再開発プランナー試験について

再開発プランナー試験について

再開発プランナーとは、マンションや密集市街地の共同建て替えや市街地の再開発事業などの都市開発事業において、専門的技術者として幅広い業務に関わるまちづくりの専門家です。
一般社団法人再開発コーディネーター協会が運営・管理している民間資格です。
民間資格ではあるものの、都市再開発の専門技術者を認定する日本唯一の資格となっています。
どのような資格なのか、これからご紹介していきます。

適用する仕事

現在、都市部を中心に街の「再開発」が進んでいます。
再開発とは、市街地再開発事業と言い、より安全で住みやすく、魅力的な街づくりをして都市を再生することを指します。

たくさんの人がより快適に住みやすい複合市街地に再生させるために行われており、それを計画する中心人物が再開発プランナーと呼ばれる職業です。

再開発プランナー

再開発プランナーが担う仕事は、次の2つが挙げられます。

事業計画

事業計画または資金計画といわれる仕事です。
再開発プランナーは再開発事業の全体を見ながら、事業を円滑に進めるよう仕事を行いますが、その際事業の収支を整理して、担保することも重要な役目です。

例えば、再開発事業には設計や施工などのコストが掛かるため、金額や資金調達の方法を決める必要があります。

資金調達の方法のなかには、事業後の建物の一部をデベロッパー(企画・開発事業をメインに行う企業)へ売却することもあり得ます。

権利変換に関する手続き

市街地開発事業の最大の特色は、現在地区内に土地や建物に関する権利を持っている方には、その土地や建物の権利をそれに見合う価値(等価)で、新しく建設されるビルの床とそのビルの敷地に関する権利に置き換えることにあります。

この権利の置き換えを「権利変換」といい、権利変換によって権利が置き換わる新しいビルの床を「権利床(けんりしょう)」といいます。

権利者に対して、床を分配している作業が権利変換に関する手続きを行うのが再開発プランナーの仕事です。
具体的には、建て替える前の土地に保有していた権利や資産を新しい建物に引き継ぎます。

建て替え前に保有していた資産総額と、事業後に得る資産が釣り合うように住民などの各権利者に分配していきます。
その際には、当事者間での手続きや同意書などが必要になってくるので、これらの作業を円滑に進めるためにサポートします。

再開発プランナーが求められるスキルとして、街づくりの専門家として街づくり全体に関する知識や防災に関する知識、それに個々の街づくりに合わせた物件推進能力が挙げられます。

おおよその年収とキャリアパス

マネー

再開発プランナーのみの平均的な年収は明らかになっていません。
しかし、再開発プランナーに関する求人を探すと、平均年収が450万~730万円の企業が多くありました。

似たような職業に不動産デベロッパーという職業がありますが、そちらの平均年収は442万円でした。
20代では384万円ですが、30代では524万円もの収入が得られるようです。

再開発プランナーが活躍する場所は、コンサルタント会社やゼネコン、不動産会社、地方公共団体、都市再生機構などがあります。
都市の再開発は必然的に大規模な事業になるため、主に大手の会社が手掛けます。
大手の会社では設定されている給与が比較的高いため、再開発プランナーの収入は安定する見込みでしょう。

再開発プランナーの資格はニーズが高いわりに、現時点ではまだ数が少ないですから、不動産業界で携わっている方にとってはスキルアップの資格にもなるし、転職にも有利になります。
プランナーの登録を行えば、市街地再開発事業の分野でディベロッパーとして活躍の幅が広がるでしょう。

認可団体

再開発コーディネーター協会

再開発プランナー試験は「一般社団法人 再開発コーディネーター協会」という団体が運営・管理しています。

〒105-0014 東京都港区芝2-3-3 JRE芝2丁目大門ビル7階
TEL:03-6400-0261
FAX:03-3454-3015

【主な沿革】
1979年10月15日 再開発コーディネーター協議会設立
1985年5月29日 社団法人再開発コーディネーター協会設立
1992年1月18日 再開発プランナー資格制度の創設
2012年11月1日 一般社団法人再開発コーディネーター協会へ移行

