商品装飾展示技能士とは、商品展示を装飾で演出する技能を認定する国家資格です。
正しくは国家資格である技能検定制度の一種で、都道府県知事が実施する商品装飾展示に関する学科試験・実技試験に合格した者を指します。
合格した者には、1級でしたら厚生労働大臣名の、2級・3級でしたら東京都知事名の合格証書と技能士章が交付されて「技能士」と名乗ることができます。
お店のショーウィンドウがきれいに見えるのは、ちゃんと技能を身に付けた人が行なっているからなのですね。
技能士を名乗るには何が必要なのかをみていきます。
Contents
適用する仕事
まず、資格名にもなっている商品装飾展示とは、ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)の考え方をもとに、商業施設においてマーチャンダイジングを的確にお客様に視覚伝達するための、マーチャンダイズプレゼンテーションのことです。
つまり、商品装飾展示技能士とは店舗や企業におけるビジュアルマーチャンダイジング(VMD)担当者として、常に柔軟で効果的な売り場作りと商品プレゼンテーションを担うプロフェッショナルのことです。
無資格者は「商品装飾展示技能士」を名乗る事ができません。
これは職業能力開発促進法において、決められています。
商品装飾展示技能士は別名でデコレーターとも呼ばれています。
デパートや店舗のショーウィンドウがきれいで足を止めたことがある方もいるでしょうが、そのような商品を美しく飾って、消費者の購買意欲を高めるのが商品装飾展示技能士の役目です。
ショーウィンドウがきっかけで、消費者がそのお店を利用して買い物されれば売り上げアップに貢献できます。
商品装飾展示技能士の活躍する場所は、そうした小売業界のディスプレイだけでなく、ホテルやテーマパークなどの大型施設や各種展示運営企業にもあります。
デザインが好きで、流行に敏感な人には向いているでしょう。
ですが、求められる能力はそれだけではありません。
ディスプレイ担当といえども、市場調査や商品の関連知識といった、販売促進に必要な知識や分析力、さらには安全のための消防法、製造物責任法、著作権法といった知的財産権に関わる知識も必要になってくるでしょう。
また、依頼者へ向けてのプレゼンテーションや図面の作成、材料費を含めた見積もりの作成も仕事内容に含まれるでしょう。
おおよその年収とキャリアパス
商品装飾展示技能士の年収は勤務先の規模や個人の能力、それに手掛ける仕事内容によっても大きく変わります。
これはディスプレイによる集客効果がデザイナー本人の評価に直接つながる仕事のため、一概には言えないということです。
例えば、勤続3年で年収が400万円を超える会社もあれば、10年経っても400万円のままというところもあります。
もっと広く見てみると、ディスプレイデザイナーの平均年収は300万~500万円ほどのようです。
冒頭でもお伝えしたように、商品装飾展示技能士の検定に合格したら、1級でしたら厚生労働大臣名の、2級・3級でしたら東京都知事名の合格証書と技能士章が交付されて「技能士」と名乗ることができます。
この資格はアパレル販売職の方に多く取得されています。
販売職の方でしたら、そのショップの店長やエリアマネージャーに昇進したり、本社勤務で営業職や企画職に就く道が考えられます。
他にも前項目で挙げたように、ホテルやテーマパークなどの大型施設や各種展示運営企業でも活躍する場所がありますので、仕事の需要はあります。
しかし、ディスプレイには予算があり、その額は縮小傾向になりつつあります。
予算規模が収入に直結しますから、収入を維持するには安価な仕事を大量にこなすことも覚悟しなければなりません。
海外でも活躍の場を広げたいならば、英語や、その他の語学に力を入れておいた方が仕事の幅が広がるでしょう。
認可団体
商品装飾展示技能士試験を運営・管理している団体は「日本ビジュアルマーチャンダイジング協会(JAVMA)」というところです。
