小学校教諭になるためには、小学校教諭普通免許状を取得することが必要です。
小学校教諭普通免許状を取得してから、教職員採用試験を受験して、合格しなければなりません。
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適用する仕事
小学校教諭普通免許状が活きる仕事には、次のようなものがあります。
学校の教師や教員
小学校教諭普通免許状という資格で真っ先に浮かぶ仕事は、学校教師や教員だと思います。
学校での仕事には、正規の教員以外にも様々あります。
例を挙げさせて頂きます。
常勤講師 | 病欠であったり、産休などの理由で不在の教諭に代わって、正規の教諭と同じように働きます。 |
非常勤講師 | 自分の担当する授業のみの時間帯で働きます。給与は時給換算になります。 |
特別支援教育支援員 | 特別支援学級の障がいを抱える子供たちのサポートを行います。 |
学校事務 | 生徒や教職員のサポートや、学校や施設の整備などを行います。 |
学習塾や予備校の講師
主な仕事内容は生徒の学習指導です。また、保護者との相談対応を行う場合もあります。
学習指導も、生徒が小学生なのか中学生なのか高校生なのかによって変わってきます。
指導人数によっても指導のやり方が変わります。
学習塾は、大きく分けると個別指導と集団指導に分かれます。
個別指導では、先生1人に対して生徒が1人か2人です。
集団指導の場合は、10人前後の生徒を先生1人で担当します。
黒板やホワイトボードに板書して授業することが多いです。
学習塾や予備校の教室長、スクールマネージャー
教室長やスクールマネージャーは、先ほどの塾講師とは仕事内容が多少異なります。
教室運営全般に関わる仕事をします。
講師のマネジメントであったり、保護者の相談対応、時間割・シフトの作成などがあたります。
生徒の募集も仕事内容に含まれることもあります。
塾によっては、教室長やスクールマネージャーも授業を行うこともあります。
家庭教師
家庭教師は生徒の自宅へ行って、教科指導を行います。
家庭教師は、学生アルバイトのイメージが強いかもしれませんが、社会人によるプロ家庭教師も存在します。
生徒と教師が1対1で接するので、担当科目の指導だけではなく、勉強方法や進路などの相談にのることもあります。
2022年は新型コロナウイルスの感染拡大もあって、オンラインの家庭教師サービスも最近ではあるようです。
児童指導員
事情があって、児童福祉施設に通所や入所する子供たちが健やかに育つように支援する仕事です。
例を挙げると、発達障害であったり知的障害といった障がいをかかえていて、児童発達支援や放課後等デイサービスに通所する子供達に対しては、いずれの自立や社会参加のために必要な療育をします。
ここで療育とは、治療と教育や保育などを合わせた言葉で、発達の状態や障がいの特性に合わせて必要な支援や訓練をすることを示します。
基本的に発達支援と同じ意味で使われる言葉です。
児童指導員として5年間働くと、講習を受けて児童発達支援管理責任者の資格を得られます。
児童発達支援管理責任者
児童発達支援管理責任者は、障がいを抱えている子供の成長や療育を推進していく責任者です。
個別支援計画を作成して、子ども一人ひとりにより質の高い療育を目指します。保護者や関係機関との連携を取りながらやります。
児童発達支援管理責任者になるには、次の要件が必要です。
- 相談支援業務の場合は5年、直接支援業務の場合は10年の職務経験
- サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者研修(基礎研修)の修了
ここで、教員免許は児童指導員として相談支援業務とみなすことが出来ます。
先生としての職務経験が5年間あれば、基礎研修を修了すると児童発達支援管理責任者になることができます。
おおよその年収とキャリアパス
2021年の小学校教諭の平均年齢は42歳で、平均年収は699万円です。
年代別にすると、以下の通りです。
20~24歳:331万円
25~29歳:462万円
30~34歳:557万円
35~39歳:669万円
40~44歳:731万円
45~49歳:814万円
50~54歳:890万円
55~59歳:933万円
60~64歳:847万円
65~69歳:750万円
小学校教諭のキャリアパスは、民間企業とは感覚が違います。
教員は経験を積んでいくと、一人前の教師とみてもらえることが多いので、キャリアというものは考えないという人も多いです。
キャリアに関していうと、小学校教師は漠然と経験年数がキャリアという感覚があるようです。
認可団体
試験主催者は、各都道府県教育委員会です。
受験条件
小学校教諭普通免許状は、3種類あります。それぞれの取得方法は次の通りです。
小学校教諭一種免許状
こちらは、初等教育教員養成課程を持つ4年制大学で、所定の単位を取って卒業することで取得できます。
小学校教諭一種免許状の取得は、小学校教諭になる最も一般的な方法です。
小学校教諭二種免許状
短期大学などで、必要な科目の単位を取得することで小学校教諭第二種免許状を得ることができます。
第一種と比べても、指導可能な範囲は変わりませんが、第二種の取得者には、小学校教諭になった後にも小学校教諭第一種免許状取得の努力義務が課されます。
小学校教諭専修免許状
小学校一種免許状を基礎とする専修免許状取得が可能な大学院の修士課程を修了して、決められた科目の単位を取得することで得られる免許状です。
