今回は建築関係の資格である「構造用集成材管理士」をご紹介します。
構造用集成材管理士は建築設計、部材設備に関する技術的知識を有し、製品計画および製造技術を理解して一連の製造工程の管理を行う資格です。
これは日本農林価格で規定する構造用集成材の製品計画や製造業務を技術者のことを指します。
集成材というのは、複数の板材を接着剤で再構成して作る木材のことで、建築においては、通常の無垢材に比べて形状に自由が利き、かつ強度をコントロールしやすいという大きなメリットがあります。
この集成材の製品や製造について、知識があるかどうかを測る資格です。
その内容をこれからお伝えしていきます。
Contents
適用する仕事
冒頭でも触れましたが、適用する仕事は構造用大断面集成材の製品計画や製造業務です。
集成材とは、ラミナと呼ばれる薄い板材や小さな角材を、何枚も積層接着した木質材料のことです。
用途によって4種類に分類されて、その1つが構造用集成材ということです。
構造用集成材というのは、木造建築物の柱や梁、土台などの構造材料として使われます。
断面の大きさによって、大断面、中断面、小断面の3種類に分類されます。
種類 | 説明 |
大断面集成材 | 短辺15cm以上、断面積が300㎡以上のもので、大型木造建築の柱や梁などに使用 |
中断面集成材 | 短辺7.5cm以上、長辺が15cm以上のもので、大断面集成材以外のもの。木造住宅の梁や桁などに使用 |
小断面集成材 | 短辺が7.5cm未満、長辺が15cm未満のもので、木造住宅の柱や土台などに使用 |
この中で大断面集成材というのは、大型木造建築物の構造材料として使われています。
無垢の製材品では造ることが困難といわれていた、大型の公共建築やホール、店舗、工場などを木造で建てることが可能です。
建築基準法の改正にともない、大型木造建築物の建設も盛んになってきており、そこに使われる構造用集成材の需要も急速に増加してきました。
ですので、建設設計や部材設備に関する技術的知識、製品計画および製造技術を十分理解して、一連の製造工程を統一して管理できる専門的な資格者が必要なのです。
おおよその年収とキャリアパス
構造用集成材管理士という資格が活かされる場所は建材メーカーです。
製品計画の能力を認定されるので、そうしたところでの昇給などに有利です。
では、その建材メーカーの平均年収はどのくらいかというと、おおよそ440万円です。
全体の平均年収が436万円ですから、それと同程度の金額だということがわかります。
著しく高収入ではありませんが、低収入で困るというほどでもないです。
ただし、これはあくまでも平均値なので、建材メーカーのホワイト企業ではもっと多くの収入を得ている方もいます。
建材メーカーの中でも構造用集成材管理士の資格が活かされるのは、建物の構造材を扱うメーカーです。
(それ以外にはパネルや窓枠、サッシといった内装・外装に関わる仕上げ材を扱うメーカーやトイレやキッチンといった設備系建材を扱うメーカーがある)
建材メーカーはいろいろな部署や支社を持っているところが多いです。
異動も多いでしょう。
建材メーカーの主な職種は研究開発・設計職、製造・施工・設備職、営業職などがあります。
こうした職種に配属されることで、構造用集成材管理士の資格も活かされるでしょう。
たとえ、自社が製造した建材を商品として施工業者や小売店、設計事務所などにPRする営業職に就いても資格が無駄にはならないでしょう。
認可団体
構造用集成材管理士という資格を認定している団体は「公益社団法人 日本木材加工技術協会」というところです。
〒112-0004
東京都文京区後楽1-7-12
TEL:03-3816-8081
FAX:03-3816-7880
1948年 | 任意団体「日本木材加工技術協会」発足、社団法人日本木材加工技術協会認可 |
2011年 | 「公益社団法人 日本木材加工技術協会」へ移行認可 |
- 年次大会の開催(研究発表などを通じて会員相互の研鑽、情報交換、親睦を図るため)
- 技術情報の普及
- 技術資格の認定
- 機関誌・図書の発行
- 支部・部会活動
- 調査・技術開発
- 表彰(「木材加工技術賞」ならびに「市川賞」を授与)
