メディカルクラークというのは、医療事務としての知識や技術があることを証明するための資格です。
医療事務というのは、病院での受付窓口の人と言った方が早いかもしれません。
メディカルクラークという資格の歴史は45年にもなります。
受付業務、院内コミュニケーション、診療報酬請求事務に関する職業能力を判定します。
病院に行けばたいていお世話になる医療事務に関する資格を今回見ていきます。
Contents
適用する仕事
メディカルクラークを取得すると、お仕事としては主に医師や看護師が患者の治療に集中できるように裏方のサポートを行う業務です。
窓口業務
メディカルクラークは医療事務の資格なので、イメージとして浮かぶのは「窓口・受付」ではないでしょうか。
患者さんから保険証を預かったり、診療のための必要書類に記入してもらいます。
流れとしては保険証を確認し、カルテ作成や患者情報を入力します。
新患ならば診察券を発券します。
受診後は医療費の精算と会計をします。
医療事務は“病院の顔”として見られるので、一般事務に比べて高いレベルの接遇やマナーが求められます。
レセプト業務
これは医療事務の大事な仕事で「診療報酬請求」を指します。
診療費は患者側と健康保険組合などの保険者の双方が支払っています。
まず、医師が書いたカルテを見ながら保険診療で定められた診察行為を点数にして計算し、請求書を発行させます。
レセプトは月末で締めて、翌月の10日までに診査支払期間へ提出する流れとなっています。
このレセプト業務がされていないと医師がいくら診療をしても収入にはならないので、病院経営にとってレセプト業務は必須です。
つまり、これを行う医療事務の方は必要不可欠な存在なのです。
クラーク業務
特に大きな病院のメディカルクラークは、医師や看護師の秘書としても働くことが多いです。
「外来クラーク」や「病棟クラーク」とも呼びます。
おおよその年収とキャリアパス
メディカルクラーク(病棟クラーク)の平均年収は約277万円となっています。
幅をもって約220万~320万円というところでしょう。
日本の平均年収と比較するとけっこう低い金額です。
アルバイト・パートだと994円、派遣社員だと1,198円の平均時給です。
しかし、スキルや勤務先によって収入は変わってくると思います。
経験を積んで処理能力が上がってくると給与も高くなってくるでしょう。
能力給の意味合いをもつ「調整手当」というものもあるそうです。
キャリアパスですが、経験を積んで医療事務のスペシャリストになったり、病院のさまざまな業務に携わることによって企画や広報などのポジションに移る人もいます。
メディカルクラークとして勤務している人は女性の方が多いです。
つまり、女性が働きやすいように雇用がとられている職種です。
医療事務は専門性のある職業なので、家庭に入ってからもさまざまな医療機関でその経験やスキルを生かせるでしょう。
また、正社員だけでなく、パートやアルバイトで募集していることも多いことから多様な働き方が選べますよ。
認可団体
メディカルクラーク(医療事務技能審査試験)を主催している団体は、「一般財団法人 日本医療教育財団」というところです。
TEL:03-3294-6624(代表)
FAX:03-3294-1787
1974年(昭和49年)7月 | 財団法人日本医療教育財団設立 |
1974年(昭和49年)10月 | 医療事務技能者認定試験開始 |
1995年(平成7年)5月 | 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)開始(試験名称を変更) |
2012年(平成24年)7月 | 一般財団法人日本医療教育財団に移行 |
- 外国人患者受け入れ医療機関認定事業
- 能力評価事業(メディカルクラークをはじめ、ドクターズクラーク、メディカルオペレータなどの認定試験)
- 教育訓練事業
- 技能振興普及事業
- 調査研究事業
受験条件
問いません
合格率
メディカルクラークの合格率は高いです。
2020年 | 79.4% |
2019年 | 80% |
2018年 | 73.7% |
1年当たりの試験実施回数
医科 年12回(毎月)
歯科 年6回(5月、7月、9月、11月、1月、3月)
試験科目
- 学科(医療事務知識・全25問)
- 実技Ⅰ(患者接遇・全2問)