大学院に進む前に、小学校教諭一種免許状を得ている方は必要な単位の取得数が減ります。
合格率
2018年度から2020年度までの3年間の合格率は次の通りでした。
2018年度
受験者数:849人
合格者数:112人
合格率:13.2%
2019年度
受験者数:780人
合格者数:248人
合格率:31.8%
2020年度
受験者数:742人
合格者数:167人
合格率:22.5%
1年あたりの試験実施回数
小学校教諭普通免許状の試験は、年に1回です。
一次試験と二次試験があります。
一位次試験の実施場所は、東京近郊と大阪近郊の全国でも2ヶ所だけです。2019年度までは全国6ヶ所ありました。
二次試験は、2020年度は新型コロナウイルス感染拡大防止ということで、ウェブ会議ツールのZoomでも実施しました。
試験科目
試験には、筆記の一次試験と、面接や実技の二次試験があります。
2020年度から、試験内容が変更になりました。
知識や技能よりも、実践的指導力が問われる実践に即した評価の仕方になっています。
2021年度もその内容でした。
一次試験:筆記
一般教養科目と専門教養科目と論文とがあります。
1.一般教養科目
国語・社会・数学・理科・英語の、よく5教科と表現されるものの試験です。
教員になるにあたって、基礎学力がどのくらい身についているのかが見られます。
自治体によって一般教養の問題の難しさに少し差があるようですが、一般的には受験する自治体の高校入試のレベルであることがほとんどです。
一般教養は出題範囲が広いです。基礎・基本や要点を問われることが多いです。
5教科の勉強から離れていて不安がある方は、4ヶ月から8ヶ月ほど対策した方がいいでしょう。
合格基準は各自治体によって違いますが、8割以上は得点しておいた方がいいでしょう。
他の試験で差がつかない場合、筆記試験の点数で合否が分けられることもあるようです。
一般教養の対策としては、過去問を分析して出題傾向をつかんでおき、苦手強化をしっかり勉強し、問題を解きながらその都度不足があるところをカバーしていくと効率いいです。
問題で間違えたところは、参考書に印をつけておくと自分の苦手が把握できて良いです。
2.専門教養科目
小学校の場合は、例外はありますが、基本的に全ての科目が出来なければなりません。
専門の科目といっても生徒にとっての専門科目ではなくて、自分の研究のための専門教科です。
各先生は、他で開かれている自身の研究している教科の授業に出席するために、出張することがあります。
専門を各先生が持っていると、その科目は研究しているけど他は頼りないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自分の専門科目をあまり意識していない先生も多いです。
教えるからには、全科目研究して当然と考えておられる先生も多くいるみたいです。
3.論文
テーマは地域によって違います。
二次試験:面接と実技
- 面接:個人面接、集団活動
- 実技:水泳、ピアノ(伴奏、歌唱)
注:独立行政法人教職員支援機構のホームページに過去問が公開されています。詳しくはそちらをご確認ください。
採点方法と合格基準
採点方式と合格基準は、公表されていません。
取得に必要な勉強などの費用
小学校教諭を目指すための学校の、おおよその学費の例を挙げさせて頂きます。
大学や短大の場合は初年度納入金もかかります。
初年度納入金:40万8900円~191万5000円
在学費用・年額:82万1813円~
国立大学の学費
入学料:282000円
年間授業料:535800円
合計:817800円
公立大学の学費
入学料:393618円
年間授業料:538633円
4年間の総額:932251円
私立大学の学費
入学料:225770円
年間授業料:821813円
4年間の総額:1304254円
受験料
無料
受験申込方法
受験願書等の資料請求をしなければなりません。
インターネットで請求する方法と、電話で請求する方法があります。
インターネットで請求するには、試験の運営をしている独立行政法人教職員支援機構がホームページ上で告知している受験案内に載っているURLかQRコードから行います。
電話で請求するには、音声ガイダンスに従って申し込みをします。
インターネットで請求しても、電話で請求しても届く資料は同じものです。
受験願書等を受け取ったら、必要書類をそろえて出願します。
必要書類は次の通りですが、入手に時間がかかるものもあるので手続きは早めにすることをお勧めします。
まとめ
小学校教諭になるための、小学校教諭普通免許状についてでした。
小学校教諭になるためには、小学校教諭普通免許状を取得してから、教職員採用試験を受験して合格しなければなりません。
この免許状が活きる仕事は小学校の先生だけでなく、塾や家庭教師の仕事、児童指導員などもあります。
小学校教諭の年収は、50代後半までは段々と上がっていって、そこからは下がっていく傾向があります。
この試験の合格率は、10%を少し上回るくらいです。
年に1回の試験なので、しっかり準備して臨みたい試験だと思います。
試験科目は5教科についての科目はもちろんですが、論文や面接もあります。
また、水泳やピアノなどの実技もありますよ。
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注:これ以外にも、提出を求められるものがある場合があります。