バイオ技術者認定試験について

バイオ技術者認定試験について

理系の方で研究職に就きたいと思っている方は多くいらっしゃると思いますが、どの研究職を目指してみたいかまだ考え続けている方もいるのではないでしょうか?
それならば、資格からさがしてみるのはどうですか。
そこで今回はバイオ技術者認定試験について触れていこうと思います。

適用する仕事

バイオ技術者とは、バイオテクノロジーを使って生物に関連する研究者となり化粧品・医薬品・燃料開発・食品などさまざまな研究所で働くことになる技術者のことです。

仕事内容は?

仕事の内容は、遺伝子を組み替えたり品種改良を行ったり、作物・発酵・醸造など食品の分野で活躍したり、医療分野で再生医療などを行ったりもします。

生物のシグナル伝達・構造・タンパク質などを研究・解析し、それを製品として実用できるまで研究して開発を行います。
2016年のノーベル生理学医学賞であるオートファージも、バイオ技術による研究です。

バイオテクノロジーは最新の技術です。
今後次々と利用されて技術革新が起こる分野です。
日々進化していく技術をどんどん吸収して自分の目的とする研究に、新しい理論や技術を連鎖させていかなくてはならないです。

バイオテクノロジーの応用される分野は大きく分けて4つあります。

医療やヘルスケアの分野

iPS細胞・ES細胞をメインとした再生医療の技術開発や、血液や尿などからガンの有無を調べるなどの診療技術の開発を行います。

食品・農林水産業

特定保健用食品などの機能性食品を開発することや、ゲノム編集技術を使って効率よく収穫できる品種を作るなどの食べ物に関係する分野の研究を行うことです。

化学品分野

発酵技術等のバイオ技術を使って、食品や医療品の原料・農薬・工業用品の製造技術を開発することです。

環境やエネルギー分野

植物・家畜の糞尿・下水・廃食用油などのいろいろな生物資源を使ったバイオ燃料の開発です。

バイオ技術者に求められるもの

バイオ技術者バイオ技術者が求められることは、地道にコツコツと知識を吸収したり研究を積み重ねることです。
研究していても成果はすぐには表れなくて、分野によっては何十年も研究が続いてしまう場合もあります。
そんな過酷な状況でも好奇心を絶やすことなく、次々と新しい技術と共に新しい発想を吸収する柔軟性が必要となります。

クローン技術などは生き物の倫理的な問題にまで踏み込むということも含まれています。
自分が行っている研究が今後、生活にどう影響していくのか幅広い視野で思考できる能力と社会的な倫理観責任感も必要です。

おおよその年収とキャリアパス

年収は、だいたいは300万円~400万円くらいですが、中には2,000万円もらえるところもあるようです。

バイオ技術者になるには高専・大学の理学・薬学・工学・農学などを専攻して、バイオテクノロジーの理論や技術を学んで、化学品・薬品・食品・化粧品などのメーカーの技術開発の部門に入るのが一般的だそうです。

年齢は20代や30代が多くて、40代、50代はコミュニケーションがうまくてしっかりとした技術が身についている人が残っているようです。

認可団体

日本バイオ技術教育学会

許可団体は、特定非営利活動法人 日本バイオ技術教育学会です。
日本バイオ技術教育学会はバイオ技術教育の充実や発展、バイオ技術の教育に関しての社会的ニーズにこたえる組織育成を目的として、バイオテクノロジーに興味を持っている多くの方々との連携と、社会的地位の向上を図って社会一般に広く貢献して、特定で多数の利益増進に役立つことを目的として設立されました。

こちらの学会には目的を達成するために、大きく分けて6つの事業を行います。

  1. バイオ技術教育に関する調査・研究
  2. バイオ技術教育に関しての講演会・セミナー・学術集会などの開催
  3. バイオ技術教育に関しての会誌の配布や普及の啓発
  4. バイオ技術者認定試験の実施
  5. バイオテクノロジーに関心がある団体との連携する事業
  6. その他の学会の目的を達成するための必要な事業を行う

