1980年代に大ブームを巻き起こした「ゴーストバスターズ」はどう進化した?「ゴーストバスターズ/アフターライフ」

1980年代に大ブームを巻き起こした「ゴーストバスターズ」はどう進化した?「ゴーストバスターズ/アフターライフ」

今回ご紹介するのは、2021年のアメリカ映画「ゴーストバスターズ/アフターライフ」です。

幽霊退治に挑む冴えない科学者たちの奮闘をユーモラスに描き、1980年代に世界的ブームを巻き起こした「ゴーストバスターズ」「ゴーストバスターズ2」の続編です。

 

前2作の監督アイン・ライトマンの息子で、「JUNO ジュノ」などで知られるジェイソン・ライトマンがメガホンをとり、ゴーストバスターズのメンバーの孫娘の活躍を描きます。

少女フィービーは母や兄とともに、祖父が遺した田舎の古い屋敷に引っ越して来ます。この街では30年間にわたり、原因不明の地震が頻発していました。

ある日フィービーは地下研究室でハイテク装備の数々を発見し、祖父がかつてニューヨークを救ったゴーストバスターズの一員だったことを知ります。

そんな中、フィービーは床下にあった装置「ゴーストトラップ」を誤って開封してしまいます。すると不気味な緑色の光が解き放たれ、さらなる異変が街を襲いはじめます。

フィービーを「gifted ギフテッド」のマッケンナ・グレイス、兄トレヴァーを「IT イット」シリーズのフィン・ウルフハードが演じています。

今回は「ゴーストバスターズ/アフターライフ」のあらすじ、キャスト、見どころなどをご紹介します。

あらすじ(ネタバレあり)

2021年、オクラホマ州サマーヴィル。
キャデラックを走らせ鉱山から何かを誘い込んだ男は、準備したトラップが発動せずその正体不明の何かによって殺害されてしまいました。

家賃の滞納でアパートを追い出されたシングルマザーのキャリーは、息子のトレヴァー、娘のフィービーと共に科学者だった父親の遺したサマーヴィルの農場へと移ってきました。殺害された男とは、キャリーの父親だったのです。

今にも倒壊しそうな古い屋敷は、使い道の分からない装置がホコリをかぶっていたるところに置かれているだけで、彼らの生活を助けるものは何もありませんでした。

生前の父親と折り合いが悪かったキャリーと対照的に、祖父ゆずりの化学オタクに育ったフィービーは屋敷にあった装置の数々に興味を示します。

ある日、フィービーはサマースクールの講師を務める地震学者のグルーバーソンから、サマーヴィルで謎の地震現が起きていることを聞かされました。

それだけではなく、フィービーは家の照明やチェスがまるで意思を持ったように動き出すなど不可解な現象を目の当たりにします。

陰謀論系の配信を行っているクラスメイト、ポッド・キャストと共にこの謎を調べていきました。

その晩、フィービーはPKEメーターの指す方向から床下に隠されていた何かの機材を発見します。

翌日、機材をグルーバーソンに見せると、彼はその装置が1980年代のNYで発生したゴースト騒動において<ゴーストバスターズ>と呼ばれる組織がゴーストを捕らえるために使っていたトラップだと言います。

フィービーは自分の祖父がニューヨークで悪霊ゴーザを退治した、ゴーストバスターズの一員イゴン・スペングラーであることを知りました。

キャスト

フィービー(マッケンナ・グレイス)

イゴン・スペングラー博士の孫です。

主役

演:マッケンナ・グレイス
2013年、テレビドラマ『Joe, Joe & Jane』のパイロット版で子役として女優デビュー。その後ディズニーXDのシリーズ『Crash & Bernstein』に出演しました。

2017年、『gifted/ギフテッド』ではクリス・エヴァンスとともに主役を演じ、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』では幼少期のトーニャ・ハーディングを演じています。

2021年にはHuluのドラマシリーズ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の演技が評価されプライムタイム・エミー賞最優秀ゲスト女優賞にノミネートされます。

同年11月、『Haunted House』で歌手デビュー。同曲はシングルとして発売されるだけではなく、主演作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』のエンドクレジットシーンで使用されました。

トレヴァー(フィン・ウォルフハード)

