THP指導者とは、健康保持増進のための方針に定めた「心とからだの健康づくり」の指導者です。
少子高齢化や働き方改革による定年の延長により、働く人の心と体はますます大切になっています。
働く人の健康の確保が企業の経営課題となっていることから、企業内における健康測定結果による健康指導などへの期待が、これからも高まってくると考えられます。
社会において関心度が高まる健康を、様々な形でサポートする方々の知識を捕捉する資格です。
Contents
適用する仕事
THP指導者の資格を取得した者は、指導者としての立場から、生活習慣に対する指導や推進、計画などを行なっていきます。
適用する仕事は、体育を専攻する学校教師や産業医、保健師などです。
おおよその年収とキャリアパス
この資格は、民間資格に属する資格です。
THP指導者は体育系の学校教師、産業医、保健師などが知識を補足する目的で取得する資格であり、この資格のみでは就職活動などに生かすことはできません。
よって、THP指導者単体のみで年収を出すことは困難です。
ただこの資格は心身のバランスを保ち、働ける環境を作るために役立つので、活躍の場は広がるでしょう。
認可団体
THP指導者の認可団体は、中央労働災害防止協会です。
全ての働く人々に安全と健康をもたらすために設立された組織で、本部は東京都の芝浦に存在します。
受験条件
この資格は講習を受講するために、受講する講習の分野によって各々設定された条件が存在します。
健康測定専門研修
産業医に既に就職しており、日本医師会認定健康スポーツ医の認定を受けている者
運動指導専門研修
- 大学の体育系、保険系学科の修了者
- 保健師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師有資格者
- 看護士有資格者で、運動実践の指導援助の実務経験が1年以上の者
- 栄養士有資格者で、運動実践の指導援助の実務経験が2年以上の者
- 衛生管理者有資格者で、運動実践の指導援助の実務経験が3年以上の者
運動実践専門研修
18歳以上の者であること
心理相談専門研修
- 大学生(原則として4年制大学であること)の心理、社会福祉、保険系学科修了者
- 運動指導の担当者、保健士の有資格者
- 看護士、栄養士等で一定以上の実務経験者
産業栄養指導専門研修
- 管理栄養士の有資格者
- 栄養士で栄養指導の実務経験が2年以上の者
産業保険指導専門研修
- 保健士の有資格者
- 看護士有資格者で労働者に対する生活指導の実務経験が1年以上の者
- 助産士有資格者で労働者に対する生活指導の実務経験が1年以上の者
合格率
THP指導者は講習を受けることによって取得できるため、明確な合格率は存在しません。
講習を受講するのに必要な資格は存在しますが、得点などは存在しないためです。
ただし、当たり前の話ではありますが、講習を受講するにあたって問題行動を起こしたり、なんらかの不正があったとするのであれば、講習を受講したという証明は取り消しになる可能性が考えられます。
1年当たりの試験実施回数
1年あたりの細かな試験実施回数などは明確には決まっていません。
願書申し込みの受付期間や、合格発表日なども実施先に直接問い合わせる方法で確認する必要があります。
試験科目
試験科目は以下の通りになっております。
健康測定専門研修(産業医)
- 健康確保総論I(THPの考え方)
- メンタルヘルスの基礎知識
- 運動負荷試験の実際
- 運動負担試験の基礎知識と安全対策
- 個人指導票の作成
- 食生活と健康
- 企業における健康教育の実際I(飲酒)
- 健康確保総論Ⅱ(THPの現状)
- 運動生理
- 企業における健康教育の実際Ⅱ(理念と展開)
運動指導専門研修(ヘルスケア・トレーナー)
- 健康確保総論Ⅰ・Ⅱ
- メンタルヘルスの基礎知識
- 体操Ⅰ
- メンタルヘルスの基礎知識
- 諸外国の健康づくり
- 体操Ⅰ
- 体操Ⅱ
- 労働生活と健康
- 運動指導の評価
- 体操Ⅱ
- サーキット・エクササイズ
- 面接技法
- サーキット・エクササイズ
- リラクセーション
- エアロビック・エクササイズ
- 野外活動Ⅰ
- リラクセーション
