管理業務主任者はマンション管理に関する国家資格です。
マンション管理業を営む際に配置が義務付けられます。
管理業務主任者は、マンション管理の諸問題に精通していなければなりません。
管理会社は30管理組合ごとに、管理業務主任者が1人必要です。
管理委託契約とは、管理組合が管理会社に物件の管理をお願いする契約のことです。
Contents
適用する仕事
次の業務は、管理業務主任者が行わなければなりません。
- 委託契約に関する重要事項説明および重要事項説明書(72条書面)への記名押印
- 管理委託契約書(73条書面)への記名押印
- 管理事務の報告(77条)
以上の業務は、管理業務主任者であれば行えます。
これは何も専任でなくともいいです。
おおよその年収とキャリアパス
おおよその年収は、250万円~700万円くらいと幅があります。
年収が良い仕事内容は、計画立案、目標設定、予算策定 、部下の教育、管理、業務マネジメントが挙げられます。
認可団体
国家資格です。
後援は国土交通省です。
受験条件
管理業務主任者試験は、国家資格ですが受験資格は特にありません。
年齢や性別、学歴、不動産業界の実務年数などにも関係なく受験することができます。
合格率
2021年度の受験者数が16538人で、そのうち合格者が3203人でした。
合格率は19.4%です。
この年の合格者の平均年齢は42.8歳です。
最高齢は82歳の男性で、最低年齢は17歳です。
受験者の年齢層の幅は広いです。
受験者も毎年多く、試験が始まった2001年(平成13年)には57719人の受験者がいました。
令和になってからは、15000人を超えるくらいの受験者になっています。
2001年から2021年度の合格率は、19.2%~58.5%です。
20%台の年が多いですが、試験が始まった年の2001年だけ合格率が58.5%ありました。
1年当たりの試験実施回数
この試験は年に1回です。
試験日は、毎年12月の第一日曜日です。
案内状の配布は8月1日から9月30日、申込期間は9月1日から9月30日です。
試験地の目安として、2019年度の会場となった地域を記します。
北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県、沖縄県の8地域で、会場の数は17でした。
試験時間は2時間の13時~15時まで。
試験開始の前に、注意事項の説明が行われるので、13時より前に会場に行く必要があります。
試験科目
管理業務主任者の試験科目は、以下の5つです。
- .管理事務の委託契約に関すること
- 管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに出納に関すること
- 建物及び附属施設の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整に関すること
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
- 前各号に掲げるもののほか、管理事務の実施に関すること
試験の内容には、区分所有法、民法、マンション管理適正化法、標準管理規約/標準管理委託契約書、建築基準法ほか、出題は様々です。
ここでは、その中でも重要な科目を取り上げます。
重要な科目1「区分所有法」
管理業務主任者試験の出題は広範囲ですが、優先して学習したいのが「区分所有法」です。
マンションの居住者(区分所有者)が、生活しやすいため、また、居住者の財産などを守るように制定されたものです。
- マンションの専有部分(自分の部屋など)と共有部分(エントランスやエレベーターなど)に関するルール
- 居住者は管理組合に加入するというルール
上記のようなものが定められています。
区分所有法に関する出題数は、全体で50問中の5問~7問くらいです。
出題数は大きな割合を占めるところではないですが、重要ではない分野と判断するのは危険です。
というのも、区分所有法は重要で、しっかり理解しておかなければならないところだからです。
他の民法、マンション管理適正化法、建築基準法などの問題は、区分所有法の知識があることを前提として作られています。
重要な科目2「民法」
民法も大切で、民法は「人々の権利義務関係を規律する」法律です。
マンション居住者同士の安全な生活や、円滑な管理組合の運営に必要な知識です。