キャリーの息子でフィービーの兄。イゴン・スペングラー博士の孫。

演:フィン・ウォルフハード
2013年公開、短編映画『Aftermarth』で子役としてデビュー。

2014年にテレビシリーズ『THE 100/ハンドレッド』、2015年にテレビシリーズ『スーパーナチュラル』でゲスト出演を果たします。

2016年シーズン1、2017年シーズン2が配信されたNetflixオリジナル作品『ストレンジャー・シングス 未知の世界』でマイケル・ウィーラー役でブレイク。

2017年公開のホラー映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のリッチー・トージア役で長編映画デビューをします。
ベース・ギターを趣味とする彼は元Calpurniaメンバーのマルコム・クレイグと結成したユニットバンド【The Aubreys】でギターボーカルとして活動しています。

キャリー(キャリー・クーン)

シングルマザー。イゴン・スペングラー博士の娘。

演:キャリー・クーン
ウィスコンシン大学の大学院を卒業後、地元の劇団に4年間所属。その後、シカゴに拠点を移し、名門ステッペンウルフ・シアター・カンパニーの舞台に立つようになります。

一方、11年にはTVシリーズに初出演し、以降「LAW&ORDER:性犯罪特捜班」(13)などに出演。

12年のブロードウェイデビュー作「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」でトニー賞演劇部門の最優秀女優賞にノミネートされました。

14年は、TVシリーズ「LEFTOVERS 残された世界」に出演したほか、長編映画初出演作「ゴーン・ガール」でベン・アフレック演じる主人公の双子の妹マーゴを演じています。

ゲイリー・グルーバーソン先生(ポール・ラッド)

地震学者でサマースクールの講師です。

演:ポール・ラッド
1995年の映画『クルーレス』で、主人公の義兄役を演じ、注目を浴びます。その後はしばらくブロードウェイの舞台に活動を移しますが、映画及びテレビにも出演。

2008年には主演作『ぼくたちの奉仕活動』が全米映画興行成績で2ヶ月近くトップ10入りするヒットとなり、2009年の主演第2作『40男のバージンロード』も同様にヒットを記録します。

2015年公開の『アントマン』で、主役のスコット・ラングを演じます。その後も続編の『アントマン&ワスプ』(18年)ほか、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16年)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19年)にも同役で出演しています。

ピーター・ベンクマン博士(ビル・マーレイ)

ゴーストバスターズの創設者の一人。

演:ビル・マーレイ
1977年から1980年まで、NBCの人気バラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に出演し人気を得ます。

その後もコンスタントに俳優として映画に出演していますが、エージェントやマネージャーを持っておらず、コンタクトが難しいとして映画の製作陣からはオファーが出しづらい俳優として認識されています。

近年ではティム・バートン、ジム・ジャームッシュ、ソフィア・コッポラ、ウェス・アンダーソンなど、個性的な監督の作品に出て高い評価を得ています。

2003年の『ロスト・イン・トランスレーション』では、アカデミー主演男優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞など多数の映画賞を受賞しました。

レイモンド・スタンツ博士(ダン・エイクロイド)

ゴーストバスターズの創設者の一人。

演:ダン・エイクロイド
1977年の『ダン・アイクロイドのひと目惚れ』で俳優として映画デビュー。『ブルースブラザーズ』、『ゴーストバスターズ』などの名作コメディ映画の脚本を手懸ける才人としても知られています。

1982年に良き相棒であり親友であったベルーシを失った後はやや精彩を欠きましたが、『ゴーストバスターズ』で主人公3人組の1人を演じ、本来の持ち味を発揮。

コメディ以外の映画でも活躍し、1989年には『ドライビング Miss デイジー』でジェシカ・タンディの息子役を演じてアカデミー助演男優賞にノミネートされます。

1991年の『マイ・ガール』ではヒロインの父親役を好演。また、ラジー賞にも数回ノミネートされ、2度の受賞歴があります。

ウィンストン・ゼドモア(アーニー・ハドソン)

ゴーストバスターズのメンバーです。

演:アーニー・ハドソン
1976年にブラック・ムービーへ出演して映画デビュー。

精力的に活動を続け、ビル・マーレイ、ダン・エイクロイドらが出演の大ヒットコメディ『ゴーストバスターズ』のウィンストン・ゼドモア役で徐々に名前も認知されるようになります。

同作品のヒットを受け、引き続き『ゴーストバスターズ2』にも出演。前作以上にユーモラスな演技を披露して印象を残します。近年も映画・テレビで精力的に活動しています。

ジャニーン・メルニッツ(アニー・ポッツ)

