言語聴覚士試験とは国家資格です。
言語聴覚士になるためには、言語聴覚士試験に合格して、国家資格を取得しなければなりません。
現在、日本は超高齢化社会となってきています。
言語障害や聴覚障害を抱える人も、今では増えてきています。
それもあって、言語聴覚士の需要が高くなっています。
その言語聴覚士についてと、言語聴覚士になるための試験についてまとめさせていただきました。
Contents
適用する仕事
言語聴覚士は、今では活躍できる場所が幅広いです。
言語聴覚士の働いている場所には、次のようなところがあります。
医療機関
大学病院やリハビリテーション専門病院、リハビリテーションセンターが挙げられます。
こういったところでは、脳卒中や脳挫傷などによって「話す」「聞く(言っていることを理解する)」「読む」「書く」といった言語障がいに困っている方のリハビリをします。
医療機関では、発症後の数日から約1ヶ月の期間の急性期の患者さんに対してのリハビリから、言語聴覚士が付くことが多いです。
高齢者福祉・保健機関
特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、認知症専門病院、訪問リハビリテーションなどが含まれます。
こういったところでは、高齢者を相手にすることが多く、「食べる」ことの訓練や介助を言語聴覚士がします。
体力のない高齢者であったりすると、生死に関わることもあります。
食べることにトラブルが起きないようにすることは、とても大切です。
子どもの福祉・療育機関
特別支援学校、小児療育センター、発達障がい児支援センター、児童デイサービス、幼稚園・保育所・小学校・中学校などが含まれます。
主に知的障がい・発達障がい・自閉症などによって、同年代の子どもと比べて言葉に遅れがあって、社会や集団にうまくなじめない子供たちが言葉を学ぶことをサポートします。
さらに、本を読むことや字を書くこと、計算をするといった学習面で困難を感じている、およそ5歳~12歳の学童期の子どもには学習の指導を行うこともあります。
おおよその年収とキャリアパス
言語聴覚士の平均年収は、400万円ほどといわれています。
初任給ですと、月収25万円前後となることが多いようです。
働く地域や、勤務先によっても年収は変わります。
年収500万円を目指すのならば、管理職になる必要があると考えられています。
言語聴覚士の年収は作業療法士とさほど差がない状態です。
というのも、1999年に言語聴覚士ができた頃は、作業療法士との年収に差がありました。
今では改善がされてそれほどの差はない状態となっています。
いまのところ、言語聴覚士の年齢層は若いので、出世しやすい職種といえます。
認可団体
厚生労働省が言語聴覚士の認定団体です。
また、一般社団法人の日本言語聴覚士協会が平成12年に発足しています。
日本言語聴覚士協会は、ことばによるコミュニケーションに問題を抱える人々に専門的サービスを提供していて、生活の質の向上と社会参加を支援していくことを目的の1つとしています。
受験条件
言語聴覚士試験の受験資格を得るためには、文部科学大臣が指定する学校か、都道府県知事が指定した養成所を卒業する必要があります。
養成所に入るためには、高校を卒業していなければなりません。
合格率
言語聴覚士試験の2018年から2022年の合格率は以下の通りです。
2022年:第24回
受験者数 | 2593人 |
合格者数 | 1945人 |
合格率 | 75.0% |
2021年:第23回
受験者数 | 2546人 |
合格者数 | 1766人 |
合格率 | 69.4% |
2020年:第22回
受験者数 | 2486人 |
合格者数 | 1626人 |
合格率 | 65.4% |
2019年:第21回
受験者数 | 2367人 |
合格者数 | 1630人 |
合格率 | 68.9% |
2018年:第20回
受験者数 | 2531人 |
合格者数 | 2008人 |
合格率 | 79.3% |
1年当たりの試験実施回数
言語聴覚士の国家試験は、年に1回です。
試験日は、例年2月上旬の土曜日です。
