LPI認定試験とは「LPIC」とも呼ばれる試験名で、正式名称は「Linux(リナックス)技術者認定試験」のことです。
つまり、Linux技術者としての技術力を認定するIT資格なのです。
英語名ばかりでピンと来ませんよね。
今回はそんな名前の試験についてお伝えしていこうと思います。
Contents
適用する仕事
冒頭でお話したように、LPI認定試験とは「Linux技術者としての技術力を認定する」IT資格です。
Linuxとはサーバー管理やWebアプリケーションの開発環境など、さまざまな業務で使われているOSなのです。
幅広い業務で使われているため、エンジニアとしてのLinuxのスキルを向上させるにはLinux資格の取得を目指して、体系的な知識を学ぶことが大切になってきます。
では、このLPI認定試験に合格すると、どんな適職に役立つのでしょうか。
日常の業務では
専門的に聞こえるLPI(LPIC)ですが、実は日常のちょっとした業務の中でも活かすことができます。
例えば、勤務している会社で何かLinuxを使用した業務ツールや設備にトラブルが生じた時、社内でLinuxに詳しい・扱うことが出来る人がいれば、大変重宝されます。
業者へ連絡してトラブル対応に来てもらうと、時間も金銭面もロスになってしまいますからね。
Linuxエンジニア
Linuxに関わる専門的な仕事に通じるのがこの職種です。
試験に合格するとLinuxに関わる仕事に幅広く生かすことが出来ます。
仕事内容は
- 要件定義と設計(どのようなインフラ構築にするか)
- 構築作業(機器の搬入や組み立て、ソフトウェアのインストールや設定など)
- 運用保守
Linuxはこんなところで使われています。
- 様々なサーバー
(Webサーバー、メールサーバー、データベースサーバー、ファイルサーバーなど) - クラウド基盤や仮想サーバー
- スーパーコンピューター
- スマートフォン(Android)
- 家電製品など
おおよその年収とキャリアパス
先ほど「Linuxエンジニア」という職種が出てきました。
この種類のエンジニアのこと、気になりますよね。
年収では
2020年6月時点での資料で、フリーランスエンジニアの年収
Linuxエンジニア(インフラエンジニア)の平均年収は782万円らしいです。
最高年収が2,280万円、最低年収でも380万円稼いでいる結果になっています。
一方、会社員であるエンジニアの平均年収も見ておきましょう。
会社員エンジニア全体の平均年収は469万円です。
- 20代 平均年収373万円
- 30代 平均年収509万円
- 40代 平均年収605万円
- 50代 平均年収701万円
比べるとわかるようにLinux技術を受け持つエンジニアの方が、平均年収が高いといえます。
キャリアパスでは
Linuxエンジニアはインフラエンジニアともいいますが、3通りのキャリアパスがあるといえます。
マネージャー
チームやプロジェクトでリーダーシップを発揮したい人におすすめなポジションです。
インフラエンジニアというのは仕事の作業量が多く内容も多岐にわたります。
そのため複数の専門家が集まるチームの一員として取り組む必要があります。
マネージャーはそのチームのまとめ役になります。
責任をもってITインフラの管理をする役目を担います。
スペシャリスト
インフラエンジニアとしての知識とスキルをとことん高めたい人向けのポジションです。
これは仮想化の技術など、一般的なインフラエンジニアにはできないようなよりハイレベルな技術が求められる職種なのです。
また、このスペシャリストというのは技術だけでなく「最新技術の情報収集」をすることも大事になってきますよ。
ITコンサルタント
インフラエンジニアとして培ったIT分野の豊富な知識を活かして、企業の課題をビシッと解決する職業です。
顧客のニーズや課題に合わせて、ITインフラや経営戦略をアドバイスする仕事内容です。
この経営戦略を提案するためにはIT関連の知識だけでなく、現在の経済情勢や経営術といったビジネス面の知識も学んでいく必要があります。
多様な分野の人々と仕事がしたい人にはおすすめな職業です。
認可団体
LPI認定試験は「Linux Professional Institute」の頭文字を取った試験名で、LPI-Japanという非営利組織が運営しています。
日本でのLinuxの技術力認定試験の普及とITプロフェッショナルの育成のために、2007年に設立されました。
現在ではOSSのデータベースソフトウェア、クラウドソフトウェアであるcloudStackやOpenStack、さらにはHTML5のプロフェッショナルといった対象を広げて認定試験を実施しています。
まとめると下記のことを行なっています。
- 日本のITプロフェッショナルの技術力を高める
- 日本のITプロフェッショナルをオープンソースの世界に導き、能動的な貢献を前提として世界で活躍できるようにする
- 日本の経営者のオープンソースムーブメントに対する理解を深める
受験条件
受験するにはグレードがあります。
レベル1(LPIC-1) | 受験資格は特段なし |
レベル2(LPIC-2) | 認定にはLPIC-1に合格していること |
レベル3(LPIC-3) | 認定にはLPIC-2に合格していること |