ゴーストバスターズの元受付嬢。

演:アニー・ポッツ
1978年にマーク・ハミル出演のアドベンチャー・コメディ『コルヴェット・サマー』で映画デビューを飾ります。

その後も様々な映画・テレビに出演して、日本ではビル・マーレイ主演の大ヒットコメディ『ゴーストバスターズ』に登場するジャニーン役で知られています。

主にコミカルな演技を得意とし、それが評価されてエミー賞ゴールデングローブ賞にノミネートされたこともあります。

基本情報

基本情報

監督       ジェイソン・ライトマン
脚本       ギル・キーナン(英語版) ジェイソン・ライトマン
原作        『ゴーストバスターズ』(1984年)
製作       アイヴァン・ライトマン
製作総指揮    ダン・エイクロイド ギル・キーナン ジェイソン・ブラメンフェルド

出演者      マッケンナ・グレイス キャリー・クーン フィン・ウルフハード ポール・ラッド

音楽          ロブ・シモンセン
撮影         エリック・スティールバーグ(英語版)
編集         デイナ・E・グローバーマン ネイサン・オルロフ
製作会社       コロンビア ピクチャーズ ブロン・クリエイティブ(英語版) ゴースト・コープ

配給            ソニー・ピクチャーズ リリーシング
公開          〔アメリカ〕 2021年11月19日 〔日本〕 2022年2月4日
上映時間           124分

製作国           アメリカ合衆国
言語            英語
製作費         $75,000,000
興行収入      〔世界〕 $204,334,455 〔アメリカ・カナダ〕 $129,360,575

ゴーストバスターズの続編?

映画『ゴーストバスターズ アフターライフ』は、ゴーストバスターズシリーズの4作目で、1作目と2作目の続編です。ただし過去作を未視聴でも問題ないです。

3人

気になる人はゴーストバスターズシリーズのあらすじを知っておいた方が良いかもしれません。

今回は、初代ゴーストバスターズの一員の孫娘、12歳のフィービーがゴーストたちから世界を救うストーリーです。

しかも、監督は第1作、第2作を監督したアイヴァン・ライトマンの息子、『JUNO/ジュノ』(2007)『マイレージ、マイライフ』(2009)の監督ジェイソン・ライトマン。

6歳の時に第1作の撮影現場にいて、後に父の仕事を引継いだ彼が、このシリーズに“親と子の物語”という新たな息吹を吹き込んで、また別の物語を描いています。

主演のマッケンナ・グレイスは『gifted ギフテッド』で注目された子役で、その後も幼少期役などで数々に出演し、『アナベル 死霊博物館』では主演をつとめました。

フィン・ウルフハードは、NETFLIX米ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のメインキャラを演じて注目され、映画では『IT イット それが見えたら、終わり。』等に出演。

キャリー・クーンは『ゴーン・ガール』『アベンジャーズ インフィニティウォー』(プロキシマ・ミッドナイト役)に、ポール・ラッドはマーベル映画MCUのアントマン役に出演しています。

作品の見どころ

子どもたちが大活躍

『ゴーストバスターズ アフターライフ』はおなじみのニューヨークが舞台ではありません。オクラホマ州の農地が舞台になっており、巻き起こる騒動もわりとこじんまりとしています。

そして、主人公たちが子どもになっており、いわゆるプレティーンの青春ドラマになっています。

これは『ストレンジャー・シングス 未知の世界』をかなり意識しているのだろうなと思いますし、流行りに乗っかった感じです。大人がわちゃわちゃしている賑やかさはないです。

ガジェットがパワーアップ

『ゴーストバスターズ』といえば、魅力的なガジェットがマストです。今回は第1作でお馴染みのアイテムの数々が、ちょっとだけ改良されて登場します。

まず、バスターズがリュックのように背負っている奇妙なデザインのメカ「プロトンパック」は、ライティング・システムにグレードアップがあります。

 

バスターズの愛車ECTO-1は、椅子が側面から飛び出す仕掛けがあり、そのシートにはプロトンパックが内蔵されています。

今度のゴーストも個性的

このシリーズのゴーストは、キュートでちょっとマヌケなルックスが必須条件ですよね。今回もこの条件をきっちりクリアして、愛らしいゴーストが続々登場。

その筆頭は、第1作のマシュマロマンが超小型になって大量増殖したミニマシュマロマン。よく見るとかなり残酷なこともしていますが、見た目は超キュートです。

オリジナル版へのオマージュⅠ

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』では、往年のファンが喜ぶようなオマージュや、小ネタがたくさん見つけられます。