合格発表は3月末です。
厚生労働省のホームページか、公益財団法医療研修推進財団のホームページで確認できます。
試験科目
言語聴覚士試験の試験科目は以下の12科目です。
- 基礎医学
- 臨床医学
- 臨床歯科医学
- 社会福祉・教育
- 音声・言語・聴覚医学
- 音声・言語学
- 心理学
- 言語聴覚障害学総論
- 失語・高次脳機能障害学
- 言語発達障害学
- 発声発語・嚥えん下障害学
- 聴覚障害学
この12科目から200問が出題されて、5択式のマークシート形式で解答します。
採点は1問1点なので、試験科目の12科目をカバーする知識が必要です。
採点方式と合格基準
マークシート形式での試験なので、採点方式は正誤判定されると思われます。
合格点はその年によって異なります。
例として、2021年2月に行われた試験では、合格基準点は200点満点中120点でした。
例年120点程度が合格点になっているようです。
問題を全問のうち6割正解することができれば、合格圏内だと思います。
取得に必要な勉強などの費用
言語聴覚士になるための、専門学校の学費はこのようになっています。
2年制の場合、学費総額で185万円~358万円ほどです。
3年制の場合、学費総額で335万円~500万円ほどです。
4年制の場合、学費総額で450万円~534万円ほどです。
テキストの価格も3点載せさせて頂きます。
言語聴覚士テキスト 第3版
- 出版社名:医歯薬出版
- 商品名:言語聴覚士テキスト 第3版
- 価格:¥4,620
言語聴覚士をめざす学生と、現場の若手向けのテキストです。
言語聴覚士のための臨床実習テキスト 成人編
- 出版社名:建帛社
- 商品名:言語聴覚士のための臨床実習テキスト 成人編
- 価格:¥3,740(税込)
失語、高次脳機能障害や摂食、嚥下障害だけでなく、耳鼻咽喉科領域の音声障害や聴覚障害も載っています。
言語聴覚士が担当する分野に広く触れているテキストです。
言語聴覚士のための臨床実習テキスト 小児編
- 出版社名:建帛社
- 商品名:言語聴覚士のための臨床実習テキスト 小児編
- 価格:¥3,080(税込)
言語聴覚士養成の臨床実習に対応するテキストです。
小児の領域を対象に、必須の知識の解説と症例報告書の作成について網羅的に扱っています。
受験料
受験手数料は34,000円です。
「公共財団法人医療研究推進財団」が指定する口座へ振り込む必要があります。
受験申込方法
書類を提出しなければなりません。
全ての受験者が提出する書類は、次の2つです。
- 受験願書
- 写真
写真は、出願前6ヶ月以内に脱帽正面で撮影した、縦6cm×横4cmのものです。
その裏面に撮影年月日と氏名を記載し、公益財団法人医療研修推進財団が交付する受験写真用台紙に張り付けた上、同台紙に所定の事項を記入して提出する必要があります。
写真の提出に当たっては、卒業した、もしくは在籍している学校または言語聴覚士養成所または公益財団法人医療研修推進財団において、その写真が受験者本人と相違ない旨の確認を受けなければなりません。
まとめ
言語聴覚士試験についてでした。理学療法士や作業療法士の試験のように国家試験です。
この資格を持つ人は、医療機関、高齢者福祉・保健機関、子どもの福祉・療育機関で必要とされています。
言語聴覚士の資格ができた頃は、作業療法士とは年収に差がありましたが、改善されてきたので今ではそれほど差はない状態です。
言語聴覚士の試験を受けるためには、文部科学大臣が指定する学校か、都道府県知事が指定した養成所を卒業する必要があります。
養成所に入るには、高校を卒業していなければなりません。
言語聴覚士試験の合格率は、この数年では65%~79%ほどとなっています。
年に1回、2月上旬に試験があって、3月末に合格発表があります。
試験科目が12科目あるので、勉強するのに時間がかかると思います。
言語聴覚士になるための専門学校には、2年制、3年制、4年制があります。
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