ボイラーのメンテナンスはミスをしてしまうと爆発事故につながる危険な仕事です。
それを未然に防ぐために国家資格がありますが、どのようにして受ければよいのでしょうか。
そこで今回はボイラー溶接士試験について触れていこうと思います。
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適用する仕事
ボイラー溶接士の仕事内容は、ボイラー製造をしたり、修繕したりする際に必要な溶接作業を行うことです。
それだけではなく、第1種圧力容器・フランジ・重機や自動車の部品・建設機材や機械などを溶接することもあります。
これらの製造を行う機械工場・生産工場・発電所など幅広い分野で仕事ができます。
溶接士の仕事は、1度のミスが人の命に関わっていく大きな事故を起こしてしまう危険性があり、高度な技術が必要となります。
それに加えて、正確で丁寧な仕事をすることが必要となる専門職です。
溶接の仕事がしたいけれども未経験の場合は、溶接をする工場などで実務経験を行いながらボイラー溶接士の資格を得ることで、将来的には溶接のプロを目指せます。
ボイラー溶接士には、普通ボイラー溶接士と特別ボイラー溶接士と呼ばれる2つの種類に分かれています。
それぞれの資格によって作業可能なことが違ってきます。
普通ボイラー溶接士
普通ボイラー溶接士を取得すれば第1種圧力容器・フランジ・管台の溶接ができるようになります。
ボイラーの溶接もできますが25ミリ以下のものに限定されます。
資格を初めて取得しようとする場合には、まずは普通ボイラー溶接士から取得することになります。
普通ボイラー溶接士の資格を取得した後に、条件を満たせれば特別ボイラー溶接士を受験することができます。
特別ボイラー溶接士
特別ボイラー溶接士は普通ボイラー溶接士より難易度が高いので経験が必要となる資格です。
特別ボイラー溶接士を取得できれば、あらゆるタイプのボイラー・第1種圧力容器の製造や改造、修繕を行うことができます。
ですので、ボイラー溶接のすべてに関われる資格となっています。
特別ボイラー溶接士を持っていれば、溶接のプロと認定されたこととなります。
ボイラーだけではなく、溶接のすべての仕事に関わることができます。
おおよその年収とキャリアパス
ボイラー溶接士は専門職で、資格所有者でなければ仕事ができないので求人の需要は高めになっています。
ボイラー溶接士の資格所有者の平均年収は約400万円くらいです。
資格を持っていれば、通常とは別に手当がついたり、昇給につながったりする可能性があります。
ただし、これらの年収は普通ボイラー溶接士が可能な範囲の仕事を行う場合で、これより難易度の高いスキルや経験が必要になる高圧ボイラーなどを専門に行う溶接士で働くことができれば、年収の大幅な増加が期待できます。
ボイラー溶接士が活躍できる仕事の1つで、トラックの車体に必要な部品の溶接作業があります。
こちらの月収の目安は32万円以上です。
認可団体
認可団体は一般社団法人日本ボイラ協会です。
こちらの協会の概要は、ボイラー圧力容器で、いかなるニーズにも応じられる組織をもとにして指導的な役割を行なっている法人です。
ボイラー圧力容器での災害や大気汚染を防いで、なおかつ、エネルギー使用の合理化と地球温暖化の防止に役立つために、ボイラー圧力容器の調査や研究・検査検定・教育・相談・広報・出版・技術交流の場所の提供・品質のマネジメントシステム審査、登録を行なっています。
次に事業概要をご紹介します。
学術団体
1つ目は学術団体として機能を果たしています。
委員会を中心とし、調査や研究を積極的に行い、それにおける成果は学会からも評価が高いです。
そして、行政や官庁等からの委託研究もしています。
検査・検定機関
2つ目は検査や検定機関であることです。
厚生労働大臣の登録検査や検定機関で、ボイラー圧力容器の検査や検定を行なっています。
その他輸出品の検査を行い、外国の政府機関からも認定されています。
教育・相談活動
3つ目は教育・相談活動です。
新技術や省エネなど時代にあわせた技術や知識の普及と啓発を行いながら、法に定められた資格を得るための講習なども行なっています。
