司法試験について

司法試験について

今日は司法試験について解説していきます。
司法試験は裁判官、検察官、弁護士になろうとする者に、必要な学識・応用能力を備えているかどうかを判定するための国家試験です。
この試験に合格しないと、これらの職業に就けません。
なおかつ、試験を受けるには法科大学院課程の修了者および司法試験予備試験の合格者でなければなりません。
法曹界の職業に就くには、かなり難関なようです。
司法試験の最新の情報をまとめてみました。
どうぞご覧下さい。

適用する仕事

司法試験と聞くと弁護士のイメージが強いですが、それ以外にも司法試験に合格するとかなりの職業が選べます。
弁護士、裁判官、検察官などの法律実務家はもちろん、他にも企業の法務部や学者、公務員などでもこの資格を活かすことができます。

弁護士とは

弁護士は依頼人の法律トラブルを解決する手助けをする職業です。
当事者同士では解決するのが難しい、法律に関するトラブルの相談を受けて、法的手続きが必要な場合は依頼人の代理を務めます。

しかし、司法試験に合格しただけでは弁護士になることはできず、合格してから司法修習を修了しなければなりません。
約7割の修習生は法律事務所の弁護士になります。

この法律事務所にもいろいろな種類があります。

  • 刑事弁護をやっている事務所
  • 一般民事に強い事務所
  • 企業法務でファイナンスに強い事務所
  • 訴訟に強い事務所
  • 税務会計に強い事務所

など

インハウスローヤーとは
これは企業内弁護士と呼ばれる職業です。
弁護士事務所で働く弁護士は、基本的にはそれぞれが独立した個人事業主として活動していますが、インハウスローヤーは民間企業に雇われている会社員のことです。
会社員の立場といえども、採用されるのは主に実務経験のある弁護士なので、通常の会社員のように簡単に入社できるわけではありません。

裁判官とは

裁判官とは司法権を行使し、中立的な立場から判決を下す役割の職業です。
刑事訴訟や民事訴訟において、当事者の主張を聞きながら真相を明白にして、最終的な判決を下します。
特に刑事訴訟においては、裁判官が下した判決は、被告側・原告側に大きな影響を及ぼし、判例としても以降の裁判にも残るので慎重な判断と徹底的な真相究明、法に照らした正しい判決を下さなければなりません。

裁判官の判断は、今後の社会秩序を維持するという意味で責任のある仕事なのです。

検察官とは

検察官とは法務省に属する国家公務員のことです。
法律に反する事件が発生したら、その事件を捜査し、被疑者を取り調べたり、被害者へ聞き込みをしたり、証拠品の確認などを行います。

そして、被疑者について起訴するか否かを決定します。
日本では、被疑者を裁判にかけるかどうかを決められのは検察官だけです。

次に、被疑者が犯罪を行なったことを証明させます。
裁判所に証拠を提出したり、証人尋問をしたりして、被告人が有罪であることを証明していきます。
また、裁判所の判決に対して不服申立てをすることもあります。

六法全書を勉強する人

おおよその年収とキャリアパス

全体の年収を記載しましたが、幅はあります。

弁護士 945万円
インハウスローヤー 750万~1,000万円
裁判官 900万円
検察官 600万~800万円
一般企業の法務部 約567万円
国家公務員 約489万円

司法試験のキャリアパスですが、試験に合格したら司法修習を受けます。

弁護士のキャリアパス

司法修習修了者の進路でもっとも多いのが弁護士で、約70%の人が目指します。
1年間の司法修習を経て、日本弁護士連合会か全国に52ある弁護士会のいずれかに入会します。

弁護士のキャリアパスはいろいろです。
アソシエイト弁護士(パートナー弁護士の部下)からパートナー弁護士(法律事務所における所長・代表を含む、共同経営者として働く弁護士)になったり、事務所勤務から独立する人もいます。

先ほど述べたように、司法修習者の進路でもっとも多いのが弁護士ですので、その数だけ道はあります。

検察官のキャリアパス

検察官も弁護士同様、司法試験に合格した後、司法修習を修了する必要がありますが、採用はこの司法修習の過程でできます。
能力や人柄を見られて、適性ありと判断された修習生が検察官として採用されます。
検察官になる割合は修習生の約4%程度です。

