住宅診断ができることを示す資格の、公認ホームインスペクターについてです。
住宅診断がどんな時に必要か、住宅診断をするプロとはどんな知識を有しているかをまとめさせていただきました。
Contents
適用する仕事
公認ホームインスペクターの仕事は、プロとして住宅診断をすることです。
住宅を買う側が安心して住宅を購入できるように、住宅全体の劣化や、欠陥があるかないかを見てチェックします。
どこをメンテナンスすべきかや、その時期、大体メンテナンスにかかる費用を中立な立場で進言する専門家を認定する検定試験です。
知識と高い倫理観を有していることを示す検定試験ともいえます。
中古住宅の購入を考えている人が判断材料にするためや、顧客の安心を確保するための不動産会社のサービスとして、新築工事で引き渡し後の不具合や欠陥を防止するためなどが、ホームインスペクションを実施する目的です。
宅地建築取引業法で、中古住宅を売買するときに宅建業者が行わなければならない3つのことを定めています。
- 買主に対しホームインスペクション業者を斡旋できるか説明すること
- ホームインスペクションを実施済みの場合は買主に対し内容を説明すること
- 建物状況について売主と買主の双方が書面で確認すること
就く仕事で多いのが、建築士事務所、住宅販売、設計事務所や建設会社などの不動産業界です。
仕事の内容としては、住宅の劣化や欠陥の有無の判定、診断や検査内容の解説、修理やメンテナンス箇所の時期や費用の算出などです。
住宅の外回りの状態や室内の状態、床下の状態、小屋裏・天井裏の状態、設備の状態の診断をします。
おおよその年収とキャリアパス
リフォーム会社で働いているホームインスペクターのおおよその年収は、年代別で次のようになっています。
・20代から30代
年収300万円から500万円
・30代から40代
年収500万円から700万円
・40代以上
年収700万円から
公認ホームインスペクターの資格を有していると、住宅診断のプロとして知識や倫理観があることを示すことができます。
ホームインスペクション(住宅診断)は、家を買うとき、家を売るときに利用されることが多いです。
次のケースでこの資格を持っている人の意見が重要です。
- 中古住宅の購入を考えているけれども、建物のことがよくわからないとき
- 買った後に、その家が何年くらい耐久できるのかを知りたい場合
- いつ、どのくらいメンテナンスが必要なのか知りたい場合
- 家の状態を明らかにしてから売りたいとき
- 売買後の建物に関するトラブルを未然に防ぎたい場合
認可団体
公認ホームインスペクター試験は、2009年から実施されている資格試験です。
日本ホームインスペクターズ協会が試験を運営しています。
日本ホームインスペクターズ協会とは、生活者がホームインスペクションを利用して、安心して住宅売買ができるように、ホームインスペクションの記述基準や、ホームインスペクターの行動基準等を定めている団体です。
受験条件
年齢、学歴、取得資格は問われません。
どなたでも受験することができます。
受験日は期間の中から選択となっていますが、同一開催回の複数回受験は不可となります。
同一開催で複数回受験をした場合、申込後であっても受理されず、なおかつ払い込み受験料も返却されません。
試験後の発覚の場合は、合格が取り消される場合もあります。
同一年度の別の開催回でしたら、受験することができます。
合格率
ここ数年の受験者数や合格率は以下の通りです。
第14回 2021年度
受験者数:208人
合格者数:55人
合格率:31.0%
第13回 2021年度
受験者数:267人
合格者数:70人
合格率:31.0%
第12回 2020年度
受験者数:604人
合格者数:179人
合格率:34.0%
1年当たりの試験実施回数
CBT試験対応となったため、2022年度から年に4回の試験が行われるようになりました。
試験科目
出題範囲は次の通りです。
- 住宅に関わる建築の法規や実務範囲のガイドラインに関すること(建築基準法、建築士法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、2018年4月1日時点で施行されている法令に準拠)
- 木造住宅、マンションの構造に関すること
