気象予報士試験について

気象予報士試験について

2021年前期放送(5月~10月)の朝ドラは『おかえりモネ』でしたね。
そのとき注目されたのが気象予報士の資格です。
気象予報士ってあらゆる方面から天気のことを熟知していてすごいなと思います。
そんな気象予報士の資格は合格率は低いと聞きます。
一体どのような資格試験なのでしょうか。
有名人でも気象予報士の資格を持っている人はいます。
もう持っているよという方も、どうぞお付き合いください。

適用する仕事

気象予報士の試験というと適用する仕事として真っ先に思い浮かぶのは、テレビやラジオの気象予報士です。
たしかにそうした気象予報士になるのも適した仕事ですが、一握りだし解説だけしていれば良いというわけではありません。

気象の独自予報を行うのが重要で、こうしたことができるのは気象庁と気象庁長官から予報業務の許可を得ている事業者のもとで働いている気象予報士だけです。
つまりは、気象予報士の試験に合格したからといって、誰でもメディアの気象予報士になれるわけではありません。

では他にどんな「適用する仕事」があるかというと、下記のような業界です。

・農業、漁業
観光やレジャー
・流通、運送
建設
・交通、自治体

こういった業界では、気象予報を通じて作業進捗や実施日の調整、扱う商品サービスの売り上げ予測や企画などを行います。
その際、天気予報の知識が役立つでしょう。

気象予報士というとマスコミのイメージが強いですが、それ以外の一般企業や自治体でも活躍の場はあります。
企業や自治体向けに、気象情報の提供や気象コンサルタントを行う民間企業が多いです。
例えば、雷情報を提供することで、屋外レジャー施設電力、鉄道、工場といった場所での運営に役立ててもらいます。

新幹線と富士山

それに地方自治体の現場でも重宝されるでしょう。
台風やゲリラ豪雨など気象による災害は後を絶ちません。
それらに対策を講じなければならない地方自治体の現場では、気象の知識を持った方は不可欠です。
(この場合、気象の知識に加え、防災の知識や土木に関する知識も求められるかもしれません。)

このように、マスコミ以外でも気象予報士の資格を活かせる場はあります。

おおよその年収とキャリアパス

気象庁の画像

次は気象予報士の資格を取った場合の年収やキャリアパスです。

気象予報士の平均年収は550万円です。
しかし、職種によって大きく左右されます。

気象庁勤務 660万580円
気象会社  300万~550万円
民間のシンクタンク 480万円
マスコミ系のメディア企業 650万円
お天気キャスター 300~600万円ほど

テレビ局やラジオ局のような放送業界の気象予報士では、お天気キャスターとして独立したり、書籍の出版や講演会を開催するくらいの人気が出る人もいます。

民間の気象会社や一般企業に気象予報士として入社した場合は、組織の中で昇進して役職を得たり、メンバーを持って育成したりとキャリアアップするケースが挙げられるでしょう。

気象庁や地方自治体の公務員として働く場合は、一般的な公務員の給与体系に準じて支払われます。
公務員として気象予報に関わる業務をしている場合は、年齢や経験を積むことで年収や地位が上がっていくでしょう。
気象庁では全国の地方気象台および管区気象台などの係長級(技術専門官)として採用された後、管理職への登用への道もあります。

認可団体

主催団体
気象予報士の試験を実施している団体は「一般財団法人 気象業務支援センター」というところです。

〒101-0054
東京都千代田区神田錦町3-17 東ネンビル
一般財団法人 気象業務支援センター
電話:03-5281-0440
FAX:03-5281-0445
主な沿革
1994年3月 「(財団法人)気象業務支援センター」設立
〃 8月 第1回気象予報士試験実施
2012年4月 公益法人制度改革に伴い「一般財団法人」に移行
業務内容
  • 気象情報の提供
  • 気象予報士試験
  • 気象測器検定
  • 気象情報利用に関する研究・調査、支援
  • 国際協力
  • 研究推進
  • 気象情報に関する知識の普及、啓蒙
  • 気象業務の円滑な実施および健全な発達の支援

受験条件

受験条件の制限はありません(ただし、気象業務法による処分を受けた場合は除く))

