建築設備検査員(旧建築設備検査資格者)について

建築設備検査員(旧建築設備検査資格者)について

建築設備検査員とは、建築設備(換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備および排水設備)の安全確保のために定期検査を行い、その結果を特定行政庁へ報告する職務を担う人が持つ資格です。
これは制度として定められているため、この資格を持っていると建築設備会社への就職や転職が有利になります。
そのような業界で重宝される資格を今回みていきましょう。

適用する仕事

マンションや学校、病院といった多くの人が集まる建築物のメンテナンスとして欠かせないのが排煙や排水、換気設備です。
それには定期点検が必要です。
そうした点検を行うのがこの「建築設備検査員」です。

この資格取得後に目指せる就職先は、建築設備会社です。

主な仕事内容は3つあります。

換気設備

これは換気設備を目視して状態を確認する仕事です。
目視だけでなく、設備の換気量を風速計などを使って確認する業務もします。
自然換気設備や防火ダンパーなどの目視も行います。

排煙設備

これは排煙設備の外観や動作、排煙口を目視で確認する仕事です。
排煙風量や風速計などを使って確認もします。
他には、予備電源や可動防煙壁も目視して作動するかどうかのチェックも行います。

照明設備

これは非常用の照明のことで、こうしたものの動作がしっかりされているかどうか目視確認をします。
また、照度計で照度の測定もします。
電池内蔵型の場合は、切り替え動作や充電状況の確認もします。
他には自家用発電装置の作動状況の目視確認もあります。

これらの調査結果を報告書として作成し、行政に提出します。

点検項目をチェックをする作業員

おおよその年収とキャリアパス

建築設備検査員を求めている企業の給与幅は広いので一概にいえません。
経験や能力によって異なるのではないでしょうか。
ある企業での求人で想定年収は250万~500万円ですし、それ以上の年収もあり得ます。
一般的に設備保全の仕事の平均年収は417万円です。

建築設備検査員になるには、特定建築物調査員講習を受講する必要があります。
※詳細は記事の後半でお伝えします。

資格取得の流れとして、取得のためには講座を受けます。
受講を申し込んだら受講適格のお知らせメールが来ます。
そして、テキストや受講案内などを受領し、講座を受けます。

修了考査の結果が通知されますので、修了証明書を受け取ったら交付日より3ヶ月以内に国土交通省地方整備局等に「建築設備検査員資格者証」の交付申請書を提出します。
「建築設備検査員資格者証」を受領したら、建築設備検査員になれます。

建築設備検査員になれて設備会社に就職したら、部長職などのポストのキャリアアップが考えられるでしょう。

認可団体

日本建築設備・昇降機センター

建築設備検査員の資格を運営・管理しているのは「一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター」というところです。
(英文:The Japan Building Equipment and Elevator Center Foundation)

主な沿革

昭和48年1月5日 設立
平成7年3月 財団法人日本建築設備・昇降機センターに統合および名称変更
平成24年4月 一般財団法人へ移行

所在地

〒105-0003
東京都港区西新橋1-15-5 内幸町ケイズビル2~5階
TEL:03-3591-2426(代表)
FAX:03-3539-7442

事業内容

  • 建築設備検査員および昇降機等検査員となるための国土交通大臣登録講習の実施
  • 建築設備等に関する検査制度の普及
  • 建築設備等に関する調査研究
  • 建築関係法令に基づく確認検査その他の審査
  • 建築関係法令に基づく評価、認定及び認証
  • 講習会、研究会等の開催及び機関誌、図書等の刊行
  • 関係行政庁及び関係団体、諸外国の関係機関等との交流及び協力

など

受験条件

【おおよその年収とキャリアパス】のところでも触れたように、資格取得には講座を受ける必要があります。
それには受講資格があります。

  1. 大学で正規の建築学、機械工学もしくは電気工学あるいはこれらに相当する課程を修めて卒業後、建築設備に関して2年以上の実務の経験を有する者
  2. 3年制短期大学(夜間を除く)で正規の建築学、機械工学もしくは電気工学あるいはこれらに相当する課程を修めて卒業後、建築設備に関して3年以上の実務の経験を有する者
  3. 2年制短期大学、高等専門学校、旧制専門学校で正規の建築学、機械工学もしくは電気工学あるいはこれらに相当する課程を修めて卒業後、建築設備に関して4年以上の実務の経験を有する者
  4. 高等学校または中等教育学校で、正規の建築学、機械工学もしくは電気工学あるいはこれらに相当する課程を修めて卒業後、建築設備に関して7年以上の実務の経験を有する者
  5. 建築設備に関して11年以上の実務経験を有する者
  6. 建築行政(建築設備に関するものに限る)に関して、2年以上の実務経験を有する者
  7. 一級建築士、二級建築士、建築基準適合判定資格者の資格を有する者
  8. 建築士法に基づく建築設備士の資格を有する者

合格率

2021年 87.6%
2020年 75%
2019年 77%

建築設備の配管

1年当たりの試験実施回数

受講期間はWEB講習と会場講習の年2回あります。
東京と大阪は両方、札幌、名古屋、福岡はWEB講習のみです。
修了考査は年1回です。

試験科目

この場合は講習科目です。

講習科目

  • 建築設備定期検査制度総論
  • 建築設備に関する建築基準法令等
  • 建築学概論
  • 建築設備総論
  • 給排水衛生設備
  • 換気、空気調和設備
  • 電気設備
  • 排煙設備
  • 建築設備に関する維持保全
  • 建築設備定期検査業務基準

免除が適用する者

  1. 特定建築物調査員、防火設備検査員、昇降機等検査員の資格を有する方は「建築学概論」の受講の免除が可能
  2. 建築設備士の資格を有する者は「建築設備定期検査業務基準」「建築設備に関する維持保全」以外の全ての科目が免除される
  3. 年度に終了考査が不合格の場合は修了考査のみを受けることができる

採点方式と合格基準

講習を受けて修了考査になります。
修了考査はマークシート式で、30問中20問以上正解した場合で合格です。

取得に必要な勉強などの費用

受講料以外に費用はかからないでしょう。
過去問も認可団体のホームページに掲載されています。

建築設備検査員の書籍や過去問題集というのは、Amazonや楽天からは入手できません。
講習でテキストを買うことになるのでそれで勉強しましょう。

受験料

通常料金 52,800円(テキスト代を含む)
建築設備士免除 33,000円(テキスト代を含む)
再受講 11,000円(テキスト代含まず)
19,800円(テキスト代を含む)

受講料は受講審査後に「受講適格」と判定された方に「受講適格通知」および受講料振込先が連絡されます。
支払方法はコンビニまたはPay-easyです。

建築設備の作業員

受験申込方法

認可団体のホームページにて、希望の開催地・受講方法を選択し、インターネットで仮申し込みをします。
登録した後、申込書を印刷して必要事項を記入します。
なお、このときに顔写真の登録が必要になります。

まとめ

今回はマンションや学校、病院などのビルのメンテナンスを専門とする「建築設備検査員」という資格について見てきました。

建築設備検査員になると、そうした多くの人が利用する施設の設備点検を行うことができ、火災などの事故を防いで人命を守ることができます。
建築設備業界でのキャリアアップを目指したい方、コツコツと行う点検作業が苦にならない人におすすめです。

この資格は講習を受けて得られます。
受講資格は建築系や工学系の学歴があると有利ですが、あてはまらない人は実務経験を積み重ねて頑張りましょう。

 

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