高等学校卒業認定試験(旧大学入学資格検定:通称大検)について

高等学校卒業認定試験(旧大学入学資格検定:通称大検)について

今日は高等学校卒業認定試験について、ご紹介します。
もう知っている人や受けたことある人もいるかもしれません。
高等学校卒業認定試験とは、高等学校を卒業していない方が高等学校を卒業した人と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験です。
昔でいうと、大検です。

いろいろな事情で高校を卒業できなかった人もいるでしょう。
そんな方たちに高等学校卒業と同等の資格を認定するために、作られた資格です。
高校を卒業できなかった人には、自信になると思います。

適用する仕事

仕事で直接使えるというよりは、試験に合格すると国公立や私立の大学短大専門学校へ受験することができ、やがてはその先の就職や各種の資格試験などにおいて活用することができるという認定資格になります。
すでに高等学校を卒業した人は対象になりません。

老若男女

高等学校卒業認定試験に合格すると、高卒求人に応募できる場合が多いです。
高卒資格のない方にとって、ある企業の面接を受けたい、正社員で就職したいと思ったときに「高校卒業」の条件があると、高い壁になってしまいます。
今や世間では、高校を卒業して当たり前と見なしているところが多いです。

高校を卒業していない人が高卒認定試験に合格すると、応募条件が「高卒以上」となっている求人の多くに、応募できるようになります
履歴書の学歴欄あるいは資格欄に「高等学校卒業程度認定試験 合格」と記入すると、採用試験が受けられます。

ただし、なかには高卒認定では、高卒求人に応募できない企業もありますから、事前確認は必要になるでしょう。

また、応募だけでなく、高卒待遇で就職できる場合もあります。
高卒認定を受けると、高校を卒業していなくても就職の際に給与などの待遇面で高卒と同等の扱いを受けられる場合もあります。

ただし、ここでも企業によります。
あらかじめ言っておきますが、高等学校卒業認定試験に合格しても最終学歴は高等学校卒業になりません。
高等学校卒業認定試験というのは、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると見なされる資格試験であって、高等学校卒業と等しい学歴ではないです。

該当する人はそうした違いに注意しながら、求人に応募しましょう。

高卒の資格

おおよその年収とキャリアパス

前項目で挙げたように、高等学校卒業認定試験に合格すると国公立や私立の大学、短大、専門学校へ受験する資格が得られます。
いわばパスポートのように、大学受験への道が開かれます。
そうして進学した後の進路も開かれていく可能性があります。

国家公務員試験を受験する道

高卒と同じように就職の道が開かれるケースの他に、国家公務員になる道も開かれます。
人事院や衆議院、裁判所などが実施する次のような公務員採用試験の受験資格が与えられます。

  • 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)
  • 皇宮護衛官採用試験(高卒程度試験)ただし護衛官の区分に限る
  • 入国警備官採用試験、ただし警備官の区分に限る
  • 税務職員採用試験防衛省
  • 衆議院事務局職員採用衛視試験
  • 裁判所職員採用一般職試験(裁判所事務官、高卒者区分)

ちなみに、国家公務員の一般職の平均年収は、25歳係員で318万8千円、35歳の係長だと455万9千円、そして本府省課長補佐といった役職に就いていると737万円まで昇給します。

高卒程度の公務員一般職でも、昇格の道が辿れます。
一例ですが、採用直後は本省係員として、各局等の課や室などに配属されます。
配属後は人事異動により、おおむね2~3年のサイクルで担当業務が替わって、さまざまな業務を担当します。
そして、30歳前後で係長へ昇任するのが一般的です。

それ以外の国家資格も高卒と同様の扱い

また、以下のような国家資格も、受験の際に「高卒認定」は「高卒」と同様の扱いを受けられます。

試験名 おおよその年収
幼稚園教員資格認定試験 387万円
小学校教員資格認定試験 699万円
衛生管理者免許試験(第一種、第二種) 300万~800万円程度
作業環境測定士試験(第一種、第二種) 400万~500万円
職業訓練指導員試験 430万~600万円
保育士試験 374万円
建設機械施工技術検定試験(1級、2級) 400万~500万円前後
土木施工管理技術検定試験(1級、2級) 480万円
建築施工管理技術検定試験(1級、2級) 400万~500万円

認可団体

文部科学省

認可団体は文部科学省です。

受験条件

16歳以上で高卒資格がない方

※高等学校卒業者や大学入学資格検定・高等学校卒業程度認定試験合格者など、既に大学入学資格を持っている方は受験できません。

合格率

合格率 一部科目合格率
令和2年 46.1% 48.6%
令和元年 45.0% 45.8%
平成30年 43.5% 46.1%

この「一部科目合格」というのは、高卒認定試験は全6教科14科目の中から、最低8科目を選択して受験する仕組みです。
一度に全科目を受けなくても良い方式をとっています。

