建築物環境衛生管理技術者(通称「ビル管理技術者」「ビル管理士」)について

建築物環境衛生管理技術者(通称「ビル管理技術者」「ビル管理士」)について

建築物環境衛生管理技術者とは、名前の通り建築物の環境衛生の維持管理に関する監督などを担う人のことです。

この長い名前は「通称:ビル管理技術者」、もっと縮めて「ビル管理士」とも呼ばれています。

適用する仕事

床面積が3,000㎡以上の特定建築物は、建築物環境衛生管理技術者資格の保有者を選任することが義務付けられています。

建築物環境衛生管理技術者の仕事は、ビルメンテナンスの統括です。

電気や空調などの設備管理

点検 作業員ビルや商業施設の電気・空調などの設備管理の仕事です。異常や故障がないかをチェックし、場合によっては修理業者に連絡します。

自分で修理する必要はありませんが、外部の業者に現状を正しく伝える能力が求められます。

廃棄物処理などの衛生管理

業者と連携して施設の衛生環境を整備するのもこの職業の役割です。必要に応じて廃棄物処理業者に連絡します。定期点検清掃も含まれます。

害虫や害獣の駆除

ケースとしては少ないですが、施設内の衛生管理の一環で害虫・害獣の駆除なども業務の1つです。こちらも直接駆除するのではなく、業者に依頼するのが役目です。

 

このように、建築物環境衛生管理技術者は基本的にビルの不具合に対して、協力会社の手配、修理や駆除の打ち合わせ、交渉など、ビルメンテナンスにおける司令塔のような役割を果たしています。

おおよその年収とキャリアパス

建築物環境衛生管理技術者の平均年収は300~400万円とされています。

全業種の平均年収(430万円)から見ると低い数値に見えますが、勤続年数や都道府県によって差はあります。

年収が500万円以上の方も少なくないようです。

設備管理はビルや病院、学校など建物全般に必要なものなので、建築物環境衛生管理技術者の資格を活かせる場は数多くあります。

原則として2ヶ所以上の特定建築物を兼務してはならないとされている点も高需要の一端を担っているといえます(建築物衛生法では職務遂行上支障がないと判断される場合は兼務も可とされているものの、その場合も制限があります)。

さらなるキャリアアップを目指すなら、建築物環境衛生管理技術者に加えて電気主任技術者、消防設備士、ボイラー技士などの資格を取るとビルメンテナンス業界での需要はより高くなるでしょう。

認可団体

建築物環境衛生管理技術者の資格取得は、厚生労働大臣の指定を受けた「日本建築衛生管理教育センター」で行われています。

〒100-0004
東京都千代田区大手町1丁目6番1号 大手町ビル7階743区

TEL:03-3214-4627(代表)
FAX:03-3214-8688

沿革
昭和45年8月 財団法人ビル管理教育センター設立
昭和46年10月 第1回建築物環境衛生管理技術者試験実施
昭和59年11月 本部 新丸ビル(東京都千代田区)に移転
平成9年2月 本部 東京ビル(東京都千代田区)に移転
平成14年11月 本部 大手町ビル(東京都千代田区)に移転
平成25年4月 特例民法法人から公益財団法人へ移行、「公益財団法人日本建築衛生管理教育センター」に名称変更

受験条件

厚生労働省令で定められた建築物の用途部分において、同省令の定める実務に2年以上従事した者

定められた建築物とは

  • 興行場(映画館、劇場等)、百貨店、集会場(公民館、結婚式場、市民ホール等)、図書館、博物館、美術館、遊技場(ボウリング場等)
  • 店舗、事務所
  • 学校(研修所を含む)
  • 旅館、ホテル
  • その他の類する建築物
    多数の者の使用、利用に供される用途で、かつ衛生的環境も類似しているもの(共同住宅、保養所、寄宿舎、保育所、老人ホーム、病院等)

ただし、次のところは受験資格に該当しません。

該当しないところ
もっぱら倉庫、駐車場、工場(浄水場、下水処理場、清掃工場、製造工場等)等の用途に供されるもの。
その他特殊な環境(通信施設、発電所等)にあるもの。

