高圧室内作業主任者について

高圧室内作業主任者について

高圧室内作業主任者とは、高気圧の作業室の内部において潜かん工法やその他の圧気工法により作業を行う際に、急激な気圧変化で減圧症などの高気圧障害を引き起こさないよう事故を防止するために置かれる専門の資格のことです。
労働安全衛生法に基づく作業主任者の1つであり、高圧室内作業主任者免許を受けた者の中から事業者によって選任されます。
こちらは国家資格でして、近年人気のある資格です。

適用する仕事

高圧室内作業主任者の資格が適用するのは、その名のとおり高圧室内作業のときです。
高圧室内大気圧を超える気圧下の作業室やシャフトの内部を指します。
そうしたところで作業するには、高圧室内業務特別教育や高圧室内作業主任者を持つ者でないとできません。

高圧室内業務特別教育とは、作業をするのに必要であり、各講習機関で開催している高圧室内業務特別教育を修了すれば取得できます。

講習会で説明する男性

つまり、高圧室内作業主任者というのは、その上をいく責任者のことです。
高圧室内作業主任者は高気圧の作業室の内部において、高気圧障害を未然に防ぐための作業方法を指揮したり、室内の圧力を適切に維持したりすることが務めです。

高気圧障害とは
高気圧障害とは、加圧による気圧増加によって身体の組織や体液に溶け込んでいた気体が、急激な減圧により気泡となって血管を塞ぐことなどの症状のことです。

代表的なのが減圧症です。
減圧症の症状には、かゆみ、痛み、発疹などの皮膚障害、ベンズと呼ばれる四肢の関節痛やその周辺部の疼痛や運動機能障害、チョークスと呼ばれる頻呼吸、息切れ、前胸部痛、呼吸困難などの症状、麻痺や知覚障害などの中枢神経系障害、内耳・前庭機能障害があります。
重症の場合はショックや死に至ります。

他にも高気圧障害には、酸素中毒や窒素酔いも含まれます。

そうした高気圧障害にならないためにも、高圧室内作業主任者の資格を保有し任命された人は高圧工事区域内で安全に作業を行えるように、有毒ガスや炭酸ガスの濃度を測定したり、有害物質の有無を確認したり、あるいは整備に不備がないか点検したりといった業務を行われなければなりません。

おおよその年収とキャリアパス

高圧室内作業主任者が就職・活躍する場所は、建設会社です。

年収は?

平均年収の画像
高圧室内作業主任者は月収30万円と出ているところが多いです。
年収にすると360万円ですので、400万円くらいが平均年収でしょう。

しかし、高圧室内作業を行うのはゼネコン(総合建設会社)が多いので、なかには700万~800万円になるところもあります。

それに、高圧室内作業主任者は特殊技能を持っている専門家として扱われるので、給与面で優遇されます。
基本給はそれほど高くない一方で、資格手当として上乗せされる可能性はあります。

他にも建設会社の給料では、残業手当や出張手当を設けている場合があるでしょう。

キャリアパスは?

建設中の橋の工事

キャリアパスは就いている企業での昇進が考えられます。
最初のうちは技術員見習いとして扱われますが、専門の資格を取得するわけですから徐々にキャリアアップしていきます。
見習いから技術員、そしてそれを束ねる工事主任や工事長まで昇進していく可能性はあります。

高圧室内作業主任者は作業室ごとに有資格者を選任することが決められています。
橋の橋脚やトンネルの換気塔、シールドマシンを扱う際に作業しますので、今後も一定の需要が見込めます。

認可団体

高圧室内作業主任者の主催者

高圧室内作業主任者の資格を管理している団体は「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」です。
受験の申し込みは、各地の安全衛生技術センター(厚生労働大臣指定試験機関である財団法人安全衛生技術試験協会の下部組織)で行います。

