皆さん、作業療法士という職業を知っていますか?
作業療法士とは、日常で必要となる食事や洗顔、料理や字を書くなどといった動作能力や、地域活動への参加や就学・就労といった社会的適応能力を維持・改善し、「その人らしい」生活の獲得を目的として、リハビリテーションを行う専門職のことです。
作業療法士は厚生労働省の下で試験が行われます。
名前は聞くけど中身はわからないという人は、この記事を読むと解決するかもしれません。
ぜひご覧ください。
Contents
適用する仕事
作業療法士というのは、ケガや病気などで日常生活の動作が不自由になった人のリハビリを行う職業の方です。
道具を扱った「作業」によるリハビリテーションを行うのが、特徴です。
例えば、積み木があるとします。
積み木を積み上げる動作1つとっても、それは指や肩や腕などさまざまな上半身の筋肉が動いています。
こうした何気ない動作を使って訓練することで、患者さんの身体機能の回復や維持を図ります。
積み木の他にも、手芸や園芸、食事や入浴なども、生活に密着した動作としてリハビリしていきます。
運動を取り入れたリハビリをしたり、あるいは社会生活に必要な読み書き、計算、対人技能訓練や生活圏拡大のための外出活動なども仕事の範囲になります。
作業療法士は医療施設や介護・教育などの施設で働きます。
似たような職業に「理学療法士」がありますが、理学療法士は機能回復のためのリハビリを行うのが仕事です。
これに対して、作業療法士というのは、社会に適応できるように心と体の両方をリハビリします。
作業療法士は生きがいを支援するところまで踏み込んで、活動を行なっていきます。
おおよその年収とキャリアパス
作業療法士の年収は約390万円です。
残念ながら、日本全体の平均年収が461万円であるため、全職種の中では低い金額です。
ただし、介護職の分野で見ると、作業療法士の収入は高いです。
厚生労働省の調査によると、看護師の次に年収が高いようです。
その以降では、ケアマネージャー→生活相談員や支援相談員→事務職員→管理栄養士や栄養士→介護職員などの順になります。
認可団体
厚生労働省
受験条件
- 学校教育法規定により、大学に入学することができる者。
そして、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した作業療法士養成施設において、3年以上作業療法士として必要な知識及び技能を修得した者。 - 外国の作業療法に関する学校、もしくは養成施設を卒業した者。
または外国で作業療法士の免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が上記1.に掲げる者と同等以上の知識および技能を有すると認定した者。 - 昭和40年8月28日の法施行の際に、文部大臣または厚生大臣が指定した学校または施設において、作業療法士となるのに必要な知識および技能を修行中であり、法施行後に当該学校または施設を卒業した者。
合格率
2022年の合格率は80.5%でした。
(出願者数5920人、受験者数5723人、合格者数4608人)
2021年 81.3%
2020年 87.3%
2019年 71.3%
1年当たりの試験実施回数
作業療法士の国家試験は、年1回2月下旬に実施されます。
一般の人は筆記試験を受けます。
試験地は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県および沖縄県です。
また、筆記試験の他に口述試験および実技試験が設けられています。
こちらは筆記試験を受けない重度の視覚障害者が対象の試験形式です。
こちらも年1回の実施回数で、東京都のみで実施されます。
試験科目
筆記試験には一般問題と実地問題があります。
一般問題
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)、臨床医学大要(人間発達学を含む)および作業療法
実地問題
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む)および作業療法
採点方式と合格基準
問題は基礎知識を問う「一般問題」160問と、より実践的な知識を問う「実地問題」40問の2種類といった、計200問で構成されています。
解答形式は五肢択一または五肢択二です。
合格基準は試験ごとに若干異なります。
ちなみに、2022年の試験では
- 総得点165点以上/275点満点
- 実地問題41点以上/117点満点
確実な合格を目指すなら、実地問題で40%、総得点で70%以上の得点を狙いたいですね。
取得に必要な勉強などの費用
作業療法士になるためには、受験条件を満たすため作業療法士の養成課程がある大学、短大、専門学校で3年以上学んで、所定の課程を修了しなければなりません。
専門学校では
4年制専門学校の場合は、1年間の学費は約117万円~152万円です。
3年制専門学校の場合は、1年間の学費は約120万円~136万円です。
大学では
国立大学の場合は年間の学費は53万5,800円です。
初年度は入学金が28万2,000円かかります。
公立大学は約50~60万円の年間の学費です。
私立大学では、1年間の学費で約168万円~178万円かかります。
夜間の学校では
夜間の学校に通うのも選択肢の1つです。
その場合は、1年間で約110万円~133万円の学費がかかります。
通学するわけですから、学費以外にも教科書代や実習費用などもかかります。
学校の授業で行う実験実習や評価実習、臨床実習では約30万~50万円必要です。
受験料
10,100円
受験手数料の額に相当する収入印紙を受験願書に貼って、納付します。
受験申込方法
作業療法士の試験を受験するには、以下の書類等を提出する必要があります。
受験願書
受験願書は各学校養成施設で入手できます。
また、郵送による請求で、作業療法士国家試験運営本部事務所もしくは作業療法士国家試験運営臨時事務所、または厚生労働省からも入手することができます。
写真
出願前6ヶ月以内に、脱帽正面で撮影した縦6cm×4cmの写真が必要です。
その裏面に撮影年月日および氏名を記載し、厚生労働省または作業療法士国家試験運営本部事務所、もしくは作業療法士国家試験運営臨時事務所において交付する受験写真用台紙に貼り付けたうえ、同台紙に所定の事項を記入して提出します。
なお、写真の提出にあたっては、卒業し、もしくは在籍している学校あるいは養成施設か作業療法士国家試験運営本部事務所、もしくは作業療法士国家試験運営臨時事務所において、その写真が受験者本人と相違ない旨の確認を受けるのが必須です。
返信用封筒
縦23.5cm×横12cmのもので、表面に郵便番号及び宛先を記載します。
そして、529円(定形郵便94円+一般書留435円)の郵便切手を貼り付けて、書留の表示をします。
これら以外にも修業証明書もしくは修業見込証明書、卒業証明書若しくは卒業見込証明書、作業療法士国家試験受験資格認定書の写しが要る人もいます。
そして、必要書類を申込期間内に作業療法士国家試験運営本部事務所に提出します。
まとめ
今回は作業療法士の試験内容について、お伝えしてきました。
作業療法士と理学療法士の違いもお分かりになったかと思います。
作業療法士は日常生活から社会生活まで、心身にわたる機能回復を支援するリハビリテーションを行う専門家です。
国家資格ですので、試験を受けるには受験条件である作業療法士の養成課程がある大学、短大、専門学校で3年以上学んで、所定の課程を修了しなければなりません。
こちらでは、おおよその学費を挙げました。
合格率はわりと高めなので、学校や養成施設でじっくり学んで試験に臨んでください。
高齢化社会の世の中ですので、この職業は需要がありますよ!
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