一般計量士とは、秤やメーター、温度計など計量器機の検査・管理をする専門家です。
また、工場などの設備・機械の計量や計量器の点検・精度管理も担います。
今回は国家資格でもあるこの一般計量士について見ていきましょう。
Contents
適用する仕事
一般計量士のおもな仕事は計量機器の管理です。
こうした計量器の選定をしたり、計量器の使用方法を指導したりもします。
さらに定期検査、計量方法の改善や計量管理主任者の指導なども一般計量士の仕事です。
一般計量士が活躍する場所は多岐にわたります。
- 適正計量管理事業者
- 計量機器メーカー
- 流通業
- 食料品製造業
- 医薬品製造業
- 電気製品製造業
など
工場での需要
上記で挙げた製造業の工場には数多くの計測機器が備わっています。
製造工程では計量や温度の測定など、さまざまな計測機器を使用します。こうした計測機器を常に正常に動作させることは、コスト面の適正化や労働者の安全にもつながります。
お店での需要
食品を販売する世界でも一般計量士は需要があります。
量り売りのほか、調理場での計量や温度測定は一定の品質・味を保つために欠かせない工程です。
その他のメーター関係
ガスメーター、水道メーター、ガソリンスタンドの給油メーター、タクシーのメーターなども扱います。
どれもメーター部分が正しく作動することで初めて適正価格で取引することが可能な業種です。
このように、ものを正確に測れる機器、そしてそれらを管理する一般計量士は私たちの暮らしに密接にかかわっていることがお判りいただけたと思います。
おおよその年収とキャリアパス
一般計量士の平均年収は200~500万円と考えられます。
ずいぶん幅があると思った人もいるかもしれませんね。これは新人の一般計量士の平均初任給は18~22万円程度であるためです。
経験を積み、勤務年数を重ねていくうちに年収は上がっていきます。
計量事務所については最低1人の一般計量士を配置することが義務づけられているので、会社によっては2~3万円の資格手当を支給しているところもあるようです。
- 企業の品質管理部門に従事している人
- 企業の検査部署に従事している人
都道府県職員
これは計量検定所などの公的機関に勤務する技術職のことです。計量士の資格があることで採用される可能性があります。
環境計量士
一般計量士と名前が似ていますが、こちらは環境分析や騒音、振動についての計量を行うのが主な仕事です。
この環境計量士になるためには計量士の濃度関係、または騒音・振動関係の資格を取得しなければなりませんが、一般計量士の資格を持っていれば環境計量士の試験で一部優遇されます。
濃度関係の環境計量士は工場から排出される煤煙(ばいえん)、排水や環境(大気や水域)および工場跡地など土壌の中の有害物質、悪臭物質などの測定および計量を行うのが仕事です。
騒音・振動関係の環境計量士はプレス、送風機などの騒音源を有する工場や建設工事、道路(自動車)、鉄道、航空機の騒音の測定や計量管理などが主な仕事です。
認可団体
一般計量士の資格を主催している団体は経済産業省です。
受験条件
誰でも受験可能です。
あるいは、国家試験を受けるのとは別に資格認定コースという道があります。
国家試験を受けて合格した場合でも1年以上は実務経験が必要です。
合格率
【2020年実施の結果】
受験者数 813人
合格者数 171人
合格率 21.0%
1年当たりの試験実施回数
年1回、例年12月中旬に実施されます。
試験科目
- 計量に関する基礎知識(専門科目)
- 計量器概論および質量の計量(専門科目)
- 計量関係法規(共通科目)
- 計量管理概論(共通科目)
採点方式と合格基準
1科目あたり25問、1問4点で満点は100点です。
5肢択一式で出題され、マークシートで回答します。
ただし、試験科目の一部が免除されている方(環境計量士の資格を持っている場合)は専門2科目の合計点のみが合否判定の対象になります。
合格基準点は専門科目と共通科目、それぞれで120点以上です。
取得に必要な勉強などの費用
協会から公式テキストと過去問題集が販売されています。
テキスト(日本計量振興協会発行)
- 計量法の概要(計量関係法規) ¥4,400(税込)
- 計量管理概論の新教科書
計量士および計測技術者のための計量管理の基礎と応用¥4,950(税込) - 計量に関する基礎知識 数学・物理(令和4年2月改定)¥3,850(税込)
- 計量器概論及び質量の計量 ¥3,300(税込)
過去問題集(日本計量振興協会発行)
- 計量関係法規
(H29~R2 傾向別分類過去5年) ¥3,740(税込) - 計量管理概論
(H29~R2 傾向別分類過去5年) ¥3,740(税込) - 計量に関する基礎知識(数学・物象)
(H29~R2 傾向別分類過去5年) ¥3,740(税込) - 計量器概論及び質量の計量
(H29~R2 傾向別分類過去5年) ¥3,740(税込)
計量士国家試験直前対策講習会
【講習会受講料およびテキスト代】
1日 (共通科目) |
1日 (専門科目) |
両日 | |
受講料(税込) | 17,600円 | 17,600円 | 33,000円 |
テキスト代
(税込) |
テキスト2冊+過去問集2冊
16,830円 |
テキスト2冊+過去問集2冊
12,980円 |
テキスト4冊+過去問集4冊
29,810円 |
数学と物理の知識
試験科目の「計量に関する基礎知識」はテキストや問題集だけでなく、高校数学・物理の知識が求められます。
理解しやすい数学Ⅱ+B
出版社名:文英堂
商品名:理解しやすい数学Ⅱ+B
価格:¥2,090(税込)
名人の授業シリーズ 橋元の物理をはじめからていねいに【改訂版】力学編
出版社名:東進ブックス
商品名:名人の授業シリーズ 橋元の物理をはじめからていねいに【改訂版】力学編
価格:¥1,100(税込)
受験料
8,500円の国の収入印紙を願書に貼付します。資格取得後は登録料として3万円を納付する必要があります。
受験申込方法
受験を申し込むには次のものが必要です。
- 受験願書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 84円切手(受験票の送付用)
受験願書を手に入れる方法として、インターネットと郵便があります。詳しくは一般計量士(計量士国家試験)の経済産業省公式サイトをご覧ください。
まとめ
今回は「一般計量士」についてお伝えしました。
こちらは主に工場・お店に設置されている秤やメーターの検査・選定をしたりする仕事に就くための資格です。
試験では専門知識のほか、高校数学・物理の知識も求められます。
決して簡単な試験ではありませんが、こうした仕事に興味のある方、既に関連業務に就いていてさらなるステップアップを望む方はぜひ挑戦してみてくださいね。
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環境計量士(濃度関係/騒音・振動関係)について
など