みなさんは空手を見たことがありますか。オリンピックで初めて見たという人も多いかもしれませんね。
今回は空手の審判員・指導員について取り上げます。さっそく見てみましょう!
Contents
適用する仕事
空手公認審判員や空手公認指導員は文字通り、空手の試合の審判をしたり稽古の指導をしたりするのが仕事です。
競技会で公認審判員を務めたり、学校などで指導者として子どもたちや後輩を育成したりします。
空手には大きく分けて2種類あります。伝統空手(ノンコンタクト空手)と実践空手(フルコンタクト空手)です。
今回の資格が適用されるのは伝統空手のほうです。
空手の審判員の仕事内容
空手も含めたあらゆる競技の審判の仕事は、競技のルールに則って試合を厳格に、かつスムーズに進行させることです。
勝敗の判定のほか、以下のような宣告をするのも空手における審判の役割です。
- 勝負始め:
試合開始の合図 - やめ:
試合中断・終了の合図 - 有効:
中段または上段への突きなど。1ポイントが付与される。 - 技あり:
中段への蹴り、背面への突きなど。2ポイントが付与される。 - 一本:
上段への蹴り、倒した相手への突きなどが決まったとき。3ポイントが付与される。 - 忠告:
初回の軽微な違反に対して宣告される。 - 警告:
忠告を受けた選手がさらに軽微な違反をした際に宣告される - 反則注意:
警告を受けたうえで違反した選手に宣告され、その相手に2ポイントが与えられる - 反則:
反則注意を受けたあとの違反、あるいは重大な違反をした選手に宣告される - 失格:
重大な違反や審判に従わないなどの行為に対して審判の協議によって決定される。この宣告を受けた選手は試合への出場権を失う。
基本的に反則の判定は主審の他に副審2名以上の判定が必要になります。
空手の指導員の仕事内容
空手も他の競技指導員と同様、選手を育成するのが仕事です。
選手に合わせた練習メニューを作成したり、関係者とのミーティングを重ねて試合に勝てる作戦を考案したりします。
選手との交流を通して、個性や伸ばすべきポイントを把握するのが大切です。ときには大きく方向性を変更する柔軟な判断力も必要になります。
おおよその年収とキャリアパス
空手公認審判員の収入
審判員自体を本業にするのは難しいでしょう。
公認審判員の収入は日給の交通費込みで1,000円~、多くても10,000円ほどです。ほとんどの公認審判員は、教員や空手道場の運営、さらにはサラリーマンなどといった本業の傍ら試合に赴きます。
空手公認指導員の収入
公認指導員については求人が出ています。空手教室、そのほかの複合施設などで募集しているようです。
地域にもよりますが、時給1,000円~3,000円程度の求人が目立ちます。
放課後の習い事という位置づけで開かれている道場が大半ですので、拘束時間は3時間から5時間ほどと考えられます。
また、指導員資格保持者の中には道場を経営している人もいます。収入源は生徒の月謝がほとんどです。ちなみに、空手の月謝は3,000~5,000円ほどです。
審判員同様、ほかに本業を持つのがベターといえそうです。
資格がなくても空手の指導はできますが、全日本主宰の試合の監督やコーチなどを志望する人は公認指導員の資格を取得しておきましょう。
認可団体
空手公認審判員および空手公認指導員の資格試験は「公益財団法人 全日本空手道連盟」が運営しています。
〒135-8538
東京都江東区辰巳1-1-20
TEL:03-5534-1951
FAX:03-5534-1952
沿革
1964年10月 | 全日本空手道連盟(JKF)設立 |
1969年1月 | 文部省より財団法人認可取得 |
1969年10月 | 第1回全日本空手道選手権大会の開催 |
2001年8月 | 第1回全日本少年少女空手道選手権大会の開催 |
2005年9月 | 第1回全日本障害者空手道選手権大会の開催 |
2012年4月 | 内閣府の認可を受けて、公益財団法人に移行 |
受験条件
審判員、指導員とも受験条件が設けられています。
年齢、空手歴(10歳以降の経験)、段位などによって受験の可否が分かれます。
公認審判員
公認審判員は「組手」「形」の2種類に分かれています。組手は互いに向き合って技を繰り出す試合を指します。形は、決められた空手形の演武の優劣を決める試合を指します。
資格名 | 年齢 | 空手歴 | 段位 | その他 |
都道府県組手 | 25歳以上 | 7年以上 | 3段以上 | |
地区組手 | 27歳以上 | 8年以上 | 3段以上 | 都道府県組手審判員取得後2年以上 |
30歳以上 | 30歳以上 | 11年以上 | 4段以上 | 地区組手審判員取得後3年以上 |
資格名 | 年齢 | 段位 | その他 |
都道府県形 | 30歳以上 | 4段以上 | 地区組手審判員(A級)・公認地域スポーツ指導者(C級)または競技力向上指導者(C級)の資格保持者 |
地区形 | 35歳以上 | 5段以上 | 全国組手審判員のほか公認地域スポーツ指導者(C級)または競技者向上指導者(C級)の資格保持者 |