1987年に協会は設立されました。
こちらでは、商品装飾展示技能士の支援の他に、各種セミナー開催やTERAKOYA(勉強会)などさまざまな活動を行なっています。
受験条件
商品装飾展示技能士試験は3級・2級・1級とあります。
3級はどなたでも受験できます。
2級は3級を受けないで、いきなり受験する場合は2年の実務経験が必要です。
1級になると、条件がもっと細かくなります。
1級の受験条件 | 直接1級を受検 | 3級合格後1級を受検 | 2級合格後1級を受検 |
実務経験のみ | 7年 | 4年 | 2年 |
大学卒業(4年制) | 4年 | 2年 | 2年 |
短大卒業(2年制)または高等専門学校卒業 | 5年 | 4年 | 2年 |
高等学校卒業(専門課程) | 6年 | 4年 | 2年 |
専修学校または各種学校卒業(3,200時間以上) | 4年 | 4年 | 2年 |
専修学校または各種学校卒業(800時間以上) | 6年 | 4年 | 2年 |
※ただし、学歴は受験する職種に相当する学科(デザイン科や美術科など)を専攻した者に限ります。
合格率
合格率は非公開ですが、難易度は1級が普通、2級が易しい、3級がとても易しい程度です。
1年当たりの試験実施回数
試験は学科と実技がそれぞれ年1回ずつあります。
回数はどの級も同じです。
試験科目
試験は学科と実技に分かれます。
学科試験
どの級も問われる科目は同じです。
- 商品装飾展示一般
- 商品装飾展示法
- 材料
- 関係法規
- 安全衛生
実技試験
実技試験は商品装飾展示作業です。
1級 スケッチ、デザイン、装飾展示
2級 デザイン、装飾展示
3級 装飾展示
採点方式と合格基準
学科試験は3級の場合だと○×式、2級と1級では○×式と多肢択一法で出題されています。
学科と実技の両方を合格しないと検定合格になりませんが、片方が不合格だった場合は、次年度以降に単独で受験することができます。
合格の有効期限はありません。
取得に必要な勉強などの費用
商品装飾展示技能検定の公式サイトからテキストが販売されています。
国家検定 商品装飾展示技能検定ガイドブック
発行元:日本VMD協会
商品名:国家検定 商品装飾展示技能検定ガイドブック
価格:学科編・実技編 各¥2,420(税込)
学科編と実技編、それぞれ販売しております。
VMD用語事典
発行元:エポック出版
商品名:VMD用語事典
価格:¥2,500(税込)
現場で生きるVMDの知識と技術を網羅した書籍です。
受験料
試験を実施する場所は東京都以外にもありますので、該当する都道府県の職業能力開発協会の受験料を参考にして下さい。
所在地は商品装飾展示技能検定の公式サイトを参照して下さい。
学科試験のみですと、どの級も3,100円です。
実技が入ると料金設定が細かくなります。
受験申込方法
受験申請書の入手や試験を実施する場所は東京都以外にもあります。
試験地によって、申込方法が異なってきますので、最寄りの都道府県の職業能力開発協会をお調べ下さい。
所在地は商品装飾展示技能検定の公式サイトを参照して下さい。
提出する際、本人確認書類のコピーが必要になりますので、何が該当するのか確認しておきましょう。
まとめ
今回は技能検定の一種である「商品装飾展示技能士試験」=商品装飾展示技能検定について、みてきました。
技能検定なので、職業能力開発協会で受験申請書が入手できたり、試験が実施されます。
試験場所によって、方法や受験料が若干異なってきますので、自分がどこで受験したいかを明確にしてそれに沿って受験案内を確認しましょう。
商品装飾展示技能士試験はアパレルやデザインの勉強をする人にとっては、おすすめの資格です。
国家資格でもありますので、ぜひ受験して自身の仕事に役立てましょう!
関連する記事はこちら
デコレーター技能検定について
東京都中央区銀座2-14-5 銀座27中央ビル8階
TEL:03-3476-1410
ただし、電話応信時間は月曜~金曜(土・日・祭日休み)10:00~15:00