そして、経験豊富な技術スタッフを配置して技術面での相談に応じています。
また、ボイラー圧力容器の製造管理で具体的な助言を行なっています。
広報・出版活動
4つ目は広報や出版活動をしています。
協会誌等を定期的に刊行して、会員だけでなく大学・研究所・図書館・団体等に配布し、論文や情報の紹介、提供を行い協会の活動を伝えています。
また、研究・教育・指導用の資料などの図書やテキストを刊行しています。
技術交流
5つ目は技術交流の場を提供しています。
全国工作責任者大会・全日本ボイラー大会・全日本ボイラー溶接士コンクールを開催して研究発表・技術競技・技術討論を行い、相互啓発・技術交流を一般にも広く提供しています。
技術調査団の派遣や海外からの視察団の受け入れなどの海外との技術交流を進めています。
マネジメントシステム審査登録機関
6つ目はマネジメントシステムの審査登録です。
公益財団法人日本適合性認定協会でマネジメントシステムの審査登録機関としての認定を受けていて、ボイラー・圧力容器やそれに付属する装置、その他特殊用途の機械製造企業の品質のシステムをISO9000シリーズの規格に則り審査して登録や公表を行なっています。
受験条件
普通ボイラー溶接士の場合は、1年以上溶接作業の経験がある方です。
特別ボイラー溶接士の場合は、普通ボイラー溶接士免許を取得したのちに、1年以上ボイラーまたは第1種圧力容器の溶接作業経験がある方です。
合格率
普通ボイラー溶接士の場合、学科試験が50~60%、実技試験が60%。
特別ボイラー溶接士の場合、学科試験が60~70%、実技試験が85~90%
1年当たりの試験実施回数
試験実施回数は地域によって異なり、多いところで年3回、少ないところでは年2回行なっています。
試験科目
試験科目は、普通ボイラー溶接士、特別ボイラー溶接士共に学科試験と実技試験があります。
学科試験
- ボイラー構造およびボイラー用材料
- ボイラーの工作および修繕方法
- 溶接施行方法の概要
- 溶接棒および溶接部の性質の概要
- 溶接部検査方法の概要
- 溶接機器の取扱方法
- 溶接作業の安全
- 関係法令
実技試験
アーク溶接による実際の溶接作業で
- 特別ボイラー溶接士は横向突合せ溶接
- 普通ボイラー溶接士は下向及び立向突合せ溶接
採点方式と合格基準
採点方式は学科試験は5択のうちで1つ間違いを見つける問題が多数を占めています。
実技試験は上記の試験内容で採点されます。
合格基準は、学科試験は科目ごとの得点が40パーセント以上でかつ合計が60パーセント以上あることです。
実技試験は減点の合計が40点以下であること。
取得に必要な勉強などの費用
日本ボイラー協会から発行しているボイラー溶接士教本が2,098円(税込)で販売されています。
学科試験は日本ボイラ協会から購入できるボイラー溶接士教本を、ひたすら勉強するのが近道です。
他にも同じ協会から過去問が販売されています。
ボイラー溶接士免許試験令和2年公表問題及びその解答解説 2,090円(税込)
受験料
学科試験は普通ボイラー溶接士・特別ボイラー溶接士、どちらも8,800円です。
実技試験は普通ボイラー溶接士の場合は18,900円、特別ボイラー溶接士の場合は21,800円となっています。
受験申込方法
まずは受験申請書類を作成します。
免許試験受験申請書は安全衛生技術試験協会の本部、各センターまたは免許試験受験申請書取扱機関で無料配布しています。
次に受験料を最寄りの郵便局または銀行で払い込みをして、郵便かセンター窓口へ受験申請書類を提出します。
そうしたら受験票が届きます。
まとめ
ボイラー溶接士の資格があれば、管理者不在で1人でも大きな施設などのボイラーメンテナンスと修理や修復を同時に行う事ができるようになるので、とてもおすすめできる資格となっています。
ただし、資格取得後も事故を起こしたら大変なので初心を忘れないようにしたいですね。
こちらの業界で働いている方は、ぜひ取得を検討してみてください。
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