歯医者に行くことは何歳になろうと憂鬱なものです。
あのガーッという機械の音を聞くと体がこわばりますよね。
それでも歯の調子を良くすることは、食事が快適にできて全身の健康にもつながります。
歯の治療をしてくれるのは歯科医師です。
2020年の統計ですが、12月31日の時点で歯科医師の数は10万7千人ほどいます。
今回は歯科医師についてみていきます。
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適用する仕事
歯科医師試験に適用する仕事は歯科医師です。
仕事内容は口腔内とその周囲の病気やケガの治療です。
治療については、虫歯の処置や抜歯、入れ歯、詰め物、差し歯などの製作と装着、それに歯並びの矯正やインプラントの装着など行います。
外科的治療に加えて、口腔領域の良性・悪性腫瘍を診るのも対象となります。
こうした院内の診察・治療の他に、学校や児童施設で歯の健康管理を行う定期検診業務や高齢者施設に出向いて訪問診療を行う歯科医もいます。
また、自身のクリニックでの診療を行いながら、警察に協力して遺体の身元確認を手伝う「警察歯科医」や、企業の歯科検診や歯の健康に関する指導を担う「産業歯科医」などもいます。
さらにいうと、美容業界の分野でも歯科医師は活躍しています。
審美歯科といい、通常の歯科で行なっている治療に「美」の視点をプラスします。
歯並びをきれいにしたり、歯茎の色を美しいピンク色に改善するなどします。
審美歯科では、歯の表面の色素や歯石の除去、歯の色そのものを白くするホワイトニング、セラミックの被せ物をして歯並びをきれいにするラミネートべニアなどが挙げられます。
近年、女性の歯科医師が増加していますので、審美歯科の需要も増すだろうと思います。
おおよその年収とキャリアパス
歯科医師の平均年収は全国で704万円となっています。
東京都で713万円、北海道で653万円、大阪府で731万円というのが目安です。
常勤の他に非常勤やパート、アルバイトという働き方もあります。
平均時給は全国で3,802円のようです。
東京都で3,851円、北海道で3,525円、大阪府で3,951円となっています。
じつをいうと、歯科医師は歯科医師試験に合格するだけでは、歯科医師を名乗れません。
業務に就くには、厚生労働大臣の免許をもらうための申請をしなければなりません。
申請をして免許がもらえたら歯科医師として働けますが、免許を取得した後、病院や歯科医院など決められた研修施設で1年以上の臨床研修を受けることが義務づけられています。
歯科医師になってからはいろいろな働き方ができます。
就業形態が一番多い開業・事業承継はもちろん、常勤・非常勤を含む勤務医、大学の研究職として就いたり、技官や医官に進む道も考えられます。
まずは、いろいろな症例にあたることが必要でしょう。
例えば、勤務医からスタートして力をつけたら、それぞれのキャリアに向かうのが考えられます。
技官や医官などは面接や書類審査などを通過して就きます。
認可団体
厚生労働省
受験条件
- 学校教育法に基づく大学において、歯学の正規の課程を修めて卒業した者
- 歯科医師国家試験予備試験に合格して、合格した後1年以上の診療および口腔衛生に関する実地修練を経た者
- 外国の歯科医学校を卒業したり、外国で歯科医師免許を得た者で、厚生労働大臣が上記の1や2に掲げる者と同等以上の学力や技能を有し、かつ適当だと認定された者
- 沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令により、歯科医師法の規定による歯科医師免許を受けた者とみなされ、かつ厚生労働大臣が認定した者
合格率
2022年:61.6%
2021年:64.6%
2020年:65.6%
1年当たりの試験実施回数
年1回、1月下旬から2月上旬の土日に実施されます。
試験科目
試験は必修問題、一般問題、臨床実地問題で3構成で出題されます。
必修問題
- 医の倫理と歯科医師のプロフェッショナリズム
- 社会と歯科医療
- チーム医療
- 予防と健康管理・増進
- 人体の正常構造・機能
- 人体の発生・成長・発達・加齢
- 主要な疾患と障害の病因・病態
- 主要な症候
- 診察の基本
- 検査・臨床判断の基本
- 初期救急
- 治療の基礎・基本手技
- 一般教養的事項
一般問題
領域A(総論)として
- 保健・医療と健康増進
