自家用操縦士(飛行機・回転翼)について

自家用操縦士(飛行機・回転翼)について

今回お伝えする自家用操縦士(飛行機・回転翼)というのは、飛行機と回転翼(ヘリコプター)の操縦を趣味レベルで行える資格です。

趣味レベルというのは、この資格だけで航空会社へ就職したり、パイロットとして働くことはできないということです。

あくまで趣味レベルで、例えば自家用の飛行機やヘリコプターを所有していた場合にその資格を持って操縦できるというものです。

自家用車ならぬ、自家用飛行機や自家用ヘリコプターを持っている人には必要な資格でしょう。
その免許の取り方をご紹介していきます。

適用する仕事

自家用操縦士(飛行機・回転翼) コックピット自家用操縦士は自動車でいうところの普通自動車第一種免許にあたるといって良いでしょう。
もしご自分で飛行機やヘリコプターを所有していて、操作する際に必要になる免許です。

自家用機を所有していれば、ご自分の飛行機を操縦することができるし、所有していなくても1つの機体を数名で共同所有している場合でも操縦するときにこの資格は活かせます。
現役を引退された方の老後の趣味としても、自家用機の免許取得は注目を集めています。

ただし、この免許は自分が楽しむための資格であって、仕事で適用されるものではありません。
この資格だけでは、航空機を操縦して賃金を得てはいけないのです。

それでも、子供の頃パイロットになりたいと思った人にとっては、この免許と自家用機があれば夢が叶います。
職業パイロットになるには、航空会社に就職して選ばれた人しかなれません。
収入を得ることはできないけれども、生きがいや一種のステイタスを得るには良いかもしれません。

ちなみに、免許取得後は定期的に航空身体検査を行わなければなりません。

おおよその年収とキャリアパス

自家用操縦士(飛行機・回転翼) ヘリコプター1自家用操縦士の資格だけでは仕事では使うことができませんので、平均年収やキャリアパスはありません
あくまでこれは趣味・レジャー用に自分が楽しむための資格です。

商用の飛行ができない制約はありますが、事業用操縦士へのステップアップとして自家用操縦士の資格を取得する人もいるようです。

認可団体

自家用操縦士(飛行機・回転翼) ロゴ国土交通省

受験条件

自家用操縦士の受験条件は飛行機・回転翼ともども、年齢が17歳以上です。
あとはそれぞれ操縦経験が必要です。

飛行機

総飛行時間40時間以上で、以下の飛行を含む

  1. 10時間以上の単独飛行
  2. 出発地点から270km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを5時間以上の機長としての単独飛行
  3. 夜間における着陸、離陸と航法の実施を含む20時間以上の同乗教育飛行

回転翼

総飛行時間40時間以上で、以下の飛行を含む

  1. 10時間以上の単独飛行
  2. 出発地点から180km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを5時間以上の機長としての単独飛行
  3. 夜間における着陸、離陸と航法の実施を含む20時間以上の同乗教育飛行
  4. オートロテイションによる着陸

合格率

自家用操縦士(飛行機・回転翼) ヘリポート非公開
機体によって異なるともいわれています。

1年当たりの試験実施回数

試験は学科試験と実地試験があります。
学科試験は年3回(7月、11月、翌年3月)実施されています。
学科試験合格後、実地試験が実施されます。

試験科目

こちらの記事は自家用操縦士の中で、飛行機と回転翼について取り上げています。
試験科目も分けてお伝えします。

飛行機

学科試験
  1. 航空工学
  2. 航空気象
  3. 空中航法
  4. 航空通信
  5. 航空法規
実地試験
  1. 運航に必要な知識
  2. 飛行前作業
  3. 飛行場や場周経路における運航
  4. 各種離着陸ならびに着陸復行と離陸中止
  5. 基本的な計器による飛行
    ほか

回転翼

学科試験
  1. 航空工学
  2. 航空気象
  3. 空中航法
  4. 航空通信
  5. 航空法規
実地試験
  1. 運航に必要な知識
  2. 飛行前作業
  3. 地表付近における操作
  4. 野外飛行
    ほか

採点方式と合格基準

自家用操縦士(飛行機・回転翼) 旋回学科試験が科目ごとに、100点満点の70点以上で合格となります。
合格した科目は、1年以内での試験では免除になります。

実地試験は問われる項目によって、採点基準が設けられています。

運航に必要な知識

問われる一般知識や航空機事項に対して、おおむね答えられることです。

飛行前作業

飛行前に機長が行うべき確認事項の実施について、判定します。

証明書・書類

採点基準
  • 航空機登録証明書、耐空証明書、運用限界等指定書等必要な書類の有効性を確認するのでできること
  • 航空日誌等により航空機の整備状況を確認させるので、記載事項を解読でき、確認できること

重量・重心位置など

採点基準
  • 試験に使用される航空機の重量や重心位置を計算させ、質問に答えさせるので確認できること
  • 燃料および滑油の搭載量およびその品質について確認させるので、できること