など
受験条件
- 学校教育法による大学またはこれに準ずる学校を卒業して、集成材の製品計画および製造に関する3年以上の実務経験を有する者
- 学校教育法による短期大学またはこれに準ずる学校を卒業して、集成材の製品計画および製造に関する4年以上の実務経験を有する者
- 学校教育法による高等学校またはこれに準ずる学校を卒業して、集成材の製品計画および製造に関する5年以上の実務経験を有する者
- 木材接着士、木材乾燥士、木材切削士のいずれかの資格を有し、集成材の製品計画および製造に関する3年以上の実務経験を有する者
- その他、集成材管理士資格検定委員会において認められた者
合格率
71%といわれていますが、詳細は実施団体にお問い合わせください。
1年当たりの試験実施回数
不定期といわれています。
詳細は実施団体にお問い合わせください。
ちなみに、令和2年12月2日に木材会館(東京都江東区新木場 1-18-8)にて、実施されたようです。
試験科目
- 木材および接着に関する一般的知識
- 建築設計に関する一般的知識
- 集成材の設計に関する技術的知識
- 集成材の製造に関する技術
採点方式と合格基準
不明
取得に必要な勉強などの費用
申し訳ありませんが、勉強の方法もその費用も現時点では不明です。
ですが、資格取得に役立つ書籍をいくつかご紹介します。
木がわかる 知っておきたい木材の知識
出版社名:学芸出版社
商品名:木がわかる 知っておきたい木材の知識
価格:¥2,420(税込)
建築のプロでも、木材の基礎知識が知らないことが意外にあります。
木材には相応の長所と短所があり、特徴があります。
本書では、木のメカニズムを理解し、正しい木のものづくりができるように、特に間違えやすい事柄を中心に掲載しています。
木材の住科学-木造建築を考える-
出版社名:東京大学出版会
商品名:木材の住科学-木造建築を考える-
価格:¥3,850(税込)
生命活動によって形づくられる木材と住まいについて考える住科学との接点を探ります。
また、精力的なフィールド調査、精緻な実験、そしてそれらに支えられた理論を駆使して織り成される木材の世界やその魅力を鮮やかに描写しています。
被着材からみた接着技術 木質材料編
出版社名:日刊工業新聞
商品名:被着材からみた接着技術 木質材料編
価格:¥2,970(税込)
被着体(材料)別に接着剤の選び方や使用方法、作業条件、評価法、適用事例などを掲載しています。
再生可能な資源として注目される木材の物性について解説しながら、木材工業技術の中核となってきた木材接着技術のすべてを解説しています。
受験料
35,000円
ただし登録手数料に40,000円(会員だと30,000円)、資格更新料に40,000円(会員だと30,000円)かかります。
受験申込方法
集成材管理士資格検定委員会の定める書類(様式1)に所定事項を記入します。
そして、受験料を添えて、定める期間内に認可団体である協会へ申し込みます。
上記の書類の他に、顔写真(縦4.5cm×横3.5cm、正面脱帽、鮮明なもの)1枚が必要になります。
いつ試験を実施するのか、検定試験のお知らせが来るのかは協会にお問い合わせください。
<申込先>
公益社団法人 日本木材加工技術協会 構造用集成材管理士資格検定試験係
〒 112-0004 東京都文京区後楽 1-7-12 林友ビル
TEL:03-3816-8081、FAX:03-3816-7880
まとめ
今回は主に建材メーカーで重宝される「構造用集成材管理士」について、みてきました。
集成材というのは、ラミナと呼ばれる薄い板材や小さな角材を何枚も積層接着した木質材料のことで、大型木造建築の柱や梁などに使用されます。
建築基準法の改正にともない、大型木造建築物の建設も盛んになってきていることから集積材の専門的な知識や技術を持つ人が必要になります。
資格を取得すると昇給などの場面で有利に働くでしょう。
残念ながら、こちらの資格は試験実施が不定期でして情報も乏しいので、わからない点は協会へ問い合わせてみてくださいね。
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