国家資格の公認会計士とは、会計の専門家です。
その資格についての情報をまとめさせて頂きました。
Contents
適用する仕事
公認会計士の仕事の主要なものは、監査、税務、コンサルティングです。
こちらでは、組織の中での公認会計士の仕事内容についても紹介しています。
監査
監査は、公認会計士のみが行うことができる独占業務です。
監査には、特定の資格がないとできない仕事があります。
資格を持っていないと携わることが禁じられている業務を独占的に行うことができる資格を、業務独占資格といいます。
監査とは、企業や法人の財務諸表を確認して、独立した立場から財務情報の信頼性を担保する業務です。
監査には、法廷監査、任意監査、国際的な監査の3種類があります。
法廷監査
法廷監査とは、監査の中でも法律の規定により義務付けられているものです。
上場企業であったり、店頭公開企業や株式公開企業などは金融商品取引法により、また資本金が5億円以上、あるいは負債額が200億円以上の株式会社は、会社法に基づいて、公認会計士か監査法人の監査を受けることが義務付けられています。
他にも、保険会社や投資法人、学校法人、銀行、社団・財団法人、医療法人などの様々な団体が個別の法律に基づいて監査が義務となっています。
任意監査
法廷監査以外の監査は、任意監査と呼ばれます。
その任意監査を行う目的には次のようなものがあります。
- 財務の適正化などを理由として企業が自発的に受けるもの
- M&Aの際に買い手企業が売り手企業に対して行う買収監査
- 銀行などからの融資の条件として行われる監査
国際的な監査
海外の証券取引所に株式を上場する場合、または海外で資金調達をしようと思う場合などには、国際的な監査を受ける必要があります。
国際的な監査は、国際監査基準(ISA)に基づいて行われます。
日本での監査基準も、国際監査基準の内容を取り込んだものになっています。
税務
公認会計士の資格を取れば、研修を受けることによって税理士資格も取得できます。
税理士資格を取得すると、以下の業務を特製業務として行えます。
- 税務の代理:税務署への税金の申告や納税、税務署への不服申立などを納税者に代わって行う
- 税務書類の作成:税務署に税金を申告する際に必要な書類を、納税者に代わって作成する
- 税務相談:税金の申告や税務署への不服申し立てなどについて、納税者からの相談を受け、助言する
コンサルティング
公認会計士は、会計の専門知識をもとにコンサルティングもよく行います。
ここでコンサルティングとは、企業や公共機関などの役員(特に経営者)に対して解決策を示して、その発展を助ける業務のことです。
特にFASと呼ばれる、財務・会計に関する専門的な助言を実施するコンサルティングで活躍される方が多いです。
組織内会計士
近年では、監査法人ではなく様々な組織内で働く公認会計士が増えています。
公認会計士が働くところには、証券会社や銀行、メーカー、商社などの一般企業やコンサルティング会社、国や地方の公共団体、教育機関などがあります。
そういった組織の中で公認会計士は、財務諸表の作成などの経理業務、財務の方針や戦略策定などの財務業務、経営情報の管理や分析などを行うIR業務、あるいは内部統制構築やIFRS導入などの特定業務を行うプロジェクト業務を行います。
2005年までは公認会計士試験合格者には、「会計士補」という資格が与えられていましたが、2006年の改正によって「会計士補」の制度は廃止されました。
ただし、2006年の公認会計士法改正前から会計士補である人には、会計士補の業務が認められています。
公認会計士として活躍するには、試験で身に着けた知識を現場の経験と補習で確たるものにしていくのが良いです。
この実務補習というのは、試験の合格後に一般財団法人会計教育研修機構で受けるものです。
3年間のうちに単位を取らなければならない制度になっていて、必要単位を取得すると修了です。
講義は、平日の夜間、それと土曜日曜に開催されています。
頻度は週に1回から2回です。
ここでの必要単位は、研修に出席すると得られるものであったり、テストの結果やレポート内容、ディスカッションなどがあります。
おおよその年収とキャリアパス
監査法人に就職すると、年齢によらずスタッフからスタートします。
スタッフの初任給は、年収500万円~600万円程度です。
そこから4年から5年程度でシニアスタッフになり、年収は650万円以上になります。
残業を多くしていれば、年収1000万円近くになることがあります。
キャリアパスとしては、その後はマネージャーになると年収800万円以上、そこからシニアマネージャーになって年収1200万円以上となることが多いです。
認可団体
金融庁認定の国家資格です。認定団体は金融庁です。
受験条件
受験条件は特にありません。