合格率
合格率は非公開となっています。
しかし、公表されている日本国内の受験者数の累計は2017年のデータで、29万人らしいです。
各レベル別の合格者数累計はそれぞれ「レベル1:6万9千人」「レベル2:2万1千人」「レベル3:1万3千人」となっていて、合格者数の総計は10万3千人になります。
つまり、これらの数字から単純計算すると全体での合格率は、35%になります。
これはレベル1~3の合計からですので、一番初心者向けのレベル1の合格率は50%を超えると見込まれます。
1年当たりの試験実施回数
LPI(LPIC)認定試験には試験日や試験会場の指定はありません。
ご自身の都合のよい日や場所で受験が可能です。
- 申込受付期間 随時
- 試験日 祝日を除く、月~土曜日
- 試験会場 全国のピアソンVUE公認試験会場
試験科目
グレードに合わせてお伝えしていきます。
LPIC-1
試験は「101試験」と「102試験」の双方合格で認定されます。
101試験の出題範囲 | ・システムアーキテクチャ ・Linuxのインストールとパッケージ管理 など |
102試験の出題範囲 | ・シェル、スクリプト、およびデータ管理 ・インターフェイスとデスクトップ ・管理タスク業務 など |
LPIC-2
LPIC-2を取得するには、レベル1を取得後「201試験」と「202試験」の2試験に合格する必要があります。
201試験の出題範囲 | ・キャパシティプランニング ・Linuxカーネル ・システムの起動 など |
202試験の出題範囲 | ・ドメインネームサーバ ・ウェブサービス ・ファイル共有 など |
LPIC-3
LPIC-3では、300試験、303試験、304試験のいずれか一つの試験に合格すればレベル3に認定されます。
300試験の出題範囲 | ・OpenLDAPの設定 ・認証バックエンドとしてのOpenLDAP ・Sambaの基礎 ・Samba共有の設定 など |
303試験の出題範囲 | ・暗号学 ・アクセス制御 ・アプリケーションのセキュリティ など |
304試験の出題範囲 | ・仮想環境 ・高可用性クラスタ管理 ・高可用性クラスタストレージ |
採点方式と合格基準
合格点のボーダーは試験により変動しますが、65%~75%程度になるでしょう。
基本的に(200~800点満点)の500点以上になります。
問題数は60問前後ですので、42問程度正解すれば合格できるそうです。
取得に必要な勉強などの費用
LPICの勉強方法はテキストを使うのが最適です。
LPIC Level1問題集
- 出版社名:ソキウス・ジャパン
- 書籍名:LPIC Level1問題集
- 価格:¥2,750(税込)
こちらの書籍はLPI-Japanより正式にLPICの教材認定を受けた問題集です。
前半が101試験の対策問題、後半が102試験の対策問題、そして巻末には本番の試験と同じ構成の総仕上げ問題も付いています。
さらに、電子版(全文PDF)無料ダウンロードも付いています。
この電子版をパソコンやスマホの中に入れておけば、いつでも勉強できますね。
もちろんLinuCへの試験教材としても対応しています。
Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集Version5.0対応
- 出版社名:翔泳社
- 書籍名:Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集Version5.0対応
- 価格:¥2,750(税込)
LPICレベル1に向けた最新バージョンの対策問題集です。
LPI-incの認定テキストとして出題範囲を万遍なく学べる内容となっています。
受験料
101、102、201、202試験 | 15,000円 |
300、303、304試験 | 30,000円 |
受験申込方法
記事の前半にも記載しましたが、今は「LinuC」の試験名で開催されています。
EDUCO-IDの取得
LinuCを受験するにはEDUCO-IDが必要になります。
まずはそれに登録しましょう。
受験チケットの購入と試験予約をする
- チケット購入には3つの決済手段(クレジットカード、コンビニ決済、振込決済)が選べる
- 受験チケット(=12桁の英数字)を購入手続き時に、登録したメールアドレス宛に送付する
- 受験日はチケット購入後1年以内で設定すれば良い
- 予約にはピアソンVUEのアカウントが必要→作成する必要がある
- ピアソンVUEのページから予約と支払いが一括して手続きできる
- ピアソンVUEでの手続きでは、ピアソンVUEアカウントが必要
- 使える決済手段はクレジットカードのみです。
まとめ
「LPI認定試験」というのは「Linux技術者認定試験」のことでした。
今までは「LPIC」といっていましたが、2018年から「LinuC」という試験に変わりました。
この資格を持っていれば、エンジニアとして年収に大きな差が生まれてくるでしょう。
ぜひ、ITに興味のある方、エンジニアのスペシャリストとして目指したい方は受けてみるのはいかがでしょうか。
今後のLinux技術者認定試験については、2018年3月から「LinuC」として展開されますので切り替えが必要になります。