「高等学校教諭普通免許状」と聞くと馴染みがないかもしれませんが、いわゆる「教員免許」と呼ばれる資格です。
高等学校教諭普通免許状には大学で取得できる「1種免許状」、大学院で取得できる「専修免許状」の2種類があります。
国家資格となっており、高校教師になるには必須の資格となります。ただし、免許状をもっていても教員採用試験に合格しなければ教師として働くことはできないので、この資格は教員採用試験を受けるための資格と捉えることもできます。
また、中学校教師からも高等学校教諭普通免許状を取得することが可能です。
その場合は所定の要件を満たしたうえで「教育職員検定」を受ける必要があります。
本記事ではこの「高等学校教諭普通免許状」の概要についてと、それに加えて「大学(大学院)の教職課程を卒業する場合」と「教育職員検定を受ける場合」の2つの方法についてご紹介します。
Contents
適用する仕事
高等学校教諭普通免許状を持っていると、高校教師として働くことが期待できます。
その他に、高等学校教諭普通免許状の取得は必須ではありませんが、持っていると優遇されるような職業は以下のようなものがあります。
- 学習塾や予備校の講師
- 家庭教師
- 教科書や参考書を作成している出版社
このように高等学校教諭普通免許状を持っていることで、多くの教育現場での採用の可能性が広がります。
おおよその年収とキャリアパス
前項で高等学校教諭普通免許状を持っておくとなることができる、または優遇される職業をご紹介しました。
ここでは、一番目指す人が多いであろう高校教師の年収とキャリアパスをご紹介します。
高校教師の公立、私立含めた全体の平均年収は約630万円です。
公立と私立では給与制度が大きく異なるのですが、年収には大差はありません。
公立高校 | 平均年収は約660万円で、給与制度は各地方自治体が定める「給料表」に基づきます。 役職や勤続年数などによって決定されます。 |
私立高校 | 平均年収は約626万円です。給与制度は学校により様々で、勤務する学校によって給与に差が出ます。 |
高校教師になるには、まずここでご紹介している高等学校教諭普通免許状を取得します。
この免許を得るには、文部科学省が定める4年制大学・大学院に進学して必要な単位を修め、卒業して学士・修士の学位を取得します。
教職課程を履修することができる通信制大学もあり、例えば社会人から教師を目指すなど、学費を抑えたい場合は視野に入れるといいでしょう。
無事に学士・修士を取得し免許状を取得したのち、公立学校なら各都道府県または政令指定都市の教育委員会、国立・私立学校なら学校ごとの採用試験に合格する必要があります。
また、高校教師の免許は「教科別」になっているため、どの科目を教えたいのか、事前に決めておく必要があります。
認可団体
- 大学(大学院)の教職課程を卒業する場合 各都道府県が免許を授与します。
- 教育職員検定を受ける場合 各都道府県の教育委員会が免許を授与します。
受験条件
それぞれの受験条件を見てみましょう。
大学(大学院)の教職課程を卒業する場合
文部科学省が定める4年制大学・大学院に進学して必要な単位を修め、卒業して学士・修士の学位を取得します。
具体的には教職課程にて、「教科に関する科目」や「教職に関する科目」などについて所定の単位を取得します。
教育職員検定を受ける場合
中学校教諭普通免許状(二種免許状を除く)取得後、中学校に相当する学校の教員として3年間良好な
成績で勤務し、かつ大学等において所定の単位(12 単位)を修得します。
合格率
それぞれ見てみましょう
大学(大学院)の教職課程を卒業する場合
単位を取得することで授与されます。
教育職員検定を受ける場合
教育職員検定は試験ではなく申請する形式なので合格率は考えなくても良いでしょう。
法律による要件が満たされていれば授与されるようです。
1年当たりの試験実施回数
こちらもそれぞれ見てみましょう
大学(大学院)の教職課程を卒業する場合
4年間(2年間)かけて単位を取るにあたり、試験やレポートはほぼ必須となっています。
試験期間は年2回、7月頃と2月頃です。
教育職員検定を受ける場合
検定は書類選考のみなので、筆記試験や実技試験はありません。
選考時期も決まっておらず、年度始め以外は受け付けているようです。
詳しくは各都道府県の教育委員会の募集要項を確認してください。
試験科目
それぞれの受験科目を見てみましょう。
大学(大学院)の教職課程を卒業する場合
必須単位 | 教師になるに向けての心構えや生徒への関わり方、心理学など「教職に関する科目」です。大学4年生になったら「教育実習」をし、実際に高校で生徒指導を行います。 |
自由単位 | 自分が目指す専門科目である「教科に関する科目」を中心に、興味のある科目などを履修します。教育学部でなくても教職課程は履修できるので入学した学部や専攻によって自由単位は異なってきます。 |
教育職員検定を受ける場合
筆記試験や実技試験はありませんが書類選考は「学力」「身体」「人物」「実務」の4項目に分かれています。細かく見ていくと以下のようになっています。
学力 | 学力に関する証明書を提出します。実務経験を積んだ後、大学等で単位を修得したことを証明する書類です。 |
身体 | 身体に関する証明書を提出します。健康診断を受け、医師から健康診断書を出してもらいます。健康であることを証明する書類です。 |
人物 | 人物に関する証明書を提出します。勤務していた中学校の教頭などから、人物像に問題がないことを証明してもらう書類です。 |
実務 | 実務に関する証明書を提出します。勤務していた中学校の教頭などから、実務経験があることを証明してもらう書類です。 |
採点方式と合格基準
それぞれ見てみましょう
大学(大学院)の教職課程を卒業する場合
試験やレポートの採点方式はその科目を受け持つ教授によって異なります。
厳しい教授もいれば、比較的単位の取りやすい教授もいます。
合格基準も学士を取得し、卒業できるかにかかっているので、大学によります。
教育職員検定を受ける場合
採点方式や合格基準は公開されていません。各都道府県の教育委員会によります。
取得に必要な勉強などの費用
それぞれ見てみましょう
大学(大学院)の教職課程を卒業する場合
大学、または大学院に進学し単位を取得したうえで卒業することが資格取得の必須条件なので、授業料を最低4年間、大学院であれば最低2年間払う必要があります。
4年制大学を卒業するには学費が国公立であれば250万円、私立大学であれば500万円ほどかかります。
通信制大学に通う場合は、すでに大卒で教員免許に必要な単位だけ習得するか、大卒と教員免許取得両方目指すかで費用が異なってきます。
教員免許取得だけなら30~70万円、大卒と教員免許取得両方なら65~160万円ほどです。
教育職員検定を受ける場合
検定を受けるには大学等で所定の単位を修得するが必須条件なので、学費がかかります。
通信制大学を利用するとして20万程度です。
また、身体証明書を発行してもらったり、手数料などもかかるので、検定に申し込むには25~30万ほど見積もっておいた方がよさそうです。
受験料
受験料という名目ではありませんが、申請の際に手数料が授与の場合で3,300円、教育職員検定授与の場合で5,000円かかります。
受験申込方法
大学(大学院)の教職課程を卒業する場合、教育職員検定を受ける場合、それぞれ各都道府県や各都道府県の教育委員会によります。
まとめ
今回は「高等学校教諭普通免許状」について、2つの方法をご紹介しました。
時間と費用のかかる資格ですが、高校教師になりたいという方だけでなく、教育に関わりたい方にとって役立つ信頼の厚い国家資格です。
ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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