年齢、学歴、国籍を問わず誰でも受験することができます。
以前は大学に2年以上在学して、一定以上の単位を修得した者などの制限がありましたが、2006年に改正された新しい制度では、誰でも受けられるようになりました。
合格率
ここでの合格率は、願書を出した人数から欠席者数を引いた数を母数にして、合格率が算出されたものです。
2021年度の短答式試験
第Ⅰ回試験の合格率:感染拡大の影響により実施見送り
第Ⅱ回試験の合格率:約21.6%
2020年度の短答式試験
第Ⅰ回試験の合格率:約15.7%
受験者:7245名
合格者:1139名
第Ⅱ回試験の合格率:約12.9%
受験者:5616名
合格者:722名
この年の論文試験の合格率:約35.9%
受験者:3719名
最終合格者数:1335名
2019年度の短答式試験
第Ⅰ回試験の合格率:約16.6%
第Ⅱ回試験の合格率:約12.7%
ここで、第Ⅰ回と第Ⅱ回の合格者数の合計よりも、論文試験の受験者が多いのには理由があります。
多くの人は短答式試験に受かった年に論文試験を受けるのではなく、1年から2年ほど論文式試験の勉強に専念してから受験しているからです。
また、短答式に合格したけれども、論文式の合格には何年もかかる人もいます。
ここで、短答式と論文式を合わせた合格率は5.6%ほどです。
例年、合格率は5%前後といわれているので、公認会計士が三大難関国家試験といわれている通りの難しさとなっています。
1年当たりの試験実施回数
短答式試験は年に2回実施されています。論文式試験は年に1回の実施です。
短答式試験に合格すると、その後2年間は短答式試験が免除されます。
論文式試験は科目合格制が導入されて、合格した科目については2年間免除を受けることができます。
試験科目
短答式と論文試験、それぞれ科目があります。
試験の科目免除についても触れておきます。
短答式の科目
短答式(マークシート)試験の試験科目は以下の5科目です。
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
- 租税法
論文試験の科目
論文試験の試験科目は以下の5科目です。
- 会計学
- 監査論
- 租税法
- 企業法
- 選択科目
(選択科目は経営学、経済学、民法、統計学の4科目の中から1科目を選択)
科目免除について
【合格率】の項目でもお伝えしたように、短答式試験に合格すると、その後2年間は短答式試験が免除されます。
論文式試験は科目合格制が導入されて、合格した科目については2年間免除を受けることができます。
科目免除には申請が必要で、出願の時に免除通知書の写しなどを添付する必要があります。
科目免除の申請は通年可能です。2006年以降に手続きが済んでいるのであれば、以降は再申請の必要はありません。
論文式試験の免除は一部科目のみです。短答式試験では全科目免除になる場合もあります。
免除についてですが、論文式試験の免除は一部科目のみです。しかし、短答式試験においては全部科目が免除になるケースもあります。
科目の合格は2年間有効です。
一度短答式試験、または論文式試験の一部科目に合格すると、その後の論文式試験で不合格になった場合でも、次に受験する時に該当の試験が免除されます。
繰り返しますが、試験合格の有効期間は2年間なので注意してください。
科目免除の対象者
- 大学などで、商学や法律学関連の教授か准教授歴3年以上
- 商学や法律学関連における博士の学位を持つ人
- 司法科または行政科の高等試験の合格者
- 司法試験または旧司法試験第2次試験合格者
- 税理士資格の保有者
- 簿記論および財務諸表論2科目で60%以上取得(財務会計論)
- 会計専門職大学院における特定以上の科目数修士の学位(学位取得科目による)
- 条件を満たす法人での会計または監査関連業務経験7年(財務会計論)
ここで、免除を申請する条件によって、申請に必要な書類が異なってきます。
採点方式と合格基準
短答式(マークシート)試験の採点方式は、選択式問題なので正誤判定と思われます。
論文試験の採点方式は公表されていません。
合格のラインは試験ごとに調整されます。
合格が正答率72%のこともあれば65%のときもあります。
あらかじめ合格ラインはわからないですが、およそ70%、350点あたりが基準ラインになります。
ただ、1科目でも満点の40%に満たない科目がある場合は、合計の点数が良くても1科目の足切りで不合格となる場合があります。
なので、得意な科目をあてにして、苦手な科目の勉強を怠ることはオススメできません。
それと、勉強を怠ったわけではなくとも、1つの科目だけ明らかにうまくいかないこともあると思います。
そういったときも、諦めずに解答したほうがいいです。
例えば、全体の合格ラインの70%を取るのが難しい場合でも、足切りにならないくらいの(例えば50%)を目標に切り替えるのがいいです。
