みなさんは環境再生医という言葉をご存知でしょうか。
環境再生医とは、NPO法人自然環境復元協会が制定した資格です。
どんな資格なのか見ていきましょう。
Contents
適用する仕事
地球温暖化による気候変動の課題は、これからの未来への持続性を考えるうえで外せないものです。生物の多様性を軸とした自然環境を保全する取り組みが急がれています。
そこで求められたのが環境再生医です。
環境再生医の資格を取得した方は、企業・教育機関の環境部門やSDGs(持続可能な開発目標)達成を目指す取り組みの担当者として活動できます。
さらには公共機関や金融機関でも同様の担当者となることが可能です。また、組織内での環境保全プロジェクトのリーダーやコーディネータを務めることもできます。
例えば、企業内に設置されたエコ活動プロジェクトリーダーとして、自治体、教育機関、環境関連のNPOなどと協働しながら森林の保全や河川敷クリーンアップなどに携わります。
現在では全国で約6,000人の方々が環境再生医として、さまざまな分野で活躍しています。
- 企業の環境部門、SDGsへの取り組み担当者
- 環境経営や環境コンサルタント
- 環境系のNPOや団体の関係者
- 教育機関などでSDGsやESGへの取り組み担当者
- 行政や公的機関のSDGsへの取り組み担当者
- 建設業などで環境やグリーンインフラに携わる方
- 金融機関のESGの投資担当者
- SDGs・ESG関連施設の関係者
- 生物多様性に配慮した農林漁業従事者
- 環境共生やSDGsを推進する店舗関係者
- 環境保全活動をする一般市民
おおよその年収とキャリアパス
年収とキャリアパスは前項目で挙げた職業の中から紹介します。
環境保全エンジニア
環境保全・公害防止に貢献する技術・機器を開発する仕事です。
環境保全エンジニアが携わるものは多岐にわたります。
- 廃棄物の処理装置
- リサイクル装置
- 汚染度の測定装置
- 浄水技術
- 省エネ技術 など
平均年収は541万円です。環境保全エンジニアは、環境機器メーカーや環境調査研究機関、分析機関、公共団体といったところで働きます。
昇進を目指すのが一般的ではありますが、環境管理士や環境計量士、それに環境コンサルタントとして転職することもあり得ます。
環境コンサルタント
企業や官公庁、その他の各種団体に対して、環境保全の専門家として問題解決の提案やアドバイスをする職業のことです。
クライアントが抱えている問題や課題を見つけ出し、分析したりデータを集めたりして調査・解析を進め、企画立案・制度設計をします。
年収は350万~1,000万円とバラつきがあります。
環境コンサルタントの主な就職先は、環境コンサルタント会社や都市開発会社、建設会社、ディベロッパーなどです。
環境事業を手掛ける企業は規模が基本的に大きいため、収入・福利厚生ともに安定している傾向にあります。
外資系のコンサルタント会社になると、20代で1,000万円以上の年収を得るケースもあります。
コンサルタントは成果主義の要素も強いため、能力の高い人材が評価されやすいでしょう。
認可団体
環境再生医という資格を認定している団体は「認定NPO法人 自然環境復元協会(通称:NAREC-ナレック-)」というところです。
1990年5月11日創設
2000年7月13日設立 ※法人格取得
2003年 環境再生に取り組む実践者を育成・認定する民間資格「環境再生医」制度を発足
2007年6月1日 国税庁より認定され「認定NPO法人」となる
〒160-0014
東京都新宿区内藤町1-7-201
FAX:03-6273-1086
E-mail:info@narec.or.jp
受験条件
環境再生医には初級・中級・上級があります。
初級
社会人であれば誰でも受講可能です。学生は大学院生・社会人学生に限ります。
中級
以下のうち、いずれかを有していること
- 環境保全に関する5年以上の実務経験
- 協会が中級受講に適切とする環境系資格保持者
- 技術士(部門:資源工学、建設、衛生工学、農業、森林、水産、応用理学、物工学、環境、原子力・放射線)
- ビオトープ管理士(1・2級)
- 樹木医
- 自然再生士
- 森林インストラクター
- 気象予報士
- エネルギー・環境マネジャー(レベル3・4)
- 計量士環境(濃度、騒音振動、一般)
- 公害防止管理者(部門問わず)
- 土地改良換地士
- 土壌環境監理士
- 土壌汚染調査技術管理者
- 公害防止管理者(ダイオキシン類、大気2種、水質2種)
- 臭気判定士
上級
環境保全に関する組織やプロジェクト運営の実務経験5年以上
環境保全に関することなら、有償・無償問わずあらゆる分野での経験値が該当します。
- 環境分野企業
- 団体、行政、研究・教育機関
- NPO・市民活動団体
- 農業、林業、酪農、漁業などの第1次産業
- 自然や環境をテーマとした店舗の運営
- 環境保全活動のボランティア
合格率
初級:86%
中級:81%
上級:72%
1年当たりの試験実施回数
年1回です。
11月~翌年2月頃に「環境再生医 資格認定講習(試験含む)」を実施します。
試験科目
試験内容は各レベルごとに用意されています。
初級
- 公式テキスト試験「初級編」
テキスト参照可、問題数は設問難易度により決定 - 基礎講習の受講(200~300字程度の感想などを提出)
- レポート試験「初級編」400字以上800字以内
中級
- 公式テキスト試験「中級編」
テキスト参照可、問題数は設問難易度により決定 - 基礎講習の受講(200~300字程度の感想などを提出)
- 実践講習試験
- レポート試験「中級編」800字以上1200字以内
上級
- 公式テキスト試験「上級編」
テキスト参照可、問題数は設問難易度により決定 - 上級講習試験
- レポート試験「上級編」1200字以上1600字以内
自活動に関する「論文・報告書・掲載記事」などのコピー(1点)の提出も含む - プレゼンテーション試験
自活動についての発表(約20分)と質疑応答
採点方式と合格基準
公式テキスト試験の問題は択一式と記述式があります。中級の実践講習試験、上級の上級講習試験は記述式です。
講習試験 正解率:6割以上
プレゼンテーション試験(上級)評価点:6割以上
レポート試験は「合否審査会」にて以下をを鑑みて総合的に判定します。
- 課題テーマとの連動性
- 対象級に応じた文章力
- 講習内容の反映度
取得に必要な勉強などの費用
試験にも使われる公式テキストは手に入れておきましょう。
発行元:環境新聞社商品名:環境再生医 第3版
価格:¥1,760(税込)
講習でも使われ、試験時に参照することもできます。環境保全の基礎やポイントがしっかり書かれています。
受験料
基礎コース (初級):1万円
実践者コース(中級):2万円
育成者コース(上級):3万円
すでに他の級の環境再生医の資格を持っている方は受講料が1万円引き、上級を受講の場合はテキスト試験が免除になります。
中級と上級の資格効力は5年間です。更新料は3,000円です。
受験申込方法
公式サイトをに資格認定講習のページが載っています。
「受講要項・お申し込みはこちら」のボタンから申し込んでください。
まとめ
今回は「環境再生医」という資格について見てきました。
環境再生医とは、自然環境、自然とヒトの関係の再生を目指すSDGs時代の環境人材です。
受講者の業種はエネルギー業、教育機関、公務員、建設コンサルタント、経営コンサルタント、市民団体、建設業、林業、造園業、漁業、農業などさまざまです。
環境再生医の資格を取得した方は企業の環境部門やSDGsやESGの担当者として活動できます。
初級は誰でも受講できますので、環境問題にに興味のある方は受講してみてはいかがでしょうか。
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