全国形 | 45歳以上 | 7段以上 | 全国組手審査員・地域スポーツ指導者(B級)または競技力向上指導者(C級)の資格保持者 |
公認指導員
20歳以上、空手歴4年以上、2段以上保持者
※公認指導員および公認スポーツ指導者の資格には、上級指導員、コーチ、上級コーチというランクがありますが、ここでは省略します。
合格率
組手審判員の場合ですと補欠者も含めてだいたい20%~25%といわれています。
指導員の合格率は非公開です。
1年当たりの試験実施回数
審判員、指導員とも年1回実施されます。
試験科目
筆記試験と実技試験があります。
都道府県組手審判員・地区組手審判員・全国組手審判員
- 「空手競技規程(組手競技)」および「全国組手審判員講習会資料」の解説
- 組手審判員の心構え
- ジェスチャー、発声など
- 組手審判実技(代表者による組手審判実技で講習することを含む)
都道府県形審判員・全国形審判員
- 空手競技規程(形競技)、形審判の判定基準、形競技ルール補足及び申し合わせ事項の解説
- 形審判員の心構え
- 形審判員の基本
空手競技規程(形競技)、形競技ルール補足及び申し合わせ事項等に基づいて基本的なことについて指導する。 - 形の評価
第1指定形8つにつき個々の演武者の演武に対し、講師より評価点を示して基準点のあり方について適正な指導をする。
公認指導員
共通科目
専門科目(種目の特性に応じた基礎理論、実技、指導実習)
採点方式と合格基準
都道府県組手審判員・地区組手審判員
筆記試験の問題は全空連作成の問題集から50問出題され、100点満点で採点されます。
実技試験は審査判定表に基づき、評価が高い順に2点、1点、0点を付けて総合判定します。
審査長は5人の審査員の得点の合計を算出します。
筆記の得点が70点台でも実技の成績がよければ合格できる可能性があります。その逆も然りです。
合格ライン
実技試験合計点 | 筆記試験点数 |
7点以上 | 80点以上 |
6点 | 90点以上 |
10点以上 | 70点台 |
全国組手審判員
筆記試験は上記のとおりです。実技試験も評価方法は同じで、審査員は7名になります。
合格ライン
実技試験合計点 | 筆記試験点数 |
11点以上 | 80点以上 |
10点 | 90点以上 |
14点以上 | 70点台 |
上記の基準に満たない者、実技試験が10点未満あるいは筆記試験が70点未満の者は不合格となります。
都道府県形審判員・地区形審判員
筆記試験は全空連作成の問題集より25問出題され、100点満点で採点されます。
実技試験の採点方式は以下の3つです。
- 審査員5名の各演武者に対する評価点の平均値を求め、これを採点平均値とする。
- 採点平均値を用いて演武者の順位を確定し、これを採点順位とする。
- 合否判定に関する表を用いて採点する。
実技と筆記の減点値の合計が4点以内で合格です。反対に減点値の合計が5点以上、筆記試験も70点未満は不合格です。
全国形審判員
筆記試験は全国形審判員用試験で50問が出題され、100点満点で採点されます。実技試験は評価実技試験・形実技試験の2つの採点がされます。
- 審査員5名の各演武者に対する評価点の平均値を求めて、これを採点平均値とする。
- 採点平均値を用いて演武者の順位を確定し、これを「採点順位」とする。
- 合否判定に関する表を用いて採点する。
筆記試験・実技試験の両方が合格基準に達した場合に合格とします。
公認指導員
【試験科目】で挙げた共通科目と専門科目の講習を受けて、日体協が実施する筆記試験による共通科目と、本連盟が実施する技能検定を主体に筆記試験などを加えた総合判定による専門科目に合格して取得します。
取得に必要な勉強などの費用
全日本空手道連盟公式サイトから筆記試験向けの問題をダウンロードすることができます。
実技試験対策は周囲の経験者に稽古をつけてもらったり、講習を受けたりするのが一般的です。
受験料
組手審判員の新規受審者は25,500円です。
公認指導員の受講料は共通科目18,700円(別途リファレンスブック代3,300円・税込)、専門科目が15,400円(税込)です。
受験申込方法
審判員に関しては、全日本空手道連盟の公式サイトに全国組手審判員審査会の募集が載っています。案内に従って申し込みましょう。
指導員志望の場合は公認空手道コーチの講習を探しましょう。公益財団法人日本スポーツ協会公式サイトを確認してください。
まとめ
今回は空手の審判員および指導員について解説しました。
競技を続けていくうちにこうした道への関心が高まってきた人もいるでしょう。段位や空手歴などのハードルはありますが、これまで稽古に打ち込み昇段してきた人にとってはそう難しい資格ではないかもしれません。
空手の指導者を志望する人はぜひチャレンジしてみてください。
関連する記事はこちら
トレーニング指導士について
THP指導者について
エアロビックダンスエクササイズインストラクターについて
以下の特徴があります。