- 実技Ⅱ(診療報酬請求事務、診療報酬明細書点検・全4問)
実技Ⅰは窓口や電話で適切なコミュニケーションがとれるかを審査します。
実技Ⅱは試験問題のカルテとレセプトを見て誤りがないかチェックする問題形式となっています。
なお、学科と実技Ⅱは資料や参考書の持ち込みが許可されています。
採点方式と合格基準
学科試験および実技試験Ⅰ・Ⅱのすべての得点率が70%に達すれば合格です。
ただし試験科目免除制度というのもあります。
その間は不合格になった科目だけ、受験すれば良いという制度です。
実技Ⅰでは次のポイントを押さえるのが合格への道です。
- 正しい敬語を使用しているか
- 相手が理解しやすい言葉を使用しているか
- 相手からの質問への回答に時間を要する場合は、その理由を伝えているか
- 相手の不安を解消するための配慮を行えているか
取得に必要な勉強などの費用
合格への勉強は独学や通信講座でできます。
市販の参考書やテキスト、問題集
一番確実に問題対策できるのは、ニチイで販売されているメディカルクラークの予想問題です。
- 医療事務講座 レセプト点検攻略ドリル[医科]2,933円
- 医療事務講座 受験対策問題集[医科]3,982円
- 医療事務講座 受験対策問題集[歯科]3,982円
もちろん市販の書籍でも良いです。
ただし、市販ではメディカルクラークの試験対策に特化した商品は売ってないので、他の試験対策の問題集で勉強することになります。
最新・医療事務入門 2022年版
- 出版社名:医学通信社
- 商品名:最新・医療事務入門 2022年版
- 価格:¥2,640(税込)
2022年4月の医療保険制度・診療報酬・医療業務に完全準拠した最新版です。
病院やクリニックの事務職員、医事課職員として知っておきたい医療事務の基礎知識をすべて載せています。
診療点数早見表 2022年4月版
- 出版社名:医学通信社
- 商品名:診療点数早見表 2022年4月版
- 価格:¥4,950(税込)
2022年4月より診療報酬が全面的に改定されることとなり、その最新点数、施設基準、通知、事務連絡Q&A、材料価格、療養担当規則、介護給付調整、明細書記載要項までを完全収載された書籍となっています。
初心者のための 医療事務【BASIC】問題集 2022
- 出版社名:医学通信社
- 商品名:初心者のための 医療事務【BASIC】問題集 2022
- 価格:¥2,200(税込)
これから医療事務や診療報酬算定を学ぼうとする方、これから医療機関で医療事務のお仕事を始められる方におすすめな1冊です。
医療事務に関する試験で出された過去問題が載っているため、テキストの理解度を確認する意味でも使えますよ。
通信講座
メディカルクラークの資格を通信講座で勉強するには「ニチイ」がおすすめです。
ニチイの通信講座は3ヶ月で61,600円(税込)の受講料です。
受験料
7,700円(税込)医科・歯科
併願ができないため、どちらの科でも資格取得したい場合は2度受験する必要があります。
受験申込方法
- 受験料を銀行振込(財団指定口座)に納入します
- 所定の受験申込書に振込明細書を貼付のうえ、日本医療教育財団本部へ郵送します
申込期間は試験日の2ヶ月前より3週間前までです。
受験申込書は認可団体の公式ホームページを検索して、メディカルクラークのページを探すと「資料・申込書ダウンロード」のボタンがあります。
そこからダウンロードしましょう。
まとめ
医療事務の資格の中から今回は「メディカルクラーク」についてお伝えしてきました。
この資格以外にも医療事務関係の資格は存在します。
こちらの資格を取得すると、診療報酬請求事務業務や窓口業務など医療事務職として求められる能力を備えていることを対外的に証明できます。
しかし、合格率の高さから誰でも持っている資格と映るかもしれません。
それでも単なる医療事務検定試験よりは難易度が上です。
医療事務として仕事をしたいなら、持っていて損はありません。
ちなみに、医療事務の関連資格の中で最高レベルの難易度なのが「診療報酬請求事務能力認定試験」なので、就職面で有利になりたいならこちらを目指してくださいね。
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医療事務検定試験(日本医療事務協会主催)について
など