足切りにさえならなければ、最後の財務会計で巻き返しは可能です。
「財務会計」の得点は大きいです。
なぜなら、財務会計は担当の科目の中で、唯一200点満点の科目だからです。
これは総得点の40%になります。
取得に必要な勉強などの費用
公認会計士試験は受験生の多くが専門学校を利用していて、独学で合格することが難しいです。
公認会計士に短期合格するために公認会計士の予備校というのがあります。
例を1つ挙げると「CPA会計学院」という予備校ですが、そちらでの講義を受けるには費用が68万円(税込)掛かります。
校内に公認会計士試験合格者の講師が常駐しています。
CPA会計学院は仕事や学校が忙しい人であったり、自宅からの距離が遠い方向けに通信スタイルの講座を行なっています。
その他の大手、中堅の資格予備校の平均授業料でも約61万円ほどかかります。
受験料
受験手数料は19,500円です。
短答式(マークシート)試験の出願時に納付が必要です。
短答式試験の全科目免除者、または一部科目免除者も同額の納付が必要です。
試験地は北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県、沖縄県です。
受験申込方法
受験申込方法はインターネットによるものと書面によるものの、2つの願書の提出があります。
インターネットでは、受験票などのダウンロードがありますので「公認会計士・監査審査会」のホームページを確認しましょう。
マイページログイン画面が載っています。
以下にご説明するのは書面での願書提出の方法です。
受験願書等配付資料一式
- 受験願書 1通
- 受験案内(PDF)1冊
受験願書記載例(PDF) (受験案内該当ページ抜粋) - 受験票返信用封筒(長形3号)1通
- 受験願書提出用封筒(角形2号)1通
配布期間に関しては公式HP 公認会計士・監査審査会をご参照してください。
配布方法
来庁による場合(1名1部)
配付時間は平日午前9時から午後5時までです。
- 受験局が関東財務局の場合
公認会計士・監査審査会事務局(東京都千代田区)及び関東財務局(さいたま市)の2か所で配付されています。 - 受験局が関東財務局以外の場合
試験地を管轄する各財務局等において配付します。
郵送による場合(1名1部)
- 受験局が関東財務局の場合
公認会計士試験関東事務局への請求となります。
ただし、さいたま市の関東財務局では郵送請求を受け付けていませんので、宛先を間違えないようご注意ください。 - 受験局が関東財務局以外の場合
試験地を管轄する各財務局等に請求してください。
請求にあたっては、任意の封筒の表に赤字で「公認会計士試験受験願書請求」と記載し、以下「返信用封筒(受験願書返信用)」及び「氏名及び連絡先電話番号を記載した用紙(任意様式)」を封入のうえ、公認会計士試験関東事務局または受験する地域の財務局へ郵送しましょう。
関東事務局や各財務局の所在については、こちらも公式HP 公認会計士・監査審査会をご参照ください。
- 規格は角型2号(240mm×332mm、マチなし)とする
- 封筒の表に250円分の郵便切手を貼り、赤字で「折り曲げ厳禁」と記載する。返信封筒自体は折り曲げて封入しても良い。また、超過分の切手代は返金しないとする。
- 宛先(受験願書送付先)の郵便番号、住所及び氏名を明記する
「氏名及び連絡先電話番号を記載した用紙(任意様式)」ですが、各財務局等から問い合わせをする場合がありますので、確実に連絡が取れる電話番号を記載してください。
短答式試験の全科目免除を受ける場合は、第Ⅱ回短答式試験(短答式②)に出願してください。
- 短答式試験の全科目免除者
- 前年又は前々年の短答式試験の合格者
- 旧公認会計士試験第2次試験合格者
まとめ
国家資格である公認会計士の試験についてでした。
公認会計士とは、その名の通り会計の専門家です。
試験に受かるとすぐに公認会計士になれるわけではないのが難しいところです。
実務経験と実務補習が必要です。
公認会計士の主な仕事は、監査、税務、コンサルティングです。
受験資格は、以前は大学で単位を修得する必要がありましたが、2006年以降は誰でも受けられるようになりました。
公認会計士の試験は短答式と論文式があります。
この2つを合わせた試験の合格率は例年5%前後です。三大難関国家試験といわれています。
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正式に公認会計士を名乗れるのは、そこから就職などをして2年間の実務経験と3年間の実務補習というものが必要です。
実務経験とは現場での経験のことで、公認会計士試験の合格者の中には監査法人に就職する人が多いです。
事業会社で経験を積む方も居られるようですが、稀です。