なお、1科目でも合格した人の合格率は約90%となっています。

1年当たりの試験実施回数

試験は毎年8月と11月の年2回行われています。

数字の2

試験科目

試験科目は高校で習う5教科です。
出題範囲は中学生~高校1年生修了程度です。

国語

国語は国語という試験科目として、出題されます。
必修です。

地理歴史、公民

それぞれ見てみましょう

地理歴史

  • 世界史A、世界史B→2科目のうちいずれか1科目必修
  • 日本史A、日本史B、地理A、地理B→4科目のうちいずれか1科目必修

公民

公民の中には現代社会、倫理、政治・経済の3科目があります。
現代社会1科目を受験するか、「倫理」と「政治・経済」の2科目を受験するかの2択です。

数学

数学は「数学」として、必修科目です。

理科

理科の中には、科学と人間生活、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎の5科目が含まれています。

以下のいずれかの選択の仕方で、受験します。

  1. 「科学と人間生活」の1科目と、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」のうち1科目(合計2科目)
  2. 「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」のうち3科目(合計3科目)

外国語

外国語とは英語のことで、必修です。

採点方式と合格基準

マークシート

解答はマークシート方式です。
記述式の問題は出ません。
選択肢は4択~6択など、科目によって異なります。

合格基準

高卒認定試験の合格ラインは、1科目ごとに100点満点中40~50点前後といわれています。
受験する科目すべてで50点を超えていれば、合格と考えて良いでしょう。

免除制度について

免除制度とは、高等学校などで履修していた場合、所定の単位以上を習得した科目については、高卒認定で受験しなくても合格扱いになる制度のことです。

おもに次のような方は、試験科目が一部免除になる可能性があります。

  • 高等学校へ1年以上通っていた方(高等学校で単位を修得した方)
  • 高等専門学校(5年制)へ1年以上通っていた方(高等専門学校で単位を修得した方)
  • 実用英語検定、数学検定、歴史能力検定などの技能検定に合格している方
  • 大検や高卒認定で科目合格をしている方
  • 文部科学省が指定する専修学校の高等課程(高等専修学校)へ1年以上通っていた方

など

ただし、全ての科目の免除を受けて合格者となることはできません。
最低でも1科目受験して合格する必要があります。

免除制度

取得に必要な勉強などの費用

独学の場合は、全教科の問題集と参考書をそろえたとしても、3~4万円程度に収まるでしょう。

一方、通信講座を利用する場合は、教材費や入学金などを含めて25万~35万円くらい掛かります。
しかし、分からないところを電話やFAX、メールやTV電話などで質問できるところもあります。

塾や予備校を利用する場合は、さらに高額になります。
全科目受講の場合は、1年で65万~80万円にもなります。

受験料

高卒認定の受験料は、受験する科目数によって次の3つに分けられます。

受験科目数 受験料
3科目以下 4,500円
4~6科目 6,500円
7~9科目 8,500円

受験申込方法

出願の際、以下の2通りの方法で受験案内を取り寄せ、同封の書類で出願します。

1.パソコン及びスマートフォンで請求する場合(テレメールの資料請求受付サイト/インターネット申し込み)

文部科学省の公式サイトに行っていただき、テレメール資料請求受付サイトという箇所をクリックします。
画面に従って必要事項を入力します。
請求したら、発送日からおおよそ3~5日で受験案内が届けられます。
受験案内に同封されている支払方法に従って、送料215円を支払います。

2.直接受け取りに行く

設定された期日により、文部科学省、各都道府県教育委員会及び各都道府県の配布場所で配布されます。
都道府県によっては各市町村で配布している場合もありますので、各都道府県教育委員会に問い合わせてみてください。
配布場所については、文部科学省の公式サイトをご確認ください。

まとめ

高等学校卒業認定試験(旧大学入学資格検定)通称大検

今回は高等学校を卒業していない人でも、高卒資格と同等に扱われる制度である「高等学校卒業認定試験」の内容をお伝えしてきました。

日本では通信制を含めて、いろいろな高等学校がありますね。
でもなかには、高校を中退したけど卒業したい人や、不登校で学校に通いたくないけど卒業はしたいという人などもいます。

それに、高卒認定では費用が安く抑えられます。
高卒資格では3年間在籍という学費が発生しますが、それよりかは金額が低めです。
それに、途中まで高校に通っていた人は、その単位が活かせる可能性もあります。

高卒認定は合格すると国公立や私立の大学、短大、専門学校へ受験する資格が得られます。
しいては、その後の進路の道も開けます。
(ただし、日本の大学は、一部を除き入学する年度の4月1日時点で満18歳以上でなければなりませんので、18歳未満で高卒認定を取得した人は指定されている年齢まで待ちましょう)

高卒資格が無い人は「高等学校卒業認定試験」を考えてみてはいかがでしょうか。

 

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