バイオ技術者認定試験は、2003年の7月に第1回の初級バイオ技術者認定試験を実施されました。

受験条件

受験条件は初級・中級・上級でそれぞれ条件が異なっています。

初級

高等学校在校生、高等学校卒業生、その他の前項目と同等以上であることを日本バイオ技術教育学会が認めた方となります。

中級

1つ目から4つ目の条件のいずれかひとつに当てはまる方です。

  1. 初級バイオ技術者認定試験に合格して、認定証を持っている方。
  2. 大学や短大・専門学校のバイオ技術に関する課程を卒業した方、または2学年修了者および2学年修了見込みの方。
  3. 高等専門学校のバイオ技術に関する課程などを卒業した方、または卒業見込みの方。
  4. その他、上記1~3つ目と同等以上であることを日本バイオ技術教育学会が認めた方。

上級

2つの条件のいずれかに当てはまる方です。

  1. 中級バイオ技術者認定試験に合格していて、認定証を持っている方。
  2. 大学や短大・専門学校のバイオ技術などに関係する課程の3学年を修了した方、または卒業者・卒業見込みの方。

合格率

学ぶ女子

合格率はだいたい
初級で約80%、中級で約75%、上級で約51%となっています。

1年当たりの試験実施回数

1年間に行われる試験回数はそれぞれ1回ずつです。
初級は7月の上旬、中級・上級は12月の中旬ごろに行われます。

また、試験会場によって実施日に多少の違いがあるので、自分が受ける試験会場の日にちをしっかりチェックしておくと良いです。

試験科目

各級の中身を見てみましょう

初級の科目

  • 基礎生物学の細胞・代謝とエネルギー・生物の体内環境とその維持
  • 基礎科学の物質の構成・物質の変化・日常の化学
  • 遺伝、育種の遺伝・育種
  • 食品、微生物の分類と形態・生理・培養・食品と微生物・微生物利用・保存
  • バイオ実験技術の培地・培養・単位
  • 植物の植物・組織培養

中級の科目

  • 機器取り扱いの分析機器・大型機器・小型機器
  • バイオテクニカルタームの実験・器具・機器・元素・物質・細胞、生物・分子生物学、遺伝子工学・免疫、細胞工学・接頭語・接尾語・単位
  • 環境と安全の法令・減菌、消毒・危険物・環境
  • 生化学の細胞・水・生体エネルギー・糖質・タンパク質・脂質・核酸・酵素・ビタミン・ホルモン・ミネラル・植物
  • 微生物学の種類と特徴・構造と機能・代謝・増殖・変異・利用・食品の保存・環境における活動・実験
  • 分子生物学の細胞と遺伝・核酸・遺伝子・遺伝情報・タンパク質・生体防御
  • 遺伝子工学の組換えDNAと遺伝子解析・細胞工学

上級の科目

  • 核酸、タンパク質の分子生物学・遺伝子工学・生化学・応用発展
  • 安全管理の規則、ガイドライン・実験の安全性
  • バイオ機器の汎用実験機器、器具・応用分析機器
  • 微生物バイオテクノロジーの基礎微生物バイオ・微生物バイオ技術・応用微生物バイオ
  • 動物バイオテクノロジーの基礎動物バイオ・動物バイオ技術・応用動物バイオ
  • 植物バイオテクノロジーの基礎植物バイオ・植物バイオ技術・応用植物バイオ

採点方式と合格基準

60点

採点方式は明らかになっていません。
合格基準は明らかになっていませんが、おおよそ全科目で60%以上の得点を取らないといけないと言われています。
理想は80%以上の得点をとることです。

取得に必要な勉強などの費用

日本バイオ技術教育学会から、初級・中級・上級バイオ技術者の認定試験問題集が発売されています。
値段は初級が2,420円(税込)、中級が3,300円(税込)、上級が3,960円(税込)です。

受験料

受験料は初級が2,000円、中級が5,000円、上級が7,000円となっています。

受験申込方法

団体申し込みと個人申し込みがあります。
団体申し込みされる方は担当者に問い合わせてみてください。
個人申し込みは日本バイオ技術教育学会のサイトからインターネット申込になります。

まとめ

バイオの世界

バイオ技術者認定試験があればバイオ技術者としての一定以上の知識量があることが証明されるので、バイオ技術者を目指す方には大変心強い資格になるのではないでしょうか。

バイオ技術者になりたいけれど、自分に向いているかどうかを測る一定の基準にもなると思うので、そのような方も受けてみてはいかかでしょうか。

 

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