合格率

2021年 4.6%
2020年 5.7%
2019年 5.1%

合格率が低いのは、学科試験に合格しなければ実技試験で採点されない方式だからです。
また、実技試験は非常に難易度が高く、せっかく学科で合格しても実技で落ちてしまうケースも多いです。

1年当たりの試験実施回数

例年、1月下旬と8月下旬の年2回実施されます。

試験科目

試験は学科試験と実技試験からなります。
いずれも筆記試験です。

学科試験

予報業務に関する一般知識
  • 大気の構造
  • 大気の熱力学
  • 降水過程
  • 大気における放射
  • 大気の力学
  • 気象現象
  • 気候の変動
  • 気象業務法その他の気象業務に関する法規
予報業務に関する専門知識
  •  観測の成果の利用
  • 数値予報
  • 短期予報・中期予報
  • 長期予報
  • 局地予報
  • 短時間予報
  • 気象災害
  • 予想の精度の評価
  • 気象の予想の応用

実技試験

  1. 気象概況およびその変動の把握
  2. 局地的な気象の予報
  3. 台風など緊急時における対応

採点方式と合格基準

学科試験はマークシートによる多肢選択式、実技試験は記述式

合格基準
学科試験(予報業務に関する一般知識):15問中正解が11以上
学科試験(予報業務に関する専門知識):15問中正解が11以上
実技試験:総得点が満点の70%以上

※ただし、難易度により調整する場合があります

取得に必要な勉強などの費用

合格率がとても低いと勉強にはたくさんの時間を掛けなければいけません。
良いテキストや講座があります。
公式サイトには過去問も掲載されています。

おすすめ書籍

『気象予報士かんたんテキスト』シリーズ

気象予報士には『気象予報士かんたんテキスト』シリーズが人気です。

気象予報士かんたん合格テキスト 〈学科専門知識編〉 ¥3,520(税込)
気象予報士かんたん合格テキスト 〈学科・一般知識編〉 ¥2,398(税込)
気象予報士かんたん合格テキスト 〈実技編〉 ¥3,520(税込)

イラスト図解よくわかる気象学

イラスト図解よくわかる気象学
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出版社名:ナツメ社
商  品  名:イラスト図解よくわかる気象学
価        格:¥2,640(税込)

難しいと言われる気象学をわかりやすく、丁寧に解説した本です。
気象学の山である熱力学と力学もやさしく解説しています。
親しみやすいマンガと多くのイラストを使っています。

一般気象学 第2版補訂版

一般気象学 第2版補訂版
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出版社名:東京大学出版会
商  品  名:一般気象学 第2版補訂版
価        格:¥3,080(税込)

気象学の基本的項目をやさしくかつコンパクトに解説しています。
こちらの補訂版には、地球環境問題に関する記述も盛り込まれています。

おすすめ講座

ユーキャン「気象予報士講座」 69,000円
気象予報士アカデミーの「気象予報士総合講座」 143,000円
お天気学園の「気象予報士講座の総合学習コース」 132,000円
藤田真司の気象予報士塾の「気象予報士講座」 204,000円
Team SABOTENの「学科一般コース」 99,000円

など

受験料

通常:11,400円
学科一科目が免除:10,400円
学科二科目が免除:9,400円

受験申込方法

郵送で提出

受験を申し込むには、まず受験申請書を手に入れなければなりません。
公式サイトでは試験要項が発表される時期に合わせて、受験申請書の申し込み受付が開始されます。

申し込み方法はインターネット、郵送の2つの方法があります。
ただし、案内書は無料ではなく1部200円するので注意しましょう。
また、申請書には写真が必須です。

受験申請書の提出は特定記録扱いとしての郵送のみです。
(封筒の大きさは角形4号~角形2号)

郵送先
〒101-0054
東京都千代田区神田錦町3-17 東ネンビル7階
一般財団法人 気象業務支援センター 試験部

まとめ

今回は「気象予報士」の資格についてお伝えしてきました。
気象予報士になりたいから「気象予報士試験」を受けるという動機は良いと思います。
ですが、気象の予報以外でも経営判断のための気象情報の分析や報道・教育用の資料作成などに役立てている人もいます。

試験に合格したけど気象予報士になれなかったと嘆かなくても、この資格の勉強は他の分野でも使えます。
合格率がとても低い資格ですから、合格した方は日常生活や仕事の面で知識が役立つと胸を張って過ごしましょう。

 

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