この資格名である型枠支保工は「かたわくしほこう」と読みます。
「型枠支保工の組立て等作業主任者」は労働安全衛生法に定められた国家資格である作業主任者の1つで、支柱・はり・つなぎ・筋交いなどの部材によって構成された建造物におけるスラブ、けたなどのコンクリートを流し込むときに用いる型枠を支え持つ仮設の設備の組立て、あるいは解体の作業を監督・安全指導する責任者のことです。
非常に重い責任を担う職業です。
私たちの周りでは多くの建物が存在しています。
それらが安全に建設できてないと困りますよね。
今回はこの建築系の資格の1つである「型枠支保工の組立て等作業主任者」を見ていきましょう。
Contents
適用する仕事
この資格が活かされる現場は、名前のとおり型枠支保工を行う土木建設会社や工務店などです。
適用する仕事はコンクリートの打設(流し込むこと)に用いる型枠を支持する(支え持つ)仮設設備の組立てや解体作業において、監督や指導をすることです。
鉄筋コンクリートなどの建物を建てる際には、まず型枠を造ってそこにコンクリートを打ち込みます。
そして、打設させたコンクリートが固まって一定の強度になるまで、型枠を所定の位置で固定させるために支えます。
型枠を支えるために「根太」「大引」「支柱」などで構成された仮設設備を型枠支保工と言います。
型枠支保工はホテルや大型商業施設、オフィスビルなど現代の建築には欠かせないものです。
組み立て方に不備があると建物が崩壊するなどの大事故につながりかねません。
こうした事故や災害を防ぐためにこの「型枠支保工の組立て等作業主任者」の資格保有者が必要なのです。
しかし、ただ単に資格保有者がいれば良いというわけではなく、事業者から正式に選任されなければその役割を果たすことはできません。
その一方で、一度選任されると作業指示だけするわけではなく、工具の点検、安全帯や保護帽の着用チェックなど、あらゆる面で現場の安全を考えなければならないのです。
事業者は「型枠支保工の組立て等作業主任者」の資格所有者を主任者として選任するよう、労働安全衛生法で決められています。
今後も需要がある資格でしょう。
おおよその年収とキャリアパス
型枠支保工の組立てに関する平均年収は、データによると380万円程度でしょう。
型枠大工として就職する場合、40代で400万円程度が目安の年収です。
最新の統計では日本の年収の平均は433万円なので、やや低めです。
この年収というのも地域差がありまして、最高が東京都で最低が北海道のようです。
しかし、関連の資格やそれに伴う実績によっては、待遇面で優遇される可能性が高いでしょう。
単に型枠大工としてではなく「型枠支保工の組立て等作業主任者」に選任されると、給料も大幅に上がるでしょう。
ステップアップしていくためには、他の資格を取るのがおすすめです。
型枠大工の経験を積んでいくと挑戦できる資格として「型枠施工技能士」があります。
型枠支保工の組立て等作業主任者とともに取得しておくと、型枠大工の将来も明るくなるでしょう。
また、建築現場として広く見ると「足場の組立て等作業主任者」「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」「木造建築物の組立て等作業主任者」などの資格もあるので、取得するとそれぞれ適用する現場での監督や指導ができます。
これらの資格も講習を受ければ取得できますので、仕事の幅を広げるためにも良いキャリアパスだと思います。
認可団体
型枠支保工の組立て等作業主任者の資格は各都道府県が運営管理を行っています。
技能講習を運営しているのは「建設業労働災害防止協会」というところです。(通称:建災防)
【主な沿革】
昭和39年 労働災害防止団体などに関する法律発布、建災防設立許可
昭和47年 労働安全衛生法制定
昭和49年 実技教習センター開所
昭和59年 建設業安全衛生教育センター開所
受験条件
こちらの資格は受講して取得するので受講資格になります。
受講資格は次の経験や資格を有する者です。
- 型枠支保工の組立てまたは解体に関する作業に3年以上従事した経験を有する者
- 学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校または中等教育学校において土木や建築に関する学科を専攻して卒業した者で、その後2年以上型枠支保工の組立てまたは解体に関する作業に従事した経験を持つ者(作業経験が2年以上3年未満の方は卒業証明書が必要)
- その他厚生労働大臣が定める者
合格率
合格率は講習を行う各機関によって異なります。
ですが、講習をきちんと聞いていれば重要ポイントを教えてくれますので、問題なく修了考査を合格できると思います。
合格率100%に近いといえるでしょう。
1年当たりの試験実施回数
講習会場は全国各地にあり、その場所によって講習回数が異なります。
試験科目
こちらは受講内容になります。
講習は2日間あります。
- 作業の方法に関する知識
- 工事用設備、機械、器具、作業環境などに関する知識
- 作業者に対する教育などに関する知識
- 関係法令
これらの後に修了試験になります。
採点方式と合格基準
取得する仕組みとして講習を受けた後、修了試験で合格です。
修了試験はマークシート方式と記載されている会場もあります。
修了試験は易しめと言われています。
取得に必要な勉強などの費用
勉強の費用は受講料だと思ってください。
講習を受けると公式テキストがもらえます。
そのテキスト代は受講料の中に組み込まれています。
受講料は次の項目でご説明します。
受験料
受講料は各講習機関によって異なります。
現在のところ分かっている地域を挙げます。
料金はテキスト代と消費税を含みます。
関東地方の例 | |
埼玉県 | 11,890円 |
東京都 | 14,310円 |
神奈川県 | 13,520円 |
千葉県 | 12,110円 |
群馬県 | 14,640円 |
栃木県 | 12,500円 |
茨城県 | 11,910円 |
新潟県 | 16,200円 |
受験申込方法
申込方法も講習機関によって異なってきます。
認可団体である「建設業労働災害防止協会」の公式サイトをアクセスしていただき、受講したい地域の詳細を探し申し込みましょう。
ウェブ上に申込書を用意してあります。
その他、ご不明の点は認可団体あるいは各都道府県の労働局労働基準部安全課、健康安全課、労働基準監督署に聞きましょう。
まとめ
今回は建設現場で必要になる資格の1つである「型枠支保工の組立て等作業主任者」という資格についてみてきました。
この資格は型枠支保工の組み立てや解体作業を行う現場で監督指導にあたる責任者を意味します。
施工に不備があると建物が崩壊する恐れがあるので、重要な役目をする資格なのです。
資格を持っている人が監督することで労働災害を防ぎます。
この資格を取得するのにおすすめな人は、建築や土木業界での就職を有利に進めたい人や大工の仕事に興味のある人です。
もちろん「足場の組立て等作業主任者」「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」「木造建築物の組立て等作業主任者」などの資格を持っていて、ダブルライセンスを狙う人にもおすすめです。
取得するには講習を受ける必要があります。
受講資格がありますから、まずはそれをクリアするために実務経験を積んでいきましょう。
講習は真面目に受講すれば合格できるようですので、日頃の勤務から技術を学んでいきましょう!
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