- 住宅の給排水、衛生、空調、電気設備等の呼称や一般的な使用に関すること
- 木造住宅、マンションの施工に関すること
- 木造住宅、マンションの劣化の判断に関すること
- 住宅の調査・診断方法に関すること
- 報告書の作成に関すること
- 一般的な住宅の売買・取引の形態や契約に関すること
- 業務に関するコンプライアンス、モラル、マナーに関すること
採点方式と合格基準
試験所要時間:90分
CBT方式の試験です。
4肢択一が50問の試験になっています。
総合得点が合格点以上で、分野別得点が基準点以上の場合に合格となります。
合格基準点は毎年異なります。ここ数年の合格点や平均点は以下の通りです。
第14回 2021年度
合格点:32/50点
平均点:31.68点
第13回 2021年度
合格点:32/50点
平均点:30.84点
第12回 2020年度
合格点:38/50点
平均点:36.07点
取得に必要な勉強などの費用
テキストには次のようなものがあります。
JSHI公認ホームインスペクター資格試験テキスト 令和新版
発行元:日本ホームインスペクターズ協会
商品名:JSHI公認 ホームインスペクター資格試験テキスト 令和新版
価格:¥3,630(税込)
試験を運営している日本ホームインスペクターズ協会が監修している、主要参考テキストの令和新版として改訂発刊されたものです。
各分野を基礎から学ぶための書籍です。
ホームインスペクションを基礎から学びたい人、公認ホームインスペクター資格試験の合格を目指す人、インスペクションを行う際の確認をしたい人にオススメのテキストです。
【受験者向け】2022年度JSHI公認ホームインスペクター(住宅診断士)資格試験 過去問題集
発行元:日本ホームインスペクターズ協会
商品名:【受験者向け】2022年度JSHI公認ホームインスペクター(住宅診断士)資格試験 過去問題集
価格:¥3,700(税込)
過去5回分の過去問題集です。
日本ホームインスペクターズ協会の事務局からの直販のみとなります。
受験料
15,000円(税込)
受験申込方法
試験実施日は2週間ほどの期間の中から、受験者が選択します。
受験希望日より、3日以上前に申込みをする必要があります。
申し込みができる期間は、2か月くらいあります。
試験実施運営「CBTーSolutions受験サポートサイト」からの申込が必要です。
インターネットからの申込だけです。
会場は、全国約260以上のCBT試験会場から選ぶことができます。受験票の発送はありません。
受験までの流れをお伝えします。
1.受験者登録
CBT-Solutionsでの受験が初めての場合は、ユーザIDとパスワードの取得が必要です。
スマートフォンからの申込可能ができます。
2.受験予約
CBT-Solutionsの受験規約を確認する必要があります。
確定した受験予約のキャンセルはできません。
3.受験予約の完了
受験料の支払い方法が確定すると、受験予約は完了です。
登録されたEメールアドレスに予約完了のお知らせが届きます。
4.領収書
入金完了メール受信時点から、受験者専用ページに領収書ボタンが表示されます。
次の手順でご自身での出力ができます。
- マイページにログイン
- 「CBT申込」クリック
- 「領収書」ボタンをクリック
※試験実施後は、「申込・受験履歴」タブ内にボタンが表示されます。
ポップアップ内にご希望の宛名を入力後、「領収書ダウンロード」ボタンをクリックします。
まとめ
住宅診断のプロである、公認ホームインスペクターの資格についてでした。
住宅を買う側が安心して購入できるように、受託のチェックをする人の資格です。
メンテナンスする場所や時期、費用を見極めて進言できることを示す検定試験です。知識と倫理観が必要です。
家を買うときや、家を売るときにこの資格を持っている人の意見は大きな価値があります。
合格率は3割前後くらいになっているので、難しい資格です。
以前は年に1回の試験でしたが、CBT試験対応になってから回数が増えて、2022年度からは年に4回の試験が行われるようになりました。
90分の試験時間で、4肢択一の問題が50問です。
ご興味のある方、受験条件に制限はありませんから受けてみてはいかがでしょうか。
関連する記事はこちら
競売不動産取扱主任者について