厚生労働省令の定める実務とは

これは建築物における環境衛生上の維持管理に関する実務を指します。

厚労省令の定める実務
  1. 空気調和設備管理
  2. 給水、給湯設備管理 (貯水槽の維持管理を含む。浄水場の維持管理業務を除く)
  3. 排水設備管理 (浄化槽の維持管理を含む。下水処理場の維持管理業務を除く)
  4. ボイラー設備管理
  5. 電気設備管理 (電気事業の変電、配電等のみの業務を除く)
  6. 清掃及び廃棄物処理
  7. ねずみ、昆虫等の防除

ただし、修理専業、アフターサービスとしての巡回は実務に該当しません。

合格率

合格2021年 17.7%
2020年 19.5%
2019年 12.3%

1年当たりの試験実施回数

年1回です。
例年10月の上旬に実施されます。

試験科目

  1. 建築物衛生行政概論
  2. 建築物の構造概論
  3. 建築物の環境衛生
  4. 空気環境の調整
  5. 給水および排水の管理
  6. 清掃
  7. ねずみ、昆虫などの防除

採点方式と合格基準

建築物環境衛生管理技術者の問題は選択式です。7科目、合計180問出題されます。

合格基準は各科目ごと40%以上の得点、かつ全科目65%以上の得点が必要です。

取得に必要な勉強などの費用

独学もできますし、ひとりで対策することが不安な場合は講習会なども実施されています。

おすすめのテキスト

ビル管理技術者(建築物環境衛生管理技術者)試験

ビル管理技術者(建築物環境衛生管理技術者)試験
created by Rinker
出版社名:地人書館
商品名:ビル管理技術者(建築物環境衛生管理技術者)試験
価格:¥4,950(税込)

建築物環境衛生管理技術者の受験対策本です。

2022年版 ビル管理士試験模範解答集

2022年版 ビル管理士試験模範解答集
created by Rinker
出版社名:電気書院
商品名:2022年版 ビル管理士試験模範解答集
価格:¥2,420(税込)

こちらは2021年から2016年までの6年間に実施された全問題と解答・解説を収録しています。
各問題には出題頻度ランクを示してあるため、重要項目がつかめます。

おすすめの動画教材

SAT 34,800円
CIC 43,000円

専門学校や講習会

日本建築衛生管理教育センター 10万円程度の費用(ただし受講資格あり)
JTEX職業訓練法人日本技能教育開発センター(通信講座) 4万円程度

受験料

お金
13,900円(消費税は非課税)

受験申込方法

受験願書を入手します。

受験願書の入手方法

「日本建築衛生管理教育センター」公式サイトの国家試験情報欄からダウンロードできます。

また、郵送で請求する方法もあります。

住所、氏名、郵便番号を記載した返信用封筒(封筒の大きさは角形2号[縦332mm、横240mm])に140円分の郵便切手を貼り付けます。

このとき、「受験願書等の請求」である旨と日中の連絡先を記載したメモも同封してください。郵送による請求先は以下のとおりです。

願書請求先
〒100-0004  東京都千代田区大手町1丁目6-1  大手町ビル7階743区
(公財)日本建築衛生管理教育センター 国家試験課
電話番号:03-3214-4620

受験申込に必要な書類

次の3つの書類が必要です。

  1. 実務従事証明書または再受験の方は有効期間内の受験票
  2. 受験写真用台紙
  3. 受験手数料の振替払込請求書兼受領証

実務従事証明書も「日本建築衛生管理教育センター」公式サイトの国家試験情報欄からダウンロードできます。

所定の封筒に入れて簡易書留で郵送してください。

まとめ

以上「建築物環境衛生管理技術者」についてでした。

建物はひとりの人間、ひとつの職業で維持できるものではありません。それぞれの業者が適切に対処することが重要です。各業者へ連絡・指示する役割を担うのが建築物環境衛生管理技術者です。

合格率は2割を切っているものの、取得すればさまざまな場所で活躍できる資格であることは間違いありません。

 

関連する記事はこちら
建設施工管理技士試験について

マンション管理士(マン管)について