- 企業における健康教育の実際
- エアロビック・エクササイズ など
運動実践専門研修(ヘルスケア・リーダー)
- 健康確保総論I(THPの考え方)
- 健康確保総論II(THPの現状)
- 体操I(健康づくりのための体操)
- 事例研究
- 野外活動(ウォークラリー)
- 運動と健康
- ウォーキング&ジョギング
- リラクセーション
- 救急処置
- 食生活と健康
- 運動機能検査の基礎知識と実際
- サーキット・エクササイズ
- 意見交換
- 体操II(職場で行う体操)
- 企業における健康教育の実際
- 運動プログラムの考え方
心理相談専門研修(心理相談員)
- 健康確保総論I(THPの考え方)
- 健康確保総論II(THPの現状)
- メンタルヘルスの基礎知識I(産業ストレス)
- メンタルヘルスの基礎知識II(心身医学・産業精神医学)
- メンタルヘルスケア技法(面接技法・グループダイナミクス・リラクセーション・交流分析)
- 企業における健康教育の実際
- 心理相談担当者の活動の実際(事例紹介)
- 心理相談担当者の活動の実際(事例研究・意見交換)
産業栄養指導専門研修(産業栄養指導者)
- 健康確保総論Ⅰ・Ⅱ
- 栄養指導論
- 健康づくりのための栄養と運動
- 集団へのアプローチ
- 企業における健康教育の実際Ⅰ・Ⅱ
- 面接技法
- 産業栄養指導担当者の活動の実際
- 食生活プログラムの実際
産業保険指導専門研修(産業保険指導者)
- 健康確保総論Ⅰ・Ⅱ
- メンタルヘルスの基礎知識
- 運動と健康
- 食生活と健康
- 口腔保健
- 集団へのアプローチ
- 面接技法
- 企業における健康教育の実際
- 産業保健指導担当者の活動の実際
- 生活支援プログラムの実際
採点方式と合格基準
この資格は講習を受講するのみで取得が可能なため、得点による採点方式や合格の基準などは存在しません。
取得に必要な勉強などの費用
この資格は問題集や参考書などが存在しないため、講習を受講する受講費のみが費用としてかかります。
受験にかかる費用は後述の受験料を参考にしてください。
また、THP指導者登録の有効期間は取得してから3年です。
更新手数料は受験料とは別途で発生し、税込みで6,480円です。
2種類目以降の指導者種別からは、1種別ごとに2,180円が必要となります。
受験料
受験料は部門によって異なり、以下のようになっております。
部門 | 料金(円) | 会員料金(円) |
健康測定専門研修 | 119,000 | 105,000 |
運動指導専門研修(ヘルスケア・トレーナー) | 135,000 | 120,000 |
運動実践専門研修(ヘルスケア・リーダー) | 65,000 | 58,000 |
心理相談専門研修 | 47,310 | 42,170 |
産業栄養指導専門研修 | 46,290 | 41,140 |
産業保険指導専門研修 | 46,290 | 41,140 |
受験申込方法
この資格の場合、受験に申し込むというよりかは講習に申し込むといった形になっています。
問い合わせは以下の通りになっています。
中央労働災害防止協会健康確保推進部 | 03-3452-2517 |
中央労働災害防止協会 大阪労働衛生総合センター | 06-6448-3464 |
中央労働災害防止協会 東北安全衛生サービスセンター | 022-261-2821 |
中央労働災害防止協会 中部安全衛生サービスセンター | 052-682-1731 |
中央労働災害防止協会 中国四国安全衛生サービスセンター | 082-238-4707 |
中央労働災害防止協会 九州安全衛生サービスセンター | 092-437-1664 |
まとめ
以上、THP指導者の情報についてでした。
THP指導者という資格はあくまでも産業医や保健師といった職に従事している方がより力を発揮するための資格です。
そのため、この資格だけを取得していてもあまり意味はなく、産業医や保健師といった資格に従事している方が取得してこそ輝く資格だと言えます。
採点式の受験方法ではなく、講習を受けるだけで取得は可能ですが、資格の更新を行わなければならないということはどうかお忘れなく。