協会の所在地
〒101-0065
東京都千代田区西神田3-8-1 千代田ファーストビル東館9階
TEL:03-5275-1088
昭和51年4月1日

受験条件

特になし。
ただし、申し込む際には、本人確認証明書の添付が必要になります。

合格率

2021年 74%
2020年 65.1%
2019年 67.4%

1年当たりの試験実施回数

試験は各地の安全衛生技術センターで行われます。
全国に7ヶ所あります。
試験実施回数は各所年1回ずつです。
5月または11月に実施されます。

試験科目

・圧気工法(配点30点)
・送気および排気(配点25点)
・高気圧障害(配点25点)
・関係法令(配点20点)

採点方式と合格基準

試験は上記で紹介した試験科目で、それぞれ10問ずつ出題されます。
試験時間は12時30分~16時30分の4時間(休憩なし)です。

合格基準は科目ごとの得点が40%以上で、かつ総得点が60%以上で合格になります。

取得に必要な勉強などの費用

高圧室内作業主任者の勉強方法ですが、残念ながらテキストが非常に少なく、ネットで検索してもあまり見つかりません。
この試験に登場する問題はパターン化されていますので、過去の頻出問題を解けるように勉強すれば合格点は取れると思います。

過去問

過去問題集と解答解説集

出版社名:タカラライセンス
商品名:高圧室内作業主任者 過去問題・解答解説集
価格:¥4,400(税込)

過去使用された問題10回分を収録し、解答と解説を加えている過去問です。
出題された高気圧作業安全衛生規則なども収録してあります。

手引き

手引きのテキスト

発行元:建設業労働災害防止協会
商品名:改正 高気圧作業安全衛生規則(平成27年4月1日施行対応版)高気圧作業安全衛生の手引-作業主任者講習テキスト
価格:¥2,440(税込)

こちらは高圧室内作業主任者の講習用のテキストです。
圧気工法による工事における高気圧障害の予防を、技術的事項、医学的知識を中心に解説しています。

講習会

日本圧気技術協会」というところで、講習会が行われています。
場所は東京地区、大阪地区、名古屋地区です。
受講料は一般が25,000円、日本圧気技術協会会員で20,000円です。

詳細は「日本圧気技術協会」のサイトをご確認ください。

受験料

8,800円

受験申込方法

受験を申し込むには、まず受験申請書を用意します。
受験申請書は以下の7ヶ所のセンターで取り寄せられます。

・北海道安全衛生技術センター
・東北安全衛生技術センター
・関東安全衛生技術センター
・中部安全衛生技術センター
・近畿安全衛生技術センター
・中国四国安全衛生技術センター
・九州安全衛生技術センター

※郵送を希望の方は何部必要かをメモに明記して、返信用郵送料金分の切手を貼った宛先明記の返信用封筒(角型2号封筒)を同封し、各センターに申し込んでください。
郵送料は協会のホームページに掲載してあります。

受験申請書を作成する際には、本人確認証明書、受験料、証明写真(2.4cm×3.0cm)を添付しましょう。

本人確認証明書とは
次のいずれか1つです。
  1. 住民票または住民票記載事項証明書
  2. 健康保険被保険者証の写し(表裏)
  3. 労働安全衛生法関係各種免許証の写し(表裏)
  4. 自動車運転免許証の写し(表裏)
  5. その他氏名、生年月日および住所が記載されている身分証明書等の写し(個人番号カードの場合は裏面のコピーは必要なし)

書類は郵便での簡易書留と、センター窓口へ持参の2通りがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
高圧室内作業主任者」というのは、高気圧の作業室の内部において作業する際に高気圧障害にならないために、作業室内の安全に務める役割を担う資格のことです。

活躍する場所は建設現場です。
高気圧の作業室内で働く場合は、必ずこの高圧室内作業主任者を選任して設置するよう義務付けられているため、需要のある資格です。

この資格専用のテキストが少ないため、過去問でコツコツ勉強しましょう。
合格率も高く、出題の仕方もパターン化しているため、過去の頻出問題を解けるように勉強すれば合格点は取れると思いますよ。

 

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