皆さん、行政書士を知っていますか?
行政書士とは、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の作成や提出手続きを行うことができる国家資格です。
行政書士は国民にもっとも身近な「街の法律家」ともいわれている資格です。
今では、全国に約4万8千人いるようです。
そんな行政書士の資格のとり方をみていきましょう。
Contents
適用する仕事
行政書士試験はその名のとおり、行政書士を目指す試験です。
行政書士の仕事内容には、おもに3つあります。
書類作成業務
1つ目は官公署に提出する書類を作成することです。
書類の作成代理人として、法的問題点が起こらないように予防法務的視野に立って契約書などの作成をしていきます。
どんな書類を扱うかというと、下記の3つが挙げられます。
- 国や地方公共団体など、官公署に提出する書類(建設業許可、会社設立、帰化申請、風俗営業許可など)
- 事実証明に関する書類、実地調査に基づく図面類を含む(内容証明郵便、財務諸表、会計帳簿、風俗営業許可申請時に添付する店の配置図など)
- 権利業務に関する書類(遺言書、遺産分割協議書、示談書、会社定款などの作成)
官公署への手続き代理業務
上記で挙げた書類作成業務のほか、それらの書類を官公署へ提出するのも主な仕事です。
権利義務や事実証明に関する書類に関しては、代理人として作成できる場合もあります。
もし代理人として書類の作成を行う場合は、代理人であることがわかるように行政書士の名前を書類に記載する必要があります。
しかし、原則行政書士が代理人として行えるのは、書類の作成と提出のみです。
国民と官公署を結ぶパイプ役になる折衝能力が求められる業務です。
相談業務
行政書士が担当する相談業務とは、顧客から依頼された書類作成関連の相談のことです。
個人の相談の具体例
- 遺言相談:遺言書や遺産分割協議書の作成
- 契約書:金銭契約書類や家の賃貸借契約書など
- 民事法務:クーリングオフや交通事故など法的問題の書類の作成
- 運輸関連業務:自動車の新規登録、移転、車庫証明の手続き
- 国際関連業務:帰化申請
- 成年後見:認知症など判断能力に欠ける人のサポート
法人の相談の具体例
- 会社設立:定款の作成と申請
- 雇用関連:出入国管理申請の代行
- 各種書類作成:内容証明、会計帳簿、実地調査に基づく図面など事実証明等の書類作成
- 許認可申請:旅館などの許認可申請
- 知的財産権:著作権申請業務の代行
- コンサルティング:経営や法務本題のアドバイス
上記で挙げているものはほんの一部です。
行政書士の仕事範囲は極めて膨大なのです。
そして、行政書士は他資格者との共管業務をすることがあります。
ご紹介したとおり、行政書士の仕事の中心は書類作成です。
しかし、提出や登記の場面では、他の資格者の業務となるケースも多いです。
司法書士、税理士、土地家屋調査士、社会保険労務士、宅地建物取引士などと、多くの場面で一緒に業務を進めることになるでしょう。
おおよその年収とキャリアパス
2021年の行政書士の平均年収は584万円でした。
しかし、行政書士の年収には個人差があります。
行政書士の事務所で働くタイプから、フリーランスで仕事をしているタイプまでさまざまいます。
勤務しているところにより給料は異なる
行政書士の事務所に勤務する行政書士は、年収200万~300万円前後が相場でしょう。
とても低いと感じるかもしれませんが、雇われているうちは開業を見据えた修業時代と考えて良いでしょう。
行政書士は独立可能な職業のため、ここで実務経験を積みながら開業へと目指します。
他には、一般企業の法務部や総務部で働く行政書士もいます。
そうしたところで働く行政書士の平均年収は600万~700万円が相場です。
ただし、注意したいのはこれはあくまでサラリーマンとしての給料です。
行政書士は独立開業型の資格であるため、組織内で行政書士専用の給料モデルが発生するわけではないのです。
そして、独立している行政書士の平均年収ですが、これは個人の能力次第です。
年収200万の人から年収3000万円までと稼いでいる幅はさまざまです。
特定業務に専門化し、ターゲットを明確に絞り込んだ方が収入が高くなるようです。
行政書士のキャリアパス
行政書士の資格を取得した後、実際に仕事を始めるには行政書士名簿への登録が必要です。
キャリアパスとしては、資格取得後に事務所に勤めてから独立を目指す方法と、資格を取得してすぐに開業する方法とがあります。
上記の年収の項目でも挙げたように、事務所に勤めている間は修業期間としていろいろ準備ができます。
しかし、行政書士事務所の求人は少なく、正社員ではなくアルバイトやパートタイマーといった働き方になる可能性があります。
一方、独立する道ですが、経験がないと依頼が来なかったり、事務所として経営できなくなるリスクもあります。
取り扱い業務を絞ったり、士業同士の人脈を広げることがポイントとなります。
認可団体
行政書士の資格は国家資格です。
認可団体は総務省です。