受験条件

筆記試験を受ける年の4月1日の時点で、満20歳以上であること

合格率

2021年:29.2%
2020年:29.4%
2019年:28.6%

1年当たりの試験実施回数

毎年、筆記試験が8月下旬に、実務経験審査が11月~12月に行われます。

試験科目

試験会場

試験は学科試験と実技試験の2つが実施されます。

学科試験

どのような学科試験が行われるのでしょうか

市街地再開発事業およびマンション建替え事業に係る法律等

  • 都市再開発法
  • マンションの建替え等の円滑化に関する法律
  • 市街地再開発事業およびマンション建替え事業に係る補助・融資・税制等

都市計画法等関連法規

  • 都市計画法
  • 建築基準法
  • 土地区画整理法
  • 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律
  • 都市再生特別措置法
  • その他都市再開発の事業に係るもの

不動産関連法規

  • 建物の区分所有等に関する法律
  • 借地借家法
  • 不動産登記法
  • 民法
  • その他都市再開発の事業に係るもの

評価・補償

  • 不動産鑑定評価基準
  • 国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準
  • その他都市再開発の事業に関する評価や補償

その他 都市再開発に関連する基礎知識

  • 都市づくりの理念や歴史
  • 不動産証券化などのファイナンス等の都市再開発に関連する基礎知識

実技試験

  • 市街地再開発事業およびマンション建替え事業の手続き
  • 事業計画および権利変換計画の作成ならびにその他の都市再開発の事業の企画
  • 事業計画および権利調整に係ること

採点方式と合格基準

筆記試験は原則として四肢択一式です。
実技試験は記述式を含む筆記形式です。

2021年度の筆記試験では、学科試験100点満点のうち50点、実技試験100点満点のうち60点を科目基準点としていて、両科目とも基準点以上で、かつ合計125点(200点満点)以上が合格でした。

筆記試験の合格者に、実務経験審査および初回の登録の案内書と申込書が送付されます。
実務経験審査を合格したのち、再開発プランナーとして登録されます。

取得に必要な勉強などの費用

認可団体の協会から試験参考書が販売されています。

逐条都市再開発法(第28版) 2,900円
再開発事業の計画ドリル第2版 2,900円

また、協会以外にも参考になる図書があります。

わかりやすい都市再開発法
created by Rinker

出版社名:大成出版社
商品名:改訂3版 わかりやすい都市再開発法-制度の概要から税制まで-
価格:¥2,090(税込)

こちらは市街地の計画的な再開発に関する必要な事項を定めている「都市再開発法」という法律について、制度の概要から税制までをコンパクトにまとめている書籍です。
再開発に関して初学者におすすめな入門書です。

受験料

22,000円(消費税含む)

受験申込方法

筆記試験を受験するには、受験案内書が必要になります。
協会窓口または郵送で頒布します。
価格は1部1,300円です。

申込みには次の3点が必要です。

  1. 証明写真
  2. 受験手数料納入用払込取扱票(所定の払込用紙)受験手数料を納入した際に発行される払込受領証を、受験申込みの際に添付する
  3. 年齢を証明できる書類(運転免許証、パスポート、健康保険証など)

まとめ

再開発

今回は「再開発プランナー」について、どのような資格なのかをお伝えしてきました。
こちらの資格は試験に合格するだけでなく、実務経験審査も通過しないとその称号を得られません。
試験に合格して、3年以上再開発事業に携わって実務経験を積みましょう。
そして、3年ごとの更新も必要です。

一見すると、取得するのに面倒な資格に見えますが、再開発事業は大手の会社が手掛けることが多いので、収入も将来性も安定するポジションにいられます。

街づくりに興味のある方は、こちらの資格も検討して受験してみてはいかがでしょうか。

 

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