なお、両者とも質問事項にはおおむね答えられるようにすること。

航空情報・気象情報

採点基準
  1. 航空情報を理解できること
  2. 天気図などを使用し、天気概況の説明ができること
  3. 各種の気象通報式の解読ができること
  4. 航空情報や気象情報を総合的に検討して、飛行の可能かどうかが判断できること
  5. 質問事項におおむね答えられること

飛行前点検

採点基準
  • 航空機の外部点検や内部点検を行うので、飛行規程に定められた点検ができること
  • 点検中、諸系統や諸装置について質問が出されるため、安全に対する配慮をし、質問事項にもおおむね答えられること

空港等と場周経路における運航

始動・試運転

始動や試運転が行われるので、飛行規程に定められた手順のとおりに始動および試運転が実施でき、出発前の確認を完了できること
なおかつ、制限事項を守れること

地上滑走(水上滑走)

採点基準
  • 周辺の状況を考慮し、適切な速度や出力で滑走できること
  • 他機(特に大型機)の後方を通過する場合に、安全に対する配慮を行えること

場周飛行や後方乱気流の回避

採点基準
  1. 場周経路をする際、先行機と適切な間隔で飛行できること
  2. 飛行中は高度は±100フィート、速度は±10ノット以内の変化であること

各種離陸や着陸、または着陸復行や離陸中止

通常時や横風になっている時の離陸上昇

採点基準
  1. 横風を修正し、滑走路の中心線や延長線上をおおむね維持しながら離陸や上昇ができること
  2. 上昇速度は±10ノット以内であること

通常や横風中の進入・着陸

採点基準
  1. 所定の経路を安全に進入できること
  2. 突風状況を修正した進入速度を設定できること
  3. 進入速度は+10ノット・-5ノット以内の変化であること
  4. 接地点付近に安全な姿勢で接地できること
  5. 横滑り状態で接地したり、接地後著しく方向を偏らせないこと

短距離離陸

実施内容は下記のとおりです。

  1. 製造者の定めたフラップ角を使用する
  2. 離陸滑走中、最良上昇角速度に達するのと同時に浮揚させる
  3. 対地高度200フィートまで、最良上昇角速度を維持した後、通常の上昇を行う

採点基準は、上記の【通常や横風中の離陸上昇】の欄と同様です。

短距離着陸

製造者の定めた方法により、制動操作ができるのが採点基準です。
その他は上記の【通常や横風中の進入・着陸】の欄と同様です。

実施内容は下記のとおりです。

  1. パワーを使用し、通常よりやや大きい一定の降下角で進入させる
  2. 操縦可能な最小速度で接地させる
  3. 製造者の定めた方法により、効果的に制動して停止させる

着陸復行

採点基準
  1. 安全に復行操作ができること
  2. 横風を修正し、おおむね滑走路の中心線や延長線上を安全に上昇できること、なおかつ上昇速度は±5ノット以内の変化であること

離陸中止

離陸中、航空機の浮揚前に発動機が不作動になった場合を想定して、着陸を中止させるので、質問事項に正しく答えられるようにすること

基本的な計器による飛行

基本操作

飛行中の諸元
  • 高度±100フィート
  • 速度は±10ノット
  • 針路は±10度(水平直線飛行時)、±20度(旋回停止時)

以内の変化であること

レーダー誘導による飛行

採点基準
  1. 所定の方式により、レーダー誘導の要求ができること
  2. 誘導の指示理解して、対応した操作ができること
  3. 飛行中は、高度±100フィート、速度は±10ノット、針路は±10度以内の変化であること

異常な姿勢からの回復

採点基準
  1. 所定の手順により、安全に回復操作ができること
  2. 運用限界速度を超えないこと、失速させないこと

取得に必要な勉強などの費用

【受験条件】の欄で必要飛行時間が設けられています。
となると、その時間を費やさなければなりません。

必要飛行時間を獲得するには、養成機関を利用するのが良いでしょう。
某民間の養成機関によると、入学金が48万5,100円座学訓練費が約58万円かかるそうです。

あとは海外に練習しに行くのも一つの手です。
ちなみに、海外であれば150万~200万円前後の費用がかかるそうです。

受験料

  • 学科試験:5,600円
  • 実地試験(飛行機・回転翼):46,400円

受験申込方法

自家用操縦士(飛行機・回転翼) 風景国土交通省のホームページをご覧いただくと、試験の概要と納付書が掲載されています。
学科試験の申請書はどこで受験するかによって、受付機関が変わりますので注意して下さい。

それ以外でわからない点は国土交通省へ、尋ねてみてください。

国土交通省 航空局安全部 運航安全課技能審査係
〒100-8918
東京都千代田区霞が関2-1-3
TEL:03-5253-8111

まとめ

今回は自家用のみの飛行機を操縦する免許である「自家用操縦士(飛行機・回転翼)」を取り上げました。
こちらは職業として、航空会社に就職したり、パイロットになったりはできませんが、ご自身で飛行機やヘリコプターを所有していたり、数名で共同所有していたりしているときに適用されます。

しかし、免許の取り方もたやすくはなく、【受験条件】として飛行時間が設定されています。
これをどうクリアしていけばいいのかが、難関だと思います。
飛行時間へ使う費用も含めて、それでも自家用操縦士の免許を取りたい方は挑戦してみて下さいね。

 

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