検察官は役職によって、副検事→検事→検事長→次長検事→検事総長と昇格していきます。

裁判官のキャリアパス

裁判官も検察官同様、司法修習の段階で採用判断がされます。
裁判官になる割合は修習生の約5%程度です。
採用は非常に枠が狭く、かなり難関といわれています。

裁判官の多くは任官から約10年で判事に昇格します。
判事になると、一人で裁判ができるようになるし、複数人の裁判官で行われる裁判では裁判長になることもできます。

認可団体

法務省

法務省

受験条件

法科大学院課程の修了者、もしくは司法試験予備試験の合格者。

合格率

2021年:41.5%
2020年:39.16%
2019年:33.63%

1年当たりの試験実施回数

年に1回
さらに、受験回数は5回までと決められています。
それは司法試験浪人を防ぐためや、法科大学院の教育効果を維持する期間であるなどの理由があります。

女性弁護士と六法全書と天秤

試験科目

試験構成は短答式試験と論文式試験の2本立てです。

短答式試験

  • 憲法
  • 民法
  • 刑法

論文式試験

法律基本科目

  • 憲法
  • 民法
  • 刑法
  • 商法
  • 民事訴訟法
  • 刑事訴訟法
  • 行政法

選択科目

以下の中から1科目選択します。

  • 労働法
  • 倒産法
  • 経済法
  • 知的財産法
  • 国際関係法(私法)
  • 租税法
  • 環境法
  • 国際関係法(公法)

採点方式と合格基準

短答式試験の場合は、各科目において,満点の40%(憲法20点、民法30点、刑法20点)以上の成績を得た者のうち、各科目の合計得点が99点以上の成績を得た者。

論文式試験の場合は、各科目において,素点の25%(公法系科目・刑事系科目は50点、民事系科目は75点、選択科目は25点)以上の成績を得た者。

そして総合評価として、短答式試験の得点と論文式試験の得点による総合点が755点以上の者。

取得に必要な勉強などの費用

【受験条件】の項目でもお伝えしたように、司法試験を受験するには法科大学院課程の修了者か司法試験予備試験の合格者でなければなりません。

法科大学院の費用

法科大学院の費用は未修者コースと既修者コースによって異なってきます。
未修者コースとは標準の3年間の修業年限を指します。
法律基本科目(憲法、行政法、刑事法、民事法、商法)を基礎から学び、3年間かけて法曹に必要な基本的な知識や技術などを身につけていくコースで、法学部以外の学部出身者もここにあたります。

既修者コースというのは、法律基本科目の基礎を修得済みと法科大学院が認定すると、標準修業年限を1年間短縮して修了できるというコースです。
しかし、こちらで入学するには、各法科大学院が課す法律基本科目試験に合格しなければなりません。

区分 学費
国立 未修者コース269万4千円
既修者コース189万円
公立 未修者コース227万1千円
既修者コース160万8千円
私立 未修者コース191万~348万円
既修者コース131万~232万円

私立の法科大学院のなかには、これよりもっと高い金額のところもあります。

司法試験予備試験の費用

司法試験予備試験とは、司法試験を受験するにあたって「法科大学院修了程度の知識・能力があるかを判定する」試験です。
予備試験に合格すると、法科大学院を修了していなくても司法試験の受験資格を得ることができます。

予備試験の受験料は17,500円です。
予備試験への勉強の費用は予備校代として、50万円台~130万円ほど掛かります。
予備校の講座は通学型とオンライン型があります。

六法全書とバッチ

受験料

28,000円
受験申込書に必ず収入印紙という形式で貼り付けて支払います。

受験申込方法

受験願書に必要事項を記入して、出願期間内に司法試験委員会宛てに郵送(書留)で提出します。
必ず郵便局の窓口で「書留」扱いにします。

受験願書には写真(サイズ縦45mm×横35mm)を貼り付けします。
該当者のみですが、添付書類もあります。
そして、受験資格の証明をして下さい。
手順は受験者IDを取得している場合としていない場合とで、操作が異なります。

詳細は法務省のホームページをご覧下さい。

まとめ

司法試験の情報いかがでしたでしょうか。
司法試験は法曹界の職業に就きたい人に、必要な学識・応用能力を備えているかどうかを判定するための国家試験です。
司法試験に合格して実際の職務に就くには、時間もお金も掛かります。

司法試験の受験条件は、法科大学院課程の修了者か、もしくは司法試験予備試験の合格者のみです。
法科大学院は専門学校のような学費、司法試験予備試験では受験料と予備校代が掛かります。
学費もしっかり掛かるということも踏まえて、合格へ向けて取り組みましょう。

司法試験は科目数が多いし、答えのないことを学ぶうえに、論文式試験(書くべきことを自分で決める)もあります。
受験資格をクリアしても、合格率は低めなので勉強時間をしっかり確保しながら挑んで下さいね!

 

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