民法は、例年6,7問出題されています。
ここで5問以上は正解できた方がいいです。
ここでは、長文問題や考えさせる問題も多いです。
しっかり理解を深める学習をしておかないと、点数獲得が難しいところです。
一夜漬けの暗記で、どうにかなるところではないです。
重要な科目3「マンション管理適正化法」と「標準管理法」
マンション管理適正化法や標準管理法は、先ほどの区分所有法や民法と比べると、勉強しやすいところです。
マンション管理適正化法
マンション管理適正化法は、マンション内での過ごしやすい居住環境を確保や維持するために制定された法律です。
例年の試験では5問ほど出題されています。
ここは、条文の規定や出てくる数字、例えば「帳簿は5年間保存する」などを暗記すれば点数を取りやすいところです。
標準管理規約
ここでの問題で、マンションの規約や管理の知識について問われます。
比較的、勉強しやすいところです。
しかし、マンション標準管理規約は、区分所有法、標準管理規約、マンション標準管理委託契約書をそれぞれ比較して勉強しなければなりません。
そのほかの科目
他には、次のような問題が出題されています。
- 「建築/設備」:マンションの構造、設備、維持、保全に関する問題です。
出題が一番多いところでもあり、13問ほど出題されています。 - 「管理実務/会計」:マンションの管理組合の会計や税務に関する問題です。
簿記資格があると理解しやすいところです。
採点方式と合格基準
マークシート方式で、四肢択一の問題が50問ある試験です。
ここで、マンション管理士試験の合格者で、試験の一部免除申請者は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及び同法の関係法令に関する事項」5問が免除されて、試験問題数が全45問になります。
その場合、試験時間は午後1時10分~午後3時までとなります。
2017年度~2019年度までの合格基準を以下に記します。
年度 | 合格基準 |
2019年度 | 50問中34問正解で合格。試験一部免除者は45問中29問正解で合格。 |
2018年度 | 50問中33問正解で合格。試験一部免除者は45問中28問正解で合格。 |
2017年度 | 50問中36問正解で合格。試験一部免除者は45問中31問正解で合格。 |
結果は発送されます。
協会から試験の全受験者宛てに合否通知が発送されます。
また、協会のホームページ上に合格者の受験番号、合格基準点、試験問題の正解が掲載されます。
取得に必要な勉強などの費用
独学での勉強の場合、基本テキスト1冊と問題集1冊だけなら、6,000円くらいです。
資格予備校のオンライン講座等を受ける場合は、60時間ほどの講座を受けて50,000円くらいです。
受験料
受験手数料は8,900円(非課税)です。
振込手数料は申込者負担です。
受験申込方法
受験案内申込書が必要です。
冊子本体は無料で、受領方法は以下の通りです。
- ダウンロード
受験申込書、受験整理表、振込用紙を片面印刷します。 - 申込案内書(冊子)配布場所にて入手
国土交通省・地方整備局等
都道府県
政令指定都市
書店
協会本部・支部
(注)各配布場所では、在庫がなくなると次第配布修了です。
配布開始直後だと置かれていない場所もあります。 - 郵送・着払宅配便での取寄せ(案内申込書冊子)
送料は依頼者負担です。
受験料を予め振り込んで、期間内に受験申込書等の郵送が必要です。
郵便局窓口から発送する特定記録郵便です。
郵便ポスト投函はできません。
受験申込書等が協会に届いたことの確認は、郵便局受付時に発行される問い合わせ番号で検索可能です。
電話での問い合わせはできません。
まとめ
マンション管理に関する国家資格の試験である、管理業務主任者試験についてでした。
マンション管理業では必要な資格です。
不動産のオーナーが管理会社に物件管理を30件お願いするごとに、管理業務主任者は1人必要になります。
国家資格ですが、受験資格がありません。
誰でも受けることができます。
合格率は20%くらいの年が多いです。
試験日は毎年、12月の第一日曜日です。
試験はマークシートなのですが、試験時間が2時間50分と長めです。
50問の四肢択一問題があります。
試験科目の内容は、基本的に法律のことです。
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