机に積まれた本

フィービーたちが祖父のイゴンから相続した屋敷では、机の上にきっちりと山積みにされた本が目を引きます。

第1作の序盤でも、イゴン・スペングラー博士たちがゴースト検知の為に図書館を訪れた際、通路のど真ん中に見上げるほど高く積まれた本が登場しています。

ピーター・ベンクマン博士は「こんな積み方をする人間はいない」と呟いていています。

チェスを通した祖父との会話

超常現象が起こる屋敷で、フィービーは自室にあったチェス盤を通して幽霊とコミュニケーションを取ります。

最終的にチェスの対戦相手が祖父であるイゴンのゴーストだったことが判明するのですが、アニメ「リアル・ゴーストバスターズ」(1986-1991)ではイゴンがチェス好きであることが明かされています。

警察署での「Who You Gonna Call?」

修理したECTO-1に乗り込み、ゴーストとの追跡劇を繰り広げたトレヴァーとフィービー、ポッド・キャストの3人は、勾留所に閉じ込められてしまいます。

そこで、トレヴァーが思いを寄せるラッキーの父親でもあるドミンゴ保安官が「Who you gonna call?」と一言。これは言わずもがな、「Who You Gonna Call? Ghosutbusters!(誰を呼ぶ?ゴーストバスターズ!)」という映画のキャッチフレーズへのオマージュです。

オリジナル版へのオマージュ Ⅱ

レイのオカルト書店

第1作『ゴーストバスターズ』の後、仕事を失ったゴーストバスターズの面々。『ゴーストバスターズ2』では、ダン・エイクロイド演じるレイモンド・スタンツ博士は「オカルト書店」という風変わりな本屋を開業していました。

『アフターライフ』では、この「オカルト書店」のサイネージが登場しており、『ゴーストバスターズ2』以降もレイが書店を営業していたことが分かります。

YouTubeに出演した幼い頃の監督

フィービーは、1984年にニューヨークを熱狂させたゴーストバスターズの過去映像をYouTubeで漁ります。

その動画に映っている母親と手を繋ぐ少年は、『アフターライフ』でメガホンを取ったジェイソン・ライトマン監督本人です。

車

「お前は神か?」再来

『アフターライフ』では、第1作で降臨した破壊神・ゴーザが復活。そのゴーザは、フィービーたちの援護に駆けつけたレイモンド・スタンツ(元)博士に「お前は神か?」と問いかけます。

実はゴーザとの初対面時、同じことを聞かれたレイは「いいえ」とバカ正直に答えたことで、殺されかけました。あの経験を教訓に、2度目の質問にレイは「はい」と答えます。

ゴーストバスターズ集結!

そして再集結!

イゴンの家の畑でイゴンが作った装置を使いフィービーらはゴーザを迎撃しますが、後一歩のところで取り逃します。

ゴーザがキャリーらを攻撃しようとしたところに、かつてのゴーストバスターズの3人が現れ、プロトンパックでゴーザを一斉射撃します。

しかし、それも跳ね返されピンチに陥りますが、フィービーがゴーザをプロトンパックで撃ちます。

プロトンパックの銃口を持つフィービーにはイゴンの霊が寄り添っており、体制を立て直したゴーストバスターズはゴーザを撃ちます。

トレヴァーとキャリーが故障した畑のトラップを作動させると、街中に広がったゴーストたちは次々と畑の中のトラップに閉じ込められていき街は平穏を取り戻します。

全てを終えたゴーストバスターズはイゴンを信じてやれなかったことを詫び、フィービーに礼を伝えます。

イゴンの霊はキャリーを抱き締めると、光の粒となって再び消えていきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は「ゴーストバスターズ/アフターライフ」をご紹介しました。

幽霊がでてくる映画と言えば?と質問されると真っ先にあげられる作品はおそらく『ゴーストバスターズ』でしょう。

1984年にアイヴァン・ライトマン監督のもとで製作された本作は、公開されるとその軽妙でハイテンションな幽霊退治模様が話題となり、たちまち社会現象になりました。

この映画の影響で幽霊を信じる人が増加したかどうかは定かではありませんが、今も自称「ゴーストバスターズ」の人たちは世界にたくさんいます。

家族や友達、恋人とも気軽に楽しめる作品なので、ぜひ鑑賞してみてください。また、シリーズへのリスペクトの強い作品なので、旧作を知っている人ほど感動も増すと思います。

現代の映画としては敵の設定や倒し方が少し雑なのは気になりましたが、オリジナルの「ゴーストバスターズ」のファンはもちろん、それを知らない世代でも楽しめる作品です。

ラストシーンは続編ありきの展開ですが、今回の子ども版ゴーストバスターズとウィンストンが主要キャラになるのでしょうか。続編も期待大です。