受験条件
受験資格はありません。
また、実務経験も必要ありません。
どなたでも受験できます。
合格率
2021年 11.18%
2020年 10.7%
2019年 11.5%
1年当たりの試験実施回数
年1回です。
例年11月の第2日曜日に実施されます。
試験科目
試験科目は「行政書士の業務に関し必要な法令等」と「行政書士の業務に関連する一般知識等」の2つです。
行政書士の業務に関し必要な法令等
憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする)、民法、商法および基礎法学の中からそれぞれ出題。
法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題する
行政書士の業務に関連する一般知識等
政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解
採点方式と合格基準
試験は筆記試験によって行われます。
行政書士の業務に関し必要な法令等:択一式および記述式
行政書士の業務に関連する一般知識等:択一式
合格基準は以下の3つです。
すべての条件を満たして合格になります。
- 「行政書士の業務に関し必要な法令等科目」において得点が122点以上(満点の50%以上)
- 「行政書士の業務に関連する一般知識等科目」において得点が24点以上(満点の40%以上)
- 試験全体の得点が180点以上(満点の60%以上)
取得に必要な勉強などの費用
行政書士は独学で勉強できます。
おすすめのテキストや問題集をご紹介します。
うかる!行政書士総合テキスト 2022年版
出版社名:日本経済新聞出版
商品名:うかる!行政書士総合テキスト 2022年版
価格:¥3,300(税込)
スッキリと読みやすいフルカラー・レイアウトになっているテキストです。
文章だけではピンと来ない複雑な仕組みや制度を視覚的にとらえられるよう、図や表を多用しています。
同じシリーズで『うかる! 行政書士 総合問題集』¥2,860も販売されています。
2022年度 合格革命 行政書士基本テキスト
出版社名:早稲田経営出版
商品名:2022年度 合格革命 行政書士基本テキスト
価格:¥3,300(税込)
行政書士試験の合格に向け、必要な知識を網羅しているテキストです。
本文と側注に工夫多く載っていて、わかりやすく作られています。
2022年版 出る順行政書士 ウォーク問過去問題集
出版社名:LEC
商品名:2022年版 出る順行政書士 ウォーク問過去問題集
価格:(1)法令編 ¥2,860(税込)(2)一般知識編 ¥1,650(税込)
過去10年分の本試験問題を分析し、各科目の体系項目別に分類しています。
書籍の他にも、予備校の講座や模試を受けるのも良い方法です。
書籍のところでもご紹介したLECでは、講座は45,000円、模試はZoomのオンラインで受けられます。
受験料
7,000円
受験申込方法
受験申込は郵送とインターネットの2通りあります。
郵送による申込
まず、受験願書の記入と顔写真の貼付をします。
受験願書は「一般財団法人 行政書士試験研究センター」のホームページの「窓口での受験願書配布」の欄の「受験願書・試験案内配布場所一覧」から入手できます。
または、下記の宛先に願書を請求することもできます。
そのときは住所・氏名記載の返信用封筒(角形2号=A4サイズの願書が折らずに入る封筒)に郵便切手140円分を貼付してください。
〒252-0299 日本郵便株式会社 相模原郵便局留
一般財団法人行政書士試験研究センター試験課
顔写真サイズは縦4cm×3cmのカラー写真のみです。
受験料は専用の振替払込用紙で郵便局(ゆうちょ銀行)の窓口で払ってください。(ATM使用不可)
払い込んだら、振替払込受付証明書を貼って郵送しましょう。
インターネットによる受験申込
まず、この申込方法はスマートフォンやタブレットではできません。
登録完了メール送信のため、パソコンのメールアドレスが必要です。
推奨ブラウザはMicrosoftEdge、GoogleChrome、InternetExplorer11です。
「一般財団法人 行政書士試験研究センター」のホームページに「インターネットによる申込みはこちら」というボタンがあります。
上記のことや申込条件に「同意」し、受験願書と顔写真画像を登録しましょう。
受験料は本人名義のクレジットカードまたはコンビニエンスストアで払ってください。
登録完了メールが届いたら申込完了です。
まとめ
今回は国家資格の1つである「行政書士」について、試験情報をお伝えしてきました。
行政書士の仕事内容もわかりましたね。
意外なことに、この試験は受験条件がないのです。
行政書士の勉強方法については、市販のテキストや予備校などが多数ありますから、ご興味のある方は自分に合った勉強法で合格を目指してみてくださいね。
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