- 正常構造と機能、発生、成長、発達、加齢
- 病因、病態
- 主要症候
- 診察
- 検査
- 治療
- 歯科材料と歯科医療機器
臨床実地問題
領域B(各論Ⅰ~Ⅱ)
- 成長・発育に関連した疾患・病態
- 歯・歯髄・歯周組織の疾患
領域C(各Ⅲ~Ⅳ)
- 顎・口腔領域の疾患
- 歯質・歯・顎顔面欠損と機能障害
- 高齢者などに関連した疾患・病態・予防ならびに歯科診療
採点方式と合格基準
必修問題が80問、一般問題が180問、臨床実地問題100問の計360問が出題されます。
必修問題は80%以上の正答が合格基準です。
配点は1問1点です。
一般問題と臨床実地問題は、領域A、領域B、領域Cに分かれていて、それぞれの平均点と標準偏差値を用いて基準を決めます。
配点は一般問題では1問1点、臨床実地問題では1問3点です。
取得に必要な勉強などの費用
歯科医師になるには、歯学の正規の課程を修めて卒業しなければなりません。
歯学部は6年制です。
歯学部を設けている大学は意外と少なく、全国で27大学29学部しかありません。
(2大学は歯学部を2つ持っているため、このような数となっています)
国立大学が11学部、公立大学が1学部、私立大学が17学部です。
大学 | 学費 |
国立 | 約350万円 |
公立 | 約350万~373万円 |
私立 | 約1,900万~3,200万円 |
ご覧の通り、国公立大学と私立大学では学費にとても大きな差が出ます。
学費を抑えるために国立大学に進学するには、5教科7科目を受験する共通テストと、英語、数学、理科(1~2科目)で課される個別試験を受ける必要があります。
また、小論文と面接も課されるところも多いです。
対策するものが多いですが、志望校へ向けて頑張りましょう。
受験料
受験料は18,900円です。
受験料の額に相当する収入印紙を受験願書に貼って、納付します。
この場合、収入印紙は消印にしないで下さい。
受験申込方法
受験を申し込む際は次の書類を提出します。
郵送する場合は「歯科医師国家試験運営本部事務所」が提出先です。
受験願書
受験願書は歯科医師法施行規則第3号書式により、作成します。
受験願書に記載する氏名は、戸籍に記載されている文字を使用します。
中長期在留者については在留カードまたは住民票、特別永住者については特別永住者証明書または住民票、短期在留者については旅券その他の身分を証する書類の文字を参考にして下さい。
写真
写真は出願前6ヶ月以内に脱帽正面で撮影したものを用意します。
サイズは縦6cm×横4cmです。
その裏に「(シ)」の記号、撮影年月日、氏名を記載し、厚生労働省または歯科医師国家試験運営本部事務所、もしくは歯科医師国家試験運営臨時事務所において交付する受験写真用台紙に貼り付けたうえ、同台紙に所定の事項を記入して提出して下さい。
返信用封筒
縦23.5×横12cmの封筒を用意します。
表面に郵便番号、宛先、宛名を記載し、529円(定形郵便94円+一般書留435円)の郵便切手を貼り付けます。
そして、書留の表示をして下さい。
卒業証明書または卒業見込証明書
【受験条件】の1に該当する人が対象です。
歯科医師国家試験予備試験の合格証書の写し
これは【受験条件】の2に該当する人が対象です。
歯科医師国家試験予備試験の合格証書の写し(歯科医師国家試験運営本部事務所または歯科医師国家試験運営臨時事務所に合格証書の原本を提示し、原本照合を受けたもの)、もしくは合格証明書および実地修練施設の長の発行する実地修練を終えたことを証する書面または実地修練を終える見込みであることを証する書面が必要です。
歯科医師国家試験受験資格の認定書の写し
【受験条件】の3や4に該当する人が対象です。
まとめ
以上、歯科医師になる試験についてみてきました。
今やコンビニよりも数が多いといわれる歯科医院ですが、無事に免許を取得して看板を掲げるには大変な時間と苦労があることが分かりました。
歯科医院の道は個人経営だけに留まらず、あらゆる方面が考えられます。
また、最近では審美歯科といって、美を追求する歯科治療も多くなってきました。
どの分野で輝こうと、歯科医師は私たちの生活に欠かせない医療従事者です。
歯科医師はその他の医師と同じように、6年大学に通います。
学費もかかりますから、コツコツ勉学に励んで資格を取得してくださいね。
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