識や技術を図る試験です。

マンション建物・設備の維持安全に関する知識・技術および対応力の向上を図り、円滑な共同居住に関する社会的な要請に応えることを目的としています。

いわば、マンションの維持・修繕に関するプロフェッショナルと位置付けられた資格です。

今回はこの「マンション維持修繕技術者」を見ていきましょう。

適用する仕事

ガッツポーズをする女性資格名にもなっている「マンション維持修繕技術者」とは、マンションの維持・修繕をはじめとしたメンテナンスの専門家です。

日常的な点検や補修というよりも、長期における修繕計画に基づく大規模な修繕工事が行われる際に立ち会って、アドバイスやコンサルティングをするのが仕事です。

具体的な仕事内容
  • 修繕計画の企画立案や提案
  • 法定点検や各種点検のスケジュール管理
  • 不具合箇所の修繕見積作成
  • 外注業者の手配や管理
  • 工事の立ち会い
  • 月報作成  など

この資格を活かすことができる場は多岐にわたります。

活躍の場
  • マンション・ビル・ホテルなどの管理会社
  • マンション施工管理会社
  • 建築会社  など

また、管理組合に対してコンサルティング業務を行うマンション管理士事務所でもこの資格を活かせます。

管理組合の中で理事や委員となった際にもこの資格の知識を活かすことができるでしょう。

高度経済成長期に建てられたマンションは劣化が進んでいます。マンション維持修繕技術者の需要は今後ますます高まっていくことが予想されます。

おおよその年収とキャリアパス

マンション維持修繕技術者の年収は平均472万円のようです。ただし、東京都は基本給がほかの道府県と比較して高いことから年収は522万円が平均です。

ちなみに、国税庁の調べでは日本の平均給与は436万円ですので、それよりかは比較的高い水準であることがわかります。

上記は平均給与ですが、求人を探ると年収450万~700万円と打ち出しているところもあります。

一定水準の収入が得られる職業だということが分かりますね。

独立・開業するよりは、就職先での昇進を目指す人が圧倒的に多いでしょう。この資格と経験を武器に、最初の就職先とは違う業界に転職を目指すこともできそうです。

認可団体

主催している団体は「一般社団法人 マンション管理業協会」です。

〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-13-3 虎ノ門東洋共同ビル2階
TEL:03-3500-2721

こちらの協会は昭和54年に誕生しました。

分譲マンションが都市型住宅として定着し、管理問題が社会的に大きくクローズアップされた頃です。

当時は分譲マンションをめぐるさまざまな問題が都市住宅問題の課題として注目されていて、専門団体の設立は各方面から大きな期待が寄せられたこともあり、社団法人化がスムーズに進みました。

そして、同年の12月15日には建設大臣から社団法人設立の許可を得ました。

そして、時は流れて平成25年4月1日より一般社団法人へと移行し、協会名称を現在の「一般社団法人マンション管理業協会」へと変更しました。

受験条件

受験条件は細かく設定されています。

また、これらの条件は今後変更される可能性もあります。受験の際は改めて確認するようにしましょう。

次の(1)~(4)のいずれかに該当する方が対象となります。

(1)学歴+建築・設備関係の実務経験

学校については建築系の課程のみが該当します。実務経験は機械・電気・土木関係の課程も含みます。

  1. 4年制卒業後1年以上の実務経験
  2. 短期大学(3年)卒業後2年以上の実務経験
  3. 短期大学・高等専門学校(2年)卒業後3年以上の実務経験
  4. 高卒以上を対象とする専修学校・各種学校(2年以上)卒業後3年以上の実務経験
  5. 高卒以上を対象とする専修学校・各種学校(1年)卒業後4年以上の実務経験
  6. 工業高校卒業後5年以上の実務経験
  7. 4や5を除く中卒以上を対象とする専修学校・各種学校(2年)卒業後6年以上の実務経験

(2)実務経験のみ

8年以上の実務経験

(3)保有資格などによるもの

  1. 大規模修繕コンサルタント実務研修修了者(平成11年6月から平成14年7月[6回実施]の研修修了者)
  2. マンション維持修繕技術専門課程研修受講者(平成15年度以降の専門課程研修受講者のみ)
  3. 一級建築士又は二級建築士
  4. 技術士(建設部門)
  5. 建築設備士
  6. 区分所有管理士試験合格者
  7. 管理業務主任者試験合格者(移行講習修了者含む)
  8. マンション管理士試験合格者

(4)その他

マンション管理業協会理事長が上記に掲げる前各号と同等以上と認める者

合格率

合否

令和3年1月(令和2年度):28.2%
令和2年1月(令和元年度):27.0%

1年当たりの試験実施回数

年1回、例年9月に実施されます。

試験科目

出題範囲
  1. マンション概論(一般建設知識含む)
  2. 建物・設備の維持保全
  3. 建物・設備の劣化
  4. 建物・設備の調査診断
  5. 建物・設備の修繕設計
  6. 修繕工事の施工管理手法
  7. マンション修繕に関わる法律などの知識

採点方式と合格基準

試験は択一式です。
1問2点 50問100点満点です。

合格ライン
  • 令和2年度 70点
  • 令和元年度 62点

合格基準点は年度によって変動があります。少なくとも7割以上の得点ができるように準備しておくべきでしょう。

取得に必要な勉強などの費用

マンション維持修繕技術ハンドブック

マンション維持修繕技術ハンドブック
created by Rinker

出版社名:オーム社
商品名:マンション維持修繕技術ハンドブック
価格:¥11,000(税込)

こちらのテキストはマンションの維持修繕に関して、建築(構造関係)と設備(基本設備から先進設備まで)の両面を網羅し、それらの知見を最新法令に従わせてわかりやすく、かつ体系的に解説しています。

実務に直結する各種ノウハウの集大成というだけでなく、マンションの歴史や関連法制度などといった一般的な背景知識から説き起こしているところがこのテキストの特長です。

合格対策マンション維持修繕技術者試験

合格対策マンション維持修繕技術者試験
created by Rinker

出版社名:地人書館
商品名:合格対策マンション維持修繕技術者試験
価格:¥6,600(税込)

専門知識が既にある人はこちらのテキストを活用するのもよいでしょう。自分の知識を改めて確認する辞書的な役割で活用できます。

過去問題

協会の公式サイトには過去問が掲載されていますので、ある程度知識を蓄えたらそれらを繰り返し解いて本番に備えましょう。

研修

講師による講義と、実際にマンションで行われた劣化調査診断や大規模修繕工事の施工方法などを動画で説明するDVD教材講義を受講することができます。

受講料のみ(当日テキスト持参の方) 17,600円
受講料+テキスト代 28,600円

受験料

11,000円(税込)
※最新の情報をご確認ください。

受験申込方法

応募

試験実施日3か月前をめどに、試験の申し込み案内が協会公式サイトに掲載されます。

サイト上からダウンロードまたは受験申込案内書の郵送依頼(送料は有料)にて入手した後、協会本部宛てに郵送で提出します。

まとめ

以上「マンション維持修繕技術者」の記事でした。

マンションもどんどん築年数が経過し、老朽化していきます。

こうしたマンションの長期的大規模工事の際に管理・修繕のプロフェッショナルがいることで、コスト削減になったり住民たちの不安が軽減されたりするでしょう。

受験条件が細かく、かつ合格率も低い資格ではありますが、マンション維持修繕技術者の今後の需要はさらに高まっていくと考えられます。

 

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